「今日は大変な一日だったな。……まさか学園に白龍皇が現れるとは。あいつはいったい何を考えていたんだろう?」
夜、家への帰路を歩きながら呟いた。あの後は特に何事もなくみんなそれぞれの家へと帰っていった。おれは買い物があったからこんなに遅くなっちまったが。
「ただいまー」
家につくと違和感を覚えた。何故なら玄関にある靴の数がおかしいのだ。おれの家は四人家族。今は母さんも帰ってきているから靴の数は三つあればいい。しかし玄関には四つある。つまり誰か来ているのだ。
「母さん、誰か来てんの?」
「あら、近衛お帰り。懐かしい人が来ているわよ」
居間に入ると母さんが笑いながら言った。懐かしい人?そんなやついたかな?
不思議に思いながらその懐かしい人とやらを確認する。
「あ!おまえは!」
「よっ。久しぶりだぜぃ近衛」
「美猴じゃねぇか!何時ぶりだ?五年くらいか?」
そこには本当に懐かしい人物、美猴がいた。昔、母さんの実家の方に里帰りしたときに各地のお偉いさん方がたくさん集まってたことがあるんだ。その時、かの有名な斉天大聖孫悟空に連れられてたのがこいつ。
当時のおれは父さんを亡くしたばかりで荒れていた。そしてこいつも気性が荒い。仏となった斉天大聖とは違いことあるごとにケンカをしていた。そんなおれたちが出会えばケンカをしないわけがない。
小さいからこそお互いに譲らず、結局互いに倒れるまでケンカは続いた。そのおかげでおれたちはすぐに仲良くなった。一年に一回会えるか会えないかだったが。
しかし、おれたちが小学校六年生の年になると美猴は突然現れなくなった。最初は時間が噛み合わないだけかと思ったが、その後も会えなかった。
だから今日は久々の再会だ。
「今まで何処で何してたんだよ。心配したんだぞ?」
「かっかっか。悪りぃ悪りぃ、ちょっと野暮用でな」
「何で突然やってきたんだ?」
「ちょいとある奴の付き添いでこの町を訪れたからさ。久々に顔を出そうと思ってな」
どこかで聞いたようなセリフだったが気にしなかった。その後はお互いにどんなことがあったのか話をしながら夜が更けてった。
「とうとう今日か。少し緊張するな」
「ゴメンね近衛。どうしても外せない仕事が入ってるから行けないけど頑張るのよ」
玄関先で母さんがおれに謝る。別に気にしていないから謝らなくていいんだが。
今日はある人には待ちに待った日で、またある人には来てほしくなかった日。授業参観だ。
前者はアーシアさんで、後者は部長だ。アーシアさんは今までシスターだったからこのような行事は初めてで、しかも『家族』と呼べる人たちが学校に来るのが楽しみな様子だった。
その反面部長はこの日が来るのが心底嫌みたいだった。朱乃先輩の話によれば、サーゼクスさまも部長のお父さんも部長のことを溺愛しているらしい。
「謝らなくていいよ。気にしていないからさ」
「そう?でも来年は絶対に行くわよ。遥香を連れてね」
「うん!それに私は今日も行くよ?お兄ちゃんがどんな学校生活を送ってるか確認するから」
実は今日の授業参観は正確には「公開授業」になってるんだ。高等部の親はもちろん、中等部の生徒もその親も見学していいことになっている。
そして遥香は駒王学園中等部の生徒だ。だから来ても問題はない。規則上は。おれからしたら大問題だがな。
「無理して来なくていいからな。……クラスの男子共がおまえに色目を使うかもしれないし」
「え?何か言った?」
「いや、何にも。じゃあいってきます!」
「いってらっしゃい」
母さんたちに挨拶して学校に向かう。
学校に着いて教室に向かう途中、イッセーとアーシアさんと合流した。
予定通りイッセーの所は両親が二人とも来るらしい。ただ、メインはアーシアさんでイッセーはついでらしいが。
教室に着いくと松田と元浜が話しかけてきた。
「イッセーと近衛の所は今日来るのか?」
「俺のとこは二人とも来るって。まぁ二人ともアーシアを見に来るんだがな」
「わかるわその気持ち。俺もアーシアちゃんみたいな子が娘だったら絶対来るわ」
イッセーの言葉に松田が頷いていた。
