ウルトラマンオーブ × ラブライブ!サンシャイン!!   作:さすらいの風来坊

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7話に入ったことで、2期も折り返しになりました。
一応このまま執筆して13話が終わったあとには『劇場版ラブライブ!サンシャイン‼︎ The school idol movie 〜Over the Rainbow〜』を基盤にした小説を書いていく予定ですので、そちらもお付き合いよろしくお願いします。


【7-1】残された時間/あと少し

司会のお姉さん「それでは皆さん! ラブライブ、ファイナリストの発表で〜〜〜す!」

 

声がよく通るお姉さんがマイクで話し始める。

それまでガヤガヤしていた会場は静まり、観客もスクールアイドルたちもステージにある巨大モニターに注目した。

 

鞠莉「決勝に進めるのは3グループ...。」

 

モニターでは、投票に応じたグラフが右肩上がりにグングン伸びていく。

ちなみに、Aqoursは水色のグラフ線である。

 

千歌「...。」

 

千歌は固唾を飲んでモニターを見る。

 

曜「お願い!」

 

曜が両手を合わせて祈る。

その祈りが通じたのか、数あるグループから水色,赤色,緑色の線が突出した。

 

司会のお姉さん「上位3組はぁ...このグループです!」

 

モニターの画面に上位3組が表示され、決勝進出グループの名前が堂々と映し出された。

決まった瞬間、会場からは拍手が沸き起こる。

その中でも、Aqoursは1位で予選を通過していた。

 

曜「千歌ちゃん!」

 

嬉しさのあまり、曜が千歌に抱き付く。

 

千歌「やった...やったの?」

 

1位通過した現実に理解しきれていないのか、まだ呆然としている千歌。

 

千歌「夢じゃないよね...? あっ...てならないよね?」

梨子「ならないわ。」

千歌「ホント?」

 

そんな千歌の疑問に梨子が答える。

3年生たちはサムズアップで喜びをわかちあった。

 

千歌「だって決勝だよ? ドームだよ? ホントだったら奇跡じゃん!」

梨子「奇跡よ...。奇跡を起こしたの...私たち。」

 

念願の決勝大会出場を掴み取ったAqours。

1年生も笑顔だ。

 

曜「さぁ皆、いっくよ〜! 全速前し〜ん...。」

 

曜がとたんに離れて、8人に号令をかける。

それに合わせて、全員で右手の人差し指を上に掲げて...

 

「「「「「「「「「ヨーソローーーーーー!」」」」」」」」」

 

曜「からの〜、敬礼!」

 

全員で嬉しさを共有しあったのだった。

そして舞台袖では...

 

リク「Aqoursの皆、本当に決勝進出するんですね!」

ガイ「あぁ。」

JJ「お? 感極まってるのか?」

ガイ「柄にも無いが、そうみたいだ...。」

 

こちらも喜びに浸っていた。

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

花丸「緊張で何も喉が通らなかったずら~。」

善子「アンタはずっと食べてたでしょ!」

リク「花丸ちゃん相変わらずの食欲だね...。」

 

閉会式を終えて地区予選の全てが終了し、緊張から解放されたAqoursとガイ,ジャグラー,リクは名古屋の栄に来ていた。

そこで羽を休めていたのだ。

 

果南「にしても、アキバドームかぁ...。」

千歌「どんな場所なんだろうね?」

梨子「いい曲を作りたい!」

曜「ダンスも、もっともっと元気にしよ!」

 

決勝大会に向けての想像が膨らむ。

 

ルビィ「ん? 見て!」

 

不意にルビィが声を上げた。

その方向には大きなモニターがあり、先ほどのAqoursのパフォーマンスが放送されていた。

 

ルビィ「すごい視聴回数!」

ガイ「予選が終わってからまだ数時間しか経ってないぞ。」

 

モニターに表示されている視聴回数はまもなく5万に達する勢いだ。

 

千歌「本当...。こんなにたくさんの人が...。」

 

それくらい今回のAqoursには注目がいっている証拠。

 

ダイヤ「生徒数の差を考えれば当然ですわ。これだけの人が見て、私たちを応援してくれた。」

 

生徒数の圧倒的不利を跳ね除けて地区予選1位通過を果たしたのだ。

それだけAqoursに魅了された人たちが数多く居たということになる。

 

