イストワールサイド
一年生の授業も終わり、私達は二年生の教室へと向かいます。只、刹那さんとアライさんの空気が悪く、アイエフさんも私も息苦しい感じです。先程刹那さんの言っていた。言葉は一体どういう意味なのでしょうか?・・・考えていても仕方ありませんね。今は校舎の視察に集中しましょう。そう考えている内に二年生の教室に着きました。この時間は私が講師の代わりになって二年生の皆さんにこの国の歴史を教える事になっています。教祖として様々な会議等を行ってきましたがやはり緊張するものですね。さて、頑張りましょうか。
イストワールサイド終了
刹那サイド
現在僕達は二年生の校舎の大きな教室に居る。其処にはこの学園の二年生が集まっていてイストワールさんの授業を待ちわびている。制服を着ているとはいえ、イストワールさんの付き人として入ってきた僕とアイエフは好奇の目で見られている。チラッと横を見るとアイエフは鬱陶しそうな目をしていた。かと言う僕も同じ目をしていると思う。暫くするとイストワールさんが教卓まで飛んで行き話を始めた。
「皆さんこんにちは。今日は僭越ながら私が授業をさせていただきます」
『お願いします!』
イストワールさんの声に二年生全員が挨拶を返す。こうしてイストワールさんの授業が始まった。
〜数時間後〜
イストワールさんの授業も終わり、時刻は昼になっていた。
「イストワール様、そろそろ私達も昼食に致しましょう。食堂はこちらです」
そう言ってアライさんに案内され、僕達は食堂へと向かった。
〜食堂〜
食堂に着くとランチタイムもあってか沢山の生徒が昼食を摂っている。僕達はアライさんが予め用意しておいた席へ座った。
「此処の焼肉定食は美味しいんですよ。良かったらどうです?」
「申し訳ありません。体のサイズ的に食べきれないので・・・」
「そ、そうですね。すみません、此方の配慮が足らず・・・」
「いえ、それに刹那さんが用意してくださっているので・・・」
イストワールさんがそう言い、アライさんは僕に視線を向ける。まあそうだろう、どう見ても弁当を持っている様には見えないしね。僕は制服のベルトに掛けたポーチに手を入れおかもちを取り出す。中にはオムライスが入っていてポーチの中では食材の温度、鮮度、状態がベストの状態で保たれるので卵はふわとろの状態で湯気も出ている。更に魔法瓶を二つ取り出す。片方はお茶でもう片方は数日前から煮込んでいたデミグラスソースだ。アイエフ、イストワールさんにスプーンを渡し、二人の分のオムライスにデミグラスソースを掛ける。それを見てイストワールさん、アイエフ、アライさん、それを見ていた周りの生徒までもが唖然とする。
「あの・・・どうかしました?」
「刹那、貴方また料理の腕あげたわね・・・」
「そうですね。いっその事お店でも開いたらどうでしょうか?」
「き、如月君・・・私にもくれないかい?」
「これくらい普通だし店を開く程じゃないと思うんですけど・・・あとアライさんの分はありません。さ、食べましょう」
僕はそう言って両手を合わせる。いただきますは基本だよ!良い子の皆も悪い子の皆もいただきますとごちそうさまを忘れちゃダメだよ!破ったら君達の家にジャスティスウィングだぞ!僕に合わせてイストワールさん達も手を合わせる。因みにアライさんは涙目で食券を買いに行った。イストワールさんの分はちゃんとサイズを合わせて作ってある。そして僕達はオムライスを口に運んだ。うん、我ながらいい出来だ。でももう少しソースは煮込むべきだったかな?でも煮込みすぎるのも良くないし・・・。アイエフ達にも聞いてみよう。そう思い視線を向けると二人は幸せそうにオムライスを食べていた。
「刹那・・・こんなに美味しいオムライスを食べたのは初めてよ。また今度作りなさい!」
「刹那さん・・・プラネタワーの専属シェフをしませんか?」
「イストワールさん・・・それ前にベール姉さんとブランにも言われましたけど飽く迄も趣味の範囲内でやっている事ですからアイエフが言った様にまた今度作ってきますからそれだけはちょっと・・・」
「そうですか・・・残念です・・・」
「な、何もそこまで落ち込まなくても・・・」
そんな会話をしている中、アライさんが注文した料理を持って戻ってきた。見た限りあれが言っていた焼肉定食なのだろう。僕は既に食べ終わり、食後のお茶を飲む。今日持ってきたお茶は消化に良く、口の中がスッキリするので普段から愛飲している。こうして昼食の時間はゆったりと流れていき、視察は午後を迎えた。途中アライさんが焼肉定食の焼肉をわざとらしく見せつけてきたので食べてやった。確かにこれは人気になると頷ける味だった。そして僕達は三年生の校舎へと向かった。
〜三年生校舎〜