「おれは親は来ないが遥香が来るって言ってたぞ」
「何!?それは朗報だ!やったぞ!」
「兄貴はこんなんだが遥香ちゃんはチョー可愛いからな!」
「おまえら遥香に手出したら命は無いと思えよ!」
喜ぶ二人に釘を刺しとく。まぁ意味無いと思うが。手出したらマジで殺すかもしんないけど。
するとゼノヴィアが近づいてきて頭を下げた。
「イッセー、この前はすまなかった。突然あんなことを言って」
「あ、あぁ。別にいいさ。わかってくれたならいい」
「私は君のことを考えず突っ走っていたかもしれない。だから―――」
二人だけで会話を進めていく。あんなことって何だ?最近と言ったら……おぉあれか。ゼノヴィアがイッセーに子作りを迫ったあれか。
おれがようやく話についてきたところでゼノヴィアは懐から何かを取り出した。そしてそれをイッセーの前で広げる。
「最初はこれを使って始めようではないか」
「なっ!?おまえ、それは!」
クラス中の視線がゼノヴィアの手に集まる。それも当然、ゼノヴィアの手にはあれの最中につけるコンドームがあるのだから。
「私がいた国ではこれをつけるのに一悶着あったが、日本の風習を考えるとやっぱりつけた方がいいのだろう」
「バ、バカ野郎ぉぉぉぉぉぉぉ!そんなもん学校で広げんじゃねぇぇぇぇぇぇ!」
イッセーが慌ててゼノヴィアがから奪い取る。しかしどこに仕込んでいたのかまた取り出した。
「アーシアにもあげよう。無計画ではお互いに傷つくことがあるからな」
渡されたアーシアさんだがそれが何なのか理解していないらしく「?」みたいな顔をしていた。
するとどこから現れたのか桐生がアーシアさんに何か耳打ちをする。何を聞かせれたのかんわからないがアーシアさんは顔を真っ赤にさせ、
「……うぅん」
バタン
倒れてしまった。相変わらず純粋な子だこと。
「そろにしても積極的だねぇゼノヴィアは。アーシアもこれくらい積極的だったら私も苦労しないのに」
「くそぉぉぉぉぉぉ!またしてもイッセーか!」
「アーシアちゃんだけじゃもの足りず、ゼノヴィアさんまで!」
「ちょっとみんな落ち着けって!近衛も黙ってないで何か言え!」
各々が自由に喋り始めるとイッセーが止めに入り、おれに助けを求めてきた。……しょうがねぇな。親友の頼みだ。助けてやるか。
「なぁみんな聞いて―――」
『おまえは黙ってろ!!!このロリコン!!!』
「……シクシク」
イッセーに助け船を出そうと思ったらクラスのみんなから怒鳴られた。……なんだよ、おれが何したってよ。
精神的なダメージが大きくおれは教室の角にいきイジけた。
「近衛!これくらいで落ち込むなよ!そんなんでいいのか!?」
イッセーが何か言っているがおれにはもう何も聞こえない。今までの学園全体の横暴で心が壊れかけていたが今のでおれの心は崩壊した。
それからイッセーとアーシアさんで何とかクラスのみんなを落ち着かせたらしい。ゼノヴィアは最後の最後までぶれなかったみたいだが。
そんなこんなで公開授業が始まった。おれはイッセーに宥められ何とか元の状態に戻った。おかげでクラスメートの親御さんに恥ずかしい姿を見せずにすんだよ。
後ろを見てみると結構な数の親と中学生が見に来ていた。その中には当然遥香もいたし、イッセーの両親もいた。
最初の授業は英語。やたらと気合いの入った男性教諭が大きい長方形の形をした物を渡していった。英語の授業でそんなの使うっけ?
全ての言語を理解できる悪魔にとって英語の授業は都合がいい。悪魔になる前から得意だったからほとんど変わらないが、それでも瞬時に理解できるのは嬉しかった。
だから今日もそんな授業かと思ったが違った。全員に渡し終えた先生が、
「みなさんに今渡したのは紙粘土です。これからそれで好きなものを作ってみてください。題材は何でもいい。自分が今脳に思い描いたありのままの表現を形作ってください。そういう英会話もある」
「「ねぇよ!」」
思わずイッセーと一緒に叫んだ。紙粘土で語る英語?そんなのあるわけねぇよ!よくこんな授業学園側も許したな!
