刹那サイド
僕は今日、ベールさんに呼ばれてリーンボックスへと来ている。取り敢えず指定場所の教会まで来たんだけど・・・誰も居ない・・・。ベールさんは外で待ってると言っていたけど・・・。そう思っていると突然後ろから殺気を感じ、僕は横へと跳んだ。その動作と同時に僕の居た位置に小さいクレーターが幾つも出来上がる。っち!銃か!僕はセシアを銃の形に変え、殺気の位置を詳しく探る。前世では後ろから石を投げつけられたり殴られたりする事もあり、人の気配にはかなり敏感になっている。気配を探しつつ被害を増やさない為に殺気を誘導しながら教会前から離れ、森の中をジグザグに跳ね回る。敵の位置を把握した僕はセシアに念話を繋げる。
『セシア、殺気の位置が分かった。この先の広がった場所でケリを付ける』
『分かりました。マスターなら一人位朝メシ前ですよね!』
『セシア・・・敵は複数だよ』
『え!?どう言う事ですか!?』
そう、敵は一人ではない。感じた殺気は一つだったが僅かな足音が複数の方向から聞こえる。恐らく最初の殺気は一人だけならと油断させる為の罠。ある程度相手を削ってから複数で叩くと言った所だろう。そう思いながら僕は森の開けた場所に出た。此処なら教会や街から結構離れているから一般人が巻き込まれる事はまず無いだろう。取り敢えず今居る地点の中心辺りまで走り、止まる。それと同時に殺気も森の木々で止まる。最後まで姿を見せる気は無いって事かな・・・。なら・・・
「全員引きずり出すまでだ・・・ッハ!」
僕は新しく覚えた魔法《結界》を発動させる。この結界の中で壊れた物は全て解除後に修復される上、僕が許可した者以外は全て結界の外へ強制的に弾き出される様になっている。範囲は限界無しだが取り敢えず今は20km程度だ。空が薄い赤色へと変わり、隠れていた気配を感じた僕はその隙を付いてその気配へと銃を撃ち込む。風で威力と速度の上がった魔力弾は確実に相手を捉え、茂みから数人の女性が倒れた。ていうか女の人・・・?その事に気が緩んだその時、僕の前髪を縦断が掠った。直ぐにその場から飛び退き残りの気配を探る。すると目の前の茂みから仮面を被った女性が出てきた。その手には二丁の銃が握られている。最初の殺気と銃撃はどうやらこの人らしい。
「一体何が目的なの?」
「・・・・・・・・・・」
僕の疑問に対して相手は無言で銃を向けてくる。・・・ハア、できれば穏便に済ませたかったけど・・・。
「貴方程の人には手加減できないからね?」
「・・・・・・・・・・」
僕もセシアの銃口を向け、その場を静寂が支配する。そして僕達の目の前にヒラヒラと葉っぱが一枚舞散る。それが地面に落ちた瞬間、
「ハッ!」
「ッ・・・!」
僕達は銃を撃ち合い始める。僕は接近しながら銃を撃つ。相手も後退しながら銃弾を放ってくる。
「C.C.!第二の魔眼《速眼(ハイスピード)》」
『ああ、任せろ』
この魔眼はハイスピードカメラの様に物の動きを遅く見たり早く見たりする事ができる。C.C.とはこの前仲直りしたから大丈夫だよ。兎に角僕は魔眼を使い、相手の弾道を予測して銃弾の隙間を通り抜け、ショートカット&不意打ちで相手へと向かう。それと同時に足に風を纏わせ加速する《神風(かみかぜ)》を使用する。相手の前へと一瞬で移動し、即座に腹部へとセシアを突きつけ放つ。直撃した女性は木へ吹っ飛び背中を強打してグッタリと倒れ込んだ。その他に気配が無いか確認した後、全員をバインドで拘束して結界を解除した。急に空が青に戻り、少し目がチカチカする。
「ふう、取り敢えず教会か警察に引渡しだね」
「そうですね。それにしても全員女性とはまた男性を油断させる為だけにある様な集団ですね」
