夕雲型と行く、深夜出発 高速道路旅行   作:藤浜教徒

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皆様こんばんは。投稿が遅くなってしまい申し訳ありません。最近忙しすぎて艦これをやる時間ですら取れない私藤浜教徒でございます。
そういえば、お気に入り登録してくださった方が四名もいらっしゃるようで...。とても嬉しいですね。
そんなことはさておき、今回からようやく東北地方です。那須高原SAでの話の続きから福島 白河の関(東北道では白河IC)を越えて、安達太良まで書き(たかったのですがこれ以上時間を取れなかったので時間がとれ次第追記していきます。)
また、今回の冒頭で前回の最後に思いっきり出した謎の艦娘の正体も明らかになります。実は彼女、今回の旅の重要人物(観光ガイド)です。
それでは、小説の方へどうぞ。
・・・ちなみに、この話は実際の自分の旅7割,想像3割でお送りしております。





藤浜と行く、深夜出発高速道路旅行in岩手 その参

-白河の関、そしてみちのくへ-

 

0549 那須高原SA

 

H司令は、二人と載ってきた車の前である艦娘の到着を待っていた。

 

すると、後方から急ぎ足で近づいてくる足音が一つ。その足音は夕雲型艦娘のブーツの音だった。

 

彼が振り返るとそこには、段々と明るくなっていく那須地方の曙の空の下、きっちりとした制服を着こなし、夕雲型姉妹愛用のブーツを姉妹同様に履いた夕雲型駆逐艦「高波」がいた。

 

高波「司令官、大変お待たせしたかも。高波、今回の岩手旅行の観光ガイドを務めさせて頂きます。宜しくお願い致しますかも...です!」

 

実は高波は、その愛くるしさと真面目さを買われて定期的に東北地方の観光ガイドを務めていた。(あくまでH司令の鎮守府での話)

 

普段はツアーの添乗員としてバスガイドをしているのだが、今回は司令たちに付き添う形で専属のガイド役を自ら買って出たのだ。

 

そして、司令はこのことを藤浜に伝えていない、(ある意味)彼女たちへのサプライズである。

 

トイレから戻ってきた藤波浜波の二人は、鎮守府でいつも見ている艦娘(しかも姉)の姿を見て思わず二度見した。

 

藤波「た...高波姉!? どうしてここに!?」

 

浜波「たっ...たっちゃん...? こんなとこで...ど、どしたの...? え、観光..ガイ、ド?」

 

高波「はい。高波、今回の旅行で観光ガイドを務めさせて頂くことになったかも、です! 藤波ちゃん、浜波ちゃん。突然だったかもですが、宜しくお願いしますかも。」

 

そんな突然の観光ガイド(高波)が助手席に乗り、一行は那須高原SAを発った。

 

そして、いよいよ東北地方の玄関口である白河の関があった福島県白河市へ入るのである。

 

車の後部座席に座っている藤波浜波が、「突然の観光ガイドが高波姉だったなんて、驚いたねぇ」と話をしていると、高波が二人の方を振り返った。

 

高波「藤波ちゃん、浜波ちゃん。もうそろそろ目的地の岩手県がある東北地方かもです。そして、今私達の通っている場所は、白河の関があった福島県の白河市かもです。」

 

藤波「白河の関...?」

 

高波「はい。白河の関は、今いる福島県白河市にあった、山形の鼠ヶ関(ねずがせき)、福島の勿来関(なこそのせき)とともに、奥州三関の一つに数えられる関所かも。江戸、今の帝都東京から陸奥国、今の東北地方太平洋側に通じる東山道、その要衝に設けられた関門として史上名高いかも、です!

...また、能因法師が「都をば 霞とともに 立ちしかど 秋風ぞ吹く 白河の関(都を春霞が立つころに旅立ったが、もう秋風が吹いている、この白河の関では。)」と呼んだことでも有名で、他にも数多くの俳句や歌枕がここで生み出されてきた......そんなツウには有名な場所かも。」

 

自分が知らなかった未知の事を聞かされた藤波は興味津々のようで、高波の話を聞いて目を輝かせていた。

 

藤波「さすが高波姉...! 観光ガイド務めてるだけあるねぇ。藤波、ちょっと興味湧いてきたかも...」

 

高波「藤波ちゃん、ありがとう。東北はこんな面白いところがいっ~ぱいあるかもです!今回の旅で色々と紹介しますです!」

 

一方の浜波は興味があるというよりも、わざわざ自分達のために解説をしてくれたことにお礼が言いたかったようだ。

 

