あらすじ 上げて落とされる
「──司令。どうしてここに…?」
「…ん?ああ。発信k…嫌な予感がしてな。駆けつけたんだ。」
今聞こえちゃいけない言葉が聞こえたんですがそれは。ボロ出るの早過ぎない?…根はやっぱり司令なんですね。
早くも展開を理解した俺は、逃げようとして止まる。…ここは、あっちがグダグダしてる隙に体力を回復させるべきだ。
「──という訳で、3人で分けましょう。」
「…早ッ!和解するの早ッ!」
思わずツッコミを入れる。いや、さっきまでの険悪なムードは何処行ったよ。…あれ、待って。どこに逃げても安置なんて無くない?いや、目的を見失うな。…友里さんを見つけるのが第1条件だ。
その為に恥じらいを、ファーストキスを、胃の内容物を全て犠牲にして来たんだ。ここまで来て、諦める訳にはいかない。…とは言え、この人らを撒ける気がしない。
前のノリで言うならば、兎とライオンと蛇とキングベ○ーモスだろう。
「…や、やめてくださいッ!」
影縫いで動けないんだった。忘れてた。…やばいやばい。死ねる。俺の童貞が散らされる。
「──私の藤尭さんに何晒しとんじゃワレェーッ!」
「──グッ!…いい突きだッ!」
さ、小夜ちゃんッ!?もう起きたのッ!?
司令が仰け反るとかどんなパンチだよ。そう言いたかったが、今がチャンスだ。…しかし、置いていっても良いのだろうか。
「だが甘いッ!──もっと腰を入れて打つべしッ!」
「危なッ!──何ボケっとしてるんですかッ!早く逃げて下さいッ!」
神回避で司令のパンチをギリギリ躱し、俺にそう言った。…まさか、俺を助けるために…。
「────。」
「…ッ!聖詠ッ!?」
光に包まれ、消えた頃には──濃い紫のギアを纏った、小夜ちゃんが立っていた。
「──ああああッ!」
「…あ、熱ッ!」
何て熱量だ。…これがこのギア──『イフリートゥオ』の能力か。…何故紫なんだ(困惑)
「行ってッ!」
言われて気付く。影縫いを発揮させていた刃が、熱で溶けていることに。…ピンポイントで、この部分だけ燃やしていたらしい。じゃなかったら俺も溶けてる。
「…ドロップッ!ファイヤーッ!ジェミニッ!」
あ、これアカンやつ。
「…ッ!二人ともッ!離れろッ!」
「──バーニングゥ!ディバイドォォッ!」
「──ザヨゴォォォッ!」
その攻撃の爆風で、俺はかなりの距離吹き飛ばされる。…小夜ちゃん…それどっちかと言うと俺が言うセリフだから…。名前的に。
このまま壁に激突すれば、俺はただでは済まないだろう。…どうしたものか。
♢
…あーしんど。熱は…39度か…。死ぬ。
今まで空気だった一人。雪音クリスは、家で療養していた。流行り風邪にかかってしまい、休暇を貰ったのだ。
「…腹も空かねぇ。…ん。」
チャイムが鳴り響く。…こんな時に来客か。
重い体に鞭打ち、どうにかマスクを着けて、玄関に辿り着く。
「──クリス先輩ッ!お見舞いに来たデスよッ!」
そこ先には、今まで空気だった一人の暁切歌が。
「…って、大丈夫デスかッ!?顔がオールブルーデスよッ!」
「…大丈夫な訳あるか。今にもオーバーヒートで爆発しそうだよ。」
お互いに特徴的な話し方なので、傍から聞けば何を言っているのか分からないだろう。
「よーしッ!今日はあたしが看病するデースッ!」
「え、いや、いいから。」
とはいえ、1人は心細い気もしなくも無い。…それが分からない切歌では無く…。
「了解デースッ!まずはお粥から作るデスよッ!」
「…まぁいっか。」
二人の間に流れる空気は、生ぬるかった。
♢
一方地獄。──せめて煉獄あたりに留めて貰おうか。
普通に壁に激突した俺は、暫く気絶していた。…普通さ、こういうのって助からない?それにしても、飛んでいる最中にレーザーが飛んできたのはびびった。…393も本気出したのか…。
「──で、何で俺はミイラ男みたくなってるんですかね翼さん。」
「…私は本を見ながらやっただけですが。」
どんな本だよそれ。いっぺんにやろうとするからこうなる。…この人の不器用さは、日常生活にも影響があるのでは?…あったわ。
ここはまた医務室か。…前とは違う部屋のようだが。
「…俺の容態は?」
「…えっと、左肩が複雑骨折。肋骨は3本折れて、背骨にヒビが。…あと脳震盪の疑いありで、出血。内蔵もかなり傷んでいます。…特に胃が。」
控えめに言って重症だよ。…ファンタジーのあふれるこの世界で、こんなリアルな怪我するか普通。
「…足が無事なら別にいいか。…よっと──」
起き上がろうとするが、バランスを崩す。慌てて翼さんが支えてくれる。
「何をしているんですかッ!?…そんな身体で何処に行く気ですかッ!」
「……。」
正直に言うかどうか迷う。…彼女も今までと同じ様に、おかしくなっているかもしれない。…なら、直球で聞いてみるか。上手い作戦も、このザマじゃ思い付かないし。
「…俺の事どう思ってるんですか?」
「…?…大切な、守るべき仲間…と、私は思っていますが。」
あ、この人正気だ。眼にも例のアレが渦巻いてないし。…この人が嘘を吐けるとは思えない。
「…それだけ聞ければ十分です。じゃあ俺はもう──」
「──行かせませんよ。」
背筋に冷たい物が走る。…今までの流れと同じだからだ。…もう誰も信じらんねぇよ。
「──そんな怪我。悪化したら目も当てられませんよ。…行くのなら、私も行きます。」
「…ぇ?」
「肩を貸すくらい、仲間として出来て当然ですから。」
肩を貸して貰い、医務室を後にする。
【朗報】翼さんだけマトモだった。
(本編に関係するとは言ってない)…ふじきりが見たい方はその小説があるので見て、どうぞ。
クリスちゃんは愛されキャラ。今作の藤尭さんも愛されキャラ。…プラスとプラスッ!相反する存在ッ!触れ合うことなど出来ないのだッ!…的な。