ハイスクールD×D~九尾の少年~   作:toruyuki

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第8話

「やっぱりあの後木場から連絡は……」

 

「ええ、手練れの二人も一緒だからよほどのことが無いと無事だとは思うけど」

 

次の日の放課後、木場は部室にやってこなかった。しかも部長にもイッセーにも連絡は来なかったらしい。どこでもなにやってんだか。

 

「使い魔に祐斗たちを探索させているから、見つけしだいみんなで迎えにいきましょう」

 

『はい』

 

すると、何を思い付いたのか突然立ち上がる部長。

 

「私の使い魔が誰かを見つけたわ。行くわよ、みんな!」

 

早いな!使い魔の探索能力ておれ以上だぞ。何か悲しくなってきた。

 

そんなことはさておき、魔方陣で向かうとそこには聖剣使いの片方、紫藤イリナがボロボロで倒れてた。

 

「イリナ!どうしたんだ!?アーシア、回復を頼む!」

 

「は、はい!」

 

イッセーが到着するや否や、その姿を見つけると駆け出しアーシアさんに回復を求める。アーシアさんの回復力は素晴らしいから傷は直ぐに癒えた。

 

「……う……イ、イッセーくん」

 

「イリナ!気がついたか、良かった。これはどうした?木場やゼノヴィアは?」

 

「二人は……逃げきれたわ。私だけ……逃げ遅れて…」

 

「誰に襲われたんだ?」

 

「あいつの……力は、半端じゃない。気を……つけて…」

 

それだけ言ってもう一度気を失うイリナ。あいつって誰だ?聖剣使いをここまで追い詰めるなんて、それこそ最上級悪魔に近いレベルじゃないと難しいぞ。

 

パァァァァ

 

魔方陣が現れる気配がしてそちらを見ると、会長と副会長、匙の三人がやってきた。

 

「ソーナ、来てくれたのね」

 

「連絡を寄越されて来ないわけがありません」

 

どうやら部長が呼んだみたいだ。相変わらず行動に余念がないですね。

 

「これは、ひどい怪我です。私の家に運びましょう。あそこなら治療設備が整っていますから。椿姫」

 

「はい」

 

「後は任せましたよ」

 

会長に呼ばれイリナを抱える副会長。そして転移する。向かった先は会長の家だろう。

 

イリナの回復を確保でき、一段落つくと会長が部長に言った。

 

「リアス、これはどういうことですか?」

 

「私たちも今来たところだから分か―――ッ!」

 

その瞬間、おれたち全員が嫌な悪寒を感じ取った。これはあの時、エクスカリバーを見たときと同じ悪寒だ。

 

「やぁやぁ、これはこれは。昨日の今日の悪魔さんたちではアーリませんか?」

 

声がして後ろを振り向くと、手にエクスカリバーを持ったフリードの奴がいた。

 

「フリード!お前!」

 

イッセーが飛びかかろうとしたら、後ろから会長がジャンプしてきて部長とともにフリードとおれたちの間に立った。手には魔力が集まっている。

 

「ちょい待ちちょい待ち!そちらの紅い髪のお嬢さんにお話があるのです」

 

「私に?何かしら?」

 

「いやいや、俺じゃなくてね。……うちのボスがね!」

 

ゾクッ!

 

またしても悪寒が背中を走る。今度は先程と比べ物にならないくらいのプレッシャーも感じた。発信源と思われる方を見ると、上空に黒い翼を生やした若い男性が飛んでいた。てか翼の数、十枚!?

 

「翼の数が十枚。幹部クラスですわ」

 

朱乃先輩の言葉に驚く。てことはこいつが!

 

「はじめましてかな、グレモリー家の娘。紅髪が麗しいものだ。忌々しい兄君を思い出して反吐が出そうだよ」

 

「ごきげんよう、堕ちた天使の幹部―――コカビエル。それと私の名前はリアス・グレモリーよ。お見知りおきを」

 

やっぱり、今回の事件の堕天使の幹部、コカビエルか!ラスボスの登場かよ!

