ウルトラマンオーブ × ラブライブ!サンシャイン!!   作:さすらいの風来坊

110 / 117
皆さまご無沙汰しております。
大学を卒業しまして、10月から社会人となりました。
また、連載開始から2年が経ちました。
当初より効率が悪くて申し訳ない思いがありますが、どうか温かく見守っていただけると嬉しく思います。

前々から書いていますが、休載はしません。
現在執筆中の2期、それから劇場版を経て完結まで責任持って進めますので、今後ともよろしくお願いします!



【7-2】残された時間/学校の命運

学校に残る許可が出され、全員で入学希望者が100人に達するのを待つこととなったが、夜は長い。

時計の針は深夜1時を指していた。

 

ルビィ「あれっきり全然増えない...。」

 

床に座り込むルビィの言うように、数時間前に87人になってから全く変わらないでいた。

 

善子「やっぱりパソコンがおかしいんじゃないの!?」

鞠莉「Stop...。壊れていないわ。」

 

隣に座っていた善子が痺れを切らし、ルビィからパソコンを奪うと上下に振った。

鞠莉がそれを穏やかに止める。

 

ダイヤ「これが現実なのですわ。これだけの人が浦の星の名前を知っても...。」

果南「たとえ町が綺麗で、人が優しくても...わざわざここまで通おうとは思わない...。」

JJ「お前らに惚れて応援する人間のほとんどはスクールアイドルのAqoursにしか興味が無い。学校の名前は単なる付属品くらいだろ。」

 

果南とジャグラーの言葉が重くのしかかる。

中学3年生は別として、これが正論に近い意見なのだろう。

そんな中...

 

ぐぅ~

 

ペガ「誰のお腹の音?」

梨子「そういえば! お昼食べたあと、何も食べてないわね!」

 

静寂を突然裂いたお腹の音。

その発生源であろう梨子が誤魔化そうと弁明した。

 

ガイ「言われてみればそうだな。買い出しに行くとするか。」

リク「それなら僕が行きますよ。ガイさんは先生ですから、学校を離れるわけにはいかないですよね?」

ガイ「悪いなリク。ありがとう。」

JJ「俺も夜明けに飲むためのコーヒーを買うとするか。」

 

すっかり遅くなった夜ご飯を調達しに買い出し組が出発したのだった。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

買い出しに行ったのはリクとジャグラーの他に、1年生の3人も居た。

 

善子「全く...。世話が焼けるったらありゃしない。私はリトルデーモンの事で手一杯なのに。」

花丸「仕方ないずら。今のAqoursを作ったのは千歌ちゃんたち2年生。」

ルビィ「その前のAqoursを作ったのはお姉ちゃんたち3年生。」

花丸「責任感じているずらよ...。」

善子「そんなもん感じなくてもいいのに...。少なくとも私は感謝しか...。」

 

買い出しに抜擢されたことについて不満を垂らす善子。

それを花丸とルビィが宥める。

しかし、そこは善い子のよっちゃん。

ポツリと感謝を口にした時、後ろがあまりに静かだったので振り返ると、花丸とルビィが優しい表情を浮かべていた。

 

善子「リ...リトルデーモンを増やすために、Aqoursに入っただけだし!」

JJ「何を照れてやがる。」

花丸「だからまるたちが面倒見るずら。それが仲間ずら!」

ルビィ「だね〜。なんか良いな、そういうの。支え合ってる気がする♪」

リク「2人の言う通りだよ。支え合う仲間の笑顔が力になるからね。」

 

急に恥ずかしくなったのか、とっさに考えた言い訳でこの場を逃れようとする善子に花丸は笑みを浮かべて告げた。

Aqoursに入る勇気を千歌たちからもらった1年生の3人。

下級生ではあるが、立派なAqoursのメンバーだ。

 

善子「ふん...♪ 良いこと言ったご褒美に特別に餅巾着あげる!」

花丸「えぇ~、できたら黒はんぺんがいいずら~。」

善子「うぇっ!? それはだめ!」

ルビィ「ルビィはたまご!」

善子「うっ!? それもだめ!」

 

なんとも微笑ましいおでんの具材争奪戦が始まった。

 

JJ「こいつらと来たら...。追加買ってきてやるから先帰ってろ。」

ルビィ「本当ですか!」

花丸「やったずら!」

善子「さすが私の師匠!」

 

