ハイスクールD×D~九尾の少年~   作:toruyuki

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第11話

その存在に最初に気づいたのは、魔力に長ける朱乃先輩だった。その次に部長。二人して真っ暗な空を見上げる。何ごとかと思いおれも見ようと―――

 

ゾクッ!

 

するが今までで感じたことのない悪寒がした。それはいとも容易く結界を破壊して入ってきた。

 

目の前に降りてきたそいつは闇の中で輝く、一切の曇りも陰りも見せない白きもの。

 

白い全身鎧。体の各所に宝玉らしきものが埋め込まれ、顔まで鎧で包まれていた。

 

おれはそれを見たとき同じだと感じた。色も形も違うがあの姿に。『赤龍帝の鎧』に。

 

「……『白い龍』」

 

最初に口を開いたのはコカビエルだった。

 

『白い龍』……。あれがそうなのか。『赤い龍』と対をなすもの。

 

緊張感と圧倒的な実力差への恐怖で体が動かない。同時に神秘的な輝きを放ち闇に光るその姿に言葉を失う。

 

コカビエルはその白い鎧を目にして、舌打ちをした。

 

「『神滅具』のひとつ、『白龍皇の光翼』……。鎧と化しているということは、すでにその姿は禁手状態である『白龍皇の鎧』か。―――『赤龍帝の籠手』同様、忌々しい限りだ」

 

「あれが……!」

 

「……赤に惹かれたか。『白い龍』よ。邪魔立ては―――」

 

刹那、コカビエルの体から鮮血が飛び散る。同時に黒い羽根も散らばる。

 

「薄汚いカラスの羽根だ。アザゼルの羽根はもっと漆黒で常闇のようだったぞ?」

 

目にも止まらぬ速さでコカビエルの翼をもぎ取った白龍皇。あれは木場以上の速さだった。

 

「貴様ぁぁぁ!俺に逆らう気か!」

 

怒りをあらわにして叫び、巨大な光の槍を作り出す。あれを食らったらひと溜まりもない!

 

それなのに白龍皇は以前余裕の態度で右手を掲げる。そして機械音が聞こえた。

 

『Divide!!』

 

すると、光の槍が半分くらいの大きさになった。それどころかコカビエルから感じていた重圧も半分くらいとなる。さらに機械音が聞こえるとまた半分になる。

 

しばらくすると光の槍は消え、コカビエルの力も格段に落ちた。これならおれたちでも相手出来るかもしれない。

 

これが『白龍皇の光翼』の力か。触れた相手の力を十秒ごとに半減させその力を自分の糧とする。部長たちに聞いた通りだ。

 

そんなコカビエルに白龍皇はつまらなさそうに話しかける。

 

「こんなものか。幹部というからもう少し楽しめそうかと思ったんだがな。では終わりとするか」

 

光速でコカビエルに近づく白龍皇。それに対しコカビエルは、

 

「……そうか!貴様はアザゼルの手先か!クソ!アザゼルのや―――」

 

「愚痴は戻ってから直接アザゼルに言いな」

 

ズドンッッ!

 

腹に一撃。たっそれだけでおれたちが苦戦した相手を気絶させた。す、すごい。

 

「あのはぐれ神父にも話を聞かないとな」

 

そう言って気絶しているフリードのところに行き肩に担ぐ。とおれの方を見てきて、

 

「そこの九尾のハーフ」

 

「……何だ?」

 

「なかなか強いじゃないか。もっと強くなれば俺が直々に倒しに来てやってもいいぞ?」

 

「いやいや……別に戦いたいわけじゃないから。……来なくていいよ」

 

「はは、そうか」

 

それだけ言ってそのまま飛び去ろうする。しかし、

 

『無視か、白いの』

 

初めて聞く声が引き止める。それはイッセーの左腕、『赤龍帝の籠手』の宝玉から発せられていた。それに反応するように『白龍皇の光翼』からも声が聞こえる。

 

『起きていたか、赤いの』

 

『まぁな。しかしせっかく再開したのにこれじゃあなぁ』

 

『別にいいさ。いずれ私とお前は戦う運命にあるのだから』

 

『それもそうか。それより殺気が格段に小さいがどうした、白いの?』

 

『そちらも以前の殺気がまったく感じられないが、赤いの?』

 

『くくく、お互い戦いよりも気になるのを見つけたか。だがたまにはこんなのもいい』

 