「そうだね。僕も女性に攻撃するのは気が引けるから・・・。ノワールとかは別だけど・・・。あれはそんな考えを持つと負ける。ユニも最近凄く強くなったし」
「マスターこの前負けかけましたよね?」
「うん。下手したら気を失ってたかも・・・」
そんな事を話しながら僕は取り敢えず教会へと集団を連れてディメンションで転移した。教会前に転移するとベールさんが入口でオロオロとしていた。どうやら此方に気づいていないようだ。
「ああ、せっちゃんが心配ですわ。心配ですわ」
何か普段のお姉さんっぽいキャラと違って新鮮だな。何か・・・
「可愛い・・・」
「ふえっ?せ、せっちゃん!?////」
あ、気づかれた。ていうか声に出てたか。恥ずかしいな・・・。
「えっとベールさん。この人達が突然b「ケイブ!?それに皆さんも!?」え?知り合い?」
ベールさんは驚いた顔でバインドで拘束されている人達へと駆け寄る。するとベールさんに最初に呼ばれたケイブ、基仮面の女性が目を覚ました。
「ベール様・・・申し訳ありません。勝手にこんな事をしてしまって・・・」
「えっと・・・・・・・拘束を解いてもいい空気ですかね・・・?」
「はい、お願いしますわ。この人達の事は私が保証しますわ」
ベールさんに言われ、僕はバインドを解除する。その瞬間全員が脱力してその場に崩れ落ちる。風の魔力弾は非殺傷でもえげつない威力だからね・・・。ケイブさんの仮面をベールさんが外す。
「えっと・・・手加減できずにやっちゃったんですけど大丈夫ですか?」
「ええ、少し休めば何とかなるわ。此方こそごめんなさい。行き成りあんな事をして」
「いえ、どうやらベールさんも何か知っていた様ですし理由があるんですよね?」
「せっちゃん。それは私の口から説明させてくださいな」
「ベールさん?分かりました。でもその前に全員に回復魔法を掛けます。これなら直ぐに動ける様になりますよ」
そう言って僕はここ一体に回復魔法を発動させる。しばらく経ち、ケイブさん達の傷が全て無くなり顔色も回復した頃に回復魔法を解除する。
「凄いわ・・・痛みと傷が残ってない・・・」
「一応骨折迄なら完全に治せるし傷跡も残りませんよ」
「ありがとう。貴方も女性なのにやるわね」
「・・・僕は男ですけど・・・」
「え!?ごめんなさい。てっきり女性かと・・・」
「ック!年齢魔法でもコレなのか・・・!」
目から汗を流しながら僕は年齢魔法とセットアップを解除する。元の身長に戻った僕を見てベールさん以外の全員は目を丸くする。
「言っておきますけど・・・僕は男ですからね?」
「え、ええ。分かったわ(元の状態は可愛らしくて大人の状態は凛々しい女性見たいって・・・女として自信を無くすわ・・・)」
何であの人落ち込んでるんだろう。僕みたいな子供に負けたのがショックだったのかな?
「あの・・・そろそろ説明を始めていいですか?」
「あ、すいません。お願いします」
僕の視線が向いたのを確認し、ベールさんは語り始めた。
「今回せっちゃんをお呼びした理由はある組織の逮捕にご協力頂きたいからです」
「逮捕?」
「はい。せっちゃんは女神反対派というのをご存知ですか?」
「ええ、確か前にプラネテューヌで似た様なチラシが捨ててあったのを見た事が・・・」
「はい。今では数少ないですがその名の通り女神を認めない方々の事で私は今その方々に命を狙われているのですわ」
「!つまり僕はその組織を逮捕するために呼ばれた援軍というところですね?」
「はい。本当は私達だけで解決しようとしたのですけど・・・あのバk・・・重大な戦力だった一人が抜けてしまいまして・・・こんな事に付き合わせてごめんなさい。報酬はしっかりとさせて頂きますわ」
そう言ってベールさんは頭を下げてくる・・・って!?
