超次元ゲイムネプテューヌ 魔法と鋼を使いし者   作:猫舌

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第62話

刹那サイド

 

 

あれから僕は倒れた所をブランに発見されてベッドに寝かされた。ブラン達は心配そうな表情で此方を見たりしていたが、僕は他の事で頭が覆い尽くされてそれどころでは無かった。その他の事とは先程取り戻した記憶に出てきた女性《神無》の事だ。彼女と出会ったのは前世で中学二年生の11月辺りだった。その頃の僕は学校の他に孤児院での目線にも耐え切れなくて休日は基本出かけていた。あの時の様な寒い季節は孤児院から少し離れた寂れた公園で缶のココアを買って飲むのが基本だった。ある日僕は何時もの様にその公園まで歩いてココアのある自販機へ行くと自販機の下に向かって精一杯に手を伸ばしている黒い髪に赤いマフラーの女子高生が居た。其れが僕と彼女のファーストコンタクトだった。

 

 

『いやあ〜、ごめんね?奢って貰っちゃってさ〜』

 

 

結局彼女が自販機の下へ落としたココア代(120円)は僕が立て替えた。普通の人なら奢る事は無いかもしれないが僕はこういう事が多かった為に自分でお金を使うよりも人の為に使われる事が多い。今回もその一つだと思った。やがて彼女はココアを飲み終わると「えい!」とココアの缶をゴミ箱へ向かって投げた・・・

 

 

ビシッ!

 

 

何故か僕の顔面に当たった・・・。多分僕は人生の中で前へ向かって投げた筈なのに横に飛んで行く奇想天外なコントロールを持った人物は彼女だけだと思う。

 

 

『きゃ〜!?ごめん、大丈夫!?』

 

『・・・別に・・・平気です・・・』

 

 

彼女は涙目になりながら僕の腫れた頬を撫でた。缶はその後僕がしっかり処理しました。ひと騒動終わり、僕達はブランコに腰掛けた。誰も通らない静かな公園に錆びたブランコの鉄の音だけがギシギシと鳴っていた。やがて気まずくなったのか彼女は僕に話し掛けて来た。

 

 

『ねえ、君の名前は何て言うの?お姉ちゃんの名前は《神無(かみな)》って言うんだ。宜しくね』

 

『・・・刹那・・・』

 

『うん!いい名前だね!,せっちゃん,って呼んでも良いかな?』

 

『・・・好きにしてください・・・』

 

『・・・ねえ、せっちゃん。どうしてそんな怯えた顔してるの?お姉ちゃんの事怖い?』

 

 

そう言って彼女は僕の俯いた顔を覗き込む。正直彼女は怪しすぎる。僕の名前は日本中にニュースや新聞で取り上げられたのに名前を知らなかったり、いきなり怖い?など言わないだろう。怖くない訳が無い。散々バケモノだの殺人鬼だの言われて殴られたりして来て見方なんかいなかった僕に怖いかなんてそんなの小学生でも分かる答えだ。この時の僕はその事と中学生特有の物事を捻じ曲げて捉える癖もプラスされていた為に、彼女の言葉は只僕の恐怖を煽る言葉にしか聞こえなかった。

 

 

『・・・別に・・・怖くは無いです・・・』

 

 

恐怖を噛み殺しての強がり、コレが僕に出来る唯一の事だった。そして彼女は突然僕の頭を撫で始めた。意味も分からず僕は動揺する事しか出来ない。そして彼女から出た言葉は・・・

 

 

『ねえ君、どうして泣いてるの?お姉ちゃんに話してごらん?』

 

 

と言う本気で心配しての言葉だった。そして僕は彼女の言葉でやっと自分の体が震え、涙を流している事に気が付いた。彼女は優しい表情で頭を撫でる。僕は思わず感情のままに過去の事、現在受けている仕打ちの事等溜め込んでいた物を吐き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜数分後〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・・・・・・・・どうです?聞いていて嫌になったでしょう?僕は生きてちゃいけない人間なんです・・・』

