穏やかなるかなカルネ村   作:ドロップ&キック

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メインタイトルが「穏やかなるかなカルネ村」なのに本気で書くの久しぶり(^^
今回は、ちょっとした紹介回?






第46話:”久しぶりだよカルネ村(番台席娘、追加版)”

 

 

 

さてさて、またしても場面は変わる。

メインタイトルに偽り無く、何やらとても久しぶりな感じがするカルネ村だ。

 

さて、そのカルネ村だが……

 

「よしよし。順調順調」

 

と満足げにカルネ村上空200mで設計図片手に俯瞰しながら、満足げに頷く豪奢なローブを纏ったお骨、我らがヒロイン(?)のモモンガ様だ。

いやだって、主に性的に(かじ)られる事多いし。骨だけに。

 

それでもってこのカルネ村でスルシャーナを遥かに凌ぐ死の神、現存神として崇め奉られているモモンガが何をしているかと言えば……

 

「モモンガ、進捗具合はどうだ?」

 

と《フライ/飛行》まで使って飛びつき、ついでに鎖骨をカジカジと甘噛みし、今日も愛情表現(アピール)に余念の無い吸血姫な愛妻キーノだった。

ちなみに本日の衣装は、何を思ったかラブラ○ブ!の第1期OPチェックのミニスカ型ステージ衣装・にこモデル風だ。

いや、確かに原作より小奇麗になってるイビルアイ・モードの衣装もロリパンク風なのでそこまでかけ離れているわけじゃないかもしれないが……

ただしスパッツは未装着で細部のデザインもけっこう違う。ついでにスパッツ履いてないんで角度によっては丸出しなおぱんつは子供っぽいと言うより幼さ全開のにゃんこ柄。柄だけでなく素材もデザインも間違いなく女児用のそれだ。

勿論、仮面なんて無粋なものはつけておらず、金色の髪はしっかり櫛を通してツインテールにしリボンでまとめている。

何やら絵面だけ見ていると次元と時代の隔壁を超えて、今にもお巡り(たっち)さんやら色んな意味元凶の鳥男が飛んできそうな事案だが、見た目はともかく年齢的には全く問題ない。

というかモモンガより年上(モモンガは鈴木悟時代を含め130歳弱)な推定250歳以上のこの吸血姫は、一体何を目指してるのだろうか?

 

ちなみそんな姿だから下から見上げてもおぱんつ様は丸見えだが、そんなこと村人の誰も気にしない。

むしろ知り合ってから100年経つのに、未だに新妻どころか恋人同士のように子供っぽい(あざとい)求愛を続けるキーノを微笑ましく見るだけだ。

というかカルネ村はパンチラどころかパンモロも割とありふれているので、いちいちかまってられないのが本音ではないだろうか?

局地的に黄金水の雨が降ったりもするし。

 

「中々の良い感じだ」

 

そのコメント、村の土木工事の進捗について述べてるのか、さっきから尻を撫で回しているイビルアイの衣装(コス)についてのことなのか微妙だ。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

さて、いきなりのカルネ村土木工事で驚くかもしれないが……話は、ツアーの塒に陽光聖典の成れの果てを託送した翌日のことだ。

 

第44話にてガゼフが王都に着く前に、公的身分は評議国特使にしてラナーの幼い頃からの家庭教師でもある、”アインズ・ウール・ゴウン”が彼女の部屋を訪ねたことは既にラナーの粗相込みで述べた。

 

それでアインズ・モードのモモンガは、別に愛犬を愛でに行ったのではない。

またしても公的には、カルネ村とその周辺の領主であるラナー・ティエール・シャルドルン・ライル・ヴァイセルフ王国第三王女にとある許可を求めに行ったのだ。

 

本来、この役目は住所不定有職であるアインズではなくカルネ村に住んでることになっているラナーの名代でもあるダークウォリアーが行くべき部分ではあるが、モモンガ的にはアインズの方が見慣れてる姿だろうから気を使っているのだろう。

多分、ラナーのことだろうからお骨様モードで行ったところで、気にもしないで飛びつき嬉ションしそうではあるが。

 

さて、その内容と言うのは”()()()()()()()()()()()()()()()()”に襲撃されたことに(かこつ)けた「カルネ村防衛力強化計画」の提案だった。

 

要するにとりあえずはそんじょそこらの砦以上の強度を持つカルネ村だが、いっそ本格的な城砦級の防御力を持たせてしまおうと言うのがその骨子だ。

できれば、ある程度の自給自足が出来ればなお良い。

 

 

 

