イナズマイレブンGO-魔術師の弟子-   作:ヒラメもち

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第19話 宝玉の導き

ソウルを使ってからの数秒程度の加速なら、息切れはしないな。

どうやらソウルによって能力の適正があり、カーバンクルはDF型のようだ。カゼルマのソウルはMF型だったため、必殺シュートを抑え込むことができた。今の俺は、特に加速とアシスト能力が飛躍的に向上している。特化的で瞬間的な能力向上が化身やミキシトランスと異なる点だね。

 

そして、ケモノの本能によって身体が的確に動いてくれる。

 

 

足にパワーを集約させて、勢いよく蹴りこんだ。

「市川!!」

俺のロングパスを鮮やかに受け取ってくれる。

 

 

青い光を纏いながらドリブルしていく。

「そうくると思いましたよ。……『獅子王の舞』ご覧あれ~~」

橙色のライオンが憑く。

 

「ソウルストライク~~!!」

咆哮とともに超威力のシュートがゴールに向かっていく。

 

「サンドノック!!……ぐわーーーっ。」

砂の手はライオンに嚙み砕かれる。

 

 

「ナイス市川。」

「それほどでも。」

「ねぇ、ザナークって呼んでいい? なんだかしっくりくるし。」

「そういうと思いましたよ。ぜひ。」

 

これで2vs1だ。

 

 

 

「ミキシトランス 孔明!!」

「ミキシトランス ノブナガ!」

 

「「繋いでいくぞ!」」

2人の偉人の力で、的確な指示でパスを繋げていく。

 

「鉄角!」

「九坂!!」

「ああ!さくら!」

「はい!キャプテン!」

「剣城!」

 

「ミキシトランス 沖田! さらに化身アームド!!」

騎士と武士の融合。

 

「菊一文字 改!!」

居合斬りによる必殺シュートがゴールに向かっていく。

 

 

黄色のオーラが輝く。

「俺はサンドリアスの守護神なんだ!うおおおお!」

橙色のサソリのような生物が憑く。

 

ボールに2つのハサミと尾を向ける。

「ソウルストライク!!」

3方向からの打撃で、ボールを抑え込む。

 

 

 

砂煙が晴れたころに、

寂しくホイッスルが鳴る。

 

 

2vs1で俺たちの勝ち。

しかし喜びの声を素直に上げることはできない。

 

歓声ではなく、嘆きがスタジアムに響いている。

 

「天馬、初戦突破おめでとう。君たちと戦えてよかった。」

 

「カゼルマ……」

 

「私たちは誇りをかけて最後まで戦うことができた。それだけで満足だ。」

 

 

俺たちはこれからも厳しく険しい戦いを強いられることになるんだね。

 

 

 

***

 

水川さんは宇宙人だった。

正確には地球人の少女に憑依しているのだけれど。

 

ブラックホールで呑み込まれたたった1人の生き残り。しかし脱出に失敗していまい、精神だけの存在になってしまったらしい。そんな過酷な運命を背負わされた彼の名はポトムリ。

 

「「それって幽霊じゃないの!?」」

 

さくらや葵、森村は抱きつき合って震えている。

 

「とりあえず話を聞こうよ。」

 

意識不明だった水川みのりさんの身体に乗り移って、数ヶ月生きてきた。

彼女に魂が定着しないように、今はピエロの人形に憑依している。

 

そして、地球にたどり着いたことを運命として、地球を守るためにマネージャーとなることを選んだんだ。天馬が夢で会い、導かれたという姫は星と運命を共にしたらしい。

 

それでも、

天馬の手に入れた希望の石は、この宇宙での争いを終わらせる鍵となるはずだ。

 

 

ちなみに彼女の意識が表に出てきてしまうため、

「なんだんだおめぇら!!……失礼。」

「そういえば水川みのりって、あの○○中のミノタウルスの!?」

九坂には心当たりがあるみたいだ。たぶん不良の知り合いだろう。

 

 

ともかく、

「勝ち進んでいったその先にカトラのいう、答えがきっとある。みんな頑張ろう!!」

 

「「「おう!!」」」

「「「はい!」」」

 

試合直後よりも、明るい声が合わさった。

 

 

 

 

***

 

次の惑星まで時間がかかる。

ブラックルームで各々練習を重ねていく。

 

ボールは旋律を描く。

「「フォルテシモ!!」」

霧野と神童ツインシュートがゴールに向かう。

 

「護星神タイタニアス!アームド!!」

西園は化身を纏って両手でしっかりとキャッチする。

 

 

