ソードアート・オンライン ~紫紺の黒猫~   作:☆さくらもち♪

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朱に染まりし明朝の刻

早朝とも言える時間。

ベッドにて目を覚まし身体を起こしているのは《黒猫》としてPKKプレイヤーと危険視されている人物であるユキ。

そして、ユキの隣では一緒に寝ていたのか《絶剣》のユウキがスヤスヤと寝ている。

 

「ん・・・」

 

珍しく今までにないほど安心感で包まれて眠れた事に少し戸惑いながらも、心地好い睡眠が取れたことは良いことだった事からあまり気にはしなかった。

どちらかと言えば中学生辺りの年齢である二人は年頃の男女で、ユキは嫌でも異性と意識できるユウキが無防備にも寝ていたのだ。

 

「はぁ・・・」

 

少し悪戯心が生まれたのか、ユキの指は柔らかそうなユウキの頬に触れて軽く突いていた。

 

「・・・えい」

 

「ふへへぇ・・・」

 

女子特有の自分とは違う身体なんだと実感しつつ、ハラスメント警告にならない程度で柔らかい頬を突いて遊んでいた。

 

「んむ・・・ふにゃあ・・・」

 

「・・・ふふ・・・」

 

今まで異性と関わることが少なかった為にユウキという存在を強く意識する。

抱くことがなかった感情が奥底にて封されたはずの、それを。

 

「可愛い・・・」

 

ユキは今までにないほどにユウキに惹かれていた。

今までの自分に接触してきた人間とは違って、ユキの世界を色強くする。

 

「んう・・・?ふわぁぁ・・・」

 

「ぁ・・・」

 

悪戯心もやり過ぎるのは駄目だと理解しているため、ユウキが起きたと分かると指を引っ込めた。

ユウキも段々と意識がしっかりしてきたのか、目を擦りながらも身体を起こす。

 

「おふぁよ・・・」

 

「ん、おはよう」

 

「わ~・・・ゆきだ~・・・」

 

声が伸びながらもユウキは身体を倒してユキにもたれ掛かる。

急な動きにユキも対応出来ず一緒に倒れていく。

 

「わ・・・」

 

「えへへ~・・・暖かい・・・」

 

ぎゅうっと強く抱きしめられて動けなくなったユキは仕方ないと思いながらもそのままにした。

抱きつかれて嫌と思わず、逆に嬉しいと感じる自分がいたからだろう。

嫌悪感よりも好意の方が強かった。

 

「ん・・・ユウキ。朝」

 

「うん~・・・」

 

「駄目、これ・・・」

 

段々とユウキの抱きしめる力が強くなってきていたので起こそうとするも、寝ぼけているようで起きる気配がなかった。

このままでいいかとユキは諦めて目を閉じてまた眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一度目を開けたも、また心地好い眠りへと誘われていったユウキ。

ようやく起きたと思うと身体を起こす際に少し重みがあった。

 

「あれ?」

 

「ん・・・」

 

ぎゅうっとユウキに引っ付いて寝てしまっているユキがおり、ちょっとやそっとじゃ剥がせないと分かる。

ユキとユウキの間にはかなりのステータスの差があるために不可能に近い。

 

「どうしよう・・・」

 

ユウキとしては今回聞かなければならなかった話をするために会おうとしたのだが、それも今は本人が寝ているので出来なかった。

キリトやアスナの止めも聞かない形で面談すると言っているので早く切り上げておきたかった。

 

「んむ・・・」

 

PKKプレイヤー《黒猫》の正体を知ってしまった自分はこれからユキと何らかの接点が出来てしまう。

己の姿を知る人物だからこそ黙殺するのではないかという不安もあった。

 

「ユキ、朝だよ」

 

「ん・・・にゅ・・・」

 

揺さぶりをかけて声をかければユキはすぐに頭を覚醒させる。

 

「ん・・・おは、よう」

 

「うん。おはよう」

 

「ごめん、なさい。昨日」

 

ユキは昨日の誤ちをすぐに謝る。

ユウキの触り方があまりにも気持ちの良い物でいつの間にか寝てしまっていた。

 

「ううん。ボクもやり過ぎたから・・・」

 

「ん、それで。昨日、何の用、だった?」

 

自分になにか話があって呼び出したのだろうと考えていた。

だがまさかの心地さに寝ていたから聞けなかった用件だった。

基本的に人を信じない。

それがユキの根底に根付いた物で崩すことが出来ない本質。

だが唯一例外と言えるのがユウキという少女だろう。

 

「あっ・・・えっとね、その・・・」

 

「何となく、予想、ついてる」

 

「・・・そっか」

 

「攻略組、入りはしない。独断専行。それで、いいなら」

 

「ホントに?その・・・良いの?」

 

「ん・・・ユウキが、いるから。退屈、じゃない」

 

照れ臭そうにしつつもユキは考えていた言葉を紡ぐ。

元々ユキは誰かと協力したりするのが1番苦手とする。

誰かに合わせようとすると自分自身の行動が大幅に妨げられて動きにくくなる。

そしていつ裏切りが発生するか分からない疑心状態で戦うのであれば一人で行動する方が心身ともに楽に感じてしまっている。

 

「・・・うん。分かった。だけど攻略組のみんなには言わないでおくね」

 

「ん・・・あり、がと」

 

「さてっ・・・ボクはもう行くよ。あまり誰かと一緒にいるとユキが疲れちゃうだろうからね」

 

「別に・・・ユウキなら、構わない、けど」

 

「そう?なら、ボクと行く?人が沢山いるからユキには辛いかもしれないし・・・」

 

自分の手を離れない程度に握るユキに少し戸惑うも一緒にいていいと分かると共に宿屋を出るとアスナとキリトにメッセージを伝える。

だがユキも一緒とは書かなかったが。

 

「ん・・・」

 

ユキもストレージからローブを出して着るとよく見る《黒猫》としてのプレイヤーに戻る。

 

「ユウキ」

 

「んー?」

 

「・・・()()、だよ」

 

「ふぇっ!?な、ななな・・・何を・・・」

 

何故か無意識に出てしまっていた言葉。

自分のこの感情が一体何なのかぐらい分かっていた。

生きている上で抱くことがないだろうと思っていた感情を。

下手に伝えず、素直にユウキへと伝えた。

 

「うにゃぁぁぁ・・・」

 

「ふふ・・・」

 

顔を真っ赤にして耳にまで赤が入りつつあるユウキを見てて、もし拒まれても意味はあったと感じれた。

色褪せた世界に強く色を持った少女は一匹の黒猫に少しの時間だけで懐かれてしまっていたのだから。

 

 

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