ハイスクールD×D~九尾の少年~   作:toruyuki

26 / 53
第12話

イッセーと別れた後おれたちも会場に案内された。しかも一番前の席。部長の下僕ってことで許されたみたいだ。

 

開始までもう少しなので周りも静かになってきた。そしてついに、

 

「時間です。始めてください」

 

イッセーとライザーの決闘が始まった。

 

「部長!ここでプロモーションする許可をください!」

 

開始早々叫ぶイッセー。それに応える部長。目を閉じ何かを願う。

 

「プロモーション『女王』!」

 

最強の駒に昇格するイッセー。それにともないあいつから感じるプレッシャーが高まった。

 

「部長!」

 

再度叫ぶ。今度はこっちを向いて。

 

「俺には木場みたいな剣の才能はありません!朱乃さんみたいな魔力の天才でも、小猫ちゃんみたいなバカ力もありません!アーシアの治癒の力も、近衛の九尾の力もありません!それでも最強の『兵士』になります!」

 

「あなたのためなら、どんな敵でも倒します!このブーステッド・ギアで、唯一の武器で!あなたを守ります!」

 

そう叫ぶイッセーはかっこよく、ライザーを含む会場の全員が口を閉ざしていた。

 

「輝け!オーバーブーストォォォ!」

 

『Welsh Dragon over booster!!!!』

 

イッセーの左腕の籠手の宝玉が赤い閃光を放つ。その光は会場全体を照らし、イッセーの体が真紅のオーラに包まれる。

 

そのままライザーに向かって駆け出した。真紅のオーラは徐々に形を作っていき、赤い鎧と化した。

 

それは全体的に鋭角なフォルムをしていて、小型のドラゴンを想わせた。

 

「これが龍帝の力!禁手、『赤龍帝の鎧』―――封印されしドライグの力だ!」

 

「バランスブレイカーだと!?この短時間でどうして!?」

 

「そんなことはどうでもいい。この力で……ドライグとともに、お前をぶっ飛ばす!」

 

『Ⅹ』

 

カウントダウンが始まった。時間制限があるみたいだ、十秒間という短い制限が。

 

イッセーはライザーに向かって腕を突きだした。その手に魔力の波動を感じる。そのまま、その魔力をライザーに打つ。

 

すると、手から放たれた魔力は巨大な塊となった。予想していたのより大きかったためかガードの姿勢から、避ける動作に変えたライザー。

 

『Ⅸ』

 

その隙を逃さず、突進するイッセー。突然のことに動くことができないライザー。チャンスだ!って思ったけどスピードに対応できなくて、そのまま壁に激突した。

 

ゴォォォォォォォン!

 

会場に轟音が響き渡る。勢いがスゴかったため壁が崩れたが、イッセーには傷一つなかった。すごいなあの鎧。

 

『Ⅷ』

 

今度はライザーの番だ。背中から炎の翼を広げて、体を虹色のオーラが覆う。

 

「赤龍帝のクソガキ!悪いが手加減しないぜ!今のお前はバケモノだ!主であるリアスの前で散れぇぇぇ!」

 

咆哮とともにライザーの全身を炎が渦巻き、会場全体を強烈な熱気が襲う。

 

「火の鳥と鳳凰!そして不死鳥フェニックスと称えれた我が一族の業火!その身で受けて燃え尽きろ!」

 

巨大な火の鳥と化しながらイッセーに高速で迫る。あの量の炎だ、受ければひとたまりもない。それなのにイッセーは避けようとせず、

 

「お前の炎で俺が燃え尽きるわけねぇだろォォォォ!」

 

吼えながらライザーに突っ込んだ。

 

ドゴンッ!

 

互いの拳が顔面にぶつかり合った時、力と力が生み出した衝撃波が会場を震わせた。そのまま、会場のど真ん中で殴り合いを始めるイッセーとライザー。

 

イッセーの拳が、ライザーの炎が互いの体を傷つけながらもなお止めない二人。

 

『Ⅶ』

 

殴り合いを続けるなか、イッセーが左手に何かを隠しライザーを殴る。すると、今までとは違い血を吐き出すライザー。再びイッセーを見たその顔には驚きの色が浮かんでいた。

 

「十字架!十字架だと!?」

 

イッセーの左手には十字架が握られているみたいだ。でも十字架は持つだけで悪魔の体を激しく焦がすはず。そんなの持ってて大丈夫なのか?