 

「それで?幹部さんが直々に私に会いに来た理由は?」

 

「お前の根城である駒王学園を中心にこの町で暴れさせてもらおうと思ってな」

 

『なっ!?』

 

おれたちの学園で!?しかも部長が居るってことは……。

 

「そうすれば、嫌でもサーゼクスは出てこざるおえない。だろ?」

 

そうだ。出家したとはいえ部長は妹だ。必ず助けに来るだろう。しかもそれだけじゃない。

 

「そんなことをすれば、堕天使と神、悪魔の戦争が再び勃発するわよ?」

 

「それは願ったり叶ったりだ。エクスカリバーでも奪えばミカエルが戦争をしかけてくれると思ったのだが……寄越したのは雑魚のエクソシストと聖剣使いがたったの二名だ。つまらん、あまりにつまらん!」

 

「では、あなたは初めから」

 

「戦争をすることが目的だったのね?」

 

会長に続いて部長が言う。なんて奴だ。戦争が好きだなんて!

 

「そうだ、そうだとも!俺は三つどもえの戦争が終わってから退屈で退屈で仕方がなかった!アザゼルとシェムハザも次の戦争には消極的でな。それどころか、神器なんてつまらんものを集めだして研究に没頭し始めた。そこの『赤龍帝の籠手』クラスなら、戦力になるかもしれんがな」

 

イッセーを指差しながらコカビエルが言う。お前も堕天使の総督や副総督みたいにそっちに熱中しろよ!

 

「堕天使、神、悪魔。ギリギリのところで均衡を保っているだけだ。ならば、この手で戦争を引き起こしてやればいい!」

 

「完全な戦争狂ね」

 

部長の言う通りだ。しかもこういう奴に限ってメチャクチャ強いから困ったものだ!

 

「そうだ。だから今度はお前たち、悪魔に仕掛けさせてもらう。サーゼクスの妹とレヴィアタンの妹、それらが通う学び舎だ。さぞ、魔力の波動が立ち込めていて、混沌が楽しめるだろう!戦場としては申し分ない」

 

「こいつ、無茶苦茶だ!」

 

「マジで頭がイカレてるぜ」

 

匙とイッセー も悪態をつく。すると、フリードが突然笑いだした。

 

「ひゃははは!最高でしょ?俺のボスって、イカレ具合が素敵に最高でさ!」

 

そういやこいつも頭がイってたっけ。戦いを求める奴はみんなこうだよな。

 

「俺様も張り切っちゃうのよ!こんなご褒美も―――くれたしね!」

 

フリードが取り出したのは―――エクスカリバー!?しかも四本!

 

「こちらが『天閃の聖剣』、これが『透明の聖剣』、腰のは『無幻の聖剣』でございます。ついでに先程『擬態の聖剣』も頂いちゃいました!当然、すべて扱えるハイパー状態でございます!ひゃははははははは!」

 

「戦争をしよう」

 

その声に上を見上げる。

 

「魔王サーゼクス・ルシファーの妹、リアス・グレモリーよ!」

 

その言って、小型の光の槍を何本も打ち込んできやがった!

 

おれたちがそれを防いでる間に奴らは何処かに行ってしまった。しかし、行き先なんて分かりきっていること。

 

「みんな、学園に向かうわよ!」

 

『はい!』

 

 

 

 

 

「リアス。学園を結界で覆いました。これでよほどのことが無い限り外には被害が出ません」

 

駒王学園の門の前で会長から説明をしてもらう。あの後、会長が生徒会のメンバーを召集して結界を張ってくれた。

 

「ありがとう、ソーナ」

 

「ただし、現状が維持されていればの話です。あのクラスが本気を出せば学園どころか、この町全体が消えてしまいますから」

 

なっ!?古から生き残り、聖書にも記された堕天使は伊達じゃないってことか。

 

「あとは私たちで何とかするわ」

 

「リアス、相手は桁違いの化け物ですよ?―――確実に負けるわ。今からでもおそくない、あなたのお兄さまへ―――」

 

会長の言葉に首をふる部長。

 

「あなただって、お姉さまを呼ばなかったじゃない」

 

