ハイスクールD×D~九尾の少年~   作:toruyuki

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第2話

「さあ、松田くん元浜くん。何か言い残すことはないかね?」

 

「野獣」

 

「ロリコン」

 

「そうか……それが最後の言葉か。……何だとごらぁぁ!?」

 

「「ま、待て!話せばきっと―――」」

 

「ん?何を言っているのかな?君たちは人間の特権である゛話し合い゛を放棄して本能の赴くままに、私をボコボコにしたではないかね?」

 

「いや……それは……」

 

「気の迷いで……」

 

「ね」

 

「「……はい」」

 

「そうだよな。……死ね!」

 

「「うぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

ある日の朝の出来事。

 

 

 

 

 

カキーン

 

「オーライオーライ……よっと」

 

「ナイスキャッチよ、イッセー」

 

部長が笑顔でグーサインをイッセーに送る。

 

赤みがかってきた空の下、おれたちは旧校舎の裏側で野球をしていた。遊んでいるわけではなく練習である。

 

実は来週、年に一度の球技大会が行われる。クラス対抗戦、男女別戦などに加え部活対抗戦もあるんだ。

 

部長はライザーとの一戦以来、勝ち負けに強いこだわりを持つようになった。前々から負けず嫌いだとは思っていたがさらに拍車がかかった。具体的には、

 

「次はノックよ!アーシア、行くわよ!」

 

キン!

 

「あ、あ……あう!」

 

「アーシア!取れるように頑張りなさい!」

 

「は、はい!」

 

このように運動神経がさほど高くないアーシアさんにも厳しいんだ。

 

通常おれたち悪魔は、人間よりも身体能力が高いから普通にやっても勝てる。だから練習なんて必要ないのだが部長が、

 

「頭でわかっていても、体で覚えないとダメよ」

 

と言ったので部員全員で取り組んでいる。のだが……

 

「次、祐斗!行くわよ!」

 

カーン!

 

「……」

 

コン

 

何かを考え込むようにうつむいている木場の頭にボールが落ちる。

 

「おーい、木場!しっかりしろ!」

 

イッセーが声をかけるがそれに対してもボケーッとしている。と、足元にあるボールに気づいたのか拾い、作業的な放り方で部長のほうへ投げる。

 

「祐斗、どうしたの?最近、ボケっとしてて、あなたらしくないわよ?」

 

「すみません」

 

素直に謝る木場。だが部長の言う通り、ここ最近難しい顔で考えごとをしている感じがする。イッセーの家であの写真を見てから。

 

あの時の様子から『聖剣』と木場の間に何かしらの関係があることはだいたい予想ができる。しかも因縁が深そうだが……。

 

まぁ、おれがどうこう考えても何かが変わるわけでもないから、今は目の前のことに集中だ。お、部長がまた野球のマニュアル本を読み出したぞ。本当何事にも余念がないよなぁ~。

 

「そういえば最近、部長ったら恋愛のマニュアル本を読んでいるんですよ」

 

朱乃先輩がイッセーに話しかけると、

 

「恋愛のマニュアル本?まさか……部長……」

 

こちらも何やら難しい顔で考えごとを始めた。何を考えてるのか想像はつくがな。イッセー、その心配は杞憂に終わるぞ。

 

すると、今度は小猫ちゃんが、

 

「……近衛先輩、実は私も読んでいるんです」

 

「え?恋愛のマニュアル本?」

 

「……はい」

 

「………………」

 

嘘だろぉぉぉぉ!?小猫ちゃんが恋愛本!?そ、そんな……小猫ちゃんに好きな人が……。

 

ガクッ

 

その場に四つん這いになり涙を流すおれ。血涙でも流すんじゃないかという勢いで。そのせいで小猫ちゃんが何か言っていたが聞こえなかった。

 

「さーて、再開……といきたいけど、近衛どうしたの?」

 

「……気にしないでください。ただちょっと、悲しい事実があったもんですから……」

 

「そ、そう?じゃあ、再開よ!」

 

部長がバットを持ち上げ再開した。

 

 

 

数日後

 

 

 

球技大会前日。今日は昼休みに最後のミィーティングとして集まりがある。だから昼食を早めに食べ終え、イッセーとアーシアさんと一緒に部室に向かった。

 

部室に入ると、他の部員たちはすでに集まっていた。がその他にも人がいる。てか、

 

「生徒会長?」

 

そう、イッセーの言う通りその人物とは我が学園が誇る生徒会長、支取蒼那先輩だ。もう一人男子生徒がいるが……誰だったかな?