千歌「あっ! じゃあ入学希望者も!」

JJ「少しは増えてるだろ?」

 

これだけAqoursの事を知ってくれているなら学校も注目され、PRにもなる。

その期待に胸を膨らませ、募集ページにアクセス権がある鞠莉に視線を向ける。

 

鞠莉「...。」

 

しかし、その本人はスマホの画面を見ながら固まっていた。

 

ガイ「鞠莉?」

善子「どうしたのよ?」

梨子「うそ...。」

ダイヤ「まさか...。」

 

反応が無かった鞠莉に対してガイと善子が声をかけ、不吉な予感を察した梨子とダイヤ。

 

鞠莉「携帯...フリーズしてるだけだよね? 昨日だって何人か増えてたし...。全く変わってないなんて...。」

 

JJ「どうなってやがる...。」

リク「みんなあんなに頑張ってたのに...。」

 

暗い表情の鞠莉。

このままだと9人の今までの努力が水の泡となってしまう。

 

ルビィ「鞠莉ちゃんのお父さんに言われてる期限って、今夜だよね?」

 

入学希望者の募集期限はルビィの言う通り、地区大会が行われた日の夜。

カウントダウンはすでに始まっているも同然。

 

ダイヤ「大丈夫、まだ時間はありますわ。学校に行けば、正式な数が分かりますわよね?」

鞠莉「うん...。」

 

雲行きが怪しくなる中、ダイヤが鞠莉を鼓舞させる。

 

千歌「よし! 帰ろう!」

 

千歌の一声で浦女へと足を運ぶ一同であった。

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

名古屋から沼津に戻ってきた一同。

学校に着いた時にはすでに日が沈み、時刻は夜の8時だった。

 

鞠莉「ちょっと待ってて。」

 

校舎内に入り、理事長室に置いてあるパソコンで入学希望者の募集ページを開く。

 

果南「どう?」

鞠莉「変わってない...。」

曜「そんな...。」

 

夕方にスマホで見た数字と変わっていなかった。

 

善子「まさか...天界の邪魔が...。」

 

ルビィ&花丸「「...。」」

JJ「んなわけあるか。」

 

いつものように善子が場を和まそうとするが、ルビィと花丸から冷ややかな視線が注がれる。

ジャグラーからはマジレスをもらってしまう。

 

ダイヤ「ではやはり...。」

果南「あと4時間しかないよ。」

リク「4時間...。」

ペガ「厳しいよ...。」

 

理事長室ではペガも加わる。

午後8時の時点で入学希望者は80人。

統廃合を阻止するために必要な100人まであと20人。

 

鞠莉「Aqoursの再生数は?」

ルビィ「ずっと増え続けてる。」

ガイ「ライブの再生数が増えても、入学希望者が増えるわけじゃないか...。」

 

ライブの再生数が増えるのは、単に『スクールアイドル』としてのAqoursに注目するからで、どこの学校かは二の次な話だ。

 

鞠莉「パパに電話してくる...。」

 

座っていた鞠莉が立ち上がり、スマホを片手に理事長室から出ていった。

 

 

 

 

 

曜「遅いね鞠莉ちゃん。」

果南「向こうは早朝だからね。なかなか電話が繋がらないのかもしれないし...。」

 

あれから1時間が過ぎた。

鞠莉の父親がアメリカにいるため、日本との時差も考えると果南の予想が妥当だろう。

まだ待つことになるかと思われたが...

 

ガチャリ

 

鞠莉「Waitingだったね。」

 

扉が開き、鞠莉が戻ってきた。

その際、ダイヤとガイも一緒だった。

2人はそれぞれ生徒会長,教員(顧問)として鞠莉の父親と話をしたのだろう。

 

千歌「お父さんと話せた?」

鞠莉「うん、話した。決勝に進んで、再生数が凄い事になってるって。」

梨子「それで...?」

 

鞠莉の父親もAqoursの活躍に賛辞を述べてくれた。

しかし、本題は入学希望者のタイムリミットのこと。

 

ダイヤ「何とか明日の朝まで延ばしてもらいましたわ。ただ、日本時間で朝の5時。そこまでに100人に達しなければ、募集ページは停止すると...。」

ガイ「これ以上は引き延ばせなかった...。すまない...。」

果南「最後通告って事ね...。」

 

