縢れ運命!叫べ勝鬨!魔鎧戦線まどか☆ガイム   作:明暮10番

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光実とほむらの共闘!暗闇を突破せよ!

 夜は深まり、十時。

 

 

 途方に暮れたまま見滝原市を歩いていた光実。

 全く知らない場所、全く知らない建物。

 しかし偶に見かける、良く知っている場所。

 

 

 

 

 

 彼は今、廃墟の中にいた。

 街の郊外にある、『おばけ屋敷』とも言われている建造物。

 壁には葛が張り巡っており、立入禁止看板はあれど開け放たれた扉からは易々入れる。

 

 

 

 埃が舞い、路上の街灯が中を映す。

 空っぽの中は、無機質な骨組みの見える粗末な倉庫だった。

 

 

 

 不気味で薄汚い。しかし彼にとって、深い思い出の地でもある。

 真の意味で自分を曝け出せ、守るべき人を見つけられた場所。

 

 

 

 

 

 

『呉島 光実』。

 この世界には、自分の尊い思い出はない。

 

 

「……絋汰さん……『舞』さん……」

 

 

 彼は歩き疲れた。

 世界から、彼一人が孤独になっていた。

 知っている人間はいない、家族もいない、自分の居場所もない。

 抱いていた目的は出鼻を挫かれ、もう果たせる機会も方法さえ失った。

 

 

 ここが別の世界だとは理解している。

 だからこそ、今の自分には何をすれば良いのか分からない。

 諦念と絶望が己を支配し、ガレージの段差に腰を下ろした。

 

 

 

 

 

 ここは元の世界では、ビートライダーズ『チーム・鎧武』の拠点。

 メンバーはここに集まり、笑い合い、切磋琢磨し、ダンスの技能と絆を深めて行った。

 

 だがもうここには、自分の憧れの人もいない。想いを寄せる人もいない。

 心の支柱を完全に砕かれた。

 座り込み彼は、声を顰めて泣く。

 

 

 別に慟哭しても良い。敢えて声を顰めたのは、メンバーの誰かが来るのではと叶わない希望を抱いていたからだ。泣き声を聞かれたくない。

 

 

「……兄さん……!」

 

 

 項垂れ、袖口を涙で濡らしながら、光実は泣く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 途端、強い音が響いた。

 その音に気が付き、咄嗟に彼はガレージ内の出っ張った、壁の後ろに隠れる。

 

 

 こんな時間に誰だろうか。このガレージの管理会社が派遣した警備員だろうか。息を潜める。

 

 

 

 人影は一つ。

 外の光を受けたその人物は、スーツ姿の疲れた中年だった。

 

 

「……管理会社の人? いや、警備員には見えない……」

 

 

 男は締めていたネクタイを、輪を作ったまま取る。

 それを、割れたコンクリートから突き抜けていた鉄骨にくくる。

 くくったネクタイを、首に巻く。

 

 

 

 光実は気付く。「まさか」と考える前に、壁を飛び出した。

 

 

「ちょ、ちょっと!? 待ってください!? 早まらないで!!」

 

 

 男は地面に座り、足を伸ばして臀部を上げる。そうなればネクタイは頸部に食い込み、窒息を誘う。

 呻き声を上げる彼へ光実は駆け寄り、男を持ち上げ自殺を阻止した。

 

 

「なにをするんだッ!! 死なせろぉ!!」

 

「落ち着いて、落ち着いてください! 死んじゃ駄目です!!」

 

「俺は社会の屑だッ! 無能なんだぁ!!」

 

「だからって決断が性急過ぎます!! ゆっくり……取り敢えず、話を聞かせてください!!」

 

 

 男は暴れて、光実を引き剥がそうとする。ここまでの気力を見せるなら、自殺に使うなど割に合わないと少し思う。

 彼を引き止めるのは厳しいと考えた光実は、首のネクタイを解こうとそちらに手を伸ばした。

 

 

 