「いいですって!頭を上げてください!報酬もいりませんし・・・」
「いいえ、せっちゃんには何度もお世話になった事もありますからそのお礼もさせてください」
「気にする事無いですって!世の中助け合いですよ。そんな事気にせずに最初から言ってくれれば良かったのに・・・まあ、後は大体察しました。恐らく僕の事をケイブさん達に話してドラゴン倒したからって信用できない、取り敢えず力試しだって所ですよね?」
「・・・はい。一箇所も間違ってませんわ」
「まあ事情は分かりました。全力でやらせて頂きましょう。報酬はいりませんからね?貰っても返しますから」
「ですが「ですがもですのもありません。基本お金には困ってないですし」・・・それでは私の気がすみませんわ・・・」
中々引き下がらないなこの女神様・・・あ、そういえば・・・。
「あの〜それじゃあ一つだけお願いがあるんですけどいいですか?図々しくてごめんなさい」
「いえ!何でも言ってください!私に出来る事なら何でもしますわ!」
「えっと・・・最近この大陸に水族館が出来たって聞いたんですけど・・・」
「ええ、,シーパークリーンボックス,ですわね」
「できれば其処のチケットが家族分欲しいなー何て思っちゃったり・・・ダメですか?」
「寧ろその様な物でよろしいのですか?」
ベールさんは驚愕の表情で僕を見る。ケイブさん達も同じ様だ。
「はい。プラネテューヌは水族館がありませんから。・・・それに・・・」
「それに?」
「夢なんです。家族と手を繋いで水族館に行くの」
「ご両親とは行かなかったのですか?」
あちゃ〜墓穴掘ったなコレ。・・・まあ言うしかないか・・・。
「実は・・・僕捨て子なんです。だから両親と行ったどころか顔も知らないんです」
その場が一気に気まずい空気へと変わる。ベールさんがその中でもダントツに顔を青ざめさせている。ベールさんは顔色を悪くしながらも質問を続ける。
「・・・今の・・・今の年齢は幾つなのですか・・・?」
「えっと・・・15ですけど・・・」
「!てっきりもう少し若いのかと・・・」
「ああ、背の事は成長不良らしいですから」
更に空気が重くなる。普通此処までなるかな・・・?そう思っていると僕を突然温かい感覚が包み込んだ。暫く経ち、ようやく僕はベールさんに抱きしめられている事を自覚した。
「えっとベールさん?苦しいんですけど・・・?」
「そうですわね。両親に捨てられる・・・苦しいですわよね」
「いやそう言う意味ではなくてですね?ベールさんの胸が・・・」
「今は私の胸の中で好きなだけ鳴いてください!」
「いやだかrギュム!?む〜!ん〜!?」
話を聞いてください!そう思いながら僕は意識を落とした。
〜数分後〜
「ごめんなさい。私つい無我夢中で・・・」
僕はあの後教会の中で目を覚ました。目の前にはベールさんが居て僕の手を握っていた。そして今僕の目の前でベールさんが謝罪中である。しかも涙を流して・・・。セシアの話ではずっと流しっぱなしだったらしい。
「別に気にする事無いですよ。僕の事なのに泣く必要何て・・・」
「何故貴方は泣かないのですか?せっちゃん位の子供なら甘えたい年頃の筈ですわ」
ベールさんは聞いてくる。・・・どう言おうかねえ・・・。
「えっと・・・その年齢はもう少し下ですよね?家族はセシア達がいますし、親なんて顔すら分からないからどうとも思えないし・・・それに・・・分からないんですよ・・・甘え方が・・・」
「あ・・・」
その言葉にベールさんの動きが停止する。正直言って僕はどこからどこまでが,甘える,と言うのか分からない。甘えは行き過ぎれば,我儘,に変わる。と言っても前世では甘える何て行為が出来る筈もなく死んじゃったからね・・・。