 

すると、イッセーの様子にその男子生徒が、

 

「あれ?リアス先輩、もしかして俺たちのことを兵藤に話していないんですか?」

 

不思議そうに聞いてくる。……あぁ!そうだこいつ、最近生徒会に新しく入った書記の奴だ!名前は知らんが。

 

その書記の奴に生徒会長が静かに言う。

 

「サジ、基本的に私たちは『表』の生活以外ではお互いに干渉しないことになっているの、だから仕方ないのよ。それに彼は悪魔になって日が浅いわ。兵藤くんは当然の反応をしているだけ」

 

会長の話し方からすると、会長だけでなく生徒会全員が悪魔ってことか?じゃあこの書記の奴も悪魔か?

 

隣を見てみるとイッセーとアーシアさんが驚いた顔をしていた。すると、朱乃先輩が説明をしてくれる。

 

「この学園の生徒会長、支取蒼那さまの真実のお名前はソーナ・シトリー。上級悪魔シトリー家の次期当主さまですわ。近衛くんはこの前お会いしましたよね?」

 

「はい。お久しぶりです、ソーナ・シトリーさま。あの時は挨拶できず申し訳ございませんでした」

 

「いえ、あなたも悪魔になって日が浅いのですから、これから覚えていけばいいのです」

 

優しく微笑みかけてくれるがちょっと怖い。ブルッ

 

「シトリー家もグレモリー家やフェニックス同様、大昔の戦争で生き残った七十二柱のひとつ。この学園は実質グレモリー家が実権を握っていますが、『表』の生活では生徒会――つまり、シトリー家に支配を一任しております。昼と夜で学園での分担を分けたのです」

 

へぇ~そうだったんだ。……グレモリー家がこの学園の実権を支配してる?部長のお家って何者……?

 

朱乃先輩の説明の後に、書記の奴が口を開いた。

 

「会長と俺たちシトリー眷属の悪魔が日中動き回ってるからこそ、平和な学園生活を遅れているんだ。それだけは覚えておいてくれてもバチは当たらないぜ?ちなみに俺の名前は匙元士郎。二年生で会長の『兵士』だ」

 

「おぉ、俺と同学年で同じ『兵士』か」

 

イッセーが少し嬉しそうに話す。それと同じように匙元士郎も頷く。

 

「ああ、俺も成績優秀、スポーツ万能のお前と同じで嬉しいぜ。まぁ、変態三人組と一緒にいるのはたまに傷だけどな」

 

「まぁそれは腐れ縁ってやつだよ」

 

二人して苦笑する。……ん?変態三人組?松田だろ、元浜だろ?あと誰だ?

 

「なぁ、もしかしてだけど変態三人組の一人っておれ?」

 

どんなに考えても思い当たらなかったので、二人に聞いてみたら、

 

「「当たり前だろ」」

 

即答しやがった!なんて奴らだ!本人目の前にしてこの態度!

 

「お前ら酷すぎるだろ!ケンカ売ってんのか!」

 

「お?やるか?こう見えて俺は駒四つ消費の『兵士』だぜ?最近悪魔になったばかりだが、お前には負けるかよ」

 

「ほぉー。良い度胸だな。お前がその気ならこっちも―――」

 

「やめなさい、近衛。これ以上私に恥をかかせるの?」

 

「あなたもです、サジ。お止めなさい」

 

取っ組み合いを始めようとしたおれたちに、それぞれの主さまが冷たく言い放つ。やべぇ、怒らせたかな……?

 

「「うっ……すみません」」

 

「ごめんなさいねリアス。私の眷属が無礼をはたらいて」

 

「いえ、こちらこそ。この子はちょっと血の気が多いものですから」

 

苦笑いしながらそれぞれの下僕の無礼をわびるお二方、うぅーすみません。

 

「ちっ、お前のせいで会長に迷惑かけたじゃねぇか」

 

「そっちのせいだろうが、『兵士』野郎が」

 

「なんだと!?」

 

「やんのか!?」

 

ゴン

 

「「止めなさい」」

 

「「――ッ!す、すみません!」」

 

「はぁ、お互いのルーキー紹介はこれで十分でしょうね。では、私たちはこれで失礼します。お昼休みに片付けたい書類がありますから」

 

「会長―――いえ、ソーナ・シトリーさま。これからよろしくお願いします」

 

「よ、よろしくお願いします!」

 

「……よろしくお願いします」

 

イッセーに続いておれたちも挨拶する。相手の下僕があんなんでも会長は上級悪魔、しかも部長の知り合いだ。グレモリー眷属の新人悪魔が頭を下げるのは当然だ。

 

「ええ、よろしくお願いします」

 

会長は微笑みながら返してくれた。部室を出るとき微笑んだまま、

 

「リアス、球技大会が楽しみね」

 

「えぇ、本当に」

 

部長も笑顔で返した。仲良いなぁ、言葉少なくても伝わるほど。

 

