ここは、ホーリーロードスタジアム。
ドーム状のサッカー場で、今は太陽と青空が見える。
『さあついにやってまいりました!少年少女サッカー世界大会FFIV2!今、日本代表『新生イナズマジャパン』が発表されようとしています!一刻も早く知りたいというサポーターにスタジアムは覆いつくされています。』
天馬たちの雷門中の他にも、強いオーラを持つサッカープレイヤーはたくさんいる。さすが前回優勝国だね。それにしても、前回は22人の候補者で試合をして決めたらしいけど、どうするんだろう。
「世界と戦う新生イナズマジャパンかあ。誰が選ばれるんだろ。ワクワクするよなあ。」
「うんうん!」
「わくわく? 天馬、自分は絶対に選ばれるというくちぶりだな。」
「そういう君も、自信ありげだね。」
当然と言わんばかりに、フッと剣城は笑みを浮かべる。
「今度は世界だぁ~~!」
「こらあまりはしゃぐな。」
天馬たちの先輩である彼に注意された。
「神童さん、俺たちここまで来たんですね。」
「そうだな。長かった。ついにきたんだ。」
まるでたくさんの冒険をしてきたような、感慨深い声だった。
サングラスに白い髪で背の高い、白いスーツを着た人が壇上に上がってくる。
『私がイナズマジャパン監督の黒岩流星だ。これより日本代表となる新生イナズマジャパンを発表する!ただし、本日選ばれるのは12名のみだ。』
―――たった12人
『イナズマイレブンキャプテン松風天馬。さらに、新童拓人と剣城京介。』
3人の名前に歓声が上がる。全国大会優勝校である雷門中からの主力メンバー3人とあって、期待も大きいんだろうね。
『瞬木隼人、野咲さくら、九坂隆二、真名部陣一郎、鉄角真、森村好葉、皆帆和人、井吹宗正、そして、一之瀬ルーフェイ。以上だ。』
静寂
観客は唖然としていて、一番驚いていているのは彼らの中学校の人たちだ。
あいつうちにいたか?たしか勉強できたよな?体操じゃなかったか?
―――サッカー部員じゃないよな?
選ばれなかったメンバーの中には一際輝く者たちがいた
ライバルに負け、悔しさを天に叫ぶ者
相棒にまた置いていかれ、拳を握りしめる者
親友とサッカーができず、涙を流す者
***
―――青と白で彩られたユニフォームに腕を通す
『さあ!これより新生イナズマジャパンの誕生を記念して、エキシビションマッチが行われます!日本を代表とする選手たちのデビュー戦となるこの試合!その栄えある相手は――?』
ゴゴゴゴゴゴゴ
『なんとサッカー名門校 帝国学園です!』
グラウンドにトレーラーでダイナミックに入ってきて、11人の選手と監督が降りてくる。静かにゆっくりとトレーラーは戻って行った。
準備運動をしている俺たちに神童が話しかけてくる。
「みんな聞いてくれ。今日出会ったばかりだが試合に勝つためには連携が必要だ。勝利のために全員協力してほしい。頼んだぞ。」
「おーう!……ってあれ?」
答えたの俺だけ?
「お前はベンチスタートだ。フォーメーションはこの紙に書いている通りにしろ。」
「そうかー。……じゃ、天馬たち頑張ってね!」
監督の指示で、俺はベンチに向かう。
落ち着いた雰囲気のマネージャーと、天馬のガールフレンドの葵がいた。
―――キックオフ
天馬と神童、さらに剣城の3人(だけ)が先陣を切る。
天馬を囲むように2人のDFがグルグル走り始める。
「「サルガッソーV2!!」」
水の渦巻きに巻き込まれ、ボールは宙を舞う。
連携技だね。
「まだだ!……神のタクトFI!!」
神童が浮いたボールをトラップして、後方のチームメンバーを見る。腕をしなやかに振るうと、炎の旋律を描く。
最適な指示で、ボールを繋ぐ必殺タクティクスってところかな。
「いけ、瞬木!」
――動かない
「くっ、野咲!」
―――動かない
「どうして・・・?」
「動かないんじゃない。必殺タクティクスの意味が分かってないね。もちろん、あの必殺タクティクスが信頼関係が結ばれているって条件もあるだろうね。」
疑問を持った葵に俺は答える。
「黒岩監督。彼らの選手データ見せてもらいました。ゆえになぜ彼らを選んだのか私にはわかりかねます。」
鉄角真、ボクシング。
瞬木隼人、陸上
森村好葉、園芸部
九坂隆二、不良
真名部陣一郎、計算
野咲さくら、新体操
皆帆和人、刑事の息子
井吹宗正、バスケ
「へー、みんないいもの持ってるじゃないか。」
―――サッカー未経験、サッカー初心者
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」
「選手交代だ。松風、神童、剣城を残して、他全員と交代だ。」
「残り3分で、10点ね。」
最後に、サッカーを見せろってことかな。
―――あの8人に
―――血が出るほど拳を握りしめる彼らに
「ルーフェイ……」
「フェイって呼んでよ、天馬。親しい人はそう呼ぶんだ!」
天馬はハッとする。
「そうだね。」
俺たちは頷き合い、
「「まだ、終わってないぞーーーー!」」
2人で天高く叫ぶ。
「こうなったら、4人で点を取るぞ!」
「「「はい!」」」
ーーー試合再開
天馬が両手を振るうと、風の道が生まれる。
「風穴ドライブ!!」
天馬は風となって、2人を突破し、神童へパス。
リズムに乗って、リフティングして、
「プレストターンV3!」
一気に駆け抜け、1人を突破した。
「神のタクトFI!!」
炎の旋律の指示が、道筋を照らす。
「天馬と剣城は走れ!……一之瀬!」
俺にパスが繋がる。
残ったDFを次々と躱していく。
(カズヤさんもこうして、前へ切り込んでいったんだ。)
「俺が合わせる! 天馬も剣城も全力全開だーー!!」
2人が炎を纏いながら同時に回転しつつ飛びあがると、竜巻を描く。
俺がボールを浮かせて彼らの到達点に持って行く。
両足のシュート、彼らのツインボレーシュートを叩きこむ!
「「「ファイアトルネードTC!!」」」
豪炎がゴールへ向かっていく。
キーパーの必殺技を諸共せず、
『ゴー―――ル!! イナズマジャパン1点を返したーー!雷門のコンビネーションだーー! 』
歓声が巻き起こる。
しかし、非情にもホイッスルが鳴る。
『これで試合終了だ……これは最悪の滑り出しだーーー!』
ブーーー
ブーーー
ブーーー
敗北か。
波乱の幕開けだね。
「なんなんだ、これ……」
天馬の声は風に消えていった。