「・・・せっちゃん!」
「ハイ!?」
ベールさんが行き成り叫んだので思わず声が上擦った。ベールさんを見るとベールさんは決心した様な声を出す。その表情に思わず僕の表情も引き締まる。
「せっちゃん・・・貴方を私の弟にしますわ!」
「・・・・・・・何故に?」
何を言うかと思えば行き成り意味不明な事を言ってきた。いやまあ、ベールさんみたいな人が姉だったらな〜って思ったことは無かった事も無いけど・・・。
「えっと・・・どうして行き成りそんな事を?」
「今のせっちゃんには家族が必要ですわ!セシアさん達だけではなくもっと沢山の家族が!温もりが!?」
「えっと・・・別に今のままでも大丈夫ですよ?友人もいますし・・・」
「いいえ!家族は多い方がいいですわ!それに・・・私は・・・家族と呼べる者がいませんわ。だから私も弟が・・・家族が欲しいのですわ」
ベールさんは更に涙を流す。ネプテューヌにはネプギア、ノワールにはユニ、ブランにも会ったことは無いが双子の妹が居ると聞いた。だけどグリーンボックスには女神候補生、つまりベールさんの妹と呼べる者は居ない。ベールさんも仲間に囲まれながら一人孤独の中に居たのかもしれない。僕は気が付けばベールさんを抱きしめていた。ベールさんの頭に手を回して自分の胸に押し付ける。チラッと見るとベールさんはポカンとした表情をしている。それでも僕はこれを言わずにはいられなかった。
「ベールさん。確かに貴方は妹が・・・家族という者が居ない事は分かります。でも、血や力だけが家族としての繋がりではありません」
「・・・ですが・・・私は寂しいのですわ。昔はそんな事はゲームに没頭すれば忘れられたのに・・・最近はゲームをしても残りますの・・・」
「・・・周りの・・・貴方の周りの人はどうなんですか?教祖さんはいるでしょう」
「教祖は・・・チカは私の事をお姉さまと慕ってはくれますけど・・・」
「ベールさんはチカさんが妹に・・・家族になる事は反対ですか?」
「いいえ!そんな事はありませんわ。でも・・・チカはきっとそう言う意味では・・・」
「なら本人に聞けばいいじゃ無いですか。そこのドアから視線を送ってくる彼女に・・・」
「え?」
ベールさんはビクッとなり後ろのドアを見る其処には・・・
「お姉様・・・」
「チカ・・・」
緑色の髪をした少女、チカさんが立っていた。僕が居ると邪魔になりそうだな・・・。
「ベールさん。ケイブさん達の場所分かりますか?」
「え?ええ、この地図の場所にケイブ達の居る部屋がありますわ」
「じゃあ僕は其処に行って詳しい事を聞いたりして来ますからしっかり教組さんと話し合ってくださいね。きっと貴方の言葉を一番分かってくれますよ」
「せっちゃん!?まtt
僕は地図を受け取って靴を履き、窓から飛び降りる。セシア達も忘れずに持って地図に示された場所、ケイブさん達の居る特命課へと向かった。
〜数分後〜
「そんな事があったのね・・・ハイ、オレンジジュースよ」
「あ、ありがとうございます。ケーキまで用意してもらって・・・」
あれから特命課に着いた僕はケーキとジュースを飲んでいた。・・・何故か他の人達の膝の上で・・・。何で皆さん僕を撫でるんですか?列を作ってるんですか?2時間待ちって何ですか?最後にケイブさん、何で最後尾に並んでるんですか!?沢山の疑問を感じながら僕はケーキを口に運ぶ。
「はむはむ・・・美味しい・・・」
「ああ〜ん。可愛い〜」
・・・はあ、落ち着いてケーキも食べれやしない・・・。この状態がリアルに二時間続いた。