おれたちの叫びを華麗にスルーした先生は、
「レッツトライ」
普通に授業を開始した。他の生徒も苦情を言うかと思ったら全然そんなことはなかった。みんな何事もなく紙粘土をこね始めた。……そんなんでいいのかみんなよ。
「む、難しいです」
「アーシアちゃん!頑張って!」
「アーシアちゃん!可愛いぞぉ!」
初めての紙粘土に苦戦するアーシアさんを見て、イッセーの両親が興奮していた。それにアーシアさんも笑顔で応える。そんな家族の様子にイッセーは恥ずかしそうに嬉しそうに俯いた。
そんなイッセーを笑うおれだったが、
「お兄ちゃん!しっかりね!」
遥香が大声でエールを送ってきた。しかも、
「妹さんかい?だったら兄の授業風景を間近で見てもいいよ」
といつのまにかいた先生が言った。しかもご丁寧に遥香用のイスまで用意してるし。
「はい!ありがとうございます!」
元気に可愛く返事をしておれの隣に座る。その光景を女子からはクスクス笑われ、男子からは怨念の籠った眼差しで見られた。
「…………どうしてこうなった」
「ま、しょうがないさ。頑張りな、お兄ちゃん」
机の上で頭を抱えてたら前の席からイッセーが笑いを堪えながら言ってきた。くそー!さっきまで恥ずかしがってたくせに!
ともあれなってしまったことはしょうがない。遥香が隣にいる中おれは紙粘土で製作を始めた。
「ふむ。何を作ろうか」
先生は頭に思い浮かんだ物をと言っていたが急にそんなことを言われて思い付くのなんか……あ、そうだ。あいつがいたな。作った後に飾って置けそうなモデルのやつが。
「お兄ちゃん何作ることにした?」
「ふふふ、それは完成してからのお楽しみ~」
問いかける遥香にいかにも怪しげな笑みで応える。
四十分後
「よしできた!」
『おおー!』
おれの机の上に完成された物を見て遥香を含む周りの生徒が感嘆の声をあげる。その様子に少し気分がよくなる。
おれが作ったものは狐だ。それも尾が九本の。モデルはおれの中にいる九十九である。こいつだったらいつでも頭の中に浮かんでくるし、完成した後に部屋に飾っていてもインテリアとなる。
『すごいな。これは俺か?』
(あぁそうだ。どうだ巧く出来てるだろ?)
心の中で九十九相手に自慢する。もう一人の自分になにしてんだって思うけどこの時は自慢したくなるほど巧くいっていた。
『おおー!』
またしたも感嘆の声が上がった。そちらを見てみれば……てかおれの前、イッセーの席にみんなが注目していた。
おれも気になったから後ろから覗き込んでみると、
「おおー!」
そこには見事な部長像があった。顔、腕、腰、太もも、脚、胸。どこをとっても部長だ。これはすごい!
「兵藤くん……私は今猛烈に感動している。……このような授業を通してまた一人、生徒の新たな才能を開花させてしまった」
「あれってリアスお姉さまよね?」
「イッセーくんがあそこまで再現できるってことは……」
「くそぉぉぉぉぉぉ!うらやましいぃぃぃぃ!」
「どうしてイッセーばかりぃぃぃぃ!」
男子と女子。それぞれの意見が飛び交う中誰かが、
「五千!」
と言うと授業は一変した。
「いや!俺は六千出すぞ!」
「私は七千出すわ!グレモリー先輩のお体を堪能するの!」
「ふざけろ!俺が買うんだ今夜のお供に!八千!」
紙粘土を用いた楽しい楽しい授業が、イッセーが作った部長の像でオークション会場と化してしまった。
「よく出来てるわね」
昼休み、休憩がてら自販機に飲み物を買いにいくと偶然部長と朱乃先輩に出会った。その時にイッセーが作った部長像を見せると驚いた。
どうして持ち歩いているのかというと、結局イッセーは部長像を売らなかった。そして教室に置いてくると誰がとるかわからない。だからこうやって持ち歩くことにしたってわけ。
「あらあら、さすがは毎日部長のお体を見て触っているイッセーくんですわ」
「いえ、そんなことないですよ」
「私も今度作ってもらおうかしら。そのためなら服を脱いでも構いませんし」
朱乃先輩が妖艶な微笑みをしてさらりと大胆発言をする。
「いいで―――」
「ダメよ」
「ダメです」
イッセーが承諾しようとすると部長とアーシアさんが左右から頬をつねった。相変わらず手厳しい二人です。
「ところで部長、サーゼクスさまとお父さんは来たんですか?」
つねられた頬を擦りながらイッセーが聞いた。それに対し部長は額に手を当てながら、
「えぇ、来たわ。……恥ずかしいくらいに写真をたくさん撮ってね」
「それはご愁傷さまです……」
「おまえの所もあんまり変わらないと思うぞ」
同情するイッセーにおれが一言添える。すると奴もその時のことを思い度したのか頭を抱えた。その渦中のアーシアさんは何のことかわからないらしく首を可愛く傾げていた。
「あ、部長。それにみんなも」
そこへ木場が現れた。こいつも飲み物を買いに来たのか?
