「よーし!これから『休日を使って遊び尽くそう』ツアーを開催したいと思います!」
「いぇーい!」
「遊びまくろー!」
おれの開催宣言に松田と元浜が乗ってくる。これは前から話し合っていたことでアーシアさんも小猫ちゃんも木場も来ている。
「えー僭越ながら今回のツアーは私、桜近衛が司会を勤めさせていただきたいと思います」
「いいぞいいぞー」
「しっかりやれよー」
「ロリコン野郎ー」
「そこ黙れ元浜!お前は人のこと言えねぇだろ!そしておれはロリコンじゃない!」
元浜の言葉を訂正する。すると、アーシアさんの友達の桐生藍華が、
「はぁ、あんたたちそんなことしてたら日が暮れるわよ?」
「そうだった。じゃあさっそく向かいますか!」
『おー!』
みんなで元気に出発して目的地へ向かう。
向かった先は最近隣の市に出来た総合レジャーランドだ。遊園地、プールはもちろん、買い物出来るところもあるし、スポーツ施設もカラオケもある。おれたちはまずスポーツ施設がひしめくエリアに向かった。
「おーこりゃすげぇな!」
「サッカー、テニス、ホッケー、ボウリング。たくさんあるな」
「いよっしゃー!片っ端から遊ぶぜ!」
「ひゃっほーい!」
「テンション高いわねぇ」
「あはは、そうですね」
「……バカ丸出しです」
「うん、でもいいじゃないか。楽しそうだ」
テンションの高い松田と元浜をみんなで笑って、さっそく始めた。
まず最初は無難に全員でやれるサッカーをした。ちょうど八人いるから二人一組を四つ作って。
「食らえ!俺の必殺ミラクルシュートを!」
「はっ!お前のヘナチョコシュートなんて止めてやる!」
本気でやる松田と元浜。おれたちは悪魔なため少し力をセーブしてやっていた。本気でやったらボールとか壊しちゃうもんね!
「あわわわ、あっ!」
ドテッ
「大丈夫?アーシア。あんたって本当運動苦手よね」
「あうぅ、また転けてしまいました」
ボールを蹴ろうとして転けたアーシアさんに桐生が手を貸していた。そういえば球技大会の練習中もよく転けてたな。
「おっ、よっと。流石だな木場!」
「そっちこそ上手いよ、イッセーくん!」
どちらも運動神経がいいため周りから見てもハイレベルな勝負をしているイッセーと木場。熱中し過ぎてボールがたまにあり得ない変形をしていた。
おれはというと―――
「今日こそゴールを決めてやる!」
「……望むところです」
小猫ちゃん相手に勝負を挑んでいた。女の子相手に何してんだって思うかもしれないがそうじゃない。あの子には常識がまったく通用しない。
球技大会の練習中に何度もシュートを打っていたが一本も決まらなかった。すべて小猫ちゃんに止められたのだ。男としてこれ以上の屈辱はない。だからこそ!
「あの時の屈辱を晴らす!」
ドンッ!
本気で蹴った。ボールが壊れる心配とかあるけど知ったこっちゃない!それより大事なものが世の中にはあるんだ!
ボールは小猫ちゃんが飛ばなければ届かないところに真っ直ぐいった。よし!決まった!と思ったが、
「……とう」
ガシッ
普通に止められた。
「……まだまだですね、先輩」
「くそぉぉぉぉぉ!次だ!次の勝負だ!小猫ちゃん!」
「……わかりました。何でもいいですよ」
「おい近衛。落ち着けよ。今日はみんなで遊ぶ約束だろ?一人で突っ走るな」
小猫ちゃんと一緒に別のスポーツをやろうとしたらイッセーからお説教を食らった。
「おーそうだったそうだった。屈辱のあまり忘れてたよ」
「…………ちっ、余計なことを」
「ん?小猫ちゃん何か言った?」
「……いえ、何も」
小猫ちゃんが何か呟いた気がしたが、本人が違うって言うからいいか。
「じゃあ次はボウリングやりますか。これだったら初めてでも教えながらやれるからね」
『賛成!』
おれの提案にみんなが乗る。てことでボウリング場へレッツゴー!
