イナズマイレブンGO-魔術師の弟子-   作:ヒラメもち

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第16話 宇宙へ

サッカー大会の上位の星から、星を選ぶ権利がある。しかし、居住することのできる環境の星は多くはない。加えて、ファラムオービアスは想像を絶するほどの民がいるらしい。もし、俺たちが優勝できなかったら、地球に地球人は住めなくなる。

 

そして、すでに滅ぶ種族が決定してしまっている。

 

「地球代表、アースイレブン……俺たちが…?」

 

「このアジア予選で今まで戦ってきたのは、宇宙人なんだね。」

 

「そうだな。グランドセレスタギャラクシー銀河辺境Aブロック予選だ。」

 

筋肉の隆起、ニンゲンと異なる動き、異常な身体能力。

俺たちはサッカーの技術でなんとか戦ってきたけど、真正面から戦って勝てる相手じゃなかった。もし、銀河全体で宇宙戦争をしていたら、地球は真っ先に滅んでいたかもしれない。そんな、漫画やアニメの出来事が今俺たちに起きている。暴動やパニックを起こさないために、秘密裏にサッカー大会を行っていたんだろう。

 

「さて、では選手諸君には準備をしてもらおう。旅立ちの準備をな……。」

 

「俺たちが、宇宙へ……?」

 

 

オズロックや宇宙船は去っていく。

 

「黒岩監督!あなたは全てを知っていて俺たちのことを率いていたんですか!?」

「なぜ秘密に!?」

 

憤りをぶつけるように神童や霧野が問いただす。

 

「本当のことを話して、お前たちは戦えていたのか?」

 

「「くっ」」

 

確かに、地球の運命をかけて戦いを初めからできなかっただろう。

 

「俺たち全員の判断だ。」

鬼道さんに続いて飛鷹さんや立向井さん、他にも名だたる選手が揃う。

義兄さんやアスカさんもいる。

 

彼らですら、

地球をかける戦いを俺たちに頼むしかないのだろうか。

 

「この運命を変えるために、俺たちは黒岩……いや『影山零治』を監督に選んだ。」

 

かつて帝国学園の監督として、伝説のイナズマイレブンと戦いを繰り広げた人物。ドーピングや身体に負担のかかる必殺技の開発、選手生命に関わる暗躍。多くの人の運命に左右してきた、死んだはずの人物だ。

 

「私は死に直面した『あの日』から、今まで見えなかったものが視えるようになった。人の中に眠る『ケモノ』だ。私にはぼんやりとだが、その力が視えるのだ。それこそがこの地球の……いや宇宙で選ばれた者の遺伝子に編み込まれた力だ。古来それは『精霊』と呼ばれていたらしい。」

 

「まさか森村のあの動きは……?」

「フェイの紅いオーラも…?」

「俺や剣城もシュートの威力が急に強まった気がした。」

 

「お前たちのDNAの中に眠る力の覚醒が始まったのだ。他の星の遺伝子を持つ者に接触したことで、自己防衛本能が『ケモノ』の力をめざめさせようとしている。レジスタンスジャパンのときは特例だったが、その力のために化身禁止ルールを提案したのだ。本選では化身の力を使ってもいいが、それだけでは敵わない相手が多いだろう。」

 

「SARUたちより強力な相手なのか……。」

 

「そして、一之瀬。お前はこのチームの最大の鍵だった。松風たちの『ケモノ』の力をめざめさせることに一役買ってくれた。『ケモノ』の力を幼少期すでに開花させていたからではない。お前の『ケモノ』の力の色はここにいる誰のものでもない。―――それはお前がこの星の生まれではないからだ。」

 

「「「なんだって!?」」」

「うそでしょ……」

 

「おれが……?」

俺は、地球人じゃないのか?

 

「以上だ。宇宙へ行くかどうか、地球の運命をかけて戦う覚悟がある者はついてこい。」

 

葛藤する者、混乱する者、すでに決意をした者。

俺は呆然と監督の背中を見たままだった。

 

 

 

「フェイ、俺は君の義弟であることには変わらないよ。」

 

肩を優しく叩いてくれる。

義兄さん……

 

「そうそう!一緒にサッカーやってきた仲間じゃないか!」

「フェイのおかげで私たちパワーアップしたみたいだし!」

 

天馬、さくら……

 

「うん、ありがとう。もう大丈夫だ。」

 

俺が頷くと、みんな頷いてくれた。

 

 

 

俺たちアースイレブンはキャプテンを見る。

 

「それで、どうする天馬……?宇宙へ行くのか?」

 

「サッカーで地球を救えるなら、俺たちのサッカーが地球の希望になるなら、宇宙へ行くしかない!ここで『なんとかなるさ』って言ってもみんなの不安は無くならないと思う。でも、俺たちのサッカーでなんとかしたい!」

 

 

「よく言った、天馬!!」

円堂さんが1人の少年を連れてやってくる。

 

彼こそ元イナズマジャパンキャプテンで雷門の守護神。世界中に名を轟かせるGKだ。覇気というか、凄まじい頼もしさがにじみ出ている。まるでゴールを任せたいと自然と思えるような存在だ。

