「お疲れ。堕天使を倒すなんてスゴいね」
「すげぇなイッセー!さっきの見てて気持ちよかったぜ!」
決着がついたのでイッセーのもとに向かったおれたち。
「おう木場、近衛。そっちもお疲れさま……」
さっきので力を使い果たしたようで、その場に倒れそうになるイッセー。それを、
「お疲れさま、イッセー。あなたなら堕天使を倒せると信じていたわ」
部長が優しく抱き寄せる。
「ぶ、部長!?どうしてここに?用事の方は……?」
「地下から祐斗たちと共に来たわ。用事の方が終わってから、朱乃に後片付けを頼んでここに来たの」
「そうですか……あの、部長」
「ん?何かしら?」
ばつの悪そうな顔をしながらイッセーが、
「すみません、俺のせいで部長に迷惑を……」
「あら、それなら気にしなくて大丈夫よ。ここは捨てられた教会なの。そこを私利私欲のためにある堕天使たちが利用して、私たちはそこでちょっとしたケンカをしただけ。だから、野良試合みたいなもの、ただそれだけよ」
謝るイッセーに部長は、悪いことをした子供を慰める母親の様な態度で諭した。
「……部長、持ってきました」
途中から居なくなっていた小猫ちゃんが、ズルズルと何かを引きずりながら来た。
「何とも豪快な……」
引きずられてたのは先程殴り飛ばされたレイナーレだった。
「ありがとう、小猫。そこに置いてちょうだい」
言われた通りにすると、どこからか水が現れレイナーレの顔にかかる。
「ゴホッゴホッ!」
「ごきげんよう、堕天使レイナーレ」
目を冷ました奴に挨拶する部長。
「……貴様はグレモリー一族の娘」
「はじめまして、私はリアス・グレモリー。グレモリー家の次期当主よ。短い間でしょうけど、お見知りおきを」
笑顔で言う部長に対し、部長を睨み付けるレイナーレ。だが途端に嘲笑う。
「あなたたちはもう終わりだわ。今回の計画は上には内緒だけど、同調する仲間が他にもいるわ。私が危険になると彼らが―――」
「来ないわよ」
強気なレイナーレに向かって、冷静に対応する部長。懐から三枚の羽根を取り出す。
「これが何か、同族のあなたなら分かるわよね?」
「!……そんな!じゃあ彼らは……」
「そういうことよ。だからあなたはもう終わり」
部長はイッセーの方に向かい、左腕の籠手を見る。
「これは……そういうことね」
何かに気付いたようで、不適な笑みを浮かべる。
「あなたはこの籠手を『龍の手』と思ったようだけど違うわ。これは神をも滅ぼすことのできる神器、『神滅具』の一つ『赤龍帝の籠手』よ」
「なっ!?」
部長からそう聞いて驚愕するレイナーレ。よく分からんが、イッセーの神器はとてもスゴいやつらしい。
「言い伝え通りなら、十秒ごとに持ち主の力を倍増する。最初は弱くても、力を溜めればいつかはとんでもない力になる」
マジか!十秒ごとに倍とかチート過ぎるだろ!
イッセーもこの事実に驚いているらしく唖然としていた。
「ふふふ、やっぱりイッセー、あなたはおもしろい子ね。私の見立ては間違っていなかったわ」
そう言って、周りがいないかのようにイッセーを可愛がる部長。
「……でも、俺、アーシアを……救ってやれませんでした。……こんな強い神器を宿しているのに」
「それはあなたが、まだ悪魔として勉強が足りなかっただけ。これから全てを守れるように強くなりなさい」
「はい……」
嘆くイッセーに葛を入れる部長。その光景が美しく過ぎて涙が出そうになったよ。
「さて、最後のお勤めをしようかしら」
部長は目を鋭くしながら、奴を見る。当然怯える堕天使。
「消えてもらうわ、堕天使さん。もちろん、その神器は回収させてもらうけれど」
手をかざし魔力を集める。すると、奴は何を思ったのか突然イッセーに命乞いをした。
「イッセーくん!私を助けて!この悪魔を一緒に倒しましょう!私あなたを愛しているわ!だから……」
「黙れ堕天使。……部長、よろしくお願いします」
しかし、それは意味がなく、奴の顔は凍りつく。
「わかったわ。……私のかわいい下僕に言い寄るな。消し飛べ」
ドン!
