今回もイッセー視点です
次かその次辺りでオリ主視点に戻る予定です
ではどうぞ!
桜近衛。
私立駒王学園に通う高校二年生。
性格は明るく、分け隔てなく接するためクラスメイト(主に男子)から人気が高い。
頭は良く、運動も出来て顔もまぁまぁ整っている割とナイスガイな奴。
しかし根は変態で、ここに来たのも女子が多いからと言う理由からだ。他二人と一緒に『変態三人組』などと呼ばれクラスの女子は勿論、学園の女子から嫌われている。本人はそれを嘆き悲しんでいる面白い奴。
そんな俺の大切な親友。
「イッセー、何か策はあるのかしら」
校舎から一緒に出てきた部長が聞いてきた。自信満々で勢いよく出てきたから、何かしら考えがあると思ったのだろう。俺も部長の立場ならそう思うな。だがしかし。
「いえ、策なんて何もないですよ」
「え!?ないの?」
「はい。近衛を元に戻すには情報が少なすぎますし、ギャスパーの暴走を止める方法もわかりません」
「確かにそうね」
「でも、何とかしますよ」
部長に笑顔で返す。どこからそんな根拠が湧いてくるのか自分でも不思議な程だった。食らったら即死級の技を放ってくる近衛に、現在進行形で時間を止めているギャスパー。この二人をどうやって自分は戻すのか。
自問自答してると、軽く放心していた部長の笑い声で現実に引き戻された。
「ふふふ、そうね。その場で何とかする。どれだけ策を立てても実際はどうなるかわからない。これが一番かもしれないわね」
「おや、今回は随分と単調ですね部長」
「ええ、ボケ役がいないとツッコミ足りないかと思ってね」
「いやいや、折角休めると思ってるんですからやめてくださいよ」
「ふふふ」
「あはは」
「じゃあ本来のボケ役と可愛い『僧侶』を助けに行くわよ!」
「はい!」
「近衛!ギャスパー!」
着くなり大声で叫ぶ。これで振り向くとは思わないが一応な。少しでも意識があるなら返事するかもしれないし。
しかし、その希望とは逆で近衛はこちらを見ないし、ギャスパーは姿を見せることはない。さて、どうしたものか。もう一回叫んでみるか、いやいっそのこと攻撃するか?
そうこう考えていると、微かに蚊の泣くような声が聞こえてきた。
「……せん…ぱ……い?」
「―――!?部長!」
「ええ微かだけど聞こえたわね。ギャスパー!聞こえるかしら!私よ!」
「ぶ……ちょう?」
「ギャスパー、俺もいるぞ!」
「イッセー先輩……部長……うっ…うっ…うう」
呼びかけるたびに声は大きくなったが、最後にはまた小さくなり鼻をすする音と泣き声に変わった。突然の事態に俺と部長は面食らってすぐに反応できなかった。
「先輩、部長……もう嫌です。僕は……死んだほうがいいんです。お願いです、部長、先輩。僕を殺してください……。この眼のせいで、僕は誰とも仲良くなんてできないんです……。迷惑ばかりで……臆病者で……」
「バカなことを言わないで。私はあなたを見捨てないわよ?あなたを眷属に転生させたとき、言ったわよね?生まれ変わった以上は私のために生き、そして自分が満足できる生き方も見つけなさい―――と」
いち早く立て直した部長が声をかける。てか部長ギャスパー転生させるときそんなカッコいいこと言ったんですか。
しかし、部長の言葉はギャスパーに届くことはなかった。
「……見付けられなかっただけです。迷惑かけてまで僕は……生きる価値なんて……」
「あなたは私の下僕で眷属なの。私はそう簡単に見捨てない。やっとあなたを解放させることができたのに!」
「そうだぞギャスパー!俺と部長はお前を見捨てない!」
部長とともにギャスパーに想いをぶつける。そうさ、お前は俺の大切な後輩だ。たとえ神器が使えなくても受けとめて―――。
「『貴様らは何もわかっていない』」
「「!?」」
突然の第三者の声。それは重低音でどこか冷たく、体の奥から底冷えする声だった。
「だ、誰だ!どこにいる!」
「『誰かに迷惑をかける、自分のせいで周りを傷つける……この事がどれだけの苦痛なのか。貴様らは全く理解などしていない』」
「だからどこにいる!姿を見せろ!」
「ッ!イッセー!」
声をあげるとともにどこかを指差す部長。その指差す先を見ると、近衛がこちらを見ていた。じゃあ今の声は近衛?いやそれは違う。あいつの声はこんなんじゃない。
「お前は誰だ」
「『我の名など今はどうでもいいだろ』」
「……そうか。それで?俺たちが何をわかってないって?」
「『だから苦痛だよ。他人に迷惑をかける苦痛、周りを傷つける苦痛。一度でも感じたことがあるか?悪魔の子らよ』」
奴の言葉に考えてみる。部長も隣で腕を組んで考え始めた。…………考えてみたが思い当たらなかった。
「いや、ない」
「私もないわ」
「『だから何もわかっていないんだよ。わからない者の言葉などどれだけかけられようとも響かない』」
「…………」
何も言い返せなかった。もちろん何も思わなかったわけじゃない。言いたいことがなかったわけじゃない。それなのに言葉が出なかった。“響かない”その言葉に俺は止まった。
静寂が場を包む。それを破ったのはとても小さくてか弱い悲痛な声だった。
「僕が……僕がいなければ……近衛先輩が傷つくことはなかった。……僕が弱いから……未熟で、臆病だから……」