これに賭けるしかない。

 

千歌「でも、あと3時間だったのが8時間に延びた。」

 

時間が延びただけ幸いなこと。

希望は繋がったが、これが本当に最後の希望だ。

 

ルビィ「ふわぁっ! 今、1人増えた!」

リク「86人だ!」

 

ルビィとリクがそう知らせてくれた。

 

梨子「やっぱり! 私たちを見てくれた人が興味を持ってくれたのよ!」

曜「このまま増えてくれれば!」

 

千歌「ッ!」

 

1人、また1人と増えてくれることが今の彼女たちにとっての安心材料となる。

そんな中、千歌がその場から駆け出す。

 

ガイ「千歌?」

ペガ「千歌ちゃん!?」

善子「どこ行くのよ!?」

 

千歌「駅前! 浦の星をお願いしますって皆にお願いして...それから! それから...。」

 

ドアノブに手をかけ、どこか焦りながら答える千歌。

 

梨子「今からじゃ無理よ...。」

JJ「やめとけ。近所迷惑だろうが。」

千歌「じゃあ! 今からライブをやろう! それをネットで!」

果南「準備してる間に朝になっちゃうよ?」

 

千歌が提案したものが尽く否定される。

タイムリミットまでにできることがあるならやりたい気持ちもわかる。

 

千歌「そうだ!」

曜「ッ!」

 

冷静さを失った千歌に抱きつく曜。

 

曜「落ち着いて! 大丈夫...大丈夫だよ。」

千歌「でも...何もしないなんて...。」

 

落ち着きを取り戻した千歌。

このまま終われないことはここにいる全員がわかっているが、打つ手無し。

 

果南「信じるしかないよ。今日の私たちを。」

千歌「そうだよね...。あれだけの人に見てもらえたんだもん。大丈夫...だよね。」

 

果南の言う通り、地区予選大会で爪痕を残した自分たちを信じ、入学希望者が100人に達することを祈るだけ。

 

ダイヤ「さあ、そうとなったら皆さん帰宅してください。」

花丸「帰るずらか?」

善子「なんか1人でいるとイライラしそう...。」

曜「落ち着かないよね、気になって。」

 

場が落ち着いたところでダイヤが帰宅を促す。

夜の9時を過ぎているし、地区大会に出発してから家には帰ってないため、家族も心配するだろう。

だが、このまま帰れば100人に達する瞬間に立ちあうことはできない。

 

果南「だって?」

ダイヤ「仕方ないですわね...。」

 

100人に達する瞬間を見守りたいようで、ダイヤは帰宅を促すことはしなかった。

 

千歌「じゃあ、いてもいいの?」

ダイヤ「皆さんの家の許可と...理事長の許可さえあれば...。」

鞠莉「もちろん。皆で見守ろう!」

 

学校に残ってもいいが、家族にはちゃんと連絡することで妥協した。

それに理事長は鞠莉だ。

こんな時に許可を出さないわけがない。

 

JJ「徹夜かよ。」

ガイ「まぁまぁそう言うなって。俺たちも見守ろうぜ。」

JJ「しゃーねぇな。まぁ、ここにいりゃ退屈しなさそうだし。」

 

ペガ「夜の学校か〜。ちょっとワクワクするね。」

リク「前にモアから夜の学校の噂話を聞いたことあったっけ?」

 

13人の大所帯で寝ない1泊をすることに。

 

ルビィ「あぁ! また1人増えた!」

 

それに、少しずつ100人に近づいていた。

 

 

 

 

 

続く。




Aqours 6th LoveLive!の無観客配信を含めたドームツアー全公演が中止で、来年以降の開催を検討しているというお知らせがありましたね。
いろんな感情が溢れてるかと思いますが、キャストの9人やスタッフさん、10人目の我々の健康が最優先ですからね...。
その代わりに、9月には5thライブの配信、10月には『LOST WORLD』ってタイトルの配信ライブがあるみたいなので、今から楽しみです!

そして、ガイさんの「どうせ地球は丸いんだ。またそのうちどこかで会えるだろう。」って台詞を信じてAqoursに会える日が来るまで待ちます!
ちなみに、観客動員ありのライブが復活したら、霧崎の「待っていたよ!!」とヒカルの「行こうぜぇ〜!」で盛り上げたいと思います(笑)

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