各自それぞれ靴とボールを借り、二つに別れる。予想通りアーシアさんはやったことがなく、イッセーに教わりながらやることになった。他のメンバーは桐生と木場だ。
学園のイケメン王子が一緒だからか若干緊張している様子の桐生。あいつでも緊張するとは、恐るべしイケメンオーラ。
おれたちは全員やったことがあるからさっそくゲームを始める。
「勝負だ!松田、元浜、小猫ちゃん!」
「かかってこい!」
「俺の美しい姿に見とれるなよ?」
「……望むところです」
みんな意気込みはバッチリだ。いざ、勝負!
結果
おれ…………256点
松田…………264点
元浜…………245点
小猫ちゃん……300点
小猫ちゃんの圧勝でした。……パーフェクトって何!?初めて見たぞ!
三人ともそこそこの実力があって自信もあったから、落ち込み様といったら無かった。年端もいかない少女にまけ―――
ドゴン
「ぐほっ!」
「……何か失礼なこと考えていませんでした?」
「いえ、何も」
「……そうですか」
そんなことを考えてたら小猫ちゃんに殴られた。前にも言ったけど、勝手に人の心を読まないで!
「くっ、このままじゃ終われねぇ!そうだろ?松田、元浜!」
「おう、そうだ!女の子に負けたとあったら男が廃る!あ、でもそれもいいかも」
「リベンジじゃぁぁぁ!」
「……私は構いません」
みんなの意見が一致して再度、勝負をすることに。今度こそ負けねぇ!
結果
おれ…………285点
松田…………288点
元浜…………282点
小猫ちゃん……300点
小猫ちゃんの勝利。またしてもパーフェクト。……何なのこの子。異常だよ。絶対おかしいよ。
「……悪魔ですから」
小猫ちゃんがボソッとおれに呟いた。それならおれもだよ!
それから何ゲームかやったが小猫ちゃんはすべてパーフェクトだった。おかげでおれたちのプライドはボロボロだよ。シクシク
後でイッセーから話を聞くと木場もすべてパーフェクトだったみたいだ。……古参のグレモリー眷属ってみんなこうなの?今度部長たちにもやってもらおう。
よくわからない決意をして、おれたちは昼食も兼ねてカラオケに向かった。なんとここのカラオケは食べ放題をやっているのだ。
大食いの小猫ちゃんにはやっただね!みたいな顔でみたら殴られた。そんなに殴ってクセになったらどうすんだよ!
「……ドMな近衛先輩。……ジュル」
またしても心を勝手に読まれたよ。てかジュルって何?怖いんだけど。この子がどこに向かっているのかおれ心配になってきた。
「おい、近衛どうした?体震わせて」
「い、いやよくわからん悪寒がしただけだ。大丈夫大丈夫」
「そうか。じゃあさっそく歌おうぜ」
「おう!」
久々のカラオケだからな!張り切っちゃうぜ!
そこからおれたちは、交代交代で歌い続けた。とは言っても小猫ちゃんは食べ続けていたし、アーシアさんと木場は歌っていなかった。
「おーい、イッセー。アーシアちゃんとデュエットしないのか?鬼畜野郎」
「黙れ松田。アーシアは日本に来て日が浅いから知ってる歌が無いんだよ。俺だってデュエットしたいけどしょうがないだろ」
イッセーと松田の会話を聞いて顔を赤らめるアーシアさん。すると、イッセーの希望を叶えるためかマイクを持つ。
「わ、私!聖書なら読み上げれます!」
「お、おい待てアーシア!そんなことをしたら大変なことになる!」
突然アーシアさんがそんなことを言って流石に慌てるイッセー。ナイスだ!聖書なんて読み上げられたら昇天しちゃうよおれたち。
「はっ!そうでした!すみません……」
「はぁ、まぁいいさ。……ちょっとトイレ行ってくる」
「あ、おれも」
トイレに向かうイッセーに便乗する。トイレに着きイッセーに話しかける。
「お前アニソン歌わないのか?」
「あー歌いたいけど、俺がアニメマニアだって周りには隠してるからな。歌いづらいんだよ」
「そうだったな。ならいっそのこと今バラしちまえよ」
「うーん、それもそうかな。じゃあ一緒に歌ってくれよ」
「おう、任せろ!」
すると、イッセーの携帯が鳴った。
「ん?誰からだ?……部長か。何々?……ブホッ!」
「ど、どうした!?お前が吹き出すなんて珍しいな」
「いや、これ見てくれよ」
そう言って手に持っている携帯を見せてくる。どれどれ……。
「ブホッ!」
「な?そうなるだろ」
「あ、あぁ。これは何ていうか……」
画面に写っていたのは『ただいま水着を選択中。楽しみにしてて❤』っていう文とほぼ全裸でピースサインをする部長の写真だった。これは強烈だ。
そんなことがあり、少し疲れてトイレから出るとすぐのベンチに木場が座っていた。
「ん?木場じゃん。どうした?」
「うん、ちょっとね」
ついでだからおれたちもベンチに座る。
「あー楽しいな」
「そうだな。疲れたけど」
「ははは、たくさん動いたもんね」
みんなで苦笑する。何気ない会話ってやっぱ最高だな。
すると、木場が神妙な顔つきになって言った。
「その、君たちに一つ言いたいんだ。―――ありがとう。僕のために動いてくれて」
「何だそのことか。前にも言ったろ?仲間のお前が困ってんだ。おれたちが助ける理由には十分だ」
「あぁ。それにお前がいる方がみんな明るいしな。俺たちだって嬉しい」
「……うん、ありがとう」
何か辛気くさくなってきたな。……だぁぁぁ!