「あら、祐斗。あなたもお茶を買いに?」
「いえ、何やら魔女っ子が撮影会をしていると聞いたもので、ちょっと見に行こうかなと思いまして」
木場が廊下の先を指差しながらそう言った。魔女っ子?学園にそんなのが現れたのか?
おれたちはお互いに顔を見合わせて首を傾げた。
木場の案内のもと廊下を進んでいくとそれらしき人だかりを見つけた。
「すみませーん、目線お願いしまーす」
「こっちもー」
「はーい⭐」
周りの興奮度と返事をする声を聞く限り、魔女っ子とやらは相当な美少女だと思う。
人だかりの隙間をぬって前に進むとその姿が見えてきた。予想通りグレモリー眷属の女性陣に負けず劣らずの美少女がそこにはいた。服装も魔女っ子と呼ばれるに相応しい奇抜な格好をしていた。
「ん?あれは……」
「あの子に見覚えがあるのか?イッセー」
「いや、あの格好のほうにな。俺のお得意様の一人に魔法少女が大好きな人がいて、その人と見たアニメのキャラと同じ格好なんだよ」
「へぇ~アニメのキャラね~」
イッセーの言葉に少し感動する。このレベルのコスプレイヤーにはなかなか出会えないからな。
おれも一枚撮ろうと思い携帯を取り出すと今度は部長が声をあげた。
「え!?あ、あの人は……!」
「あの子に見覚えがあるんですか?部長」
「え、えぇ。あの人は―――」
「やいやい、てめぇら。天下の往来で写真撮影たぁいいご身分だなぁ!」
部長が話そうとしたら後ろから声が聞こえてきた。そのまま人混みを掻き分けておれたちがいるところ、中央まで声の主は進んできた。
「ほらほら、行った行った。あんたも親御さんならそんな服装ではなくてもっと普通の服を着てきてくださいよ」
「ええー、だってこれが私の正装だもん⭐」
「そうは言いましても……」
注意するが華麗にスルーされ苦い顔をしている匙元士郎。生徒会に所属してて書記をやっている。見てみると後ろから生徒会の他のメンバーらしき女子生徒もついてきていた。
「匙じゃねぇか」
「おーイッセーか。それにリアス先輩まで。今魔王さまと先輩のお父さんを案内していたところなんですよ」
匙の後ろを見てみる。なるほど。ソーナ会長の先導のもと、二人の紅髪の男性が近づいていた。
「サジ、何をしているのです?問題は迅速に解決しなさいといつも言って―――」
「ソーナちゃん!見つけた⭐」
会長が言葉を止めたと思ったら魔女っ子が会長を見つけるなり抱きついた。会長は振り払うわけでもなく軽く放心していた。
するとサーゼクスさまが魔女っ子に向かって話しかける。
「ああ、セラフォルーか。君もここへ来ていたんだね」
その言葉に首を傾げる。セラフォルー?どこかで聞いたことがあるような、ないような……。
イッセーも同様でそんなおれたちに部長が補足してくれた。
「レヴィアタンさまよ。あの方はセラフォルー・レヴィアタン。現四大魔王のお一人で、ソーナのお姉さまよ」
「「えええええええええええ!?!?!?!?」」
驚愕のあまり叫ぶおれたち。幸い周りにはおれたち以外誰もいなかった。……しかしこの方が魔王でただ一人の女性かよ。チョー美人だとは聞いていたが、美人と言うよりは美少女だな。
「お久しぶりです、セラフォルーさま」
「あら、リアスちゃん⭐おひさ~⭐元気にしてましたか?」
部長が挨拶すると堅苦しい雰囲気など欠片も見せないフレンドリーな感じで返してきた。その様子に部長も少し困った様子だ。
「は、はい。おかげさまで。今日はソーナの授業参観に?」