「くっ、ファイアトルネードDDほどの威力は出ないか。」

「どう思う? フェイ。」

 

確かに、

息の合った連携技の威力は倍程度に上がっていた。

 

「必殺技がシンクロしすぎたのかな。必殺技の足し算に近かった。相手に合わせることを気にしすぎているかもしれないね。」

 

「そうなっているのか。」

「…天馬たちは2人が全力を出すことで合わせているんだろう。」

 

俺は無言で頷き、1つの冊子を見せる。

 

実は義兄さんや円堂さんたちからは、秘伝書を貰っている。

必殺技のやり方が描かれていて特に連携技が多い。

 

「ザ・フェニックスか。」

 

3人が一点を同じ速度で通過すると炎が巻き起こり、ボールを舞い上げる。

そして一方向からシュートを同時に叩きこむ必殺シュートだ。

 

「シンクロしすぎる俺たちなら、うってつけだな。」

「フェイ頼めるか?」

「うん、俺が合わせる。」

 

ボールコントロールが得意な俺が参加すれば上手くいくはずだ。

 

 

しかし、

先ほど纏まっておいてあった秘伝書がいくつか失くなっていた。

 

ここに来てから様子がおかしいメンバーがいる。

 

「ちょっといいかな?剣城、白竜。」

 

必殺技を使わず、

2人は勢いのあるシュートをゴールに放っている。

 

 

「なぁ、なにかあるのか?」

「そうそう、いつも通りスゴいシュートだと思うけど?」

鉄角や西園が尋ねてくる。

 

 

「撃ってみてほしいんだ、グレートブラスターを。」

 

2人ともシュートを放つ足を止め、冷や汗を掻いている。

 

「どうしたの、2人とも?」

 

 

「できるわけないよな。偽物だし。」

俺たちの背後からの声。

 

「「「って誰!?」」」

 

いつのまにかいた、

俺以外知らない少年に天馬たちは驚く。

 

「カイザじゃないか。」

 

「Yes,また会ったな。この2人はファラムオービアスのスパイだ。お前たちアースイレブンの動向を探りに来たんだ。ついでに秘伝書も一部貰っていったらしい。ともかくツルギやハクリュウは、連れ去られたってわけ。」

 

「「「なんだって!?」」」

誰よりも先に雷門の4人が声を上げる。

 

「俺は関与してないんだけどな。俺の今の雇い主、女王様が欲しいって言ったからだ。Vip待遇でも受けてるんじゃないのか? 知らないけどさ。」

 

「「お前、姫様を裏切るのか!?」」

ボールをカイザに向けて蹴る。

 

 

―――アクセル

―――アクセル

 

「よくないなぁ、そういうの。」

目の色が暗く変わり、彼は嗤う。

 

彼は2つのボールを蹴り返し当てる。

特殊な縄を取り出し2人に鮮やかに巻き付けていった。

 

「じゃあな、俺はこいつらを宇宙に捨ててくるさ。」

 

「待って。ファラムオービアスに雇われたってことは俺たちの前に立ち塞がるってこと?」

 

引きずっていこうとする彼を止める。

 

「そうだな。お前ら、いやお前を消すためさ。さっきの試合も見てたぜ。この宇宙で最強の力を持つ種族はもう俺1人だけだと思っていた。小さな星に棲んでいた俺たちの種族は、宇宙で稀有な能力を持つ者が多かったのさ。 そうさ、すでにブラックホールに呑み込まれたはずだった。しかし、お前が生き残っていた。」

 

俺の故郷の星か。

ポトムリの星と同じようにすでにブラックホールに……

 

「この宇宙で最強は1人でいい!俺と似ている技を使うのも虫唾が走る。―――次の星でサッカーやろうぜ。」

 

初めて出会った時の表情はすでになかった。

彼は唯一無二の強さを渇望しているんだ。俺がこの世界に生きている証明を探しているように、彼は強さを示すことで生きている証明を創り出そうとしているんだ。

 

だから、

 

「うん、受けて立つよ。」

 

世界が通常通りに動き始めた頃には、彼は消えていた。

 

 

 

心臓を押さえて膝をつく俺を、さくらは慌ててつつも支えてくれる。

 

「逃げられたか」

「神童、信助、天馬、どうする?」

「まさか、2人が……」

「どうすれば…」

 

「進むしかないよ。ファラムオービアスにいることは間違いないんだ。ここからは俺たちで戦っていこう。」

 

「そうだね。一戦一戦サッカーを続けていくしかない……」

 

剣城と白竜の安否に対する不安を特に天馬は感じていた。

 

 

 

 

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