浜波「たっちゃん...わざわざ...ありがっ、とう。...ぅん、ふーちゃんと...楽しみにしてるから...!」

 

高波「浜波ちゃん...ありがとうかも! まだまだ目的地の岩手県は遠いから、飽きないように色々と紹介していくかも、です!」

 

(ちなみに、白河市の外れには「阿武隈」というPAが存在する。このPAの案内看板を見て、藤波が阿武隈に「福島には阿武隈っていう地名と名前のPAがあるんだって!」というメールを送ったのはまた別のお話。)

 

添乗員高波が、今居る場所の紹介等を藤浜にしつつ、司令は車を運転させて福島県を北上していく。

 

須賀川、鏡石、郡山、本宮、そして安達太良山の麓にある安達太良SAへと到着した。

 

遥か遠くに見える安達太良山や東吾妻山にはもう既に雪が積もっている。

 

藤浜の二人が車の窓から絶景を見て興奮しているのを横目に、司令はSAの駐車場に車を停める。

 

先に降りた藤浜の二人に続き、司令と高波が降りる。

 

藤波「うぅ....やっばー...。藤波、ちょっと寒いかも。」

 

高波「司令官、お疲れ様でした。藤波ちゃん、浜波ちゃん、東北道最大規模の駐車場を有し福島の真ん中にあるSA、安達太良SAに到着かもです。」

 

浜波「あだ..あだた、ら...?」

 

耳慣れない言葉を聞いて困惑する浜波。

 

そんな浜波を見て、寒さで震えながら藤波がスマホで調べ始めた。

 

藤波「・・・うん。浜ちん、安達太良だよ!えーっと、福島県中部にある活火山で...日本百名山にも指定されていて温泉やスキー場があったり、高山植物が生えてたりしていてとってもすごい山みたい。」

 

藤波の説明に高波が付け加える。

 

高波「藤波ちゃん、その通りかもです!...ここはそんな安達太良山の麓にあるSAかも。雄大な景色の安達太良山を一望できたり、地元の伊達鶏料理を食べたり出来るSAかもです。」

 

それを聞いた浜波の口角が僅かに上がる。

 

浜波「伊達鶏...美味しそう。食べたい、です...」

 

浜波がボソッと呟いた。

 

それを聞いた司令は「じゃあ、私の奢りで朝食がてらに食べるかい?」と訊いた。

 

彼女は(前髪から僅かに見える)目を輝かせて、司令の方を見た。

 

藤波も司令を見て、「本当に....?」というような疑い半分期待半分の顔をしている。

 

司令は財布を出しながら「ああ、勿論。君たちが喜んでくれるなら。」とに向かっていった。

 

二人は芯から嬉しそうな顔をして司令の後についていった。

 

そんな三人の後方で朝日射すSAの駐車場の騒音の一つに、スマホのコール音が加わる。

 

高波は羽織っていたジャケットの内ポケットから、スマホを取り出すと、電話に出た。

 

高波「あ、・・姉さま。高波かもです。こんな朝早くからどうしたかもですか? あっ、はい。了解かも。高波にお任せ下さい。」

 

姉からの電話を切ると、急いでSAの建物に入っていった。

 

--安達太良SA内 食事処「あだたら亭」にて--

 

藤波「わぁっ...いい匂い!司令、浜ちん、すごいねぇ!」

 

SAの中の見慣れない光景に藤波は興奮を隠せないようだった。

 

一方、浜波はというと...

 

浜波「ふーちゃん...興奮しすぎ...。あっ、司令...。えっと、私達は、ど、こに...座れば、いい...ですか?」

 

どうすればいいのか分からないようでオドオドしていた。

 

司令はそんな二人を見て「はぁ...」とため息をつくと、二人にカウンター近くの空席へ座るように指示した。

 

二人が席に座ったのを見て券売機へ向かう。

 

そして券売機で食券を買うと、お店のスタッフに「伊達鶏五目わっぱセット(温)と安達太良ラーメンを一つずつお願いします」と注文した。

 

スタッフさんは威勢のいい声で「ありがとうございます!少々お待ちください!」と言うとお店の厨房へと向かっていった。

 

司令はそれを見届けると、二人の座った席の反対側に腰かけた。

 

藤波浜波は二人で仲良く喋っていたが、注文を終えた司令に藤波がいち早く気付く。

 

藤波「あっ、司令!藤波たちのためにありがと。ほら、浜ちんもお礼言お、ねっ!」

 

浜波「し、司令。...あっ...、ありが......っと。...」

 

司令も「いいよいいよ、他ならぬ君たちの頼みだからね。」と笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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