「ギャスパー……」
「『これでわかっただろう。貴様らは誰一人助けられない。理解できたなら我が世界を破壊するまで怯えていろ』」
ピクッ
「……なよ」
「え?」
「ふざけんなよお前ら……。さっきから話聞いてれば死にたいだの、弱いだの、わかってないだの、助けられないだの」
我慢の限界だった。ギャスパーの弱音も、奴の言ってることも。
「ギャスパーが感じてる苦痛を知らない?ああ、確かにそうだな。周りに迷惑かけることも、自分の力で周りを傷つけることもなかったからな。そんな俺の言葉が届かないのも当然かもな。―――だけどな、それとギャスパーのことを諦めることは違うんだよ。あと近衛な」
「『ふん、貴様が何と言おうと事実は事実だ』」
「そうかも知れない。だが事実だからと言って諦める理由にはならない。なぁギャスパー」
「…………」
「弱い、未熟ってのは別に悪いことじゃないんだよ。世界で活躍してるトップアスリートとか、テレビでよく見る有名俳優とか、お前の大好きな近衛先輩とか、みんな最初弱くて、未熟だったんだ。だからこそ努力したんだよ。何度も挫けそうになって、何度も諦めそうになって、何度も逃げ出したくなって。それでも目標のために、夢のために、自分のために頑張ったんだ」
「……イッセー……先輩」
「恥じるな。自分を卑下するな。失敗を恐れるな。失敗した分だけ成功へ近づくんだよ。お前が諦めないかぎり俺はいくらでも付き合ってやる。だから死にたいなんて言うなよ、悲しいじゃねぇか」
ギャスパーに自分の思いのたけをぶつける。誰だって初めから強いわけないんだ。スタートはみんな一緒、そこから頑張れるか頑張れないかなんだ。ギャスパー、お前は頑張れる奴だって俺は信じてる。
それまで静かに聞いていた部長もギャスパーに自分の想いを伝えた。
「ギャスパー、私にいっぱい迷惑かけてちょうだい。私は何度も何度もあなたを叱ってあげる!慰めてあげる!―――決してあなたを放さないわ!」
「ぶ、部長……僕は……僕は!」
ギャスパーは泣き出した。しかし、その涙は決して恐れからでも悲しみからでもない―――嬉しさからくるものだ。俺と部長の言葉が、想いがギャスパーに届いたんだ。無駄なことじゃなかったんだ。ははは!
気分が高まった俺はギャスパーに大声で呼び掛けた。
「ギャスパー!お前は本当に幸せ者だな!部長みたいな美しい人にこれだけ思ってもらってよ!だけどな、これで終わりじゃないだろ?女の子に活いれてもらった後は、自分から立ち上がらないとな!!ブーステッド・ギア!」
『Boost!!』
「部長、プロモーションの許可を!」
コクッ
俺の言葉に頷く部長。それを確認して『女王』に昇格する。これで俺の力は底上げされた。そして最後に。
「アスカロン!」
『Blade!』
新たな音声と共に神器の甲から伸びたのは、俺の新武器アスカロン。それで右の掌を斬った。
「イッセー……?あなたまさか……Mの気が……!」
「ちょ、部長!今大事なとこなんですから変なこと言わないでください!」
「ご、ごめんなさい」
部長の意外な一言に若干削がれるも、気を取り直してギャスパーを見つめる。眼があった。その瞳には既に恐怖は浮かんでいない。俺は左腕をギャスパーに突きだす。俺の血が付いたアスカロンはギャスパーに向かって一直線に伸びた。そしてあいつの口に血が付く。
「その為ならいくらでも手伝ってやる。飲めよ、最強のドラゴンを宿しているとかいう俺の血だ。それで男を見せてみろッ!」
俺の言葉にギャスパーは強い眼差しで頷いた。ギャスパーが舌で口元に付いた俺の血を舐めとる。ギャスパーが俺の血を口にした瞬間、あいつから感じられるオーラが一変した。そして眼が一瞬怪しく光る。
カッ!
するとどうだろう。今まで無限に現れ続けていた魔法使いたちが現れなくなった。ついでに近衛を乗っ取った奴も停止した。その瞬間奴の背中からギャスパーは消えていた。
「え!?ギャスパー!?」
『何ですか、先輩』
声のする方を見ると、たくさんのコウモリが飛んでいた。どれも眼が赤く光っている。
「もしかしてギャスパーか?」
『はい!ギャスパーです!』
随分と強気なギャスパーがいた。普段とは比べ物にならない。これも俺の血を飲んだからか?さすがはヴァンパイアだな。
「お前スゲーな。コウモリになれんのかよ」
「これがギャスパーが本来秘めている力の一部よ。あなたの血を飲んで開花したのね」
「はい!イッセー先輩のおかげです!」
ギャスパーが元に戻りながら礼を行ってくる。が、俺はそれを否定する。
「いや、俺が与えたのはただのきっかけだよ。その力はギャスパー、お前が自分の力で手に入れたんだ」
「僕……自身の力で……」
「そうだ。お前自身の力だ。だから、これからもっと自信を持てよ」
「…………はい!」
満面の笑顔でギャスパーは笑った。やっぱり笑顔は一番だよな。俺はこれを守るためにこれからも戦う。その為には……。
「『美しい友情だな。いや、これも愛の一つか』」
こいつを倒して近衛を取り戻す。
どうでしたでしょうか?
オリ主くんが魔法使いたちは倒したし、このイッセーくんはエロオープン!じゃないので原作通り行けず苦労しました
気に入っていただけたなら幸いです