刹那サイド
あれからようやくプレッシャーから解放され腕も楽になった僕は桃太郎さんと三人に案内され、この近くで薬膳等を作っている《白澤》と言う人に会いに行った。桃太郎さんに着いて行き数分後、少し古めかしい店に着いた。
「此処に住んでいらっしゃる白澤様に俺は薬について教えてもらったりしてるんだ」
「へえ、そうなんですか?すごいんですねその白澤さんという人は」
「う〜ん・・・人っていうよりあの方は神獣なんだよ」
「神獣!?それはまた凄い人なんですね・・・」
「本当に凄いお方だよ。ちょっと悪い癖があるけどね」
「癖?」
何だろう?そう思っていると突然目の前の店の扉が破壊され、中から一人の男性が吹き飛ばされて来た。僕は直ぐに反応し、その男性をキャッチする。すると店の中から女の人が出てきて僕に抱えられている男性を見て
「チッ!クソが・・・」
と吐き捨てお怒りの様子で歩いて行った。すると男性は目を覚まし
「いや〜、怖いね女性って」
と言いながら腫れた頬を摩っていた。取り敢えず回復魔法を掛けようと魔力の操作を始めようとすると、
「刹那さん、そんな奴に回復魔法は勿体無いです。今すぐ此処で殺りましょう」
と言って店の中から金棒を持った鬼灯さんが出てきた。
「イヤイヤイヤ、何言ってるんですか鬼灯さん!?そんな事したらこの人死んじゃいますよ!?」
「いや、もう其奴死んでるんで何回此処で殺ろうが変わりませんよ」
「それでもなるべく暴力は無しにしましょうよ!まずはその金棒を降ろして!」
「・・・チッ、分かりました。神の貴方に言われたら従うしか無いでしょう・・・」
そう言って鬼灯さんは渋々金棒を降ろした。僕はふう、と一息着いてから直ぐに腕の中の男性に回復魔法を掛ける。男性の頬は痣になっていて痛々しそうだった。魔法を発動させると直ぐに痣は消え、男性の表情は楽になっていた。回復魔法が終わり、男性を離すと男性は僕の手を握りお礼を言ってきた。
「いや〜、ありがとうね。僕の名前は《白澤》って言うんだ。ねえ君、良かったら一緒に薬膳とかどう?」
「あ、貴方が白澤さんですか?思ってたよりイメージが違う・・・」
「まあまあそんな事はいいじゃない。ほら一緒に美味しい薬膳でも食べた後デートしようよ〜」
「僕男何ですけど・・・。デートはちょっと・・・」
「えっ!?君男の娘なの!?」
「何かニュアンスが違う気が・・・兎に角僕は男です」
「え〜本当かな〜?それじゃあ向こうの部屋で確かめさs「「「「何する気だこのケダモノ!?」」」」ゲブゥ!?」
「は、白澤さん!?皆何やってるの!?」
白澤さんが僕の手を取って部屋へ連れて行こうとした瞬間、クロ、チーニ、キラリ、プルが思いっきり白澤さんの顔面にドロップキックを叩き込み白澤さんは吹っ飛ばされた。僕は注意するとクロ達が涙目で此方を見て叫ぶ。
「あのままだったら刹那様は穢されたに決まってます!そうなる前に敵を討ち取っただけですよ!」
「安心しろ!お前の操は私達が守る!」
「そしてあわよくば私達が!」
「・・・頂きます・・・!」
「何か凄く最後の二人の言葉に寒気を感じたんだけど!?」
「なら刹那様は良かったんですか!?前世の時のあの腐れ教師の時と同じ様な事になっても!?」
「それは・・・やだな・・・・・・ちょっと思い出したら吐きそう・・・」
「ちょっ、刹那様!?」
ダメだ・・・虐めの事は乗り切ったのにどうしてもあの教師の事だけは乗り切れない。偶にその時の事を夢に見て夜泣きする時が僕にはある。目が覚めてる時に思い出すと偶に呼吸が安定しなくなったり酷い時もある。現に今若干呼吸が乱れてきた。
「ヒュー・・・ヒュー・・・コヒュー・・・」
「おい刹那!しっかりしやがれ!」
「刹那様!?」
「おい、大丈夫か!?」
「しっかりして!」
「・・・深呼吸・・・!」
皆が叫んでいるが意識が朦朧として聞こえなくなっていく。苦しい・・・気持ち悪い・・・怖い・・・そんな感情が頭の中でグチャグチャに混ざっていく。もうダメ・・・そう思っていた時
「君!早くコレを飲んで!」
先程ぶっ飛ばされていた白澤さんが僕の口の中に無理矢理ナニカを突っ込んだ。僕は思わず其れを飲んでしまう。暫くすると呼吸が安定し、精神も落ち着いてきた。其れを見た白澤さんは安心した表情をする。
「危なかったね〜。今飲ませたのは所謂精神安定剤だから安心して。暫く内で休むといいよ。桃太郎君、彼zいや、彼を布団まで運んであげて」
「はい、刹那君立てるかい?」
「・・・すいません・・・足が動きません」
「あ〜それはショックによる一時的な物だから直ぐに歩けるようになると思うよ。取り敢えず運んでもらいなさい」
「・・・ご迷惑をおかけしてすいません・・・」
「全然気にしなくて良いよ〜!君は僕を助けてくれたからね〜。これぐらい迷惑の内に入んないよ〜。まあ、暫く寛いで行って」