「よし!おれたちで歌いまくろうぜ!木場だって全然歌ってないだろ?」
「そうだな。グレモリー眷属男三人衆で」
「うん、賛成」
そういうことでトイレから戻ったおれたちは、マイクを独占して歌いまくった。その時見た木場の笑顔は最高だった。
「いやー今日は遊んだなぁ」
「ホントホント。メッチャ疲れた」
「でも最高に楽しかったな!」
「あぁ、久々に騒いだよ」
「あんたたちはいつもじゃない」
「あはは、そうですね。でも本当に楽しかったです!」
「……またやりたいですね」
「うん、そうだね。またみんなで集まろうよ」
みんな楽しんでくれたみたいだ。良かった良かった!
「じゃあ今日はこれで解散だな。時間も時間だし」
「あぁ、じゃあみんなまた学校で」
こうしておれたちの『休日を使って遊び尽くそう』ツアーは無事終了した。みんな帰ったのを確認しておれも帰ろうとしたら、
「……近衛先輩」
小猫ちゃんに呼び止められた。
「あれ?小猫ちゃん?どうしたの?」
「……これから時間ありますか?」
「時間?……うん、まだ大丈夫だよ」
「……そうですか。では一緒に遊園地に行きませんか?」
もしやこれはデートのお誘いってやつでは?まぁ何でもいいか。
「もちろん!小猫ちゃんの誘いなら何でもOKだよ!」
「……ありがとうございます。じゃあさっそく行きましょう」
こうして小猫ちゃんとの遊園地デートが始まった。入場券を買い、中に入る。
「さて、何から乗りますか?今なら人も少ないしね」
「……最初はあれにしましょう」
小猫ちゃんが指を差したのは入口近くのジェットコースターだ。
「いいね。やっぱ最初は王道ですか。怖くなったら抱きついていいからね」
と冗談でいったつもりで殴られるのを覚悟していたら、
「……はい。そうさせて頂きます」
なんてことを返された。おかげで反応に困ったよ。でも何時までも固まっているわけにはいかないので、ジェットコースターの乗り口に向かった。
幸い人が少なくすぐに乗ることが出来た。乗り場まで案内され、シートベルトを着用する。
ガタンゴトンガタンゴトン
ジェットコースター特有の音。これが聞こえてくると否応なしに気持ちが高ぶる。昇ってからの急降下。あれが最高に楽しいんだよね!
隣の小猫ちゃんを見てみると緊張しているのか顔が強ばっていた。あれ?もしかして本当に怖い?
しかし、おれの思考はそこで止まる。急降下が始まったのだ。
「うひょぉぉぉぉぉぉ!」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
他の客の悲鳴と一緒に小猫ちゃんの悲鳴も聞こえてきた。やっぱり怖かったんだ!意外な弱点!これが弱点とか可愛すぎだろ!
