──スピードは兎も角訳を言えーッ!(本音)
視界が回る。足が覚束無い。
あたしは、どうなった?
次の瞬間、背中に温もりを感じた。なんだろう、すごく安心する。
「──いいのに。」
「──くれない?」
何か話しているけど、意識が薄れているせいか、殆ど聞こえなかった。
もう少しだけ、この温もりに委ねてしまってもいいだろうか。病にかかると人は弱くなる。心も体も。だからという訳では無いけど、ちょっとだけ。ちょっとだけ──
♢
「──はッ!あたしは何をやってるデスかッ!」
小一時間悶絶していた切歌。そして、やっと置き手紙を読む決心をする。冒頭は飛ばし──
『──これから映画を見に行くので、探さないでください。』以上。
「──嘘吐けデスッ!」
この1時間はなんだったのか。
♢
「これは、…寝ちゃってますね。」
「…マジすか。…疲れてたんだね…。」
まさか立ちながら寝るとは。普通は落ち着いてからじゃないと、寝られないものなんだが、よっぽど寝つきがいいんだなこの子。
「藤尭さん。…取り敢えずベッドに運びましょう。風邪をナメてたら最悪死に至りますよ。」
「…わかった。」
俺は風邪以下か。実際そうだけど。
小夜ちゃんにタオルで汗を拭いてもらい、俺は冷蔵庫にある賞味期限がギリギリセーフの物を選ぶ。
「──ちくわしか持ってねぇ!」
「…藤尭さん殆どここ使いませんからね。徹夜か自宅かで。」
ここを使った時と言ったら、精々俺の住んでるマンションの、隣の部屋がガス爆発した時ぐらいだ。…まぁ、先月なんだけど。
「…というか小夜ちゃん。俺の事知りすぎでしょ。人権って知ってる?」
「そりゃずっと見てれば分かりますよ。私に貴方のプライバシーで知らないことなんてありませんよ。…例えば先週に誰でヌ」
「それ以上いけない。」
初めて中学生にマジギレした。
すると──
「…あ。」
「ひッ!?」
何故ここに響ちゃんが。やばい前世の記憶ががが。変な汗出てきた…。
「…そんなに怯えなくてもいいじゃん。部屋間違っちゃっただけだから。」
「…あれ?もしかして──平行世界の?」
小夜ちゃんが言うと、その響ちゃんはコクリと頷く。…何故?
「…というわけで、こっちの私に呼ばれた。」
「パーティねぇ…。何を祝うとか、聞いてないの?」
というか、ギャラルホルンがただのタクシー。いや、ちょっと遠出するから飛行機かな。飛ぶらしいし。
「…いや、『その時になったら考える』って。」
「…無計画か。でも、今はあんまりウロウロしない方がいいかもしれない。」
目を逸らしながらそう言うと、首を可愛らしく傾げる。尚、表情は『は?』みたいな感じだが。
「…何で?」
「…話すと長くなるけど、聞く?」
念を押すと、心底イラついている様子を見せ
「…いいから話しなよ。何で私がここの人のパーティに呼ばれたのか、わからないんだから。」
…よく分かってないのに来ちゃうグレ響ちゃん可愛い。
「…それは、まあ。うん。オツカレサマ。」
「絶対信じてないでしょ。…気持ちは分かるけど。」
寝ているクリスちゃんを横に、必死に2人で説明する。が、流石にファンタジーが過ぎるのか、殆ど信じてもらえてないみたいだ。
「…信じられるわけないじゃん。…あの人達がそんな事する訳ない。…じゃあ私はもう行くから。」
「…あ、待って──」
止めても時すでに遅しだった。響ちゃん…紛らわしいか。響さんがドアを開く。
「───見つけたぁ。」
「………。」
無言で閉めた。更に、凄まじい速度で鍵を閉める。ガタガタ音を鳴らすドア。『あれー?』『どうしたのー?』とか言ってる。それを、遠い目で見つめながら、響さんはこういった。
「…ごめん。」
「…謝らないで。」
ちょっと泣いてた。
♢
「…コイツどうするの?」
ドアを指さす響さん。その向こうには、さっきと同様響ちゃんが居るのだろう。
「強行突破は?」
「…なるべく穏便にお願いします。」
4人に勝てるわけないだろ。と言いたいところだが、相手は7人。もっと勝てない。数の暴力は恐ろしい。というか、クリスちゃんを頭数に入れる訳にはいかない。
「…あのさ、こっちの私って──バカだよね?」
「あ、うん。そうだね。」
何せあだ名が『あのバカ』だからなぁ。俺は呼んでないけど。それクリスちゃんしか言わないけど。巷ではビッキーと呼ばれて…って、どうでもいいか。
「割と即答ですね。」
「…情報はなるべく渡しとかないと。」
暴論とも言える言い草で、小夜ちゃんを言いくるめる。
「…なら、アレが使えるんじゃないの?ほら───」
「────!?さ、流石にそれは馬鹿にしすぎでは…?」
なんと言う、間抜けな作戦だ。というか、平行世界の自分が引っかかると思って言い出したのだろうか。悲しすぎる。
それ以外策が無いわけではないが、どれも博打になる。だったら、折角考えてくれた案を採用すべきか…?
「…やってみよう、か?」
「……いや、ごめん。自信なくなってきた。」
それは自分に対する作戦だからとかいう高度なギャg
…いや、やっぱ何でもない。
グレちゃん登場しましたが、今日から合↑宿↓に行ってきますので、(書いてる暇が)ないです。1泊2日なので、星一着いた不届き者の小説(笑)の続きを、どうかお待ちください。