〜二時間後〜
「それじゃあ今夜行われる組織逮捕の説明を始めるわ」
うわ〜ケイブさんも皆もツヤツヤしてる〜。僕コレ家に帰ったら家族に同じ事されるフラグだ〜。口から魂が出かけている僕は無視で話は進む。
「組織の名前は《ザ・ラグーン》でメンバーは11人で構成されている少数の組織よ」
SSC!?何だろうSARUとか居るのかな?凄く気になるんですけど・・・。ケイブさんは更に話を続ける。
「奴らは街から遠く離れた《TFL0(トゥルーファンタジーランドゼロ)》地区にアジトを構えているわ」
「TFL0地区?それってどんな所何ですか?」
聞き覚えの無い街に僕は疑問を覚えた。その疑問にケイブさんは答える。
「そこは旧ボックス地域危険度レベル5の土地開発半ばでおくら入りになった廃墟が並ぶ所よ。隠れるには絶好の場所ね」
「成程・・・メンバーの顔は分かってるんですか?」
「ええ、これを見て頂戴」
そう言うとケイブさんは部屋のカーテンを閉め、ディスプレイを壁に写した。其処には十一人のメンバーが表示されていた。・・・残念ながらメンバーはSARU達では無かった。
「リーダーは《オットー・ドッコイ》、元親衛隊の隊長よ」
「親衛隊?何ですかそれ?」
「親衛隊は女神を守るための部隊の事よ」
「それってケイブさん達は違うんですか?」
「私達は裏方の仕事が多いのよ。親衛隊は基本女神に付いていないといけないから遠征とかできないしね」
「ああ、成程。分かりました」
「それなら良かったわ。それじゃあ作戦は四方から囲んでの突撃よ。相手は大した武器を持って無いから大丈夫よ」
「・・・それなら何で特命課を使うんですか?武器を持ってないに等しいなら警察で何とかなるのでは・・・」
「彼等はこの前街の人を数人病院送りにしたのよ。女神を信仰する敵って魔法を使ってね・・・」
確かにそれならば特命課は必要かもね・・・。聞いた所警察は魔法を使える者は居ないらしく特命課も居ないらしいがその代わりに全員優れた身体能力を持っているらしい。
「兎に角、刹那。貴方には私と最前線に出てもらうわ。行けるかしら?」
「バッチコイです。作戦は何時からですか?」
「作戦開始は夜の8時に教会前に集合。いいわね?」
「はい。分かりました」
「では、解散!」
作戦説明が終わり、各々が部屋を出て行く。僕はNギアで時間を確認した。
,ゲンザイPM7:25,
と表示されている。今のうちにトイレを済ましておこう。そう思いトイレにて用を済ませる。トイレから出て少し早く行こうと教会前へと向かうと向こう側からベールさんが歩いてきた。その腕には教祖のチカさんが抱きついている。二人共目を真っ赤に腫らしているが幸せそうだ。そう思っていると僕に気づいたのか此方へと向かってきた。
「せっちゃん。ありがとうございますわ。お陰でチカと家族になる事が出来ましたわ」
「如月刹那とか言ったわね。貴方には一応感謝しているわ。でも覚えておきなさい!お姉さまは渡さないわ!あのバカにもね!」
「は、はあ。取り敢えずハッピーエンドで何よりです」
「せっちゃんはこれから任務なのですわね」
「はい、大丈夫です。必ず成功させますから」
「お願いしますわ。それと・・・」
「それと何ですか?」
「改めて私の弟になってくださいませんこと?」
「唐突!?」
あれ!?それってチカさんの事で解決じゃ無かったの?そう思い目線をチカさんに向ける。
「お姉様あの後貴方も弟にしてハーレムにするって言って聞かないのよ・・・」
そう言って溜息を付くチカさん。溜息どころかどうしてこうなった!?と叫びたいくらいくらいなんですけどコッチは!?