 

『Ⅵ』

 

「こいつの効果を神器で増大させて、あんたを殴った。高めに高めた聖なる力は、たとえフェニックスだろうとそう簡単には癒せないだろ?」

 

「バカが!それは貴様も同じだろ!いかに赤龍帝の鎧を身につけようと―――!」

 

そこまで言って何かに気づいたライザー。その視線はイッセーの左腕を見ていた。

 

「……籠手に宿るドラゴンに……自分の腕を支払ったのか……?それが『禁手』の理由か……!」

 

『なっ!?』

 

ライザーの言葉に驚くおれたち。マジかよ、イッセー!そこまでしてお前は部長を……。

 

左の方にいる部長を見てみると涙を流していた。

 

「ああ、そうだ。ドライグの絶大な力を得るために、俺は左腕を支払った。だから、この腕はドラゴンの腕だ。当然、十字架は効かない」

 

ライザーの言葉を肯定するイッセー。

 

「そんなことをすれば二度と元の腕には戻らない!それがわかっているのか!?」

 

「それがどうした」

 

『Ⅴ』

 

「俺みたいな才能の無い奴の腕一本で、部長が戻ってくる。これほど安い取引は無いだろ?」

 

狂気的なイッセーの考えに会場全体が息を呑んだ。

 

「イカれてるな……。いや、だからこそ迷いのない一撃を放てるのか……。怖いな、初めてお前に心底畏怖した。だから!」

 

ライザーの両翼の炎が勢いをます。

 

「全力でお前を倒す!」

 

先程よりも強烈な焔を纏い突進する。イッセーはそれを迎え撃ち、互いの拳を殴り合う。激しい閃光に目を焼き付けられ、視界が奪われた。徐々に戻ってくると何故かイッセーの鎧が解けていた。

 

「!」

 

その一瞬を逃さずイッセーの首を締め上げるライザー。イッセーは苦悶の声をあげる。

 

「『兵士』の力でよくやった、褒めてやるよ。正直、ここまでやれるとは思ってなかった。ドラゴン使いの力、この身で十分体験できた。後一年――いや、半年お前がドラゴンの力に慣れていたら俺は負けていた」

 

真剣な表情でライザーが言う。本当にそう思っているようだ。

 

「さて、そろそろ決めさせてもらうか。少し意識を失うだけだ。目が覚めたころには式も終わっているだろう。俺もサドじゃないんでな、一気にやってやるよ」

 

左腕に炎を渦巻かせながら勝ち誇った顔をするライザー。そんな奴に対しイッセーは笑っていた。

 

「火を消すなら水だよな!」

 

懐から瓶を取り出す。あれは確か、アーシアさんが持っていた瓶だ。てことは中身は聖水か?

 

ライザーも中身の正体に気づいたのだろう、顔を青ざめさせた。そしてかけられる前にイッセーの意識を奪うためにもっと強く首を締める。

 

「ブーステッド・ギア!ギフト!」

 

『Transfer!!』

 

苦しそうな顔をしながらも、何とか聖水の効果を高めライザーに振りかけるイッセー。

 

ジュワァァァァァァァァ!

 

「うがぁぁぁぁぁぁあああああ!」

 

高められた聖水をかけられ悲鳴をあげるライザー。体も熱した鉄に水をかけた音を最大限にしたような音をあげる。

 

のたうち回り、少しずつ煙が晴れていくと全身火傷を負った状態になっていた。

 

イッセーは十字架を握り直し、懐から二つ目の聖水を取りだし拳にふりかける。

 

「アーシアが言っていた。十字架と聖水は悪魔が苦手だって」

 

ライザーとその周囲を見るかのように距離を取る。

 

「木場が言っていた。視野を広げて相手と周囲を見ろと」

 

ライザーに拳を突きだす。そこに全身から魔力を集め、十字架と聖水に力を譲渡する。

 

『Transfer!!』

 

「朱乃さんが言っていた。魔力は体全体を覆うオーラから流れるように集める。意識を集中させて、魔力の波動を感じればいいと」

 

ライザーを見据えて体勢を整え拳を構える。

 

「小猫ちゃんが言っていた。打撃は体の中心線を狙って、的確にかつ抉り込むように打つんだと」

 

全てあの十日間で習ったことだ。おれたちの修行は意味があったんだ。

 

「近衛が言っていた。惚れた女は死んでも守れと!」

 

何かイッセーが恥ずかしいこと言ってます。確かに言ったけど、今言わなきゃいけないことか!?