部長の手から魔力が放たれ、堕天使レイナーレは跡形もなく消し飛んだ。
「さようなら、夕麻ちゃん……」
イッセーの呟きと共に、何とも言えない静寂が訪れるた。すると、堕天使がいた場所に二つのリングとともに淡い緑色の光が現れた。
部長はそれを手に取り、
「しゃあこれをアーシア・アルジェントさんに返しましょうか」
「でも、部長アーシアは……」
「イッセー。これが何か分かる?」
部長が懐から取り出したのは、紅いチェスの駒だった。
「あ、それって『悪魔の駒』っすか?」
「えぇそうよ、近衛。これは『僧侶』の駒だけどね」
「え?じゃあそれを使えば……!」
「この子を悪魔として転生できるわ。シスターを悪魔になんて前代未聞だけれどね」
苦笑しながら部長はアーシアさんのもとへと行く。アーシアさんの胸の上に『僧侶』の駒を置く。
「我、リアス・グレモリーの名において命ず。汝、アーシア・アルジェントよ。いま再び我の下僕となるため、この地へ魂を帰還させ、悪魔と成れ。汝、我が『僧侶』として、新たな生に歓喜せよ!」
イッセーのとき同様、部長が呪文みたいなことを口にすると、駒が紅く光りアーシアさんの胸の中へと入っていく。それと同時に神器も淡い緑色の光を発しながら入っていく。
無事転生が完了したらしく、一息つく部長。
しばらくすると、アーシアさんの瞼が開き始めた。
「あれ?」
二度と聞くことのできなかった声。イッセーは抑えることが出来なかったようで、だらしなく涙を流していた。
部長はそれを見て優しく微笑み、
「私は彼女の悪魔をも回復できるその力が欲しかっただけ。だから、後はあなたが守りなさいイッセー」
そう声をかける。アーシアさんは周りをキョロキョロと見回してイッセーを見つけると、
「……イッセーさん?」
怪訝そうに首を傾げていた。イッセーは彼女を優しく抱きしめて、
「帰ろう、アーシア」
次の日の朝
昨日、あの後部長から朝に集まりがあると聞かされた。その為何時もより早く起きたら、部長から電話がかかってきて『用事をお願いしたいから早く来てほしい』とのことだった。
自主トレをしようと思ったが、時間がなくなるからやることだけやって学校に向かった。
「失礼しまーす」
部室に入ると、やっぱり部長しかいなかった。
「あら、来たわね」
おれが来たことに気付いて、読んでいた本を閉じた。
「用事って何ですか?」
「それはね、彼女をここに連れてきて欲しいの」
「彼女を?」
「えぇ、私が行ってもいいのだけれど、他のみんなが来たときに誰もいないと失礼でしょ?」
それもそうだな。部長の言っていることも一理ある。
「わかりました!で、どこに迎えにいけば良いですか?」
「ここに行ってちょうだい」
そう言われて、手渡されたのは学校近くのマンションまでの地図だった。
「そこは、私が住んでいるマンションよ。一緒に連れてきても良かったけど、あまりにも気持ち良さそうに寝ていたものでね」
「あぁそれは無理ですね。部長の気持ち分かります」
うんうん、気持ち良く寝ている人を起こすのは可哀想だよな。
「じゃあお願いできるかしら?」
「もちろんです!早速行ってきます!」
部室を勢いよく出ていく。
学校を出て、五百メートルくらい歩くと目的地が見えてきた。
「お?ここだな」
そこは予想通り高級マンションで、周りとは一味違っていた。
教えられた部屋の番号を押し、呼び鈴を押す。
しばらく待つと、
「は、はい!どなた様でしょうか!」
煩いくらい元気な声が帰ってきた。
「アーシア・アルジェントさんでしょうか?」
「は、はい!そうですが、どうして私の名前を?」
「あ、おれ、桜近衛と言います。覚えていますか?」
「?……あぁ!イッセーさんと一緒に教会に連れていってくれた方ですね?」
「はい、そうです。部長…リアス・グレモリーさまのお申し付けであなたをお迎えに上がりました」
「部長さんの?わかりました!今準備して向かいます!」
そう言われて、しばらく待つと
ウィーン
「お、お待たせしました……はぁはぁ」
走ってきたようで、息を切らしながら現れた。
「お、来ましたね。じゃあ向かい―――」
彼女の姿を見たときにおれは、言葉を失った。
彼女は駒王学園の制服に身を包んでいた。それがあまりにも似合いすぎてどうしていいかわからなくなった。
「?どうしました?」
「え?あ、いや、何でもないっす。じゃ、じゃあ行きますか」
「はい!」
部室に着き、中に入ると、部長がイッセーに抱きついていた。しかもその後頬にキスまでした。
「うわ、あちゃぁぁ」
おれはそれに軽い嫉妬を覚えたが、それ以上の何かを後ろから感じた。
見てみると、アーシアさんが笑顔を引きつらせていた。
「と、あなたをかわいがるのはここまでね。これ以上は新人の子が拗ねちゃうからね」
「え?……アーシア!?に近衛?」
部長はおれたちのことに気付いていたが、イッセーは気付いてなかったらしい。てかおれはついでか!
「そ、そうですよね……。リアス部長の方が綺麗ですから、イッセーさんが好きになっても……いやいやダメです。こんなことを思ってはいけません!あぁ主よ、私の罪深い心をお許しください」
天に祈るポーズをとるが、頭に痛みが来たらしく頭を抱えしゃがみこんだ。
「あう!うぅぅどうしてでしょうか?」
「当たり前よ。悪魔が神に祈りを捧げることは出来ないのよ」
「そうでした、私悪魔になったんでした……」
そんなやり取りをしていたら、他の部員も来た。
「おはようございます。部長、イッセーくん、アーシアさん、近衛くん」
「……おはようございます。部長、イッセー先輩
、アーシア先輩、近衛先輩」
「ごきげんよう。部長、イッセーくん、アーシアちゃん、近衛くん」
みんなイッセーのことを名前で読んで、アーシアさんのことも受け入れていた。
「お、おはようございます!」
「おはようございます」
「おはようございます!」
挨拶を返すおれたち。
「みんな揃ったわね。じゃあこれから新しい部員の歓迎パーティーを始めましょうか!」
ポンッ
何処からともなくテーブルにケーキが現れる。
「「「おお!」」」
「わ、私の手作りだけどね。あ、味はあまり期待しないでちょうだい」
照れくさそうに言う部長。まぁ可愛いですね!
朱乃先輩が切り分けてみんなに配る。
「じゃみんな、新しい部員とこれからに、乾杯!」
「「「「「「乾杯!」」」」」」
こうしてパーティーとアーシアさんの学園生活、新しいオカルト研究部の活動が始まった。
第一章終わったー!
いやぁすんごく長くなりました。
お付き合いしていただいた皆さんありがとうございます!
これから第二章に入りますがこんどはもっとまとめて長くなりすぎないようにしたいと思います!
後、アーシアがインターフォン使っていましたがこれは前日に部長が教えていたということでご了承お願いします