ジェットコースターに乗ってる間、小猫ちゃんはずっとおれの腕にしがみついていた。おかげでおれは鼻の決壊を抑えるのに必死だったよ。
無事何事もなく終わりジェットコースターから離れる。小猫ちゃんは今だおれにしがみついたまま。
「そんなに怖いなら乗らなかったら良かったのに」
「……だって、近衛先輩が乗りたいかなと思って」
苦笑混じりにそう言うと上目使いで返された。……やべぇメッチャ可愛いんですけど。このままお持ち帰りってアリ?……ナシですよね。
「つ、次は小猫ちゃんが乗りたいのに乗ろう」
「……はい。じゃあ―――」
それからおれたちは日が沈みかけるまでたくさん遊んだ。気づいたことは小猫ちゃんが実は絶叫系が苦手だってこと。化け物相手にも果敢に戦うから意外だった。
「うーん。流石に疲れたな。でもほとんどのやつに乗ったんじゃないか?」
「……いえ、先輩。あれにはまだ乗っていません」
そう言って指差したのは観覧車だった。このレジャーランドのシンボルであり、全長も高く一番上だとおれたちの町も見えるって話だ。
「そっか。じゃあ最後にあれ乗りますか」
「……はい」
観覧車に向けて歩きだす。観覧車か。いつ以来だろうか。てか遊園地自体久々に来た気がするな。最後に来たのは……あぁ、なるほどな。父さんがまだ生きていた時なのか。そりゃあ久々だな。
そんなことを考えていたから、隣にいる小猫ちゃんの顔に浮かんでいたものに気づかなかった。
敷地内で奥の方にあったからか並んでいる人はまったくいない。……シンボルじゃなかったの?
おかげで着いてすぐに乗れた。景色を楽しみながら上に行くのを待つ。
「小猫ちゃん今日はどうだった?」
「……楽しかったです。先輩の友達の人たちもいい人ばかりで」
「そっか。それは良かった」
笑いながらそう言うと、小猫ちゃんは顔を背けた。うっ、何かショック。ガクッ
おれは気を紛らすために外を見た。そこには絶景が広がっていた。
夕陽に照らされる家々と木々。そこに赤い空が加わって何とも言えない景色だった。
「おぉ、これは綺麗だな。小猫ちゃんも見てみなよ」
「……近衛先輩」
「ん?」
「……私……先輩のことが…………好きです」
「…………」
突然の告白。最初はおれの空耳かと思ったが違った。
「好きです。先輩のことが……近衛さんのことが好きです」
再度言う小猫ちゃん。その顔は夕陽に照らされているのもあるのか真っ赤だった。
「……先輩は……どうなんですか?」
「……おれは……」
もちろん好きだ。初めて会った時から。これが一目惚れかって思ったくらいだ。それから過ごしていってさらに気持ちは強くなった。おれから告白しようと思っていたから小猫ちゃんからしてくれたのは嬉しい。
……でもおれはこの前のコカビエルとの死戦で傷つく小猫ちゃんの側に行くことすら出来なかった。そんなんでおれがこの子の側にいることなんて許されない。
「……おれも好きだ。小猫ちゃんと同じ気持ちだ」
「……それじゃあ―――」
「でもおれは弱い。たぶん小猫ちゃんを守れないだろう。おれは……それが嫌だ。目の前で傷つく姿をもう二度と見たくない。だから気持ちは嬉しいけどごめ―――」
ギュッ
断ろうとしたら小猫ちゃんに抱きしめられる。
「こ、小猫ちゃん?」
「……それでもいいです。一緒にいられるなら」
「―――ッ!で、でもそれじゃあ―――」
「……それに守られるだけなんて嫌です。私も強くなって近衛さんの隣を歩きたいんです。だから……」
泣きそうな消え入る声で小猫ちゃんは言った。そこまでおれのことを……。
その姿を見て覚悟を決める。
「わかった。決めたよ小猫ちゃん。守るなんておこがましいことを言わない。ともに強くなって同じ道をおれの隣で歩いてください」
泣きそうな彼女の頭を撫でながら改めて言う。
「おれは……塔城小猫さん。あなたのことが好きです。こんなおれで良かったらその……つ、付き合ってください!」
「……はい!」
笑顔で返事をする小猫ちゃん。その笑顔は今まで見てきた中で最高に輝いていた。
おれたちはどちらとも言わず近づいていき、そして唇を重ねる。
それと同時に観覧車は一番上に到達し二人は夕陽に照らされた。
どうですか!
個人的には近衛と小猫ちゃんは絶対くっつけたいと思っていたので頑張ってみました。
感想募集してます。気が向いたら是非ともお願いします