イナズマイレブンGO-魔術師の弟子-   作:ヒラメもち

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第10話 救いたい女の子

 

朝から、真名部と皆帆はギクシャクしている。

しかし事情を聞く間もなく、俺たちは監督に呼ばれて食堂の下へ連れて行かれる。

 

特殊な機械のある1室で、急に風景が変わる。

 

「ここは雷門中のグラウンド!?」

 

「これはホログラムだ。しかしただの映像ではない。お前たちの脳に信号を送ることで、本物と全く同じ感覚が再現されている。今日からお前たちはここで特訓してもらう。この『ブラックルーム』で。」

 

徐に片手で装置を操作し始める。

どこかメカメカしい施設に風景が移り変わる。

 

「なぁ……ミサイル…だよな。」

「爆弾よね……。」

「もうどうにでもなれ」

 

 

俺たちの前にボールが現れる。

 

「死ぬ気でドリブルをしろ。」

 

「「「「うわぁぁぁーーー!!」」」」

 

ブラックルームを使用して個人の特訓をしながら、普段のスタジアムで連携の特訓をしながら厳しい日々が続いている。真名部や皆帆は喧嘩を続けているとはいえ、張り合うようにサッカーに取り組んでいる。

 

 

しかし、

『このままイナズマジャパンにとどまる自信がありません 好葉』

 

「置手紙、どうして……?」

 

「森村は悩んでるんすよ。あいつ自分がチームのお荷物になってるって思い込んでて。このままじゃあいつやめちまうかもしれない。」

 

「でも好葉のことは少し放っておいてあげる方がいいのかも…。好葉ってすごい内気でしょう?大勢の前でサッカーするのもキツそうだし。」

―――最近の特訓も辛そうだった

 

「たしかに彼女には日本代表の名は重いのかもしれません。」

「そうだね。闘争心というものがないし、サッカーに向いてないのかもね。」

 

「お前ら何もわかってないな。森村は自分に向き合えない、心を閉ざしているだけなんだ。本当はサッカーやりたいと思うぞ。」

―――かつての俺のように

 

「…九坂、一緒に探しに行こう。」

 

「おう、ありがとうな。」

 

 

 

 

夕暮れになるまで探していると、お台場の観覧車エリアに私服の森村はいた。

 

「猫、いや動物が好きなんだね。」

 

「ううん、動物は悪口言わないから……。」

 

「なあ、あんたに何があったんだ?教えてくれ。」

 

「一之瀬君、九坂君……。うちウジウジしてるから、みんなにイラつくって言われてきたの。顔が気に入らないってことも言われた。」

 

「イナズマジャパンのメンバーは誰もそういうことは言わないと思うよ。」

 

「今はそうだけど、サッカーが下手なままなわたしだし、いつかは……。」

 

「あー、もう見ちゃいられないぜ!!グダグダ言ってないで俺たちを信じろよ!俺もあんたを嫌ってない!怖がっているものに気づいているなら、向き合えよ!俺だってそうした。森村のおかげなんだ!」

 

「でも、ウチは……。」

 

「あー、もうイラつくんだよ、そういうの……あっ」

―――くそっ、言ってしまった。

 

森村はその言葉に塞ぎ込む。

 

 

ふと、

観覧車を指差す子どもたちがいるのが目に入る。

 

「……なんだか騒がしいね。」

 

「あれは猫?……お、おい、どこ行くんだ!?」

 

青白い光を纏いながら駆け込んでいく。

森村は落ちていく猫に飛びつき、キャッチする。

 

「よかった。もう危ないことしちゃだめだよ。」

 

「すげぇ……森村も大丈夫か?」

 

「う、うん。」

 

「あー、いたー!!」

 

さくらと葵が走って向かってくる。

 

「ね、好葉ちゃん!」「女子会しよう!」

 

女子と距離を取ろうとする彼女の両手を優しく握る。

 

「え……うん。」

 

 

「行こうよ!」

―――放っておいてあげるほうがいいのかもしれない。でも、このまま好葉と別れるのは、なんか嫌だな。

 

 

 

「ねぇ、九坂、焦らず自分の気持ちを考えてみなよ。」

 

「俺の、気持ち??」

―――俺は森村のことをなんで無性に助けたいんだ?

 

友達の森村のことを自分自身で救いたくて仕方がないんだよね。

同じ境遇で助け合える、親友になれるかもしれないから。

 

 

 

いくつかのギクシャクを残したまま、試合の日となってしまう。

 

『さあ、いよいよ日本代表イナズマジャパンとタイ代表マッハタイガーの戦いが始まろうとしています!!』

 

 

今回は鉄角がベンチで、それ以外の11人だ。

 

 

「速攻で行くぞ!!」

 

俺たちのキックオフと同時に、DFのキャプテンが上がってくる。ワントップのフォーメーションかと思いきや、ずいぶんと攻撃的なサッカーだ。2人並んで同時に足を振る。

 

「「デスサイズミドル!!」」

 

「うわっ!」

「くっ!」

一閃で、瞬木や剣城が吹き飛ばされボールを奪われてしまう。

 

「いけっ、タムガン!」

 

パスを繋いできて、あっという間に俺たちDF陣の前だ。

 

「こ、こっちに来る……ディフェンスしないと…。」

 

「ジャマだ!どけっ!デスサイズロー!!」

一閃で、森村が吹き飛ばされる。

 

「森村ぁ!?……くっ」

―――だめだ、暴力を振るうと森村が悲しむ

 

 

 

俺がワントップのFWをマークしていることに舌打ちして、ノーマルシュート。

 

「舐めるなっ!!」

井吹はしっかりとキャッチする。

 

 

一瞬で攻守を切り替えてくるチームで、カウンターを狙っているのだろう。俺たちDF陣の真価が試される。

 

「パルクールアタック!!」

 

「「デスサイズミドル!!」」

一閃での、シュートブロック。

 

さらにロングパスでのカウンター攻撃。

 

 

「遅い!!」

 

「「なにっ!?」」

 

「う、うちには無理……。」

 

オドオドしたままで、ボールを奪われる。

前回の試合同様、俺や神童は行く手を阻まれる。

 

「さあ、シュートだ!アイボリークラッシュ!!」

強烈な膝蹴りをすると、像が鳴いて勢いを増す。

 

「くそっ!ワイルドダンク!!」

跳躍してダンクをかけるが、ボールは止まらない。

 

「う、うちの、せいだ。」

 

「いや、俺がもっと強い必殺技を……」

 

まだ井吹には足りないものがある。それは強力な必殺技でも、キャッチングの技術でもない。そしてそれは経験によって培われるものだ。さらに、森村もまだ実力を発揮できていない。あの時、猫を救った勇気は必ずサッカーに活かせる。

 

「九坂、がんばれ。」

 

森村に近づこうとしているのに、森村に避けられてしまっている。

この状況に歯を食いしばっていた。

 

 

 

 

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