「うん⭐ソーナちゃんったら酷いのよ。今日のこと黙ってたんだから!お姉ちゃんショックで天界に攻め込もうとしたんだからね⭐」
可愛い顔で恐ろしいことを口にするセラフォルーさま。それには部長も苦笑いしていた。
「イ、イッセー、挨拶しなさい」
「あ、はい。初めまして、リアス・グレモリーさまの『兵士』兵藤一誠です。よろしくお願いします」
「初めまして⭐私が魔王セラフォルー・レヴィアタンです⭐『レヴィアたん』って呼んでね⭐ふーん、ねぇサーゼクスちゃん。この子が噂のドライグくん?」
サ、サーゼクスさまを『ちゃん』付けしている。流石は魔王さま同士だ。
「そう、彼が『赤い龍』を宿す者、兵藤一誠くんだ」
「じゃあそっちがコカビエルに挑んだ九尾くんだね?」
「は、はい!『戦車』の桜近衛です!よ、よろしくお願いします!」
セラフォルーさまに指で指され緊張する。お、おれってそんな覚えかたされてたんだ。
「君、結構無謀なことするんだね⭐コカビエルに下級悪魔が挑むなんてただの自殺行為だよ」
「うっ……」
レヴィアタンさまのお言葉に心を抉られる。た、確かにそうだけどはっきり言わなくてもいいじゃん!
と思っていたらまだ続きがあった。
「でも、私そういうの嫌いじゃないよ⭐」
満面の笑みでレヴィアタンさまは言った。まぁ笑顔なのはさっきも一緒か。
「そ、そうですか!ありがとうございます」
深々と一礼をする。すると、部長のお父さまがレヴィアタンさまに話しかけた。
「セラフォルー殿。その格好は少々奇抜なのではないのか?」
「あらグレモリーのおじさま。この国ではこれが流行りですのよ?」
「ほう、そうなのですか。これは私が無知だったようだ」
「はははは、父上。信じてはなりませんよ」
グレモリー親子とセラフォルーさまの会話を聞いて頭の中に一つの疑問が生まれた。
「あの部長、もしかして……」
「えぇ、言い忘れてた……というより言いたくなかったのだけど現四大魔王の方々はプライベート時酷いくらいにノリが軽いのよ。酷いくらいに」
や、やっぱり。前のサーゼクスさまと今のセラフォルーさま。どちらも魔王とは思えないほどのキャラをしていた。まさか他の二人もとは。
すると今まで静かだった会長が口を開いた。
「お、お姉さま。前からその服はお止めになってくださいと散々言いましたよね?」
「えー嫌よ。だってこの服可愛いんだもん⭐それよりソーナちゃん。せっかくの姉妹の再開なんですよ?もっと、『ソーたん!』『お姉さま!』って抱き合いながら百合百合な展開になってもいいと思うのよ、お姉ちゃんは」
「わ、私はここの生徒会長です。せ、生徒の前でそんなゆ、ゆ、百合百合な展開などできるはずもありません」
顔を真っ赤にして何とか耐えている様子の会長。こんな人が姉だったらそうもなるよな。わかりますよその気持ち。
「うぅ、もう耐えられません!」
「待って!ソーナちゃん!お姉ちゃんを置いてどこに行くの!」
遂に我慢の限界に来たようで目に涙を溜めながら走り去っていく会長。それを追いかけるセラフォルーさま。魔王姉妹の追いかけっこだ。とても危険な。
「シトリー家は今日も平和だね。そう思わないかいリーアたん」
「……お兄さま、私の愛称に『たん』をつけるのはお止めください」
「そ、そんな。……リーアたんにも反抗期か。昔は『お兄さま、お兄さま』とどこに行ってもついてきたのに」
こちらもこちらで恥ずかしい展開を始めた。魔王家族ってみんなこんなもんなのかよ。人間とほとんど変わらないな。
そう思いながらこれ以上の面倒ごとに巻き込まれないよう願うおれであった。