「『レーティングゲーム』をしてはいかがでしょうか?」
グレイフィアさんの言葉に心底驚く部長。
レーティングゲーム?って言うと上級悪魔たちが行うあのゲーム?
確認の意味を込めて木場を見ると頷く。
でも成人した悪魔しか出来ない決まりになってたような。
「お嬢さまもご存じの通り、公式の『レーティングゲーム』は成熟した悪魔しか行えません。しかし非公式で純潔同士であれば、半人前でも出来ます」
「その多くが身内、または御家同士のいがみ合いよね」
グレイフィアさんの言葉に部長が続く。
「つまり、お父さま方はこれを見越して元々ゲームで決めようってハラなのね。……どれだけ掻き回せば気がすむのかしら……!」
部長の体から黒いオーラが見える。いやー!怖い!怖すぎる!今すぐ逃げたしたい!
「ではゲームは拒否されますか?」
「なにを、こんな好機逃す手はないわ。ライザー、ゲームで決着を着けましょう」
「へぇー受けちゃうのか、俺は構わないぜ。でもいいのかい?俺は既に成熟してて公式のゲームにも参加したことがある。勝ち星も今のところ多い。それでもやるかい?」
挑戦的な部長に更に挑戦的な態度で応えるライザー。
「もちろんよ。ライザー、あなたを消し飛ばしてあげる!」
「望むところだ」
睨み会う両者。激しくぶつかり合う眼光。周りの意見なんて聞きませんって感じだな。
「承知いたしました。お二人のご意見は私が確認いたしました。今回のゲームは私が指揮を執らせていただきます。よろしいですね?」
「ええ」
「ああ」
グレイフィアさんの問いに了承する二人。
「わかりました。両家には私からお伝えします」
なんだかこの十分くらいですごいことになってきたな。ゲームってことはおれたちも参加するんだよな。よーし!なんだか燃えてきた!
一段落着くとライザーがこっちを見てきて、
「リアス。一応聞いておくが、君の下僕はこれで全部かい?」
嘲笑を浮かべながら聞いてきた。それに部長は、
「だとしたらどうなの?」
「いやーこれじゃ話にならないと思ってね。ククク、君の『女王』しか俺の下僕に対抗できないじゃないか」
そう言って指をならすと、またしても部室の魔方陣が光だす。もちろん模様はフェニックス。
出てきた数に驚く。なんと総勢十五名いるではないか!
確か『悪魔の駒』はチェス同様、駒の数は十五個あるはず。てことは全員揃ってるってのか。
集まった下僕たちを示して、
「これが俺のかわいい下僕たちだ」
下僕十五名、主一名、総勢十六名。ここまでくると壮観だな。しかも全員美少女!なんて女たらしだ!
すると、ライザーは魔導士の女の子とディープなキスを始めた。
「あ、あふぅ……あ!」
感じる女の子。しかも今度は別の女の子ともキスを始めやがった!こうなれば紛れもない女たらしだな。
と、ライザーは何かを感じ取ったのかこちら側を見る。
「……リアス。お前の下僕の一人から猛烈な殺意を感じるんだが」
ん?誰のことをいってんだ?
思ったのも束の間、おれの隣から凄まじい程の圧力を感じる。
見てみるとイッセーがキレていた。
部長も含め、みんな唖然としていた。
「……おい。そこの奴、ライザーっていったか?……お前は部長と結婚してからもそんなことを続ける気か?」
ドスの籠った声でイッセーが問う。
「お前は何をキレてんだ?こんなの下僕とのスキンシップだろ。お前だってリアスに可愛がられてんだろ?」
ライザーが応えると、
ブチン!
部室にそんな音が響いた。と思う。
「……部長。ゲームなんていりません。こんな野郎今すぐここで殺せばいいんです」
『Boost!!』
あまりのライザーの屑っぷりにとうとう堪忍袋の緒が切れたイッセー。『赤龍帝の籠手』も出す。
「イ、イッセー?どうしたの急に?」
「俺はこいつが許せません。生涯にたった一人の相方を得るっていうのに……。ライザー、ここで俺と勝負しろ」
「は?下級悪魔ごときになぜ上級悪魔の俺が従わねばならん。ミラ、相手してやれ」
「はい」
ミラと呼ばれた小さな女の子が、前に出て得物を取りだしイッセーに駆け出す。それに伴いイッセーも駆け出す。
「お、おい!イッセー!止まれ!」
おれは止めに入るが意味がなかった。
ガキィン!
