ハイスクールD×D~九尾の少年~   作:toruyuki

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第8話

決戦当日

 

 

 

「やべぇ、来ちゃったよこの日が」

 

おれは部室でそんなことを呟いた。修行中は気持ちがそっちに向いてたからあまり考えなかったが、当日になると途端に怖くなってきた。

 

『なんだ?怖じけずいたのか?』

 

「そ、そんなことねぇよ!」

 

『だよな。これでそんなんだったら俺の力は一生かかっても制御出来ねぇからな』

 

「……先輩どうしたんですか?独り言を呟いて」

 

近くにいた小猫ちゃんがおれの言動を不思議がって聞いてきた。

 

「あ、いやちょっと九十九と話しててな」

 

「……そうですか」

 

あまり興味がなかったのかそれ以上は追求してこなかった。ちなみに九十九のことは部員全員に話している。

 

「それにしても……みんな落ち着いているな」

 

部室を見回してそんな感想を抱く。部室には部長と朱乃先輩、木場、小猫ちゃんの四人がいる。イッセーとアーシアさんはまだ来ていない。

 

部長は紅茶を飲んでいて、朱乃先輩はその側で静かに立っている。木場は剣の手入れをしているし、小猫ちゃんは指先の無いグローブをつけて動作の確認をしている。

 

やっていることは違うが全員落ち着いている感じがする。それに比べておれなんてな……。

 

軽くネガティブになっているとイッセーとアーシアさんがやってきた。

 

「失礼します」

 

「し、失礼します!」

 

普段通りのイッセーと緊張しているアーシアさん。こいつも意外と大物だよな。

 

全員が揃い各々リラックスしやすい状態で開始時刻まで待った。

 

開始十分くらい前に部室の魔方陣が光った。現れたのは長い銀髪を三つ編みにしたグレイフィアさんだった。

 

「みなさん、準備はお済みになられましたか?」

 

グレイフィアさんの言葉にみんなが立ち上がる。

 

「開始時刻になりましたら、ここの魔方陣から戦闘フィールドへ転送されます。場所は異空間に作られた仮想の世界です。使い捨てですのでどんな派手なことをしても構いません」

 

ゲーム場について説明を受ける。ゲーム一つにそこまでやるなんて、どれだけ大規模な戦闘になるのやら。

 

「部長、一ついいですか?」

 

「何かしら?イッセー」

 

「部長にはもう一人、アーシアの他に『僧侶』がいますよね?そいつは今回参加しないんですか?」

 

そういえばそんなこと前に言ってたっけ。緊張しすぎて忘れてたよ。

 

イッセーの質問に部屋の空気がガラリと変わった。龍の逆鱗に触れたかのように。

 

「……あの子は参加できない事情があるの。後でその事について教えるわ」

 

ばつの悪そうな顔をしながら部長が言った。主の大事なゲームに参加できないほどの事情か。どんなのだろうな。

 

重い空気を取り除くかのようにグレイフィアさんが、

 

「今回の『レーティングゲーム』は両家のみなさまも他の場所から中継で戦闘をご覧になります」

 

てことは部長の家族も見られるってことか。お偉いさんたちは高みの見物ってことね。

 

「さらに魔王ルシファーさまも今回の一戦を拝見されます。それをお忘れなきように」

 

魔王!?そんな偉い御方がこのゲームを見んの!?どれだけ注目されてんだよ。あ、お腹痛くなってきた。

 

「お兄さまが?……そう、お兄さまが直接見られるのね」

 

…………え?今なんと?

 

「あ、あの部長今、魔王さまのことお兄さまって言いましたか?」

 

おれと同じ疑問を持ったイッセーが手をあげながら聞いた。それに対し木場が、

 

「うん。部長のお兄さまは魔王さまだよ」

 

「え…………えぇぇぇぇぇぇ!?」

 

「嘘だろ!?」

 

「本当よ」

 

信じられない事実をあっさりと肯定する部長。

 

「で、でも部長と魔王さまの名前違くないですか?」

 

「前に先の大戦で四大魔王さまが亡くなったのは教えたよね?でも魔王なくして悪魔はあり得ない。そこで、悪魔たちは魔王の名前を残して、強大な力を持つものへ名を受け継がせたんだ」

 

現四大魔王は、初代から名を受け継いだ後継者の最上級悪魔ってわけだ。今じゃ『ルシファー』も『ベルゼブブ』も役職か。

 

「当時から、強大な力を持っていた部長のお兄さまが魔王に選ばれたのか」

 

「うん。サーゼクス・ルシファー―――。『紅髪の魔王』、それが部長のお兄さまであり、最強の魔王さまだよ」

 

サーゼクス・ルシファー。『グレモリー』ではなく『ルシファー』。もう部長とは同じ家名を名乗っていない。

 

「……だから、部長は家を継がないといけないのか」

 

イッセーが歯がゆい感じで呟いていた。しょうがねえよな、兄貴が魔王になってんだからな。

 

「そろそろお時間です。みなさま、魔方陣の方へ」

 

グレイフィアさんに促され、魔方陣に集結する。

 

「なお、一度あちらへ移動しますと終了するまで魔方陣での転移は不可能となります」

 

戻ってきた時には勝敗は決まっている。なら、次の転移もみんなでだな!