 その時に彼は目を疑う。

 暗い中で怪しく光る、男の首筋にあるマークを。

 

 

「……なんだ? これ……」

 

 

 

 

 光実はその時、ハッと気付いた。

 部屋が、真っ暗。外の街灯の光が、消えている。

 

 男の身体が重くなる。首からネクタイを外し、床に倒した。暗がりで何も見えないが、気絶したようだ。

 

 

「…………おかしい」

 

 

 彼の手のひらに、ダラっとネクタイが乗る。鉄骨を擦り抜けたかのように、落ちて来た。

 光実は手を伸ばし、壁を探す。だが、さっきまで壁があった場所には、何もない。

 

 

 

 

「……え?」

 

 

 

 

 空には、子どものラクガキのような星が点々と。

 そして背後には、青白い線と線が混ざり、巨大なジャングルジムを作っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ある闇の中でございます。彼女は線の交差のふちを、独りでぶらぶらと御歩きになっていらっしゃいました。

 

 丸に棘が無数についた、ギザギザとした攻撃的なフォルム。

 その物体の四方からは人間じみた手が伸びており、線を掴んで蜘蛛のように這っていた。

 それはジワリジワリと空の方から、光実の方へ下って来る。

 白チョークで描き潰したような、二次元的な見た目だった。

 良く見れば、空の闇からフェードインするように、似た姿の怪物がゾロゾロとやって来る。

 

 

 

 

           II

     【Suleika は 暗闇の魔女】

    SULEIKA ずらいか ズライカ

 

  何から何まで私の思い通りの世界へ行こう

  処            間

  まだまだ朝は遠いようでス が   輝

  で     く    テ 嫌   く

  も     に    きたい以下の日

  暗がりに長い行列ができた   に の

  い ぼ   き    の   光 出

    ん   た    しあわせはどこに

    を   いたいいタいはまだあげない

    あ     つ      る い

    なんであなたも、生きているの

    た     私

  擦りへらすばかりだ私のケだるいこの人生

 

    ズライカ ずらいか SULEIKA

     【女魔の闇暗 は akieluS】

           II

 

 

 

 

 

 線はどんどん組み上がり、上に行けば下に行っている、奥にいるのに近くにいる、錯視的な幾何学模様を作り出す。

 最早、自分が立っている場所さえあやふやだ。

 

 

「な、なんだこいつら!?」

 

 

 親玉の魔女の傍らに仕える、使い魔たち。頭は主人と同じ形だが、胴体が猫や犬のようだ。

 それが魔女を通り越し、一匹一匹ジャングルジムを下って来る。悍ましい光景だ、思わず光実を後退る。

 

 

 

 踵が何かとぶつかった。

 あの、自殺しようとした男性の足だ。

 そうだ。ここで逃げれば、この人が死んでしまう。

 

 

 

 

 

「…………ッ。インベスじゃないようだけど、アーマードライダーでいける相手なのか……!?」

 

 

 懐から取り出し、腰に装着。

 ポケットに手を突っ込み、何かを出そうとするが、使い魔の一匹が彼へ襲いかかった。

 

 

「ぐうっ……!」

 

 

 噛み付かれる事を覚悟で、彼は暗がりの怪物を睨みながら、手だけを腹部に近付ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え!?」

 

 銃声が響き、怪物が左へ弾けながら吹っ飛ぶ。

 光実が反応する前に、怪物とは逆の右手から紫色の光が飛び込む。

 

 

「うっ……!」

 

 

 闇に慣れかけた目が、光で霞む。

 だがそれは一瞬だ、人間の目は元より、光を望むように出来ている。すぐに光に適応した。

 

 

 

 光源を見ると、彼は驚く。

 左手の甲から、光は漏れていた。

 紫色と灰色の、非現実な服装ながら無機質な格好の少女。

 立っていたのは、暁美ほむらだった。

 

 

 怪訝な目で、光実と足元の男を見ていた。

 

 

「……一般人?」

 

「な、なんだ……!?」

 

「口づけはない……どうしてこんな場所にいるの?」

 