「で、どうですの?ダメですか?」
「いや・・・別に嫌という訳では無いんですけど・・・姉ってどんな関わり合いをすればいいのかな〜と思いまして」
「そんな事簡単ですわ!私とチカの事を,お姉ちゃん,と呼べば問題ありませんわ!」
「せめて,姉さん,で勘弁してください!」
その場で綺麗にお辞儀の体制を取る。ベールさんの顔を見ると不満層な表情だ。
「姉さんでもいいですから敬語は無しですわ。ね?チカ?」
「本当は貴方に姉と呼ばれるのは不本意だけどお姉さまが喜ぶのなら我慢してあげるわ。さっさと呼びなさい」
「ええ〜・・・・・・・?」
正直恥ずかしいが嫌という訳では無い。姉が二人もできたというのは凄く嬉しい事だ前世でもこんなに優しくされた事はなかったし・・・この位なら甘えの範囲内だろう。この人達の「弟」になりたいと言うのは・・・。
「・・・うん!よろしく、《ベール姉さん》、《チカ姉さん》!」
「「ッ!////」」
僕は二人の名前を呼んで笑顔になる。二人は僕の顔を見て顔を逸らした。どうしたんだろう・・・?
「マスター、そろそろ時間です」
「本当だ。セシアありがとう。姉さん、行ってきます」
「せっちゃん、行ってらっしゃい」
「フン、気を付けなさいよ」
「ハイ!」
こうして僕は教会前へ行き、特命課のメンバーと共にTFL0地区へと向かった。
刹那サイド終了
〜少年と特命課移動中〜
〜旧ボックス地域《TFL0地区》〜
三人称サイド
「いい?貴方の化身?だったかしら?それでも何でも使ってあの壁をド派手に破って頂戴。後は他の子達が逮捕に向かうわ」
「要は僕達は囮って事ですよね?」
「ええ、そうよ。それじゃ頼むわよ」
「分かりました。ハアアアアアアア!」
ケイブの言葉に刹那はセットアップをし、オーラを出現させる。オーラは形を成して行き、オーラから槍を持った女性の化身が姿を顕す。
「来い!《豪雪のサイア[零式]》!」
サイアが出現し、キラキラと雪の結晶が月に反射する。
「・・・綺麗・・・」
その姿にケイブは思わず呟いていた。そんなケイブを尻目に刹那は攻撃をする。魔力弾を出現させ、サイアの冷気を纏わせる。そしてサイアが槍を振り下ろすと同時に魔力弾を蹴り飛ばす。
「行っけええええ!《アイシクルロード》!」
魔力弾は巨大な氷塊となって突き進み、通った跡は凍り付き道の様になる。そしてアイシクルロードは敵アジトを破壊し、アジト其の物を凍りつかせた。
「あ、やっちゃった・・・」
「・・・あの氷何とかできないの?」
「できますけど・・・そうだ!凍ったメンバーを削って牢屋の中で溶かせばいいんですよ!」
「そんな事できるの?」
「はい、任せてください!」
「それなら任せるわ。各員に通達!」
そう言ってケイブは各隊員に掘り出し作業の連絡、刹那も作業に向かう。
「サイア!お願い!」
刹那の声にサイアは槍を使って氷塊を削っていく。その光景を見てケイブも含めた特命課全員が唖然とする。その視線に気付く事無く刹那は作業を続けていった。
〜数分後〜
「これで11人目っと・・・。ありがとうサイア、助かったよ」
『いえ、これも刹那さんの為ですから。また今度夢の中で此方に居らしてくださいね?』
「うん、また今度行くよ。バイバイ」
あのペガサスとの邂逅以来刹那は出現させた化身と会話が出来る様になり、夢の中で化身達の居る空間へと行けるようになっていた。サイアと会話を終え、ケイブ達と刹那は教会へと戻って行った。その後ザ・ラグーンのメンバーは牢屋の中で目を覚まし、暫く「氷が、氷が・・・」と震えていたらしい。そして刹那は二人の姉とその他の家族に着せ替え人形にされた後、皆で水族館へ行ったそうな。
三人称サイド終了