イナズマイレブンGO-魔術師の弟子-   作:ヒラメもち

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第22話 宝玉の祈り

 

試合は前半から後半へ。

真名部と鉄角の2人と、

霧野と森村の2人が交代する。

 

1vs2という状況だけれど、俺たちの闘志は燃えている。

 

 

 

瞬木は俊足でフィールドを駆け始める。天馬とボールを交換しつつドリブルで前に走り続ける。心の底からの楽しさが彼の表情にはにあった。

 

「ついてこれるか?俺のスピードに!」

 

「ああ!ついていってみせるさ!」

 

 

「くそっ、俺こそが最強なんだ!アクセル!!」

カイザは加速して、天馬のブロックに向かう。

 

 

「俺も敗けていられるか! アグレッシブビートGO!!」

 

心臓の鼓動を加速させた上に、本能を加えてドリブル突破。

 

「なんだとっ!?」

 

「まだまだこれからさ!瞬木行くぞ!!」

 

 

青い輝きを放って、白い馬が憑く。

「ソウルストライク!!」

瞬木を乗せて、ドリブル突破していく。

 

 

「いけーーーーっ!!」

 

さらに先へボールを蹴ると勢いよく転がっていく。

サザナーライレブンの誰もが疑問を抱いた。心を読まれることのない、本能的に出したパスだったんだ。俺はさらに走る速度を上げる。

 

跳びこむように俺はボールの前に躍り出て、今度はバックパス。

 

「いけるかい? 瞬木!!」

 

道筋を照らしチームメイトを導くこと、フィールドに追い風を起こすことが、『天馬らしいキャプテン』の答えなんだ。そして、攻守関わらずフィールドを搔き乱し仲間にチャンスを託すことが、『俺らしいフィールドの魔術師』の答えだ。

 

表情を緩めた瞬木は全速力で追いつく。

 

「おもしれぇ。2人とも本当におもしろいやつだよ!!」

 

 

青黒い輝きを放って、青いハヤブサが憑く。

「止められるもんなら 止めてみろ!」

 

味方のディフェンスラインからクラウチングスタート。サッカーコートを誰よりも速く一直線に駆けて行く。風を切り裂いていくほどのスピードは誰にも止められない。

 

さらに青黒いオーラをまき散らしていく。

 

「なんなのあのドス黒いアズルーー!?」

「頭が割れるーっ!」

 

 

ハヤブサの鳴き声が響く。

「マッハウィンド爆ブースト!!」

全速力のスピードを載せてボレーシュートを打つと、ボールは消える。

 

シュートがゴールに突き刺さって、これで同点。

……しかし遅れて風がフィールドに吹き荒れる。

 

「くそっ、瞬木のやつ…!!」

「なんなのよ もう!?」

「あいつ俺たちのこと気にしてないだろ!?」

 

「いいかお前ら!俺の足を引っ張んなよ。せいぜい俺のプレイに追いついてくるんだな!!」

 

「うん、それが本当の瞬木隼人なんだな! 俺、嬉しいよ!」

 

「そういうと思いましたよ。私も精進します。」

「俺も負けてられるか!」

「君の全力全開見せてもらったよ。」

 

「……ふんっ!」

―――相変わらずお人好しばかりだ。悪い気分じゃないがな。

 

 

 

「でもでもあいつのアズルを見ないようにすればいいだけ! そうすれば、相手の動きなんて全部読めるんだから。助っ人の2人は、あいつを抑えておいて!!」

 

「「命令するなっ!……お前も同じこと言うなァ!」」

 

「ああもう!あんたらもトゲトゲしいアズル見せないで!!」

 

 

 

―――カイザやヒラリのアズル、そしてサザナーラ人の特性。

「なるほどね。瞬木君、一之瀬君手伝ってくれないか?」

 

皆帆から作戦を聞く。

 

「へぇー、面白そうなこと考えてるな。」

「さすがの観察眼だね、協力するよ。」

 

 

 

試合再開と同時にサザナーライレブンの猛攻が始まる。

アズルを読むことで、俺たちの考える動きは読まれていく。今まで瞬木や俺を陥れる作戦に徹していたし、ここからが相手の本領発揮なのだろう。瞬木に対してだけはアズルを読むのを避けているみたいだけど。

 

 

「うちが止める!」

森村にフォックスが憑いてブロックに向かう。

 

「いっちゃえー!」

 

しかし森村の動きを読んでいたポワイはボールをパスする。

 