 

イッセーが拳の照準を合わせるとライザーはあわてふためいた。

 

「ま、待て!わ、わかっているのか!この婚約は悪魔の未来のために必要で大事なものなんだぞ!?お前のような何も知らない小僧悪魔がどうこうするようなことじゃないんだぞ!」

 

「そんなことはわかってる。でもな、お前に負けて気絶したとき、うっすらとだが覚えてることがある。―――部長が泣いていた。泣いてたんだよ!そして、さっきも泣いていた!俺がお前を殴る理由はそれで十分だァァァァァァァ!」

 

ドゴンッ!

 

イッセーの魂の叫びとともに放たれた拳は、ライザーの腹部を的確に捕られ打ち抜いた。

 

「こんなことで……俺が……」

 

血反吐を吐きながら地面へ倒れ込むライザー。奴はその場で二度と立ち上がることはなかった。

 

 

 

 

イッセーは倒れたライザーを一瞥した後こちらに歩を進め、部長の前に立ち笑いながら、

 

「部長、帰りましょう」

 

「……イッセー」

 

またしたも泣いている部長。今日になって部長の泣き顔をよく見るな。

 

次にイッセーは部長の隣にいるダンディな紅髪の男性、部長のお父さんに頭を下げはっきり言い渡した。

 

「部長を、俺の主であるリアス・グレモリーさまを返していただきます。勝手な振る舞いをしてしまい、大変申し訳ございませんでした。でも部長は連れて帰ります」

 

その言葉に部長のお父さんはただ目をつむっただけだった。

 

部長の手を取り、懐から一枚の紙を取り出すイッセー。それを裏返すと目映い光に包まれた。

 

キュイィィィィ

 

現れたのは頭が鷹で体がライオンで背中から翼を生やした、いわゆるグリフォンと呼ばれる生物だった。

 

部長をお姫さま抱っこして乗せるイッセー。その姿はまさしくお姫さまを守る騎士のようだった。

 

イッセーはこっちを見て困惑した顔を浮かべる。そんな顔すんなよ、わかってるからさ。

 

みんな優しく微笑むだけで何も言わない。それでもイッセーにおれたちの想いは伝わり、

 

「部室で待ってるから!」

 

そう言って部長と夜のデートに旅立った。

 

「……行きましたね」

 

「うん」

 

隣にいる小猫ちゃんの言葉に同調する。すると、顔を赤くしモジモジしながら小猫ちゃんが、

 

「……あ、あの近衛先輩。遅くなりましたけど、あの時は……その……ありがとう……ございました」

 

感謝の言葉を発した。おれはその姿が可愛すぎて当然の如く鼻血を噴出させ、ぶっ倒れた。

 

「……先輩、何してるんですか?」

 

さっきの姿は何処にいったのか……ってくらいの態度の変わりようで聞いてきた。

 

「あーごめんごめん。……別に感謝されるためにやったわけじゃないから、気にしなくていいよ」

 

「……でも……それじゃあ。……何かお礼がしたいんです」

 

それでもなお引かない小猫ちゃん。うーんどうすっかな~。……そうだ!

 

「それだったら、今度おれの買い物に付き合ってくれない?丁度女の子目線の意見が欲しかった所なんだよ」

 

「……わかりました」

 

おれの提案に少しだけ嬉しそうに頷く小猫ちゃん。やべぇ、おれもうこの子が可愛すぎてマジで死にそう。

 

この後、冥界から帰ったおれたちは部室に集合して、部長奪還成功パーティーを開いた。部長は恥ずかしがっていたが、どこか嬉しそうでもあった。

 

これは余談だが、あの後部長はイッセーの家にホームステイという名の同居を始めた。何でも『これも下僕との交流を深めるためよ』とか言ってた。あーおれの家にも小猫ちゃんが泊まりに来ないかなー。




第2章終わりました!
前回よりは早いペースで終われたかと思います。

今回は近衛の新しい力と小猫ちゃんとの仲を進展させることができました。

後は、後半イッセーの行動が原作中心になってしまいましたがご了承ください

前回と同じく番外編を一つだして第3章にいきたいと思います。

これからもどうぞよろしくお願いします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。