勝負は一瞬だった。二人が交差したと思ったら、女の子の得物は壊されて顔面スレスレに拳があった。いつの間にあいつあんなに強くなった!?
「退いてくれ。俺は女の子を傷つけたくない。お願いだ」
こんなときでも殺し文句を吐くイッセー。女の子はその場にへたり込む。
「ミラ!貴様ぁ!」
再び炎をまとい飛び出すライザー。構えるイッセー。そんな二人の間に影が現れる。
「おやめくださいお二人方。先程も言いました通り、これ以上は黙っておりません」
グレイフィアさんだ。今度は手に魔力を集めながら割り込んだ。
そのようすにライザーは立ち止まる。イッセーも動きが固まる。
「ご決着はゲームでお願いいたします。それと、お嬢さまとライザーさまの戦力の差を考えたところ、十日のハンデがあってよろしいかと。どうでしょうかお嬢さま、ライザーさま」
二人が止まったことを確認しハンデの提案をする。
「え、ええ。私はいいわ」
「……ちっ。今すぐ八つ裂きにしてやりたいが……。おい!そこのお前、名前は?」
「兵藤一誠。リアス・グレモリーさまの『兵士』だ」
「兵藤……一誠。今回は命拾いしたが次はそうもいかん。十日後!その時決着を着ける。その時までせいぜい実力をつけるんだな」
捨て台詞を吐きながら女の子、ミラを抱えて他の子たちと共に魔方陣で帰ってく。一応ハンデはくれるらしい。
「ではそういうことですので。お嬢さま、十日後また」
ペコリ
部長に頭を下げてグレイフィアさんも魔方陣で転移した。
後に残されたおれたちの間には微妙な空気が流れた。
「イッセー、さっきはどうしたの?あなたらしくなかったわよ」
「すみません、部長。何とか自制してたんですが抑えきれなくて……」
グレイフィアさんが帰った後、しばらくしてみんないつもの感じに戻った。
今は朱乃先輩の淹れてくれたお茶を飲んで一息ついてる。うーん、やっぱり旨い!
「あらあらうふふ、ありがとうございます」
いつも通りの朱乃先輩。やっぱりこうじゃないとな。
話は戻るがイッセーのあの態度について部長が聞いていた。
予想通り、イッセーはライザーが気に食わなかった。途中までは良かったが、最後の濃厚なキスには我慢できず爆発した。
「もしグレイフィアが割り込まなかったらどうしてたの?確実に殺されていたわよ」
「すみません。それはわかってます。でも俺、許せなかったんです。部長と結婚するってのに他の女の子と……部長と結婚出来るだけでうらやましいのに」
あーそれはおれも思った。どんなに眷属同士のスキンシップって言っても、仮にも婚約してんだぞ。少しは自重しろよ。
イッセーが言うと部長が顔を赤らめながら、
「 ま、まあ過ぎてしまったことはどうしようもないからね。取り合えずこれからのことを朱乃と話したいから、今日はこれで解散よ」
『はい』
家
「ただい……ま!?」
「あ、お兄ちゃんお帰りー」
「お帰りー」
「あら、近衛。今日は早かったのね」
家に帰るとなんと!母さんたちが料理をしているではないか!
「お、お母さま?何をしていらっしゃるのですか?」
「何って、見ての通りカレーライスを作ってるのよ」
「な、なして?」
「いつも近衛ばかりに負担かけてるからね、たまには私たちだけで料理を作ってみようと思って、ねー」
「「ねー」」
ねーってなんだよ!ま、まあ母さんが料理をしてくれるならおれも助かるけど……。
「……料理できんの?」
「できないわ」
ズコッ
衝撃の言葉に思わずコケる。
「できないわ、じゃねぇよ!ならやんなよ!いや、気持ちは嬉しいけどさ!」
「そうなのよ~、始めたわいいけど何からやっていいのやら。三人で相談してたら丁度あんたが帰ってきて助かったわ」
ついさっき料理を始めたらしい。よ、良かった!大事故は免れた。
「わ、わかった。後はおれがやっとくから、母さんたちは居間にでも行ってテレビ見てて」
「えーでも……私たちも手伝うわ」
「いいから!気持ちだけ受けとるから!」
「そ、そう?じゃあお言葉に甘えて。遥香、健二いくわよ」
「「はーい」」
残念そうに去る三人。でもこれでいい。あんなことがあった後だから、三人を監視しながら料理をするのは不可能だ。あーどっと疲れた。
そう考えて、部屋に行き着替えて料理を始める。何とも言えない疲れる一日だったな。