 

 質問の合間にも次から次に、使い魔は二人へ飛びかかって行く。

 しかし一瞬見ぬ間に、それらはさっきと同じように吹っ飛び破裂。

 

 

「……数が多いわね」

 

「い、一体、何を……!?」

 

「あなたはその人を連れて奥に行きなさい。ほんのすぐに…………」

 

 

 ほむらは光実らを逃がそうとするが、目線が彼の腹部に集中する。

 

 見覚えあるベルト。確か、マミと共に戦っていた鎧の存在が、腰に付けていた物と同じではないか。

 

 

「……それは……」

 

 

 ほむらは瞬時に、判断を変える。

 

 

「……戦えるの?」

 

「え……?」

 

「使い魔が多い、魔力の浪費は出来るだけ避けたい……あぁ、魔法少女の都合なんて分からないわよね」

 

「君、今、このベルトを……? 知っているのか!? あと、魔法少女!?」

 

「説明する暇がないから、戦闘に備えて」

 

 

 

 

 ほむらは腕を組んだまま、動かなくなった。

 腕に、砂時計が嵌め込まれた不思議な盾がある。砂時計の向きとは関係なしに、砂は彼女の身体側から指先側へと落ちている。

 その光景が、彼女が異能の存在である事を妙実に語る。

 

 

 

 

 使い魔が暗闇から顔を出した。今度のほむらは何もしないつもりでいる。

 

 

「光は照らしておくわ。奴らは光に弱い……余裕で倒せるわよ」

 

「……僕を、測ろうって訳だね」

 

「良いからさっさと整えなさい」

 

 

 ほむらは見ておく必要があった。

 あの鎧の戦士は一体、何者だろうか。そしてこの少年が成れると言うなら、元は人間だと言う訳だろうか。

 戦闘能力は、システムは、名前は、目的は……確かめる必要がある。

 

 

 

 

 使い魔は構えた。光を恐れて動きは遅鈍としているが、その気になれば襲い来る。

 

 

「分かった! 戦う!」

 

 

 ポケットから、ロックシードを取り出した。

 

 

 

 

『ブドウ!』

 

 

 

 錠前を解除し、バックルのソケットへ施錠。

 

 

 

『LOCK・ON!』

 

 

 

 中華音楽で流れるような、心地の良い弦楽器の伸びやかな音楽が鳴る。

 

 空にジッパーが開き、別空間が現れた。

 暗闇の中、それは雲間より射す光のように、光実へ直線的に降り注ぐ。

 

 

「……そんな感じなのね」

 

 

 ほむらにとっては初めての光景。冷静に見えるが、彼女にとっては青天の霹靂。

 空に開いた穴からゆっくり落下して来る、機械的なブドウを眺めながら、訝しげな表情となる。

 

 

 

 

 光実は、カッティングナイフに手をかけた。

 

 

「変身!」

 

『ハイーッ!』

 

 

 ブドウはストンと落下し、上手く光実の頭に嵌る。

 同時に彼の身体は光に包まれ、緑を基調とした中華衣装風のスーツに早変わり。

 

 光が暗闇に連発。刺激を受け過ぎた使い魔は、窮鼠猫を噛むと言わんばかりに飛びかかる。

 

 

 

 頭のブドウが展開し始めた。

 

 

 

『ブドウ・アームズ!』

 

(りゅう)(ほう)! ()()()ッ!』

 

 

 変身完了と同時に、光実……『アーマードライダー龍玄』は持っている銃で使い魔を撃つ。

 的確な射撃により、使い魔らは彼の光弾を受けて久遠に消える。

 

 

「……鎧を頭から被って、開く。予想外過ぎて……もっとスマートに出来ないのかしら?」

 

「僕に言われても困るよ……兎に角、あの大きな奴を倒せば良いんだね?」

 

 

 使い魔を多く損失した魔女は怒り、身体から生える腕を巧妙に稼働させ二人へ襲いかかる。

 

 

