刹那サイド
気が付けば朝になっており、昨日の夜の事が思い出せない。起きて皆に挨拶すると、鬼灯さん以外の皆に妙に悟った顔で「ごちそうさまでした」と言ってきた。料理の事だろうか?もう一つ驚く事があり、それは僕の体が年齢魔法無しに大きくなっていた事だ。セシアによると、今の状態は健康的に育った場合の14歳の僕らしい。どうやら地獄から通じていた穴に落ちて神化し始めていた僕の体が突然変異を起こした様だ。そしてヴィヴィオは現在定期テスト期間で今日は最終日になっており、学校へ行った。なのはさんは仕事で管理局に、フェイトさんは非番で現在僕と神無とセシア、鬼灯さんでポーカーをしている。因みに今日のおやつのビスケットを賭けている。
「ねえ、皆。倍賭けしない?」
「僕は良いよ。皆は?」
「私は構いませんよマスター」
「私も特に構いませんが」
「うん、私も良いよ」
全員が頷き、一斉にカードをオープンする。
「ふっふっふ〜、見たか!フルハウス!」
「私はツーペアです・・・」
「私も同じです・・・」
「私はスリーペアだ。刹那は?」
「僕は・・・」
皆が早く出すからタイミングを失ってしまった僕はフェイトさんに言われて手札を明かした。
「ロイヤルストレートフラッシュです」
僕の手札の中にはスペードの10、J、Q、K、Aの五枚があった。最初に引いたらこのカードだったので良かったなと思った。僕の手札を見た全員は驚愕の表情をした後、燃え尽きた某ボクサーの様な顔をする。だが僕はビスケットを譲るつもりはこれっぽっちも無い!そう思っていると、机の上で青色の腕輪になってスリープ状態だったエネが突然起動して叫んだ。
「大変ですよフェイトさん!娘さんお弁当忘れてます!」
「ええ!?どうしよう、急いで学院に行かないと!」
「あ、なら僕が行きますよ。此処一帯の地理を把握しておきたいですし」
「なら、お願いしようかな。場所はエネが知っている筈だから案内してもらって。はい、お弁当」
そう言ってフェイトさんは台所からお弁当を持ってくる。僕は其れを受け取ってポーチの中に入れる。
「あ、セシアも着いて来てもらって良い?一応ルートを登録しておいてもらいたいから」
「はい、分かりました」
セシアはネックレスになり、僕の首に付けられる。そして僕はエネも腕に嵌めて靴を履く。そしてドアを開けて外へ出た。
「行ってきます!」
〜数分後(St.ヒルデ魔法学院初等科校舎)〜
あれから学院到着した僕は学院の警備員に話を通してもらい、パスを貰って学院の中へと入っていった。エネの案内を頼りにヴィヴィオのクラスに向かうが・・・目立つ!何より目立つ!そして遂にヴィヴィオのクラスへとたどり着いた。取り敢えず廊下から教室をチラッと見ると涙目で机に突っ伏しているヴィヴィオが居た。僕は教室に入ってヴィヴィオの頭にポーチから取り出した弁当箱を置く。ヴィヴィオは頭の上に乗った其れを見てパアっと笑顔になり、僕に向かってお礼を言った。
「ありがとう刹那さん!って刹那さん!?」
「うん、僕だよ。それじゃあ役目も終えたし僕はこれで失礼するよ」
「え、もう帰っちゃうんですか・・・?」
「もうって言われても僕は此処の生徒じゃ無いし18歳だよ?それにヴィヴィオは今テスト期間中でしょ?さあ、午後も頑張ってね」
「はーい、刹那さん。本当にありがとう!」
「うん、バイバイ」
そう言って僕は帰ろうと振り向いた瞬間、ヒシッと両腕を掴まれた。その方向を見ると、ヴィヴィオの隣に居た女子二人が僕を見つめながら腕を掴んでいた。
「えっと・・・何か用かな?」
「あの・・・私リオって言います!如月刹那さんですよね!?」
「わ、私はコロナって言います。ヴィヴィオが通信しているのが聞こえちゃって・・・」
「「魔法を教えてください!」」
「・・・・はい?」
突然の事に僕は言葉が思い浮かばなかった。そして二人は説明を始めた。
「通信で聞いた話だと魔力の収束とコントロールがなのはさん以上だったと聞きました!」
「いや、あれはなのはさん達の言い過ぎで大した事はしてないよ・・・」
「そんな事ありません!あのエースオブエースに評価されたんですよ!?だから・・・」
「「お願いします!」」
「い、良いけどその代わりテスト休みの旅行中にね?えっと・・・リオちゃんとコロナちゃんだっけ?」
「はい!リオでいいです!」
「私もコロナでお願いします!」
「なら僕も刹那で良いよ。それじゃあ明日から宜しくね?」
「「はい!」」
そして僕は教室を、学院を跡にした。そして家に帰宅する。その後は、皆でトランプの続きをしてビスケットを食べた。勿論賭けの通りに僕は大量だったよ?そして夜になり、なのはさん、ヴィヴィオが帰宅、明日に備えて早めに就寝した。
〜翌日(臨行次元船内)〜