『あぁ。これも一興だ。再びまみえる時まで達者でな、ドライグ』

 

『そっちもな、アルビオン』

 

す、すげぇ。伝説の二天龍の会話だよ。殺気とか戦いとか内容は物騒だけど。

 

二天龍の会話が終わり、今度はイッセーが話しかける。

 

「……お前何者だ?どうしてコカビエルを倒した?教えろ」

 

「ふっ。全てを理解するには力が必要だ。強くなれよ、俺の未来の宿敵くん」

 

最後にクラスの女子どもが好きそうなセリフを残して飛び去った。何かあっという間の展開だったな。まぁ、取り合えず一件落着ってことでいいかな?

 

「リアス」

 

「ソーナ!」

 

白龍皇が飛び立ってすぐに会長が生徒会メンバーを連れてやって来た。長時間結界を張り続けたせいかみんな疲れた顔をしていた。お疲れさまです。ありがとうございました。

 

「まさか白龍皇が乱入してくるとは」

 

「でも、おかげで町は救われたわ」

 

「そうですね。椿姫」

 

「はい」

 

「私たちはこれから校内の修復を」

 

「登校時間までには何とかなるでしょう」

 

会長と副会長がそんな会話をする。うわぁ、今までで魔力を酷使してきたのにこれからまだ使うのか。お気の毒に生徒会メンバー。

 

周りを見回してみると木場が憑き物が落ちたような顔をしていた。

 

「……終わった。いや、まだ彼の研究を継いだものがいる。そいつを倒すまでは―――」

 

「お疲れ木場。やったじゃねぇか。へぇーそれが聖魔剣か。綺麗なもんだな」

 

それでも何か考えていた木場にイッセーが話しかける。

 

「イッセーくん、僕は―――」

 

「今は細かいことは言いっこなしだ。いったん終了ってことでいいだろ?聖剣も、お前の同志たちもさ」

 

「……うん」

 

そんな言葉を望んでいたのか嬉しそうに木場は笑った。そうだよな。同志たちは死んだけどお前の心の中でこれからもずっと生き続けていくんだからな。

 

「……木場さん、また一緒に部活出来ますよね?」

 

アーシアさんが心配そうに聞いていた。彼女も信じていた神の死を聞かされて大変だろうに。それでも木場の心配をするなんて本当に心優しい子なんだろうな。

 

「大丈夫。これからずっとやっていけるよ」

 

「祐斗」

 

アーシアさんの言葉に返すと部長に名前を呼ばれた木場。部長は優しい笑顔で木場を見ていた。

 

「祐斗、よく帰ってきてくれたわ。それに禁手だなんて、嬉しい限りよ」

 

「……部長、僕は……部員のみんなを……。何よりも、一度命を救ってくれたあなたを裏切ってしまいました……。お詫びする言葉が見つかりません……!」

 

木場はそう言ったが部長は、変わらず優しい笑顔で頬を撫でた。

 

「でも、あなたは帰ってきたくれた。もう、それだけで十分。彼らの想いを無駄にしてはダメよ」

 

「部長……。僕はここに改めて誓います。僕、木場祐斗はリアス・グレモリーの眷属―――『騎士』として、あなたと仲間たちを終生お守りします」

 

「うふふ、ありがとう」

 

改めて主従関係を結ぶ。その姿はまさしく真の騎士だった。がそんな空気をぶっ壊すように部長が告げる。

 

「さて、祐斗。勝手なことをした罰よ?」

 

危険な音をたてながら手に紅いオーラを纏った部長。それを見て怯える木場。

 

「ぶ、部長?そ、それは―――」

 

「お尻叩き千回ね」

 

笑いながら死刑(尻への)宣告をする部長。ははは!これはいいな!おれたちも食らったんだ。大人しく受け入れな!