「足場を崩せる?」

 

「そのつもりだよ!」

 

 

 龍玄の専用武器『ブドウ龍砲』を駆使し、魔女が降りて来る前方部の網目へ光弾を放つ。

 葡萄よろしく紫色の弾はジャングルジムに衝突し、フラッシュを纏わせ崩す。

 それを掴み損ねた魔女の腕は縺れ、一気に二人の立つ地面へと落っこちた。

 

 

「あなたは遠距離から。私は近付く」

 

「僕より若いのに、迅速な指令能力だね……」

 

 

 光実が話しかけるより前に彼女は消えた。

 消えたと思えば彼の数歩手前に現れ、その明滅を繰り返しあっという間に魔女の眼前に躍り出る。

 

 

「瞬間移動もお手の物って訳か……ほっ!」

 

 

 トリガーを引く。

 光弾は立ち上がろうとした魔女の腕に命中し、態勢の立て直しを阻止。

 

 その隙に懐にまで入ったほむらはまた明滅し、逆に魔女から離れた。

 

 

「えっ!? 攻撃は」

 

 

 言いきる前に爆音が鳴り響く。

 倒れた魔女の腹から巨大な爆発が起こり、巨体が空へ持ち上がった。

 

 

「ば、爆発!?」

 

「トドメは譲るわ」

 

「へ!? うわっ、いつの間に!?」

 

「早くしなさい、折角上質を使ったんだから」

 

 

 ほむらの言葉に反応するより先に、彼は魔女の方へ走り出した。

 アーマードライダーは身体能力が強化される。驚異的な脚力で魔女の真下を目指す。

 その途中、カッティングナイフを三回倒した。

 

 

『ブドウ・スパーキング!』

 

 

 爆発の黒煙に入り込む。

 飛び上がった魔女が、エネルギーの限界点に到達し、落下を始める。

 

 

 

 

 黒煙を裂き、龍が顕現。

 それは魔女へ噛み付かんと、登って行く。

 遠目のほむらからには、不吉な雷雲を抜けて現れた龍が獲物にありつこうとする様が伺えた。

 

 

 正体はブドウ龍砲のエネルギーを収束し、撃ち放った物だ。

 なす術をなくした魔女はただ龍を受け入れ、身体をひしゃげさせながら天へ更に舞い上がる。

 

 

 そのまま上へ上へ、上へ上へと飛んで行き、ラクガキの星々が描かれた天井にぶち当たると爆散した。

 

 

 

 

 暗闇の世界を、紫の閃光が染め上げる。

 ジャングルジムも、星々も、全てが霞むほどの光に。

 

 

 

 

 

【妄想は、新たな想像へ龍驤。片を組み替えてください、妄想に隠れた想いがあります】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 激しい光が沈めば、柔らかな街灯の光が代わりを務める。

 そこは元通りの、寂れたガレージ。

 男性は穏やかな表情で眠っている。首筋にあった魔女の口づけは、消失していた。

 

 

「……ふぅ」

 

『LOCK・OFF』

 

 

 ソケットからロックシードを抜くと、一回の光が戦士を包み、普通の少年の姿へ戻った。

 足音が聞こえ、そこへ目を向けると、ほむらが彼の傍にまで近付いている。変身は解除していない。

 

 

「……説明して欲しいかな。アレはなんなのか……君も、何者なのか」

 

「こっちにも沢山の質問があるわ。まずは私の方からさせて」

 

「……良いよ。答えられる範囲なら」

 

 

 ほむらは腕を組みながら、光実へ質問する。

 警戒していた彼だったが、彼女からの質問は希望となった。

 

 

 

 

 

「仲間がいるでしょ、オレンジのような鎧の……同じ変身者は知る限りで何人いるの?」

 

 

 光実は動揺を消さず、絶句。

 

 

「オレンジの鎧……!?……ま、まさか、絋汰さん!? 絋汰さんも来ているんだ!!」

 

「……なんで私が質問したら喜ぶのかしら」

 

