試合再開
居ても立っても居られない九坂は天馬に話しかける。
「キャプテン、俺、森村を助けたいんです。あいつに伝えたいことがあるんです。でも、何度も伝えようとしたけど、避けられちまって。」
「九坂……。だったら、今がチャンスだ。試合中にサッカーで伝えるんだ!」
「九坂!!守りを任せろ!全力全開で君の想いを伝えるんだ!」
「サンキュー。……いくぞ!!うおおおおお!!」
一度深呼吸、
バンダナが外れる、九坂は怒髪天となって森村の前に走っていく。
「ふぇ…!!」
「森村、森村好葉!!俺はお前が好きだぞーーーーっ!!」
「ふええーーーー!!」
「お前は温かい。顔も可愛い。俺の彼女にしてやるから元気出せっ!!!」
―――まっすぐに俺の想いを伝える!
―――こんなうちを誰かが見てくれる?
再びFWが走りこんでくる。
「どけっ!お前のディフェンスなど取るに足らん!」
「森村、お前なら止められる。絶対にできる!自分の力を信じろ!!」
「できる、うちにも……?」
「自分の『失敗』を恐れず、思い切ってプレイしろ!!」
「うん!」
相手選手のプレイに意識を集中させる。
―――動きが視える!本能的に動ける!
青白い光が一瞬輝く。
葉っぱが集まり始め、自身に纏っていく。
「このはロール!!」
巨大なボールとなって、ドリブルしてきた相手を轢く。
「やったじゃないか!好葉!」
「九坂君が、応援してくれたから......」
「なによ、やればできるじゃない!」
「よしっ、点を取りに行くぞ!!」
今度は俺たちがカウンターをかけていく。
好葉からさくらへパスが繋がり、ドリブル突破。
少し前へ進んだ真名部がさくらからパスを受け取り、
「フューチャー・アイ……九坂君!」
―――上手くいきました
動きを読んで、的確に躱してパス。
「おう!キョウボウヘッド!!」
強力なヘディングシュートがゴールに向かっていく。
「「デスサイズミドル!」」
「キラーエルボー!!」
ブロック技と、巨大な肘でのキャッチ技で止められてしまう。
あのキーパーの必殺技はそこまで強力じゃないけど、身体能力が高いね。
ホイッスルが鳴り、前半の終了を告げる。
バンダナを撒き直している九坂に自分から話しかけていくのは森村。
「ど、ドンマイ……」
「ああ、後半も全力で行くぞ。」
「うん、頑張る……。」
「ねぇ、天馬。なんだか2人とも顔赤くない?」
「そうだね。もしかして、風邪?」
「「はいはい、2人は黙ってて。」」
「「う、うん…。」」
話しかけようとしたところを葵やさくらに止められた。
0vs1という状況で後半が開始される。
攻撃の勢いは収まることはない、同じ人間とは思えない身体能力だ。
「皆帆!真名部!そっちへ行ったぞ!」
天馬の声で、
考える素振りの皆帆や、分析する真名部はハッとする。
フェイントをかけられてドリブルで抜かれる。
「クリムゾンカット改!!」
跳びこむように相手選手の前に躍り出て、進化した紅い壁で弾き返す。
一度、ボールを外に出す。
2人を信じて、俺は時間を稼ぐ。
2人なら、勝利への解法を見つけてくれるだろうから。
「このはロール!!」
葉っぱを纏って突進するブロック技。
「私だってっ!!グッドスメル!」
闘争心をかき消すことで動きを止めるブロック技。
「真ワンダートラップ!!」
一瞬消えるほどのスピードでボールを奪うブロック技。
―――俺だけじゃない。みんなが彼らを支える。
唯一の相手FWにボールが渡ってしまう。
「悪く思うな!勝つのは俺たちの星だ!!」
「見えました!ディフェンス方程式!!」
数式を用いた分析をもとに、的確にボールを奪う。
「そんなドリブルじゃボールを取ってくれと言っているようなものだな。」
一度、ボールを奪われる。
「いえ、計算通りです。皆帆君!!」
「トレースプレス!!2段構えのディフェンスさ。」
相手の仕草や癖を真似して、隙を突いてボールを奪う。
「「これが僕たちの勝利の解法です!!」」
彼らの得意なことを必殺技に活かした。
剛のプレイを柔のプレイで打ち破ったんだ。
「皆帆!真名部!よくやってくれた、このボールを繋いでいくぞ!!……フェイ!!」
紅い光の円錐へ跳びこむように、浮いたボールを蹴りつける。
「クリムゾンスマッシュ!!」
紅い流星がゴールに向かっていく。
そこに全力疾走していくのは瞬木だ。
「うおおおお!マッハ!ウィンド!!」
風を纏ったシュートをチェインしてゴールへ向かっていく
「なにっ!!」
カウンター攻撃に反応できず、ゴール。
これで同点だ。
そして、流れはこちらにある。
「オラオラメンチ!!……おらぁ!!」
―――受け取ってください!
「「「任せろ!!」」」
天高く上げられたボールに俺たちは向かう。
俺の両足、彼らのツインボレーシュートを叩きこむ。
「「「ファイアトルネードTC改!!」」」
豪炎がゴールへ向かっていく。
「「デスサイズミドル!!……なにーーっ!!」」
一閃を諸共せず、進み続ける。
「キラーエルボー……あちぃ!!」
真正面から、強固なキーパー技を打ち破る。
これで2vs1
キックオフと同時に、キーパーすら持ち場を離れる全員攻撃で向かってくる。全力全開の身体能力を発揮し始めたのか、急に動きが速くなる。
走り方もどこか人間とは、もはや異なるような……。
筋肉にも異常に力が入っている。
「「「我々の未来がかかっているんだ!!」」」
「僕たちなら100%できます!」
「キャプテンたちのような完璧な連携技をね!」
皆帆と真名部が両左右から向かう。
「「スピニングカットW!!」」
合成させることで完成した1つの巨大な膜がドリブルを止める。
お互いの動きを知り尽くしたからこそできる、息の合ったDF技だ。
ホイッスルが試合終了を告げる。
『ここで試合終了だーーーっ、イナズマジャパン、決勝進出だ!!』
「おレたちが負けタ??ここマデ勝ち進んできたノに……。」
この世の終わりと言わんばかりに、相手選手は膝をつく。
皆帆と真名部は勝利の喜びを分かち合っている。
好葉は、また自分から九坂に近づいていく。
「やったな。森村。」
「うん。九坂君。」
長身の九坂は、直立不動となる。
「えと……あの……九坂君の気持ちありがとう。でもごめんなさい。彼女になるのは……その、ダメです!!」
きっぱりと断る。
「……まあ、いいか。お前が元気になってくれたらそれでいい。」
―――森村が自分の考えを伝えることができるようになったしな。あぁ、飛鷹さんのラーメンが無性に食べたくなってきたぜ。
「ちょっと屈んで??」
「お、おう。」
漢泣きすら堪えて笑顔を出す、九坂の耳にゴニョゴニョと伝える。
(わたしがもっと前向きになるまで、待っててー?)
ボンッ!!
「「爆発したっ!!九坂、大丈夫か!?」」
「「はいはい、邪魔しないの。」」
九坂に駆け込んでいこうとする、俺たちは葵やさくらに引っ張られていく。
「ありがとう、九坂君。」
―――もっと自分を好きになってみるよ。
小さな身体は勇気とやさしさで溢れていた。