見かねたジャグラーが再びコンビニに戻るようだ。

 

JJ「学校に居るあいつらには内緒だからな。」

 

「「「は〜い!」」」

 

リク「ジャグラーさん優しいですね。」

JJ「今回だけだ。3人を頼むぞリク。」

リク「わかってますよ〜。」

 

1年生3人とリクは学校に、ジャグラーはコンビニに向かって歩き出した。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

ガイ「今の人数は?」

ルビィ「94人...。」

梨子「あと6人...。時間は?」

果南「1時間も無い。」

JJ「カウントダウンの始まりだな。」

 

夜食を食べ終え、あれからまた時間は過ぎて午前4時を回り、タイムリミットまで僅かとなっていた。

 

千歌「お願い! お願い! お願い! 増えて...。」

梨子「千歌ちゃん...。」

 

パソコンを手に取り懇願する千歌。

だが数は94人のまま。

 

リク「最後まで諦めずに信じましょう。」

ダイヤ「そうですわね。リクさんの言う通りですわ。」

 

沈みかけそうな雰囲気を、リクが断ち切るように言葉をかける。

ダイヤがそれに賛同し、メンバーの顔に少しだけ明るさが戻った。

 

千歌「あ...。さすがの曜ちゃんも睡魔には勝てないか。」

ペガ「毛布探してくるね。」

 

談笑する中、1人会話に入ってない人物がいた。

曜が室内にある棚に背中を預けて目を閉じていたが...

 

曜「寝てないよ。けど、待ってるのちょっと疲れてきた...。」

 

昨日は地区予選大会を終え、そこから学校まで戻り睡眠を取らずして起きているのだ。

疲労が溜まるのも致し方ない。

だが、全員このあとも寝ずに待ち続けた。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

残り時間が迫る中、外は太陽が昇り、すっかり夜が明けた。

 

千歌「よっ!」

ガイ「朝の空気はうまいな〜。」

 

ずっと理事長室に缶詰状態だったこともあり、外の空気を吸いに出た。

千歌以外には曜と果南、そしてガイの3人。

 

千歌「あ〜あぁ。あと6人! お願い!」

曜「お願いします!」

 

2人の視線の先には富士山が見える。

その富士山に向かって両手を合わせお祈りする。

すると、腰掛けていた果南が立ち上がり...

 

果南「おーーーい! 浦の星は良い学校だぞーーー!」

 

と富士山に向かって叫んだ。

それに釣られて...

 

曜「おーーーい! 絶対後悔させないぞーーー!」

千歌「みんな良い子ばっかだぞーーー!」

 

2人も果南と同じように叫んだ。

 

梨子「私が保障するーーー!」

 

いつの間にか2人の後ろにいた梨子が最後を締め括る。

 

千歌「保障されちった。」

梨子「私の保障は間違いないわよ!」

ガイ「俺とジャグラー、それにリクとペガも保障するぞ。」

果南「頼もしい援軍だね。」

曜「うん! きっと学校も喜んでる!」

 

東京から転校してきた梨子だからこそ言えるひと言が心強い。

そこに別宇宙から集まった4人が入れば恐れるものは無いように思える。

そこへ...

 

ルビィ「千歌ちゃん! 来て!」

 

必死の叫びで千歌を呼ぶルビィの姿があった。

外にいる5人はすぐに理事長室に戻った。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

JJ「パソコン見ろ。」

 

急いで戻ってきた千歌はジャグラーの言う通り、パソコンの画面を覗く。

曜,梨子,果南,ガイも続く。

 

千歌「あと3人!」

ダイヤ「でも...時間はもう...。」

ガイ「あと10分か...。」

 

入学希望者募集の締め切り時刻は日本時間の朝5時。

現在は4:50。

そして入学希望者は97人。

 

千歌「お願い...! お願い...!」

 

今は一の位の数が増えることを願うだけ。

しかし、時計の秒針は動き続け、長い針はジリジリと間合いを詰める。

 

千歌「98!」

ペガ「あと2人...!」

 

ここで数字がまた大きくなった。

 

果南「時計は...。」

千歌「大丈夫!」

 

時刻は4:59。

もう残り1分を切り、秒との戦いだ。

こうなれば時計に目も暮れず、パソコンの画面に全集中。

 