 

魔方陣の模様が変わり、光に包まれる。

 

 

 

 

転移した先は、

 

「部室?」

 

そう、そこはオカルト研究部の部室だった。何でだ?転移失敗?そんなことを考えてると、

 

『みなさま、この度グレモリー家、フェニックス家の「レーティングゲーム」の審判役を務めさせていただく、グレモリー家の使用人グレイフィアてございます』

 

校内放送がかかった。

 

『我が主、サーゼクス・ルシファーの名のもと、ご両家の戦いを見守らせていただきます。よろしいお願いします。さっそくですが、今回のフィールドはリアスさま、ライザーさまお二人の意見を参照にし、リアスさまが通われる「駒王学園」のレプリカを異空間にご用意いたしました』

 

マジかよ!レプリカっていっても再現度高いな!ほぼそのまんまだよ。

 

『両陣営転移されました先が「本陣」となります。リアスさまは旧校舎のオカルト研究部の部室、ライザーさまは新校舎の生徒会室が「本陣」となります。『兵士』の方々はプロモーションをする際には、相手の「本陣」の周囲まで赴いてください』

 

「全員、これを耳につけてください」

 

グレイフィアさんの説明が終わり、朱乃先輩からフヨフヨした光る玉を渡された。

 

「これは?」

 

「通信機よ。戦場ではこれで仲間同士やり取りするわ」

 

へぇーまたしても悪魔の便利道具ですか。

 

『ゲームの開始時刻となりました。なお、制限時間は人間界の夜明けとなります。では、ゲーム開始です』

 

キーンコーンカーンコーン

 

チャイムが鳴る。なるほどこれが開始の合図か。

 

こうして、グレモリー眷属初の『レーティングゲーム』が始まった。

 

 

 

「さて、まずはどう攻めるか戦略を立てましょう」

 

そう言ってソファに座り優雅にくつろぐ部長。朱乃先輩はお茶の準備を始めた。

 

「え?もう、ゲームは始まってますよね?」

 

「そうよ、でも『レーティングゲーム』は短期決戦で決めるものではなくその逆。地理を利用したり、戦術を駆使して時間をかけるの。もちろん短期決戦の場合もあるわよ?」

 

用意されたお茶を飲む部長。そうはいっても流石にくつろぎすぎなんじゃ……。

 

「部長、これを」

 

木場が部長に地図を渡す。それは学校の見取り図だったが縦横に何本もの線が引かれてあった。なるほど、チェスのマスに見立ててんのか。

 

「私たちの本陣近辺には森がある。この森を利用してトラップを仕掛けるわ。この役目は祐斗、小猫、近衛の三人にやってもらうわ」

 

「わかりました」

 

「それが終わり次第、朱乃は森とその上空に霧と幻術をお願い」

 

「わかりましたわ」

 

部長がどんどんと命令を出していく。初めてなのにここまで出来るなんてすげぇな。

 

「部長、旧校舎よりの体育館。これを先に占領しませんか?そうすれば、新校舎までの道を確保できます」

 

「そうね、私もそう考えたわ。構造的に機動力のある『騎士』より破壊力のある『戦車』の方が生かせるわね」

 

それからも部長は朱乃先輩や木場と作戦を立てていく。

 

「じゃあみんな、さっきのお願いできるかしら」

 

「はい、任せてください」

 

「お安いご用ですわ」

 

おれと木場と小猫ちゃんは森にトラップを仕掛けに、朱乃先輩はそれが終わり次第霧と幻術をかけにそれぞれ向かった。

 

「それにしてもすげぇな。あんなにポンポン作戦が出てくるなんてな。どれだけの時間、研究してきたんだろう」

 

「うん、そうだね。部長にとっても今回は初のゲームだから張り切ってるんだよ」

 

トラップを仕掛けながらそんな会話をする。

 

「……私たちだって同じです」

 

「「え?」」

 

「……部長と一緒に勝つために頑張ってきたんですから」

 

「あぁそうだな!みんなで頑張ってこのゲーム勝とう!」

 

「うん!僕も久々にやる気が出てきたよ!」

 

「……はい」

 

 

 

 

「じゃあイッセー、近衛、小猫よろしくね。体育館ではバトルは避けられないから指示通りお願い。あそこは重要な場所になるわ」

 

トラップを仕掛け終わり、次の作戦に移る。今度はイッセーと小猫ちゃんと一緒だ。

 

「了解です!」

 

イッセーと小猫ちゃんも隣でうなずく。

 

「では、僕も行きます」

 

「祐斗も指示通りにうごいてちょうだい」

 

「わかりました」

 

「アーシアは私と待機ね。でもイッセーたちから要請があったら動いてもらうわ」

 

「わ、わかりました!」

 

緊張気味に返事をするアーシアさん。そんな彼女をイッセーが撫でる。

 

「朱乃も頃合いを見てお願いね」

 

「はい、部長」

 

ニコニコ笑顔の朱乃先輩。おれたちの作戦はこの人の一撃で決まる。

 

部長が全員の確認をとると一歩前に出た。

 

「さて、私のかわいい下僕たち。準備はいいかしら?もう引き返せないわ。敵は不死身のフェニックス家のなかでも有望視されている才児ライザー・フェニックスよ。さあ!消し飛ばしてあげましょう!」

 

『はい!』

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