現在、カルネ村の城壁に相当する魔化された丸太塀は居住区と各種作業場や工房、備蓄所、そしてドライアードのピニスン・ポール・ペルリアをリーダーとするドライアード&トレント有志組が管轄する一部の高付加価値な農園や果樹園が入っている。

 

余談ながら彼ら彼女ら森の精霊たちは、トブの大森林に現在進行形で封印されている”とある巨大災害の復活”に怯えていたためにモモンガが安全を考え説得、数年前にカルネ村に移住してもらったのだ。

その対価は、その災害が復活した場合はモモンガ達が対処し、討伐することだ。

 

実はモモンガ、その時にピニスンから聞いた「かなり前に一部が暴れた際には人間や亜人を含む七人組がこれを退治し再び封じ込め、もう一度これが目覚めたときには戻ってくるという約束をした」という話からそれが十三英雄と推察、試しに何の気まぐれか王都で冒険者をやってる悪戯好きの老婆、恩人のリグリットに確認。

案の定、十三英雄の一部がやった冒険らしく、その時に判明した封印の魔樹”ザイトルクワエ”の情報提供を受ける代わりに、その討伐を正式に引き継いだのだった。

 

他の住民達にも人間、人外を問わずにそれなりの物語がある。

例えば、今でこそ村にある公衆浴場の番外席次ならぬ”番台席娘(ばんだいせきっこ)”として村の一員となり元気に過ごしてる人間の娘は、10歳のときとある貴族に拉致され、散々性玩具として玩ばれた挙句に飽きたので奴隷として売り払われかけた……貴族が腐りきってるこの国にでは珍しくも無いが、中々壮絶な過去があった。

 

また30名強の山小人(ドワーフ)が住んでいるが、彼らは揃ってなんらかの鍛冶屋(スミス)であり、酒職人を兼任してるものも数名いる。

そして彼ら彼女らの最大の特徴は、全員がルーン工匠だということだ。

その話は詳細に書くと長くなりすぎるが、彼らはクアゴアやフロスト・ドラゴンの一件で大恩あるモモンガ達への恩返しと、何より現在は外敵が一掃されたために順調に復興しているが、ルーン技術を「時代遅れ」と称し省みなかった祖国への決別を胸に秘めていた。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

人間の世界観で言えばカルネ村の領地は辺境の開拓村と考えれば規格外に大きいが、だが城壁都市エ・ランテルなどに比べればさほどというわけでもない。

だが、人間がその勢力圏としていないトブの大森林まで入れると、実は膨大な面積となる。

10年前にカルネ村に定住して早々、モモンガとキーノは今はハムスケと名乗る大森林の南の魔獣、”森の賢王”を服従させ配下に加え、やがてリザードマンたちと交易を結び、鉱物資源等の地下資源を求めてアゼルリシア山脈まで足を延ばし、現状この2者と極めて強い結びつきを持っていた。

 

また、1年ほどまえにエンリと彼女が率いる討伐隊が野生のゴブリンやホブゴブリン、オーガたちがカルネ村付近に出没することから端を発した”東の巨人”ことトロールのグの討伐/服従に成功させ、今や南部に続き森の東部も勢力圏に収めている。

 

また”西の魔蛇”ことリュラリュース・スペニア・アイ・インダルンとは良好な関係にあり、事実上はモモンガ一党が実質的なトブの大森林の支配者と言えよう。

実際、リュラリュースには眷属の蛇系モンスターたちに”ザイトルクワエ”の24時間体制の監視任務を依頼している。

無論、その対価は彼の生存圏、縄張りの保障と不可侵だ。

 

 

 

こうしてカルネ村は人類としての領地、それ以外の者達の生存圏と言う二つの側面を持っていた。

人口比率にもそれが現れていて、純粋な人間種としての人口は前に出てきたとおり785名だが、ドワーフや他の亜人を加えるとその総数は1000人を越える。

言い方を変えれば、モモンガを頂点とするその一党の勢力圏、アゼルリシア山脈からトブの大森林南部と東部の中でカルネ村は南端であり、人間世界に突き出た拠点であるということだ。

 

 

そして、今回の問題は人間側の側面で発生し、だからこそ厄介なことになる筈なのだが……

モモンガはそう考えると同時に、好機とも捉えていた。

大義名分を得て、堂々とカルネ村を要塞化する好機だと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございました。

わりとチラチラと見覚えのあるというか、「あれ?」って面子が顔を出してましたね~。
ピニスンとかリュラリュースなんかの名前も出てきましたが、ドワーフとかも……番台娘は誰なんだろうなー(スットボケー

とりあえず、エ・ランテル篇……いや、死の螺旋篇? なんか微妙にぬるいシリーズの開始っすね~。


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