日本は良いところだ。世界一住みやすい気候、世界一美しい環境、そして国民に宿る大和魂。どれをとっても、世界と引けを取らない。そこに住めている俺に、この世界に対する文句は無いと言えよう。
ただ一つ、あるとすれば──
「…あの、今仕事中…。」
「いいじゃないですか藤尭さーん。…あったかーい…。」
近い近い。やめてくださいそれは俺に効く。ちょっとそこやめてくすぐった
──こうやって現実逃避している間も、時間は止まってはくれないと言うことだ。
彼女はついこの間、『シンフォギアに適合しますた』というレスを、7ちゃんねるにあげていた。当然大騒ぎになって、彼女を保護する事に。
その情報は嘘ではなく、見たことの無いシンフォギアを持っていた。名前は長いから省略するが、紫色のギアだった。…シェンショウジンと被ってんじゃねぇか。
で、なんか俺に懐いた。
…かなりマイルドな表現をしてしまった。…5㎖の激苦コーヒーに、シロップ5ℓ突っ込んだ程度のマイルドさだ。──あ、これただの甘味の暴力だわ。殺人兵器だわ。
『よろしくです!藤尭さんッ!』
『…あ、あぁ。よろしくね。』
こんなこと言ったのが間違いだった。いやわかんねぇよ。何でこれがバッドコミュニケーションなんだよ。俺はノーマルで良かったんだよ。しかも挨拶でバッドエンド直行ってどんなクソゲー?
「どーしたんですかぁ?お仕事、しないんですか?」
「…いや、画面見えないから。ちょっとのけて、ね?」
チキンな俺は、女性の怖さをよく知っている(友里さんとか友里さんとか)。なので、なるべく刺激しないように心がける。
「…むー。いけず。」
「………。はいはい。友里さんに相手して貰ってね。」
実はこの子、中学生である。──正確には、"年齢的には"だ。シンフォギアを『拾った』らしい彼女は、それから学校に通わなくなったそうだ。
「はーい。…後でちゃんと相手して下さいね?童貞さん。」
「……。」
何も言い返せない。それがまた悔しくて、涙が出そうになる。やめろよホントにお前なぁおい(語彙力)
とてとて走るその姿は、普通の女の子のようだ。──二人きりになると、獣になるんですけどね初見さん。
…見ろよ。あの友里さんと話している小夜ちゃんの顔を。めっちゃ露骨だろ?見てて胃が痛くなる。
まぁ、何が言いたいかって言うと、俺は彼女の事を『やべーやつ』として認識している。それを知らせているのは、長い付き合いの友里さん、緒川さんだけだ。…司令?アホか。余計な心配掛けさせられねぇよ。
独り言では強気な俺は、再びディスプレイに向き直る。──そして、目を見開いた。
『見すぎ。──by友里』
…アッハイ。すんません、仕事します。
♢
「…んー。今日はこの辺にしとくかな。」
「──藤尭さーんッ!今日は皆でご飯食べに行きませんかッ!?」
この元気でちょっと抜けたようなこの声は、響ちゃんか。…やっべ眠た。目が殆ど開かない。
「…だ、大丈夫ですか?」
「…う、うん。平気平気。…ところで、なんて言った?」
多分寝ぼけているのだろう。俺を食事に誘ったように聞こえたんだが。まさかこの彼女いない歴は年齢と同じな俺を誘うわけ──
「──ですから、…ご飯行きませんか?」
「……………………。
熟考した。まぁ殆ど『深読みダメ絶対』→『いやもしかしたら…』→『最初に戻る』のループだったけど。しかも声ちっさ。恥ずかしっ。
俺が中学生みたいなことをしていると、響ちゃんが笑った。
「…何?」
「あ、すいません…面白くてつい。…藤尭さんって、もっと大人な人かと思ってました。」
何を言うか。俺は立派な大人だぞ。現にこうやって給料泥棒をしている最中だろう。意地汚いところとか、人に押し付ける所とか特に大人っぽいだろ。…やっべ泣きそう。俺自虐キャラとか向いてねぇわ。
「…どうして俺が大人じゃないって証拠だよ。」
言いたいことを詰め込みすぎて、文法など皆無だが、どうにか言葉にする。それを何となく察した響ちゃんは、正直に答えた。
「だって、小夜ちゃんと話してる時も、まるでぼっちが陽キャ女子高生に話しかけられた時に似てますし。」
その通りだよ。何の狂いも無く大正解だよ。あと響さん。陽キャなのはあんたもでしょうが。わかっててやってるんですかね。
「私と話す時も、目を見てくれないし。…あ、でも気持ちすごいわかりますよ?」
「……そ、そう?」
お前に何が分かるんだ。そうは言えなかった。
響ちゃんの暗い過去は、あの父親の下りで大体わかる。この子も大変だったろう。にも関わらず、俺はこの子に戦いを押し付けた。…自分が何も出来ないのを棚に上げて、生意気に命令とかも出した。あー死にて。
「…ほら。今も自分を責めてる。」
「…げっ。」
何故バレたし。もしかしてエスパーなの?てっきりかくとうタイプかと思ってたのに。どっちも不遇タイプだけど。
──────。
「…あ、皆が待ってるんだったッ!…ふ、藤尭さんも、"来れたら"この紙に書いてるとこに来てくださいねッ!」
「わ、わかった。」
紙を渡し、響ちゃんは急いで出ていった。話を打ち切った理由は、多分アレだろう。うん。見たくないし、口にも出したくないけど、一応確認を──
「──死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねアイツ本当にいい加減にしろよマジで殺す絶対殺す殺す殺す」
「………たすけて。」
血走った眼で、さっきまで響ちゃんがいた場所を睨み、今にも俺を襲いそうだ。…それを、友里さんが必死に抑えていた。
もうやめて。友里さんのライフはもうゼロよ。このままでは、俺の心がバーニングディバイドしちゃうんだが。
393こえー…。
友里さんを助けてたら、結局ご飯には行けなかった。…ちくしょう。
(藤尭さんはロリコンじゃ)ないです。
(勿論続きもまだ書いて)ないです。
展開ガバガバじゃねぇかお前の小説ゥ!