愛されすぎて仕事が出来ない   作:最高のモルモット

10 / 11
伏線とか置いた気がしたけど全部忘れました。


唐突な自分語りは基本

──夢があった訳では無い。やりたい事があったわけでもない。

 

その内、ここの職員になった。どうしてこうなったのか、全く分からない。だけど、翼さんや奏さんのサポートを、全うしたいと思った。

 

──スケジュールが厳しい仕事に、俺が音をあげたのは、そんなに遅くはなかった。適度にサボり、適当にこなした。だけど、文句は言われなかった。当たり前だ、仕事はしていたのだから。

 

 

──熱意が足りなかった。想いが足りなかった。

 

 

奏さんが死んでから、そう思うようになった。俺がもっと頑張っていれば。もっと、何か出来ていたら。そんな1ミリのイメージも湧かない事を言っていた。

 

『馬鹿じゃないの?』

 

平手打ちを食らった。何が起きたのか、分からなかった。

 

『あなたが、あなただけが頑張っても仕方ないじゃない。私だって、何も出来なかったのに。』

 

そんなことを言った。それでも捻くれた俺は、その慰めを素直に受け取らなかった。

 

『じゃあ何か?俺は何も悪くないと?ただ給料を貪るだけの無能が、何も悪くないと?』

 

思い出したくも無いけど、そう言った気がする。怒りのままに、哀しみのままに。

 

 

でも、怒りも、哀しみも、彼女には勝てなかった。

 

 

『ふざけてんじゃないわよ、このへなちょこ青二才が。あんまり調子に乗ってると、本当に奏さんに顔向けできなくなるわよ。』

 

今度はまさかのグーパン。涙目になったのは、最早不可抗力だ。

へなちょこ青二才という語彙に、今では乾いた笑いが出る。けど、救われたのは覚えてる。

 

俺は自分に自惚れていたのかもしれない。いや、してたんだろう。周りの奴らを全部下に見てしまうこのイカれた目を、覚まさせてくれた恩人。

 

だから、絶対助けたい。今度は俺が──

 

 

♢

 

 

「──惚気話ですか。」

 

「…うるさい。」

 

「語りがくどい。」

 

「…さーせん。」

 

元はと言えば、話せ話せとしつこいこの子達が悪いのに。何故俺はここまで責められているのだろう。もうやめて!もう俺の体はボドボドだ!

 

「私んとこの藤尭さんはどうなんだろう。いつも一緒に居るけど。」

 

「どの世界でも一緒とか…。運命ですか(笑)」

 

何笑ってんだ。すごく恥ずかしくなってきた。もう死のうかな。

 

「…あ、クリス先輩。起きてたんですね。」

 

「…ッ!?」

 

ビクリと跳ねる肩。ちょっとー?

 

「…本当に起きてたんですか…。いやらしい…。」

 

「…ん、んッ! あ、あたしはその…何も聞いてねぇからなッ!」

 

顔真っ赤で否定しても、何もならないだろうに。…まぁ、いっか。この人らなら。

 

──って、あれ?

 

「許さない開けろ早く開けろ殺してやる許さない開けろ──」

 

…許して☆

 

「許さないって言ってるでしょ。…さっさと作戦を実行しよう。手遅れになる前に。」

 

「…え?この状況で?」

 

いや無理だろ。うん、絶対無理無理。もう手遅れとかそういう次元ではない。

 

俺の疑問を無視し、決行する響さん。…責任、取れないからねっ。

 

「──早く開け…えっ。」

 

「…そーら。」

 

突然開いたドアに驚き、目を見開く響ちゃん。そして見逃さずにあれを放り投げた。

 

「…こ、これは?──うげッ!?」

 

「──ち く わ だ ァ ァ ッ !」

 

響さん怖いです。後ろ向いた隙にロングスリーパーはちょっと引きますよ。

 

「…ちょ、ギブッ!ギブッ!」

 

「…大丈夫。死にはしないから。」

 

「死ぬからーッ!──助けて、藤尭さんッ!」

 

何故俺。…俺がどうこうできるわけないだろ!いい加減にしろ!

…でも、ちょっとやりすぎじゃないか?確かに酷いことされたけども。憎しみが絶頂に達した事もあったけども。

 

「…響さん。少しだけ、緩めてあげてください。聞きたいことがあるんです。」

 

「…?…いいけど、もう虫の息だよ?」

 

ダメかも知んない。けど、ワンチャン残ってるからセーフ。

 

「…ぷッ!…はぁ、はぁ…ッ!し、死ぬかと思った…。」

 

「…響ちゃん。友里さんの居場所は知ってるかな。」

 

思ったより声が低く出る。そしたら、響ちゃんの顔が──恐怖に塗り変えられた。

 

「…ご、ごめんなさいッ!ごめんなさいッ!許してくださいッ!何でもしますからッ!だから嫌わないで下さいッ!」

 

「…え、えぇ…?」

 

こんな表情をされて、『ん?今何でも(ry』なんて言えるわけがない。軽く恐怖を覚えていると、小夜ちゃんがコソっと囁いた。

 

「…アレですよ。ヤンデレ系の女の子は拒否されるのを嫌うんです。聞こえないふりをしたり、発狂したり。…響さんは後者ですね。」

 

前者がタチ悪すぎて笑う。と考えると、響ちゃんはまだマシな方なのか(戦慄)。

 

「…なら、俺はどうすべきなの?」

 

「…無理強いはしませんが、厳しく断ると自殺とかしかねないので、それはやめといた方がいいかと。」

 

すごいなこの子。まるでヤンデレ博士だ。…自分がそうだとここまで詳しくなれるもんなんすねぇ。──そして思い出す。この状況を動けない体で見ていた者がいた事を。

 

「……。」

 

ドン引きである。…クリスちゃん?君ももしかしたら同じ状況になってたかもしれないんだよ?…あ、だからか。成程。

 

「…じゃあ響ちゃん。質問を変えるけど──その気持ちは、何時から?」

 

勘違いだったら恥ずかしいことこの上ないが、前世の事を考えるとそうとしか考えられない。

 

何らかの因子がアレして、こんな惨劇を起こしたのは確定的に明らか。ひぐらしと言う名アニメを知らないのかよ。

 

「…そ、それは…。…小夜ちゃんと、切歌ちゃんと共闘した時に──をした時、です。」

 

怯えながら、恐る恐る言葉を零す響ちゃん。それを聞いて、ハッとする響さん。…俺も察したけど、違ったら怖いし黙っとこ。

 

「…じゃ、じゃあ──

 

 

──私のせいってこと…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




小夜ちゃんの見た目は勝手に想像してください(投げやり)。投稿ペース戻せるか怪しいですが、頑張りますのでよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。