遂に旅行当日となり、メンバー全員が次元船の中に入った。メンバーは高町家御一行と僕と神無、帽子装備の鬼灯さんにセシアとエネ(待機状態)、リオとコロナにランスターさんと特別救助隊のスバル・ナカジマさんとノーヴェ・ナカジマさん、アインハルト・ストラトスさんと言うメンバーだ。管理局な方々に是非模擬戦を!と言われ断れる訳もなく戦闘フラグが立ってしまった・・・。そんなこんなで僕達は無人世界《カルナージ》へと向かった。
〜約4時間後《カルナージ》〜
「・・・ほえ〜・・・」
僕達は到着し、宿泊させてもらうアルピーノ家の前に来たのだが・・・。デカイ!全てがデカいよ!そう思っているとアルピーノ家親子が出迎えてくれた。
「皆いらっしゃ〜い。で、貴方が例の・・・」
「な、何かな・・・?」
「私は《ルーテシア・アルピーノ》。ん〜、やっぱり男には見えないわね。ひ弱そうだし」
「む、初対面でそれはどうかと思うよ。それに少なくとも此処にいる全員には負ける気は無いからね」
僕がそう言うと場の空気が少し悪くなる。だが初対面でいきなり人のコンプレックスを的確に着いて来た彼女にも非があると思う。そして僕達はヴィヴィオ達に宥められて家の中へ入り、部屋に荷物を置いた。因みに僕はなのはさん達の計らい、基神無のゴリ押しで神無と同室になっている。この後は川で遊ぶらしいので皆は水着に着替え始める。セシアはデバイスの機能で一瞬で服を変えた。僕は水着を持っていないのでTシャツに半ズボンに着替える。Tシャツはセシアのオーダーメイドで妙に達筆で《狙い打つぜ!》と書いてある。そして僕達は川へと向かった。
〜移動中〜
川に着いた僕達はヴィヴィオ達と合流した。僕は木陰に座って遊んでいるヴィヴィオ達を見る。何て言うか・・・元気ですね皆さん・・・。セシア達も遊んでるし・・・。僕もなのはさん達とアスレチックでトレーニングすれば良かったな・・・。そう思っているとノーヴェさんが此方に近づいて来た。
「なあ、お前もアレやらないか?」
「アレ?ああ、あの《水斬り》ですか?」
そう言って僕はヴィヴィオ達に視線を戻す。その先ではヴィヴィオ達が川に拳を放ち、水柱を上げていた。ストラトスさんも夢中になってやっている。ノーヴェさんはニヤリと笑い、言った。
「お前、アイツにひ弱って言われたまんまで悔しいだろ?私達もお前の実力を知りたいからな。一回やってもらえるか?」
「・・・良いですよ」
僕は立ち上がって軽く柔軟してから水に入る。やり方はヴィヴィオ達を見ていたから大体分かる。あの紫っ子は此方を見てニヤニヤしている。見てろ、その顔あんぐりさせてやる・・・。僕は腰を軽く落として構える。そこからゆっくりと後ろへと足を引いて・・・インパクトに向けて鋭く加速させながら足を思いっきり振り上げる。その瞬間、
ザッパアアアアアアアアァァァァァァン!!
僕の目の前の川の水が全て水柱となり、モーセの海割れの如く道が出来た。・・・何だ・・・。
「案外簡単だ・・・」
僕の言葉にその場の全員が目を丸くする。やがて空から凄まじい量の水が降って来て川の水が元通りになって行く。僕はチラッと紫っ子を見た。彼女は此方を見ながらグヌヌ・・・と唸っていた。どうやらギャフンと言わせる事に成功した様だ。こうして午前中遊びが終わり、僕達はアルピーノ家へと戻って行った。
家に到着すると既に昼食が出来上がっていて皆で席に着いた。僕は紫っ子の母親にお礼を言う。
「この度は我儘を聞いていただきありがとうございます」
「良いのよ、人はたくさん居た方が楽しいもの。・・・家の娘がごめんなさい」
「お気になさらず。さっきギャフンと言わせましたから」
「気を付けてね、私の娘は意外としつこい所があるからまだ認めてないと思うわよ」
「はい、それなら認めるまで付き合いますよ・・・」
そう言って僕は紫っ子の母親から離れて席に戻る。僕の隣では鬼灯さんがカレーを食べている。
「そう言えば鬼灯さん、午前中何してたんですか?」
「ええ、ルーテシアさんのお母様《メガーヌ》さんのお手伝いを少し・・・」
「そうだったんですか・・・。午後は僕も手伝います」
「いえ、君には模擬戦と言う仕事があるでしょう」
「グッ・・・誤魔化せなかったか・・・」
「覚悟決めた方が良いですよ。貴方一人ですし」
「はい!?」
ちょっと待った!僕一人ってどう言う事!?僕はなのはさん達に聞いた。
「ちょっとどう言う事ですか!?」
「だって刹那君言ったよね?,此処に居る全員には負ける気が無い,って」
「・・・はあ、ハンデ位は付けてくださいよ・・・」
「へえ、あんな大口叩いておいてハンデを求めるなんて貴方の実力もたかが知れてるわね」
「・・・今何て言った?」
「あら?聞こえなかったの?」
「・・・良いよ。ハンデは要らない。但し、全員手加減はしないからね・・・」
僕は殺気を出しながら全員に宣言する。上等だ・・・やってやる!僕だって何時までも温厚でいられる訳じゃない。静かな怒りを宿しながら僕は食事を再開した。因みに今の殺気で神無が気絶した。・・・神様ェ・・・。
刹那サイド終了