 

「お前たちのメンバーにこいつが加わる。」

 

「私は市川座名九郎と申します。みなさんとともにサッカーをやらせていただくことになりました。」

 

丁寧なお辞儀をする彼に、天馬たちは口をポカーンと開いている。

 

「こいつには全部話して、俺がずっと特訓をしていた。絶対に力になってくれるはずさ!」

 

「そうですね。名もなき小市民として協力させていただきます。では、少しお見せしましょう。」

 

ボールを地面に置く。

「いよ~~あ、カブキブレイク!!」

強力なボレーシュートがゴールに突き刺さる。

 

「ここまでのシュートを出せるとは。」

「これは頼りになるな。」

 

「そう言うと思いましたよ。」

 

褒めてくれたストライカー2人に対して謙虚に答える。

 

 

「だが……本当に俺たちやれるのか…?」

「地球の運命が…私たちにかかっているって……」

「優勝できる確率は高くはないでしょう。」

 

「なんかプレッシャーっす……それに飛鷹さんたちのほうが」

 

「は?なにお前腑抜けたこと言ってんだ。」

「残念ながら無理だ。俺たちには『ケモノ』の力は宿っていない。」

「この地球で君たちの帰りを待っているよ。」

 

「「「でも……」」」

 

俺も含めて、まだ決心がつかない。

これから始まるサッカーが未知数なんだ。

 

「なあ お前たち。サッカーは好きか?」

 

「え?……好きっていうかなんか楽しいって思うようになったかな。」

「バスケほどじゃあないがな。」

 

サッカーを始めて1年も経っていない彼ら。

 

「うちはサッカーのおかげで勇気出せる。」

「俺は夢中になれるようなモノを見つけたっていう感じがする。」

 

過去に傷を持っていた俺たち。

 

 

「それって、サッカーを好きになったってことだよね?」

 

「大切なのはサッカーがどれだけ大好きかっていう気持ちと必ず勝とうっていう気迫だ。そういうやつに勝利の女神は必ず微笑んでくれる。今までの試合を見て、俺たちは分かってる。お前たちは誰よりもその想いが強い。お前たちならどんな困難でも必ず乗り越えられる。お前たちなら絶対地球を救えるってな!」

 

円堂さんも義兄さんも笑顔で信じていてくれる。

 

 

「俺たちから言うのはこれだけだ。」

「「「「「サッカーを楽しんで来い!!」」」」」

 

「「「「「はい!!」」」」」

 

 

 

俺たちはそれぞれ、家族や友達に伝えるため各自解散した。

 

 

俺と義兄さん、アスカさんは天馬と一緒に木枯らし荘に行く。

すでに西園やアキさんが待っていてくれた。

 

2人には事情を話す。

「えーーーっ、天馬たちが地球代表!?」

 

「俺、絶対地球を守ってみせるさ!」

 

「天馬ったら、すっかり頼もしくなっちゃって。」

「俺たちは地球で信じて待ってる。」

「フェイも頑張って来いよ!」

 

 

「もちろん!俺の知らない宇宙のサッカープレイヤーと会えるし、楽しみだよ!」

 

「そうか。じゃあ、どれだけ強くなったかサッカーやりにいこう!」

 

「いこういこう!」

 

俺は義兄さんと河川敷に向かって走り始める。

 

「もう!一之瀬君たち、ご飯の時間まであまりないわよ!!」

 

「「すぐ戻ってくるからーー!!」」

 

俺が何者か分からないけれど、

今はサッカーを楽しもう。

 

サッカーと絆がここにいる証明をくれる。

 

 

 

***

 

夕飯の買い物の帰り道、

もう癖になってしまったリフティングをしながら、パパとママに話す。

 

「もうこの子ったら、勝手にサッカーやりだしたと思ったら、今度は宇宙に行くですって?」

「ふっ、だったら私たちも、宇宙からの中継で応援しないとな。ははは。」

 

「もう!信じてよね。いいもん、私は輝いてみせるんだから、宇宙で一番!!」

 

「さくら……がんばってきなさい」

―――ちょっと見ない間に成長しちゃって。

 

「パパ、ママ…」

 

「ところで、あの一之瀬君とはどういう関係?」

 

ミスしてボールが転がる。

「うわあああ!!まだ何もないから!」

 

 

「ちょっと待て、どういうことだ!!」

 

「フェイとはなんでもないからーー!」

 

いつも冷静なパパは焦っていて、

いつも厳しいママは してやったりという笑顔。

 

今の時間の、紅い夕日はきれいだった。

でも、空はどんどん色が変わっていくんだよなぁ。

 

 

 

***

 

快晴の青空。

 

誰も欠けていない、15人のメンバーが集まった。

 

今まで暮らしていた宿舎が、

電車型の宇宙船『ギャラクシーノーツ号』となる。

 

 

「よし、みんな行くぞ!」

 

ーーー宇宙へGO!!

 

 

 

 

 

 

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