「私のところは……。とにかく、サーゼクスさまなら必ず動いてくれます。だから―――」

 

「すでにサーゼクスさまに打診しましたわ」

 

二人の会話を遮り朱乃先輩が言う。

 

「朱乃!」

 

非難の声をあげる部長だが、珍しく怒った表情で朱乃先輩が言った。

 

「リアス、あなたがサーゼクスさまに迷惑をかけたくないのはわかるわ。たしかにここはあなたの領土で、根城よ。しかもお家騒動の後ですものね。でも今回のことは話が違うわ。堕天使の幹部が現れたのよ。あなた一人で解決できるレベルを越えているわ―――魔王さまの力を借りましょう」

 

部長も観念したらしく小さく頷いた。

 

「ありがとうございます部長。サーゼクスさまの軍勢は一時間ほどで到着致しますわ」

 

「では私たち生徒会もシトリー眷属の名に懸けて、一時間結界を張り続けましょう」

 

『はい、会長!』

 

シトリー眷属のみんなもやる気のようだ。部長も会長の決意を聞いて、覚悟を決めたようすだ。

 

「……一時間ね。さて、私の下僕悪魔たち。私たちはオフェンスよ。結界内の学園に飛び込んで、コカビエルの注意をひくわ。これはフェニックスとの一戦とは違い、死戦よ!それでも死ぬことは許さない!生きて帰ってあの学園に通うわよ、みんな!」

 

『はい!』

 

気合いの入った返事をする。こうなったら何がなんでもやってやるぜ!

 

正門から堂々と入り奴らがいる場所、グラウンドを目指している時、

 

「イッセー、あなたは今回サポートに徹してもらうわ」

 

「サポートですか?」

 

「ええ、高めた力をギフトで譲渡してほしいの」

 

「なるほど、わかりました」

 

今度はおれたちに向かって、

 

「イッセーが力を譲渡できるまで、私たちで時間を稼ぐわ。いいかしら?朱乃、小猫、近衛」

 

「もちろんですわ」

 

「……はい、部長」

 

「了解です!」

 

校舎を抜けるとグラウンドが見えてきた。そこでは異様な光景が広がっていた。四つの魔方陣にそれぞれ剣が宙に浮いている。さらに中央に一際大きな魔方陣があった。

 

「これは一体……」

 

「四本のエクスカリバーを一本にまとめるのだよ」

 

部長の言葉にバルパー・ガリレイが答える。お前いたのかよ!びっくりしたわ!

 

「バルパー、あとどれくらいで完成する?」

 

コカビエルの声だ!いったい何処から……。

 

「五分もかからんよ」

 

いた!上を見上げると椅子に座っているコカビエルの姿があった。悠長に足なんかも組んでやがるし!

 

「そうか、ではよろしく頼むぞ」

 

コカビエルはバルパーから部長に視線を移す。

 

「サーゼクスは来るのか?それともセラフォルーか?」

 

「来ないわ。お兄さまとレヴィアタンさまの代わりに私たちが―――」

 

ヒュッ!ドォォォオオオオン!

 

風切り音のあと、爆音が辺り一帯に爆風とともに広がっていく。落ちた先を見てみると、

 

「体育館がなくなってる!?」

 

体育館があった場所には巨大な光の槍が突き刺さっていた。

 

「つまらん。まあいい、余興にはなるか。ならば地獄から連れてきた俺のペットと遊んでもらおうかな」

 

コカビエルが指を鳴らすと、魔方陣が二つ現れる。そこから炎とともに化け物が現れた。

 

十メートルを越える黒い巨体。四足は一つ一つが太く、そこから生えている鋭い爪は獲物を切り裂くのに特化している。

 

さらに突き出た口からはこちらも獲物を噛みちぎるのに特化した牙が見えていた。てかこいつの頭、三つあるんですけど!これって有名なあの―――。

 

「ケルベロス!」

 

部長が叫ぶ。そうそう、そんな感じやつ。

 

「本来は冥界に続く門の周辺に生息しているのだけれど、人間界に持ち込むなんて!」

 

「ヤバイんですか?」

 

「とっても。やるしかないわね。みんな、行くわよ!」

 

『はい!』

 

「私と朱乃で一匹相手をするから、近衛と小猫はもう一匹の方をお願い!」

 

「了解です!」

 

「……わかりました!」

 

部長の切羽詰まった声に返事をする。では挨拶がてらに伏せでもしてもらいますか!