 

 

僕が話し終わると彼女は涙を流していた。ああ、そんなに僕に嫌悪感を示したか・・・。そう思っていると僕はいきなり抱きしめられた。そして再びのパニック状態。そんな僕に彼女は叫ぶ。

 

 

『何で・・・何でせっちゃんがそんな事されなきゃいけないの!?おかしいよ!』

 

『・・・いいんです・・・僕は・・・バケモノだから・・・』

 

『そんな事無いよ!せっちゃんコレ見て!』

 

 

そう言って彼女は何処からかある一冊の本を取り出した。其処には子供に人気の特撮ヒーローが映されている。そのヒーローはバッタの様なデザインに赤い目、赤いマフラーをしていた。彼女は其れを僕に見せながら言った。

 

 

『真っ赤な目は主人公の色だから怯えていなくても、良いんだよ』

 

 

そう言って彼女は再び僕を抱きしめてさっきよりも力を入れてギュッとして来た。そしてそっと耳元で囁いた。

 

 

『大丈夫、お姉ちゃんはせっちゃんの味方だからね?何時でも頼ってね?』

 

『ッ!・・・信じても良いんですか・・・?・・・頼っても良いんですか?』

 

『うん・・・私は絶対に貴方の味方だから・・・』

 

 

僕は人生で初めてかもしれない人の暖かさに触れ、彼女の腕の中で泣き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜数分後〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『大丈夫?背中摩ろうか?』

 

『・・・大丈夫です・・・ありがとうございます神無さん・・・』

 

『む〜・・・』

 

『?』

 

 

泣き止んでから僕はお礼を言うと向こうは頬を膨らませてこっちを見る。どうしたのかと思うとこの女はいじけた様子で言った。

 

 

『敬語禁止!それからさん付けも禁止ね!お姉ちゃんか神無って呼ばないとダメ!』

 

『・・・神無・・・で良いd・・・良いかな・・・?』

 

『うん!改めて宜しくねせっちゃん!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日から僕と神無は休日には必ず此処で会ってココアを飲みながらお互いの事を話す様になった。神無の話は何時も面白く、唯一笑い合える一時だった。そしていつの間にか僕は彼女の笑顔に・・・その心に惹かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜12月24日〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『メリークリスマース!せっちゃん!今日は楽しも〜う!』

 

『・・・うん・・・楽しもう・・・!』

 

 

僕と神無は二人で何時もの公園の遊具の中に入ってシートを敷き、其処に持ち寄ったお菓子と買ったココアを置いてクリスマスパーティーをした。神無はココアを飲みながら「ク〜ッ」とオヤジの様な仕草をした後に言った。

 

 

『うん、やっぱこの時期はココアだよね!』

 

『・・・そうだね・・・あ、カップルだ・・・』

 

 

そう言って僕は遊具の外に見える若い男女のカップルを見つめる。・・・あんな風になれたら・・・。そう思いながら僕はポケットの中にある神無へのプレゼントを握り締める。神無は一緒に外を見つめながら言った。

 

 

『世は今クリスマスか〜。リア充はアクシズをドーン!ってすれば良いと思うんだよね』

 

『・・・そんな事したら核の冬が来るよ・・・』

 

『あはは、確かに・・・ねえ、せっちゃん。話があるんだ・・・』

 

『・・・その前に僕も言いたい事があるんだ・・・』

 

 

そう言って神無はいきなり真面目な表情を僕に向けて来た。この時僕は思った。もしこのまま聞いたら自分の思いを伝えられないのでは無いか・・・、もう二度と会えないのでは無いか・・・。そう思った僕は神無の前に話す事にした。心臓が爆発しそうな位に鳴っている。呼吸が落ち着かない。僕はそんな中勇気をを振り絞って神無にポケットの中からある物を取り出して言った。

 

 