 

その後、魔王さまの軍勢が来るまで三十分、木場は部長に尻を叩かれていた。

 

 

 

数日後

 

 

 

コカビエルとの一戦が終わってから事情聴取みたいな感じで何日か話を聞かれた。それが全て終わり、いつも通りの日常に戻った時それは起こった。

 

「やぁ、赤龍帝に九尾くん」

 

部室で夕方の部活動をしているとゼノヴィアが突然訪ねて来た。

 

「……え?何でお前がいんの?」

 

「バチカンの本部に帰ったはずじゃなかったか?」

 

「来たわね」

 

「部長これは?」

 

イッセーが聞くと部長は衝撃発言をした。

 

「新しくグレモリー眷属の『騎士』になったゼノヴィアよ」

 

新しくグレモリー眷属になったって、おいおいおい。それじゃあこいつは―――。

 

バサッ

 

おれの考えを肯定するように背中から悪魔の翼を生やしたゼノヴィア。

 

「「ええぇぇぇぇぇぇええ!!!」」

 

「神の不在を知ってしまったのでね。破れかぶれでお願いしたのさ」

 

驚いているおれとイッセーに淡々と説明してくれる。

 

「いやいやいやいや、そうは言っても先日まで敵だった悪魔に転生って」

 

「そんな簡単に決めてしまっていいのか?」

 

「神がいない以上、私の人生は破綻したわけだからね。―――いや、本当にこれで良かったのか?うぅむ、いくら相手が魔王の妹だからといって……。あぁ、主よ!お教えください!」

 

ズキッ!

 

「あうっ!」

 

神に祈ってダメージを食らってるよ。アーシアさんもそうだけどこの子もどこか抜けてるよね。

 

「部長も部長ですよ。そんなほいほい貴重な駒を使っていいんですか?最後の一つのはずですよね?」

 

「あら、近衛。聖剣使いが、しかもデュランダル使いが味方になったのよ?悪魔にとってこれ以上の驚異はないと思うわ。これで祐斗とともに剣士の両翼が誕生したわね」

 

おれの質問に部長は楽しげに笑いながら答える。はぁ、まぁいいか。主さまの決めたことだ。おれたち下僕がとやかく言う問題じゃないか。

 

「それと今日からこの学園の二年生に編入することになった。よろしくね、イッセーくん、近衛くん♪」

 

「真顔で可愛い声をだすなよ。怖いな」

 

「ふむ、そうか。イリナの真似をしてみたのだがな。なかなか上手くいかないものだ」

 

「そう言えばイリナはどうしたんだ?傷は癒えたみたいな話は聞いたが」

 

イッセーの質問にゼノヴィアは真剣な顔つきになる。

 

「本部に帰ったよ。奪われたエクスカリバー三本と私たちの二本を持ち帰って。……イリナは私より信仰が深い。神の不在を知ったら心の均衡がどうなっていたことか……。ようするに私は最も知ってはいけない真実を知った異端の徒になったのさ」

 

「それで、悪魔に転生を……」

 

そう言うアーシアさんにゼノヴィアは謝った。

 

「君に謝ろうアーシア・アルジェント。主がいないのならば救いも愛もなかったのだからね。すまなかった。君の気がすむなら殴ってくれても構わない」

 

頭を下げるゼノヴィア。アーシアさんは少し驚いていた。

 

「尊敬されるべき聖剣使いから、禁忌を犯した異端の徒。……私を見る目が豹変した、彼らのあの態度が忘れられない。君もそうだったのだろう……。本当にすまなかった」

 

「顔をあげてください、ゼノヴィアさん」

 

頭を下げ続けるゼノヴィアにアーシアさんは微笑みながら声をかけた。

 

「私は悪魔になったことを後悔していません。大切な人に……大切な方々に出会うことが出来ましたから。この生活が本当に幸せなんです」

 

「……そうか。それと君に頼みたいことがあるんだが」

 

「私に?」

 

「今度、私に学園を案内してくれないか?」

 

照れくさそうに言うゼノヴィアにアーシアさんは満面の笑みで快く返事をした。

 

「はい!」

 

「我が聖剣デュランダルにかけてそちらの聖魔剣使いとももう一度手合わせ願いたいところだね」

 

「望むところだよ」

 

木場も快く返事をする。なんだかんだですぐに打ち解けれそうだな。

 

「さて、部員も新しく増えたことですし、オカルト研究部も活動再開よ!」

 

『はい!部長!』

 

こうしてゼノヴィアを加えた新しいオカルト研究部がスタートした。




第3章終わりました!
オリジナル展開をするのが難しく少しつじつまが合わない部分があるかもしれませんがご了承ください

今回は近衛を堕天使側に勧誘して、小猫ちゃんの気持ちをだすのと近衛を死にかけることで、番外編でやりたいことをやりたいと思います。ほとんどの人が何やるかわかると思いますが……。

これからもよろしくお願いします!
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