「はい・・・すいません・・・」
「それじゃあ行くよ刹那君」
「・・・お願いします・・・」
僕は桃太郎さんに抱えられて店の中の寝床に運ばれて布団に寝かされた。すると突然眠気が襲ってくる。何故と思っていると白澤さんが部屋の入口に立っていて説明をしてくれた。
「その眠気はさっき飲ませた薬の副作用なんだよ。その代わり深い眠りにつく事ができるからリラックスできるよ。今は寝ておきなよ、皆には僕から言っておくからさ」
「・・・すみ・・・ま・・・せ・・・ん」
僕は気力を振り絞ってお礼を言うと眠気の渦に飲み込まれ意識をシャットダウンした。
刹那サイド終了
三人称サイド
「・・・・・・・と言う訳で、君達はもうちょっと此処で待っててね〜」
白澤に言われ、クロ達は椅子に座って出されたお茶を飲む。だが、全員の表情は晴れない。刹那が心配というのが一番だがもう一つは
「「「「(何でウォーロックだけが一緒に居て私達はダメなんだ)」」」」
と言う事だ白澤曰く「皆人型でしょ?話を聞くに彼は人間に恐怖を持っている一面があるから人間の形じゃないその子に頼んだ方が精神的にも良いと思うよ〜」だそうで、この言葉の後に白澤はクロ達にナンパをして来たのでこのあと滅茶苦茶ボコボコにされた。今は回復して皆にお茶を出している。因みに鬼灯は用事があるからと言って謝罪して帰っていった。地獄のナンバー2なだけあって多忙なのだなと全員が思った。皆で茶を啜っているとクロがそういえばと言ってチーニ達に聞いた。
「皆はどうして転生後の名前を言わなかったんですか?」
「ああ、私はその時の名前よりも刹那が付けてくれた名前の方が良かったからな」
「私達もだよ」
「・・・でも・・・ちょっとプルは・・・嫌かも・・・」
「でも偶にプルプル震えてるじゃ無いですか」
「・・・だって・・・寒いし・・・」
「他の二人だって人型になれるのなら人っぽい呼ばれ方とかしたいでしょう?」
「む・・・それもそうだな」
「確かにね・・・」
そんな会話をしながら四人は刹那の身を案じるのだった。
三人称サイド終了
刹那サイド
「・・・・・・ん・・・う〜ん・・・」
顔に差し込む陽の光で目を覚ました僕は辺りを見回す。ああ、そういえば桃太郎さんに運んでもらってこの部屋で寝てたんだっけ・・・。
「やっと目を覚ましたか刹那。」
枕元から声がしたので其方を見るとロックが端末の中から僕を見ていた。外は夕方になっていてかなりの時間を寝ていた事が分かる。
「心配掛けてごめんねロック。皆は何処に居るのかな?」
「もう歩いて大丈夫なのか?白澤の奴は泊まって言っても構わないって言ってたぜ」
「流石にそこまでお世話になるわけにはいかないよ。それじゃあ案内よろしく」
「まあ、お前が言うんなら良いんだけどよ・・・まあ、案内を始めるぜ」
「うん、よろしく」
僕はロックに案内されて部屋を出た。
〜数分後〜
「「「「刹那様!(刹那/刹那君/・・・刹那)!」」」」
「にゃっ!?苦しいって〜」
ロックに案内されて客間に入るとクロ達が一斉に飛び付いて来た。全員が目の端に涙を浮かべている。
「心配掛けてごめんね。もう大丈夫だから・・・」
「おや、もう起きて大丈夫なのかい?」
「はい、白澤さん。ありがとうございました」
「いやいや、気にしないでいいよ。あ、クロちゃん以外の三人。さっきゼウスさんから連絡が来て刹那君と一緒にゲイムギョウ界だったけ?其処に行っていいってさ〜」
「えっ!皆も一緒に来るの!?」
「何だダメなのか?」
「寧ろ大歓迎だよ!きっとセシア達も喜ぶよ!」
こうして僕達は白澤さんの店を後にし、転生の間へと向かった。因みにチーニ達から名前の呼び方を変える様に言われ、全員転生後の名前で呼ぶ事になった。チーニは《ラウラ》、キラリは《栞(しおり)》、プルは《レン》と言う呼び方になった。こうして一気に三人だったメンバーが六人になり、これからの生活が楽しみに感じた。
〜数時間後《転生の間》〜
ようやく転生の間に着き、其処で待っていたアテナさんに話し掛けた。
「すみません!遅くなりました!」
「いえ、話は父から聞いていますから大丈夫ですよ。刹那さんが無事で何よりです」
「ありがとうございます。それじゃあ早速お願いします」
「はい、それでは皆さんそこの陣の上に立ってください」
アテナさんに言われ、僕達は魔法陣の様な物の上に立つ。するとアテナさんは目を瞑り何かを唱え始める。次の瞬間陣が光を発し、僕達は少しずつ意識が遠くなって行く。最後に見えたのはアテナさんの優しい笑みと扉の影から此方を見て手を振るフレイヤさんとその仲間一同だった。こうして僕は新しい家族と共にセシア達が待つゲイムギョウ界へと帰還していった。
刹那サイド終了
次回は番外編を出したいと思います!それではさようなら( ´ ▽ ` )ノ