「・・・僕が今日笑っていられたのは貴方の笑顔があったから・・・貴方の心の温もりがあったから・・・僕は・・・貴方の全てが大好きです・・・僕と・・・付き合ってください・・・』

 

 

告白。人生で初めての告白に頭の中が真っ白になる。その場を静寂が包み込み、聞こえるのは自分の呼吸音と手でシュルっとリボンの擦れる音だった。今日の日のために孤児院の部屋でコッソリ作ったのだ。そして僕がチラッと神無へ視線を向けると其処には涙を流した神無が居た。

 

 

『・・・やっぱり嫌だった・・・?』

 

『ううん・・・違うの・・・嬉しいの・・・でも信じられなくて・・・え・・・嘘・・・私もせっちゃんの事が・・・////』

 

 

・・・・って事は・・・。

 

 

『私もせっちゃんが好きです。私を貴方の彼女にしてください』

 

 

そう言って神無は僕の手を取った。そしてプレゼントのリボンを受け取る。

 

 

『ねえ、リボン・・・付けてもらっても良い?』

 

『・・・うん・・・良いよ・・・?』

 

 

僕は神無の髪を後ろに束ね、リボンで結んだ。リボンの色は白色でマフラーの赤と相まってとても綺麗だった。神無は嬉しそうな表情から一転して悲しい顔になった。

 

 

『・・・今度は私の番だね・・・。せっちゃん、私の秘密を言うね・・・』

 

 

そう言った瞬間、神無から金色の後光が現れて右手に杖が握られた。その光景が彼女が人間ではない違う者だと物語っている。そして彼女は悲しい表情を浮かべながら言った。

 

 

『実はお姉ちゃんはね、,神様,何だよ?』

 

 

その言葉に僕は驚いた。話を聞くと彼女はこの世界の視察に来ていて、今日には帰らなければいけないらしい。本当ならば必要以上にこの世界の人間と関わってはいけないらしいが僕に会いたい気持ちが抑えられなかったと頬を赤らめながら言った。・・・うん、可愛い。ってそうじゃなくて・・・。僕は必要以上に関わった為に記憶が封印される・・・と言う事は・・・。

 

 

『・・・じゃあ、もう会えないの・・・?』

 

『ううん、きっとまた会えるよ。もし、これから先でせっちゃんが私を思い出す事があればきっとまた会えるから。それまでは・・・さよなら・・・』

 

 

そう言って神無は僕に向かってキスをした。その瞬間、僕の中の記憶が書き換えられていくのが分かる。神無との記憶が全て消えていく。彼女の笑顔が全て・・・消えていく。最後に見えたのはコッチに向かって微笑む神無と

 

 

『せっちゃん・・・愛してるよ・・・』

 

 

と言う言葉だった。その瞬間僕の意識はプツンと消えた。次に目が覚めた時はベンチの上で書き換えられていた記憶の所為で一人で寝落ちしたと思ったまま僕は孤児院へと帰っていった・・・。と言った感じである。

 

 

「・・・あ、アテナさんからメールが来てる」

 

 

過去も思い出し、精神的に安定して来た僕は始めてNギアに入っていたアテナさんからのメールに気付く。内容は画像だった。中身は天界で販売されている新聞の記事で其処には・・・

 

 

《神無様行方不明!地獄への門周辺で姿を消す!》

 

 

と言う物だった。僕は直ぐに着替えて何時の間にか外に出ていたブラン達に用事が出来たと言って一人で外に出る。そしてNギアで連絡をしてセシアに連絡を取った。その後直ぐにセシアが転移魔法で飛んでくる。その後Nギアで再び電話をする。相手は・・・

 

 

「はい、鬼灯です。お久しぶりですね刹那さん」

 

「はい、お久しぶりです。すみません、急ぎで頼みたい事が・・・」

 

 

地獄のナンバーツーである鬼灯さんだ。僕は鬼灯さんに連絡を取った後、アテナさんに頼んで地獄の門の前へと転送してもらった。

 

 

刹那サイド終了

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