刹那サイド
僕は今セシアと話をしている。その会話内容は・・・・
「いいですかマスター。その前髪をなんとかしないと戦闘や日常生活で絶対に困りますから切りましょう?」
「・・・・やだ・・・・。」
それは僕の鼻あたりまで伸びた前髪の事だった。
「なんでですか!?もうこのやり取り30回目ですよ!?いい加減覚悟を決めましょう!それとも何か理由があるんですか?」
「・・・・有る・・・・。」
「では教えてもらいますよ。その理由を。ついでにマスターの前世も聞きたいです。」
セシアは腕を組み、教えろ!といった目で僕を見る。
・・・・こればかりはあまり話したくないけど・・・・。
「・・・・セシアは僕の見た目をどう思う・・・・?」
「えっと、小柄で可愛らしい体格かと・・・・。」
「・・・・顔は・・・・?」
「前髪が邪魔で分かりません。でも、髪は白いです・・・・。」
そう、僕の髪は真っ白なのだ。僕はさらに前髪を上へかきあげた。
「あっ・・・・。」
セシアは僕の顔を見て、思わず声を上げる、それはそうだろう。前髪の中はとても醜いものだからだ。
右目は抉れてに黒ずんでおり、左目は赤い瞳で少し濁った色になっているのだ。
「・・・・これが顔を隠す理由・・・・僕は普通の人とは見た目が違うから・・・・よく虐められてた・・・・。」
僕は淡々と語る。もうセシアに嫌われたかもしれない・・・・。なら、いっそのことこの場で全部ぶちまけてやろう。それから一人でどこかに行けばいい・・・・。そう思いながら僕は話を続ける。
「・・・・元々僕は目の色と髪が理由で捨てられた孤児だった・・・・。」
そう、目の傷や瞳が濁ったのは後だが僕は白髪赤目という見た目で生まれたことにより、気持ち悪いと親に捨てられたのだ。
「・・・・それで・・・・拾われた孤児院で地獄の様な生活が始まった・・・・。」
僕は俯きながら話を続ける。セシアの表情は見えないが、恐らく嫌悪感にまみれた顔をしているだろう。なんせこんな顔をした僕に話しかけられているのだから。話を辞めさせないのは聞いてから嘲笑うからだろうか・・・・。マイナス思考の海に沈みながら僕は話を続ける。
「・・・・院長は碌でも無かった・・・・市や国に隠れて援助金を酒や煙草、女に使って僕も含めた孤児に暴力を奮ってた・・・・。」
今思い出せばあの院長は本当にクズ以下の何者でも無かった。
毎日孤児院に女を連れ込み酒を飲み、煙草を蒸し、女と一緒に僕達孤児を踏みつけたり蹴り飛ばしたりしていた・・・・。
「・・・・ある日僕は院長にアイスピックで右目を抉られた・・・・。」
突然院長に呼ばれたから何かと思って近づいたら院長が右手を振りかざした瞬間、右目が見えなくなり、とてつもない痛みが僕を支配した。だが、これで終わりではない・・・・。
「・・・・その後院長は僕を押さえ込んで右目をライターで焼いた・・・・・。」
痛みに悶えていた僕を次に待っていたのは火炙りという第二の痛みだった。あまりの痛さに気絶したのを覚えていた。どうやら院長が僕の目を潰したのは女に振られた腹いせだったらしい。
目を抉られたのは4歳の時でこの時から前髪を伸ばし始めた。我ながらよく死ななかったと思う。・・・・いや、死ねなかったの間違いか・・・・。でなければ僕がこれ以上苦しむことは無かったのだから。
「・・・・それから二年・・・・6歳の誕生日になった・・・・起きたら周りの布団に皆がいなくてとても静かだった・・・・珍しいと思いながら食堂へ向かった・・・・食堂に近づくにつれて何か生臭い匂いがしてきた・・・・。」
その匂いは近づくにつれて強くなっていったのを僕は覚えている。思えばこの時点で気づくべきだったのだろう。
「・・・・食堂のドアを開けた時・・・・僕の目の前には孤児達と院長の死体だった・・・・。」
僕は恐る恐る院長達の死体に近づいた。院長の死体の側にはナイフが一つ転がっていた。僕はそれを思わず持ってしまった。その次の瞬間、警察が食堂に入ってきて僕を取り押さえた。院長の手元には血で《刹那》と書かれていた。どうやら院長は僕を犯人にして自殺したようだった。
「・・・・警察は僕がみんなを殺したと言っていた・・・・僕はやっていないのに・・・・警察は同じことを言うばかりだった・・・・。」
結局テレビで僕は《6歳児の恐るべき殺意!白い殺人鬼!》なんてテロップで全国放送されることとなった。