「イッセー、近衛、アーシア。匙くんと仲良くね。他の生徒会メンバーともいずれ改めて悪魔として出会うでしょうけど。同じ学び舎で過ごす者同士、ケンカはダメよ?特に近衛は気をつけなさい」

 

「……はい」

 

部長に言われたら仕方ない。あいつのことはムカつくけど我慢します。

 

 

 

球技大会当日

 

 

 

「よーし!頑張りますか!」

 

「あら、良い意気込みね近衛」

 

球技大会に向けて気合いを入れていたら、部活対抗戦の競技を確認しに行っていた部長が戻ってきた。

 

「あ、部長。どうでした?部活対抗戦の競技」

 

「ふふふ、勝ったわよ、この勝負」

 

不敵に笑う部長。ちょっと怖い。

 

「それで何でした?」

 

「ドッジボールよ!」

 

部長はピースサインをするが嫌な予感しかしない。

 

とはいっても、部活対抗戦は最後の方だからまずはクラス対抗戦だな!おれは野球だったはず。部長のおかげで何とかなりそうだ。

 

予想通りおれたちのクラスは順調に勝ち進み、見事優勝を果たした。男女別も優勝は出来なかったが、良いとこまでは勝つことが出来た。

 

そして部活対抗戦。始まる前にみんなで集まる。

 

「気合いを入れなさい、あなたたち」

 

『はい!』

 

部長の言葉に気持ちを入れ替える。すると、アーシアさんがイッセーに何かを耳打ちしている。

 

「みんな、これを巻いてチーム一丸になりましょう」

 

取り出されたのは『オカルト研究部』と刺繍されているハチマキだ。おーこれはすごい。

 

「すごいじゃないのイッセー。あなたにこんな才能があったなんてね」

 

「いや、それほどでも無いですよ。部活対抗戦があるって聞いた日から取り組んでたんで。人間下手でも続ければ上達するもんですね」

 

と部長に誉められて照れながらも謙遜するイッセー。対抗戦の話聞いた日からってことは、大分時間が経ってるけどそれでもすごいな。それだけイッセーも気合いをいれてるってことかな。

 

イッセーが作ったハチマキをみんなで誉めちぎった後、全員で頭に巻いた。すると、タイミングよく放送がなった。

 

『オカルト研究部のみなさんと野球部のみなさんはグラウンドへお集まりください』

 

お、呼び出しだな。さぁ!戦いの始まるぞ!

 

 

 

 

「狙え!兵藤と桜を狙うんだ!」

 

「うおおおお!やっぱりかぁぁぁあ!」

 

「何で俺までぇぇぇ!」

 

豪速球を避けながら叫ぶおれとイッセー。

 

始まった部活対抗戦だが、開始早々からおれたちばかり狙われている。

 

理由は簡単。他の人たちを当てるといろいろとマズイからだ。

 

部長―駒王学園の二大お姉さまの一人。大人気の学園のアイドル。当てられない

 

朱乃先輩――部長と同じく二大お姉さまの一人。学園のアイドル。当てられない

 

アーシアさん――二年生ナンバー1の癒し系天然美少女。しかも金髪。当てられない

 

小猫ちゃん――学園のマスコット的なロリロリ少女。当てたらかわいそう。

 

木場――全男子の敵だが、当てたら女子に恨まれる。当てられない

 

おれとイッセー――美男美女が揃うオカルト研究部に何故かいる二人。当てても問題ないだろう。むしろ当てるべきだ。ちくしょう、死ね。死んでしまえ!

 

このように究極の消去法でおれたちへ集中放火する。

 

「イッセーを殺せぇぇぇ!」

 

「そのロリコンを滅しろぉぉぉ!」

 

何だってんだよ!おれが誰を好きになろうと勝手だろうが!すると、何を思ったのか野球部の一人が狙いを木場にかえた。

 

「クソォ!恨まれてもいい!イケメンめぇぇぇぇ!」

 

しかし木場は気づかないのか避ける素振りを見せない。それを見かねてイッセーが飛び出る。

 

体を張って止めようとしたイッセーだが、ボールは軌道をかえ、イッセーの下腹部へと―――。

 

ドォォォォォン!

 

「―――ッ!」

 

うずくまるイッセー。そりゃそうだ!見てるだけでも痛いよ!

 

駆け寄るおれたち。部長がイッセーを抱きかかえる。

 

「部長……も、もうダメです」

 

「大丈夫よ!あとは任せなさい、イッセー!」

 

「あらあら、大変ですわ」

 

「……ご愁傷さまです」

 

「イ、イッセーさん!」

 

「こりゃ治療が必要だな」

 

「…………」

 

この後イッセーは小猫ちゃんにつれられ体育館の裏側でアーシアさんから治療を受けた。

 

イッセーを欠いたおれたちだが、部長が「イッセーの弔い合戦よ!」って言ってバンバン勝ち進んで普通に優勝した。

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