千歌「大丈夫...。絶対に届く!」

 

残り何秒かわからないが、1秒が長く感じる。

そして、人数は変わらず98人。

 

千歌「大丈夫....。届く...!」

 

全員が思っていることを千歌が言葉にする。

このおよそ半年間、浦の星を救うために活動してきた。

 

千歌「届く...!」

 

学年が上がって、この校舎で勉強したい。

友達と楽しい時間を過ごしたい。

卒業してもまたここに集まりたい。

浦の星女学院が大好きだから。

 

千歌「届く...!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ついに入学者希望受付に終止符が打たれた。

パソコンの画面には【募集終了】の4文字。

最後通告の朝5時を迎えたが、100人集めることができなかった。

この瞬間、浦の星女学院が正式に統廃合と決まった。

 

千歌「募集終了...。」

ダイヤ「時間切れですわ...。」

千歌「そんな...。大丈夫だよ...。あと1日あれば、ううん、半日でいい。1時間でもいい。それで絶対大丈夫って...。」

ダイヤ「それが約束ですから...。」

 

まだ現実を受け入れられない、いや、受け入れたくないが、ダイヤはあえて冷静に言葉を発する。

 

梨子「でも、それだけだったら...!」

曜「そうだよ。ずっとじゃなくていいんだよ。あと1日だけ...。」

ダイヤ「何度も掛け合いましたわ、一晩中。何度も何度も...。ですが、もうすでに2度も期限を引き延ばしてもらっているのですわ...。」

 

言葉の途中にルビィが静かにダイヤに抱きつき、ダイヤはルビィの頭を優しく撫でる。

 

鞠莉「いくらパパでも、全てを自分ひとりの権限で決めることはできない...。もう限界だった...。」

ルビィ「でも...1日なら...。」

善子「この前だってそれで...。」

鞠莉「今頃もう統合の手続きに入ってる...。」

 

理事長の鞠莉がお父さんを説得しても答えはNoだ。

 

花丸「じゃあ...。」

梨子「本当にダメってこと...?」

 

学校を統廃合から守るために活動してきたAqours。

だが、その活動目標を失ってしまった。

 

千歌「ダメだよ...。だって私たちまだ足掻いてない...。精一杯足掻こうって約束したじゃん...。やれることを全部やろうって言ったじゃん...!」

果南「全部やったよ...。そして、決勝へ進んだ...。私たちは、やれることはやった。」

 

JJ「松浦の言う通り、皮肉にもあいつらの願いは成就してる。」

ガイ「あぁ。嬉しいことだけど今の状況じゃ喜べない。」

ペガ「みんな...。」

リク「決勝...どうするんですかね...。」

 

学校を救うため、『ラブライブ決勝に進出する』という目的は果たした。

Aqoursとして進むもうひとつの目標は叶えている。

 

千歌「じゃあなんで学校が無くなっちゃうの...。学校を守れないの...。そんなの...!」

 

涙を浮かべながら両手で握り拳を作る千歌。

自分たちの今までしてきたことが水の泡になってしまったことに対する怒りなのか、それとも悲しみなのか。

 

鞠莉「ッ...!」

ダイヤ「おやめなさい。」

 

肩を震わせる千歌に梨子,曜,果南がそっと寄り添う。

その千歌の様子を見た鞠莉がクルリと反転し、理事長室を去ろうとするが、ダイヤに止められる。

 

鞠莉「もう一度だけパパに連絡してみる。」

果南「これ以上やったら、鞠莉が理事長を辞めるよう言われる。受け入れるしかない。学校は...無くなる。」

 

果南の重い一言が、この場にいる全員にのしかかった。

 

 

 

 

 

続く。




すでに7話まで放送されてますが、虹ヶ咲のアニメを毎週ウルトラ楽しみにしてます!
1話にて『あゆぴょん』と、歩夢ちゃんの「私、好きなの!」から始まった告白シーンに感動しました(ToT)。

アニメ前の生放送、高咲侑ちゃんを演じる矢野妃菜喜さんの「ヒトリダケナンテエラベナイヨー!」が毎週ネタになってるのが面白すぎますww
天王寺璃奈ちゃんを演じる田中ちえ美さんと2人で披露した瞬間は爆笑でしたww

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。