縢れ運命!叫べ勝鬨!魔鎧戦線まどか☆ガイム   作:明暮10番

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目覚めよ!ライダーたちの新たなステージ!

 事態は一刻を争う。予感は的中した。

 

 

「頼む……! 間に合ってくれ……!!」

 

 

 人のいなくなった町を走る、一人の青年。

 表情には焦燥が滲み、「早く早く」と急かす観念だけが先走る。

 

 時間は限られている。そして短く、逃せば二度はない危急存亡の秋。

 

 

 どちらかが、いなくなる。

 どちらとも、大切な人物。

 どちらにも、信念がある。

 

 

 だから、止めなくてはならない。

 最早、『兄弟の問題』として看過されるべき事態ではない。

 強い信念は、大切な人をも殺すのだから。

 

 

 

 

 

「……うん!?」

 

 

 青年は突然、立ち止まった。

 誰もいないハズの町、道路の中心、人影があった。

 まるで彼を待っていたかのように、静かに佇む。

 

 

「…………君は……ッ」

 

 

 

 

 意識が途絶えた。

 鍵が突然、閉じられたかのように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 事態を究明しなければ。嫌な予感が渦巻く。

 

 

「兄さんが何を企んでいるのか……今日こそ突き止めてやる」

 

 

 スーツ姿の人々が往来する中、静かに進む少年。

 緊張で表情は固まり、「慎重に慎重に」と何度も自己に注意を飛ばす。

 

 時間は限られている。そして深く、危険ながらも虎穴に入らずんば虎子を得ず。

 

 

 なにかが、始まっている。

 なにかが、隠されている。

 なにかを、兄がしている。

 

 

 だから、突き止めなくてはならない。

 最早、『関係は無い』で見過ごされる事態ではない。

 既に自分は、なにかへ踏み込んでいるのだから。

 

 

 

 

「……うわっ!!」

 

 

 少年は突然、立ち止まった。

 誰もいないハズの会議室、自分の背後、人影があった。

 まるで彼を見ていたかのように、静かに佇む。

 

 

「あなたは……ッ」

 

 

 意識が途絶えた。

 扉を突然、閉められたかのように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 事態はより活気つく。勝利の予感は続いている。

 

 

「……お前はもっと、強くなる」

 

 

 成功と歓喜に沸く会場を、一人の男は後にする。

 その表情は安らかながらも、「強く強く」と自分の言葉を反芻している。

 

 時間は限られている。しかし今は、錦上花を添える。

 

 

 願わくは、新たな力を。

 願わくは、平穏な時を。

 願わくを、己の手中へ。

 

 

 だから、戦わなくてはならない。

 最早、『部が悪い』で逃げられる事態ではない。

 光を背にして、更に眩い光を浴びる為なのだから。

 

 

 

 

「……ん?」

 

 

 男は突然、立ち止まった。

 人のいない会場外、道路の向かい、人影があった。

 まるで彼を選別しているかのように、静かに佇む。

 

 

「貴様は……ッ」

 

 

 意識が途絶えた。

 灯を突然、吹き消されたかのように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とっくに意識は途絶えた。

 温もりのない、冷たい世界。

 始まりのない、停止の世界。

 光のない、闇の世界。

 

 

 沈み行く身体を流されるがままに委ね、落ちて行く。

 この手に掴んだ物は容易く離れ、やっと掴めた物をも失くしてしまう。

 なんて人生だ、なんて運命だ。

 

 

 あんまりではないか、後に残る者たちに。

 自分がいなければ、あの子が堕ちてしまう。

 

 

 焦燥感と危機感、なのに根底にある安心感。

 それは一人の青年に向けられた。あの者ならば、大器晩成を迎えられる。

 自分はただの提灯持ち川へはまる。

 

 全てを預け、己はこの闇へと沈もう。

 

 

 

 

 

 突然、光が満ちた。

 これが迎えなのか。

 動かないハズの身体をよじり、光を掴もうと伸ばされる腕。

 

 

 そうだ。まだ終われないだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの……だ、大丈夫ですか?」

 

「ま、マズイって! ヤバい人だって!」

 

 

 少女の声に起こされ、青年はゆっくり目を開けた。

 空は綺麗な青、鼻孔を擽る甘い花の香り。

 

 

「あっ。起きた……」

 

 

 冷たい地面。視界の端に木の板があり、それがベンチだと気付くのに時間がかかった。

 自分はベンチの下に落ち、地べたに寝ている状態なのだろう。そう気付くのにも時間がかかった。

 

 

「…………あれ?」

 

 

 青年は声を漏らし、ベンチを手摺代わりにゆっくりと身体を起こす。

 眠り過ぎか頭でもうったのか、意識が少し鈍い。

 

 

「…………あれ、俺……」

 

「す、すみません……その、ベンチから落ちていて……」

 

「起きたんなら、も、もう、いいんじゃない……かな?」

 

 

 見ず知らずの男性に怯えながらも声をかける少女と、完全に危ない人として避けようとするもう一人の少女。

 青年にとっても知らない人だが、随分と若く、学校制服っぽい服を着ている点を見て、通学途中の学生だと予想した。

 

 

 暫くボンヤリしていた彼だが、頭が段々とスッキリし始め、二人から注がれる怯えの視線に気付く事が出来た。

 

 

「……あ、あぁ! ごめん! 疲れていたからなぁ〜……」

 

 

 事態を把握し切れていないが、安心させる為に咄嗟に演技。

 青年がマトモな人だと認識を改めたようで、恐怖の感情は止まった。

 

 

「その、何ともないのでしたらそれで良いんですけど……」

 

「お、おぅ……なんだ、優しいんだね君」

 

「いえ! 何かあったら大変だと思いまして……」

 

 

 声をかけた少女の肩を抱くように、もう一人の少女が割り込んだ。

 幾ばくかボーイッシュな雰囲気の漂っており、視線にはいまだ警戒心が宿っている。

 

 

「お兄さんが無事そうなら良かったです! では、これで〜」

 

「ちょ、ちょっと! 失礼だよ、さや……!」

 

「ほら! 時間時間! 学校始まるって!」

 

 

 その少女に押される風に、道の角に二人揃って消えてしまった。

 青年は微笑ましくそれらを眺めていたが、すぐに違和感が襲いかかる。

 

 

 

 

「……あれ? なんで市民が……?」

 

 

 辺りを見渡したが、町中に根を伸ばしていた『果実』が全くない。

 それどころか、全く見覚えのない場所だ。

 

 

「………………え?」

 

 

 立ち上がり、並木の続く道の真ん中へ。

 人々の活気が伺える町があるが、あの巨大な『ユグドラシル』の本社がない。

 高層ビルがあり、綺麗な住宅街があり、モノレールがそれらの隙間を縫うように巡らされている。

 

 

 回転する発電風車、青く輝くソーラーパネル、液晶ビジョンが付けられた巨大な飛行船が今日の天気を告げる。

 

 

『本日は快晴、向こう一週間は雨はないでしょう』

 

 

 

 

 

 ここは彼の知っている町ではない。

 そして陥っていた事態は嘘のようになくなり、平和な世界だった。

 

 

 道路上にある案内板を見やる。

 

 

『見滝原市』

 

 

 

 

 青年……『葛葉 絋汰』は当惑を込めて、声を漏らした。

 

 

「……ここ……何処なんだよ……?」

 

 

 自分の知っている沢芽市とは違う、別の町で彼は目を覚ました。

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