あの世に地獄はあれど極楽は無かった、現世とあの世だけで完結するほど世界は簡単ではなかった。
そんな、極楽とも言えない尸魂界。
まだ護廷十三隊が出来上がったばかりの頃。一人の死神がいました、その死神は同じ仲間を信頼しそして愛してました。
「卯ノ花隊長、四番隊から参りました千夜八界と申します。負傷者の治癒を行いますので内部に入ってもよろしいでしょうか?」
その人は、訓練による負傷者の治療に向かっておりました。十一番隊、剣術を極めた初代剣八が率いる所です。その人の名は千夜八界、尸魂界出身の貴族からではない死神。
【現時点】では、何も取り分けて言うことはない一般的な役職も特徴も無い死神。
ユーハバッハ率いるクインシーの襲撃が行われる前、彼岸花がまだ1つだった頃。
「はい、わかりました。」
「ありがとうございます、では失礼いたします。」
卯ノ花隊長は簡潔に言って、道を退いて戻った。
入ったら後はいつもの場所へ向かえばいい、血と霊圧が混ざっていて訓練の時の負傷者の場所は良くわかる。
そこは死屍累々、死神が積み重なり転がってたコレを全部直すと………四番隊隊長も無茶を言うものだ。
「咲け 彼岸花。」
斬魄刀を取りだし始解をする、刀身が朱に染まり血のような物がポタンポタンと垂れ出す。先程切った虚の血がまた滲み出すよう、後で掃除をしなければ怒られてしまうなと思いつつ。籠った霊圧を取りだし、回道を使い直していく。
「おはようございます、無理ならばあっちで休んで。行けるようであれば戻ってください。」
「おっおう。」
直った一人に話しかける、そうすると。寝ている間に水をぶっかけられたように飛び起き戻っていく……多分休んだら卯ノ花隊長から、今の辛さが楽に感じるほどの檄を受けるのだろうと思った。
「まずは一人目、この調子で片付けないとですね……」
そうこうしている間にもまた負傷者が運ばれてくる……本当に何で四番隊隊長は一人で行かせたのだろうか、そう考えていた。
確かに四番隊の隊員として、回道は使えるが……何れだけの負傷者が十一番隊で出ると思っているのだ。始解のおかげで虚を狩ればある程度の霊圧を溜め込むことが出来るが……疲れるものは疲れる。後で直談判しにいこうと心に誓う。
「二百回」
負傷者を数えるのが面倒になってきた。だが後で帳簿に記さねばならないため、致し方がない。一応各隊負傷者数を四番隊として、カウントを行っている。
まだ、護廷十三隊は作られたばかり信用もまだ無い。大きいがぽっとででしかない、他の既存の組織からの目もある。
「まだ……やらないとな……」
結局この日は十一番隊の訓練終了まで、直し続けるはめになった。
*
「明日は虚狩りかな………」
斬魄刀に貯めた霊圧と自身の霊圧をスッカラカンにして、眠りに入る……目を覚ますと目の前には朱い川が流れどす黒い土の一つに白い彼岸花が一つ咲いている。
あぁ、呼ばれたのか。またアイツに。
「彼岸花 俺に何か用か?」
そう一つ言葉を言う、すると何処からか上物の着物を着た。流離いの旅人のような私と背格好の同じ、顔の見えぬ男が一つ下らないことをと嘲笑う。もしコイツが斬魄刀ではなく人であるのならば女の一つや二つ引っ掻けているであろう。
「なんだ?八界、俺とお前の仲じゃぁ無いか。冷たいなぁ……いやぁ少し愚痴でも聞いてやろうと思ったのに。」
「只暇なだけか、彼岸花。」
「そうとも言う、することと言えば花を愛でることぐらいだ……酒もあるが。」
と朱い川から、手のひらに収まる二つの黒漆の盃で掬い上げる。ドロリとした朱の液体が中に入った、朱に染まった手で彼岸花は盃を一つ渡してくる。
「彼岸花。おまえの酒と吟う物は血の味だ、とても酔いしれて呑める物ではない。」
俺は顔をしかめて彼岸花から渡された盃をはたき落とす、満ちた朱は黒い地に吸い込まれ消え。盃のカランカランという音が響いた。
「いやいや、これからたんと呑むことになるのになぁ……今から癖つけんと後がきついぞ。まだ我の名を知ったばかりと言うのに……全てを知ったと思い込み、これだけが全てと感じとる。
全く可愛い奴だ。」
盃を彼岸花は呑む、俺を嘲笑うように川に流れる朱を呑んだ。私は彼岸花の【今知っている力を思い出した】切り結んだ相手の霊圧を一部奪い溜め込む……霊圧が相手の血と読み替えれば……彼岸花の行動には何も不思議なことはない。
「お前の力は切り結んだ相手の霊圧を一部奪い溜め込むだろう?卍解は除いて始解ではそうだと認識してるが。」
「違う、違う………まぁお前がそう思い込んでる内は変わらんだろうがなぁ彼岸花の毒を呑め。いずれ汝は毒を呑む、その瞬間わかるだろう……」
この、斬魄刀はいったい何を言っているのだ。元々頭のネジがとち狂った奴だが………あいも変わらずに笑っている何が面白いのだ。
「毒を呑めば死に、至るだろう?どうして呑む必要がある。」
「もう死んでおるだろ、八界いや……鈴な…」
酔ったように、死神になるにあたり棄てた生前の名前をからかうように言われそうに、なったその瞬間叫んだ。
「その名前を言うなっ!お前が!それはもう棄てた名前だっ」
「おぉ、怖い怖い。」
俺はこの斬魄刀の手のひらで踊らされているようだ、彼岸花は怒らない。
「中々の暇潰しにはなったなぁ。」
「もう、逢いたくはないな……」
とても疲れてしまった、会話の主導権はいつもこいつに取られてしまう……何でこいつが俺の斬魄刀なのだか。
そして目が覚めた。
これは俺が彼岸花の毒を呑む前のお話。