 

「食らいな!」

 

叫び、『剛力』を使って真ん中の頭を蹴り落とす。

 

「ギャン!」

 

衝撃に耐えれず悲鳴をあげながら崩れるケルベロス。そこに小猫ちゃんが鼻に向かって一発殴る。

 

「……えい」

 

おれより『戦車』の力の使い方が上手いためか、ケルベロスの巨体を軽々と吹っ飛ばす。

 

しかし、ケルベロスはすぐさま体勢を立て直し、三つ首全部から炎を吐き出した!アッツ!こんなん食らったら焼け焦げるよ!

 

なんとかかわし、もう一度蹴りを叩き込む。今度は背骨の辺りを狙って。当たりどころが良かったのか骨が折れる感触が足に伝わってきた。

 

「よし!」

 

喜んだのも束の間、ケルベロスはすぐさま起き上がった。三発だけとはいえ結構な威力を込めたのに起き上がるなんて、どれだけタフなんだこの野郎!

 

「きゃあぁぁぁぁ!」

 

アーシアさんの悲鳴!何事かと思い見てみると、なんともう一匹いて今まさにアーシアさんに襲いかかろうとしていた!

 

「アーシア!」

 

間一髪イッセーが間に合い、助け出すのに成功する。しかし、イッセーは力の倍加中のため手出しは出来ない。どうすれば……。その時、

 

ザシュ!

 

ケルベロスの頭が一個斬り落とされた。木場か!?と思ったが違い、助けてくれたのはゼノヴィアだった。

 

「ゼノヴィア!」

 

「加勢に来たぞ」

 

そう言って再び剣を振るう。今度は胴体を斬られケルベロスは消滅した。

 

「さすが、魔物に無類のダメージを与える聖剣ですわ」

 

「悔しいけど来てくれたのはありがたいわね」

 

部長と朱乃先輩も気づいたようだ。そちらのケルベロスも今だけご健在見たいですけど。

 

「はあぁぁ!」

 

ゼノヴィアがおれたちのとこにいるケルベロスを斬る。一撃で消滅するケルベロス。すごいな!聖剣の威力侮れん。

 

『Boost!!』

 

「部長!力を譲渡できるだけたまりました!」

 

「わかったわ、イッセー!私と朱乃に譲渡してちょうだい!」

 

「わかりました!ブーステッド・ギア、ギフト!」

 

『Transfer!!』

 

イッセーから力が譲渡され、格段に魔力が高まった部長と朱乃先輩。

 

「朱乃!」

 

「はい!天雷よ、鳴り響け!」

 

朱乃先輩の指に通常とは比べ物にならないほどの雷が集まる。それを察知したのか逃げ出すケルベロス。しかし、四肢に複数の剣が刺さり動くことができない。

 

「逃がさないよ」

 

「祐斗!」

 

部長の嬉しそうな声。木場のやつベストタイミングだな!朱乃先輩もこのチャンスを逃さず、バカでかい雷を落とす。タフなこいつもこの威力には耐えきれず消滅した。これで全部だな。

 

「くらえ、コカビエル!」

 

部長が魔力を放出する。こちらもイッセーの力のおかげで通常の数倍の大きさをしていた。これなら幹部クラスでもさすがに―――。

 

「ふん」

 

しかし、コカビエルはそれを片手で受け止めた。その上部長の方に投げ返してきた。部長はそれを避け、後ろのテニスコートにぶつかった。巨大な爆音とともに消し飛んだ。

 

「なるほど、赤龍帝の力を使えば、ここまでリアス・グレモリーの力が引きあがるか。―――おもしろいぞ。これは酷くおもしろいぞ」

 

一人で笑い始めるコカビエル。なんか気味が悪い。

 

「完成だ。四本のエクスカリバーが一本となる」

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