三年生の校舎に着き、教室の様子を覗く。この時期は受験シーズンらしく、三年生の授業は追い込みへと掛かっている。因みに現在は二月で来月には受験らしい。尚、この学園は進学率が高く、今年の卒業生の8割は進学だとか・・・。心の中で頑張ってと呟きながら僕はイストワールさん達と三年生の教室を後にする。午後の授業が終わるまで部屋で待機し、放課後に部活を見て行き夜にパーティーらしい。今日の僕達の仕事は放課後からが本格化する。昼間は生徒達が沢山いる為、敵も下手な行動も取れないだろう。狙うなら生徒の少ない放課後か限られた人数しか居ないパーティーかだろう。恐らくはパーティー時に一番狙われ易いと思う。警戒は怠らない様にしないと・・・。今日一日、常にサーチを掛けていたが怪しい者は現れなかった。・・・でも昼間とはいえ此処まで手薄すぎるのには違和感を感じる。普通監視位はいても可笑しくは無い。となると相手はこの学校の生徒か教師に成り済ましている可能性もある。様々な可能性を考えながら僕はイストワールさん達と放課後まで待機した。
〜放課後〜
キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン♪
空も夕焼けに染まり、チャイムの音が鳴る中グラウンドからは生徒達の声が聞こえてくる。部活時は男女混合になるらしく、様々な声が聞こえてくる。暫くするとアライさんが部屋に来て部活動の見学が始まった。最初は此処から近くの調理実習室でいい匂いが漂ってくる。入口には
【家庭科部♡】
と可愛いデザインのプレートが貼ってあった。そして僕達は部屋に足を踏み入れた。中では女子が数人居て、其々が別々の料理を作っている。部員達は此方に気付くと作業を止めて整列する。すると部長らしき人が前に出て挨拶をする。
「イストワール様、本日はお忙しい中ご苦労様です。よろしければ皆さんも含めて私達の料理を召し上がって行って下さい」
「それではお言葉に甘えさせて頂きます」
「は、ハイ!皆、調理再開よ!」
「「「「「「「「ハイ!」」」」」」」」
部長の言葉に部員達は作業へと戻って行く。部長さんも頭を下げ、戻って行った。僕達は席に座り、料理を待つ。すると・・・
「ちょっと貴方!ジャガイモちゃんと剥きなさいよ!皮にいっぱい身が残ってるじゃない!」
「ご、ごめんなさーい!新しく向き直します!」
そう言ってミスした部員は三角コーナーにジャガイモを・・・
「ストーーーーーーーーーーーーーーップ!」
「ふえっ!?」
僕は神風を使い、ジャガイモの危機を救う。え、魔法?今はそれどころじゃ無いんだよ!僕は部員さんを見る。
「何してるんですか!?捨てるなんて勿体無い!ちゃんと剥けばいいじゃないですか!」
「いや、でもこの大きさだと向いても煮込んだ時に崩れちゃうし・・・」
「貸して下さい。あとフライパンと油を借りてもいいですか?」
「ふえ?は、はい。どうぞ」
僕は早速調理に取り掛かる。フライパンに油を少し多めに入れ温める。その間にジャガイモの皮に残った身をしっかりと取り、棒状にカット。大きめに残った物を輪切りにして行く。フライパンもそろそろいい感じになってきたのでジャガイモを少しずつ入れ、揚げて行く。油は少なめなので揚げ焼きといった感じだ。暫く経ち、揚げ終わったジャガイモをクッキングペーパーの上に載せ、余分な油を取る。使い終わった油は回収用と書かれていたボトルに入れた。使い終わった油はこの中に入れてまた使うらしい。クソッ!早く気付いていればそれを使ったのに!勿体無い事したな〜(泣)
おっと、早く盛り付けないと。クッキングペーパーの上に載った棒状と円形のポテトを皿に盛り付ける。形は少し歪だが立派なポテトチップスとフライドポテトが完成した。イストワールさん達のテーブルに持っていき置いた後、ポーチから箱を取り出し開ける。中には数字の入った瓶が幾つか入っていてその中から幾つかを取り出す。これは最近自分で調合した調味料でジャガイモに合う物を今回はチョイスした。この調味料はラステイションとリーンボックスでしか栽培されていない物を調合し、失敗に失敗を重ねようやく完成した傑作だ。是非イストワールさん達にも味わって欲しい。
「皆さん、最初はポテトだけで食べて次にこの調味料を少し振り掛けて食べて下さい」
僕が言うとイストワールさん達は言う通りに食べ始める。いつの間にか調理部全員が集まっていた。そして全員が調味料を振り掛けポテトを口にすると、
『美味し〜〜〜〜い!』
と叫び夢中になって食べ始める。するとアイエフが人混みから出てきて話し掛けて来た。
「貰っておいて言うのも何なんだけどよかったの?多分調味料全部無くなっちゃうわよ?」
「いいよ、まだ予備はあるし。それに食材は食べるからこそ意味があるんだ。勿体ぶって何時までも取って置くのは食材に失礼だしね」
「へえ、いい事言うじゃない(今のちょっとカッコよかった・・・////)」
アイエフは顔を逸らしながら言う。まあ皆が喜んでくれて何よりだよ・・・。そう思いながら僕は楽しそうに食べる皆を見て笑顔になっていた・・・。
刹那サイド終了