 

 奇妙な少年と、不思議な少女の質疑応答は続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 深夜の街、無人の道路。豪快なエンジン音が響く。

 その頃絋汰は、オレンジの鎧……鎧武の姿でバイクを走らせていた。

 桜の花弁を模したヘッドライトユニットの、奇怪なバイク。警察に見つかれば速攻で止められかねない為、都市から離れた長い道路を走っている。

 

 

 メーターが示す、速度とは違う数値が『999』となる。

 鎧武はハンドルを握りながら身構えるが、バイクに変動は起きない。

 

 

「どうしてなんだよ!? クラックが開かない!?」

 

 

 

 

 どれだけスピードを上げても、何も起きない。

 諦めて絋汰はUターンし、分かりきっていたように呆れ顔で待つ戒斗の元へ戻る。高架下だ。

 

 バイクは縮小し、変身解除した絋汰の手の中でロックシードの形になる。

 

 

 

 ロックビークル『サクラハリケーン』。

 暫くこれで走行をすると、パワーのチャージが始まる。

 チャージが完了するとサクラハリケーンは桜の花弁に包まれながら、ヘルヘイムの森へ転移出来る。

 

 

 

 しかし、その現象が起きない。

 

 

「ヘルヘイムへ行けない……」

 

「だから言っただろ。何らかの理由で、機能が停止している……無論、俺の物もだ」

 

「ヘルヘイムからユグドラシル経由で……って、のは無理か」

 

 

 奇遇な事だが戒斗の時間軸では、合同イベント終了後に彼と同様の方法でユグドラシルに侵入した。

 ただ今回は、侵入失敗以前にヘルヘイムの森すら行けなくなってしまったが。

 

 

「どうしてだ? 何か、あったのか?」

 

「いや、逆だ。何もないんだろう」

 

 

 戒斗が自身の予想を話した。

 

 

 

「この世界は、完全にヘルヘイムの森と隔絶されている。だから行き来が出来ない……」

 

 

 それに対し、絋汰は反論。

 

 

「……んでも! 変身する時! アーマーが降りる時にクラックも出ていたじゃねぇか! しかも森も見えていた!」

 

「……そこだ、奇妙なのは。アーマーの顕現とは、勝手が違うのか……?」

 

「変身する時は高いし、ちょっとの間しか開かないからなぁ……入れねぇか」

 

 

 二人は考察を諦め、お互いに高架下の壁に背を凭れさせた。

 

 

 思わず笑う絋汰。戒斗は訝しむように、彼を睨む。

 

 

「……なにがおかしい。元の世界に帰る手段が一つ、途絶えたんだぞ?」

 

「……いや。お前はまだ知らないけど、俺ら合同イベントの後、一緒にユグドラシルに行くんだ。なんか、懐かしくなって」

 

「元より考えていた計画だが、やはりお前も付いて来るのか……なぁ、葛葉」

 

 

 戒斗が聞くのは、未来の話。

 彼には既に、近い未来で起こる大惨事と、ユグドラシルの真実、ヘルヘイムの謎を教えていた。

 その上で聞いた、心残り。

 

 

 

 

「……あいつらの話を聞いていなかった」

 

「……ザックとペコか? 二人とも無事だ」

 

「そうか」

 

「心配だよな、やっぱ」

 

「…………気するまでもない話だな」

 

 

 戒斗はその場から立ち去ろうとする。

 すぐに絋汰は隣に立ち、呼びかけた。

 

 

「どこ行くんだ?」

 

「俺は俺で帰る方法を模索する。ありえるとしたら、魔法少女どもだ」

 

「魔法少女が? どう言うつもりなんだよ」

 

「あの場にいた二人の内、どちらかだな」

 

「へ?」

 

 

 足を止め、振り向きざまに睨み付けた。

 その目に焦燥感が宿っているように見えるのは、気のせいか。

 

 

 

 

 

 

 

「魔法少女の契約での『願い』で、元の世界に戻る。それしか方法はない」

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