セシアから何をこらえてる様な声が聞こえてくるが恐らくは僕の人生が滑稽すぎて笑いを抑えているのだろう。ならいっそのこと最後まで話してから笑ってもらおう。そう思いながら僕は話を再開する。
「・・・・6歳児の僕は罪に問われることは無かった・・・・僕は別の孤児院に引き取られたけど・・・・そこでは誰も僕に近づかなかった・・・・殺人鬼に近づくなと言われていた・・・・。」
だが、僕の人生が一番辛かった時期はこれからだった。
「・・・・僕はその後小学校に入学した・・・・僕を一番最初に待っていたのは楽しい学校生活なんかじゃ無い・・・・制裁・・・・と言う名目で行われた虐めの毎日だった・・・・。」
入学初日で僕は同級生から先輩も含めて全高生徒の約三分の一からの虐めを受けた。
いくら先生に言っても全員、当然の報い、なら死んでしまえ、お前等知らないと言う罵詈雑言ばかりだった。
「・・・・当然僕は友達なんかいなくていつも一人だった・・・・唯一の楽しみはゴミ捨て場にあったガンダムとコードギアスのDVDだった・・・・。」
僕はたまたま下校道で見つけたDVDを孤児院にこっそり持ち帰り、皆が寝静まった頃に一人で見ていた。それが僕の唯一知ってる漫画やアニメだった。
「・・・・でも孤児院の人にバレて捨てられた・・・・。」
孤児院の人曰く、殺人鬼に人並みの幸せや楽しみは必要ないそうだ・・・・。
6歳の俺の楽しみはあっと言う間になくなってしまった。
「・・・・そして虐めの毎日が続いて僕は小学校を卒業した。」
地獄の様な6年間だった。給食はひっくり返されたり、道具を隠されたり、ノートを捨てられたりした。
「・・・・中学校に上がってからはさらにひどくなった・・・・。」
中学校では僕以外の教師を含めた全高からいじめられた。
あの体育教師は酷かった。ホモでショタコンでリョナとかいう狂った奴で僕は何回も殴られたり犯されたりした。
「・・・・こんなに辛い毎日だったけど小学校以来の心の休まる所ができた・・・・そこはウサギ小屋・・・・。」
そう、僕は辛くなるといつもウサギ小屋にいた。
「・・・・ウサギ達は1匹も僕をいじめなくて寄り添ってくれた・・・・。」
だがその安らぎも中2の夏に壊されることになった。
「・・・・ある日教室の自分の机を見ると昨日まで僕と一緒にいたウサギ達が切り刻まれて入れられていた・・・・。」
セシアがまた堪える様な声を出す。・・・・そんなに面白いなら笑っていいいよ・・・・。
僕は心の中でつぶやきながら話しを続ける。
「・・・・それからいじめはさらにエスカレートしていった・・・・足をガスバーナーで焼かれたり、ハンマーで殴られたりもしたし・・・・プールに重りを括りつけて沈められた事もあった・・・・。」
そろそろ僕の前世もクライマックスになってきた。
「・・・・中3の冬・・・・15歳になった僕にクラスのみんなは誕生日プレゼントと言って僕の左目に液体をかけた・・・・それがなんだったかはわからないけど・・・・左目の視力が下がった・・・・。」
どうやら理科室から頂戴してきた物らしい。
それ以来僕の視界は少しぼやけて見える。実を言うとアテナさんやセシアはあまり細かく見えていない・・・・。
「・・・・僕は人生が嫌になった・・・・生きればきっと報われる・・・・そう思っていたけど・・・・無理だった・・・・。」
その日から僕は自殺をしようとしたがいざ死ぬとなると足が震えて動けなかった。
「・・・・でもそれから数日立って・・・・僕はアテナさんに殺してもらえた・・・・そして今転生してここにいる・・・・以上・・・・。」
・・・・正直もう辛い・・・・今からセシアになんて言われるんだろう・・・・。
そんなことを考えていると僕はセシアに抱きしめられていた。
いきなり過ぎて頭がついていけない。なんでセシアは僕を抱きしめているのだろう。
頭の中を疑問が埋め尽くし思考が停止しそうになる。そんな中、セシアが声を出す。
「何で、何でマスターがそんな目にあわなくちゃいけないんですか!」
横目に見えたセシアの顔は涙に濡れていた。何でセシアが泣いているのだろう?
「・・・・笑おうとしてたんじゃ無かったの・・・・?」
「そんな訳ないじゃないですか!マスターごめんなさい!私のせいでマスターに辛い思いを・・・・!」
人に心配された事の無かった僕はセシアの反応に困り果てていた・・・・。
刹那サイド終了
すいません!修行は少し先になります!