「わかりました!バブルボイル!!」

水に包まれたボールを沸騰させて打ち出す。

 

 

「俺に任せろ!真ライジングスラッシュ!!」

爪跡の衝撃波で弾き返す。

 

 

浮き上がったボールをタイミングよく手に入れられる。

 

「きゃはっ!読めてたもんね。 みんないくよ!!」

―――これにはあなたは反応できないってわかってる

 

 

「井吹、みんな! 来るよっ!!」

それはベンチからの西園の声。

 

 

3人がボールの周りを駆け始めると、水の竜巻が生まれていく。

「「「アクアストリーム!!」」」

ボールを突き上げるように竜巻の中を進ませる。

 

 

「「ミキシトランス!!」」

ノブナガとジャンヌの力をそれぞれ受け継いだ彼らが動いた。

 

2人は祈り、火事に匹敵する炎を呼び覚ます。

「「ブリュレ・ノクチュルヌ」」

炎はボールを包み込み、寂しく静かに威力を無に弱めていく。

 

 

跳躍し、

両手で地面を勢いよく叩くと岩の壁が隆起する。

「フェンスオブガイア!!」

岩の壁に弱々しく弾かれて、ボールが転がっていく。

 

 

 

予想外のフィールド外からの声だった。

西園が呼びかけることで、アースイレブンの動きが瞬時に変化した。すでにシュートを打とうとしていたので、サザナーライレブンも対応できなかったんだ。

 

 

「だ、だったら もう一度!!」

 

ボールは相手のキャプテンたちの前へいった。

 

しかし夜に包まれる。

「ボクは今楽しくて仕方がないんだ。ボクの推理力が宇宙人にも通用するってわかった。ソウルストライク!!」

大きなフクロウがボールを掴んで飛んでいく。

 

「相手は動揺している。瞬木君いまだ!」

 

ボールは皆帆から瞬木へ。

 

「オーケー」

 

「ええい 私が止める。」

 

ヒラリが立ち塞がると、一度止まる。

 

「なんだ年増女かよ。」

 

「なっ…!!」

 

2人は一進一退の攻防を見せる。

瞬木はすらすらと悪口を言い続ける。

 

「ちっ、やってくれるじゃねぇか!おばさん!!」

 

「きぃ!バカにして!!」

 

 

 

「おいお前、載せられてるぞ!」

―――こうなったら俺のアクセルで

 

アクセル。

俺がカイザの行く手を阻む。

 

「くそっ、俺より速いだと……」

 

 

「あんた何遊んでるの!」

「っ!うるせぇ 自分の心配してろ!!」

「あら、さっきまでの余裕どこに行ったのかしら?」

「お前こそ劣勢じゃねぇか。」

「今からボール取り返すのよ!」

 

 

2人のやりとりを見たサザナーライレブンは頭を抱え始めた。

 

「何よあいつらのアズル!!」

「トゲトゲとトゲトゲぶつかってる!!」

「イタタタタ!」

 

サザナーラ人は人の心が見える。それは 見えすぎるくらいな力だ。相手が瞬木と俺たちのアズルをぶつけたように、カイザとヒラリのアズルをぶつけさせた。結果的にはトゲが飛散するような光景となっているようだ。皆帆曰く、『Oh,モーレツ大作戦』。

 

サザナーライレブンはアズルを見るのをたまらず中止した。

 

―――それは決定的な隙となる。

 

「今です!」

「うん、ザナーク行こう!」

 

トパーズに輝き、タイガーが憑く。

青色に輝き、橙色のライオンが憑く。

 

「「ソウルストライク!!」」

 

2頭の猛獣の咆哮。

超威力のロングツインシュートがゴールに向かっていく。

 

 

キーパーは頭を抱えたままでソウルを発動できず、ゴール。

これで3vs2だ。

 

 

 

 

それでも、まだ時間はある。

しかしすぐにキックオフとはならなかった。

 

「もう、どうすればいいの」

「ポワイちゃん…」

「ポワイ様……」

 

相手のキャプテンは余裕を失くしているのか、頬を膨らませている。すでに意気消沈しているメンバーも多い。互いの落ち込んだアズルを見て、負けだろうという想いを読み取って、連鎖的に表情が暗くなっていく。そしてそれは観客のサザナーラ人たちにも広がっていった。

 

それは未来を失ったという絶望。

 

「ねぇ、ポワイ。どうしてサッカーをやろうと思ったの?」

 

「……楽しかったから。」

 

「だったらさ、今は純粋にサッカーを楽しもうよ。」

 

なに言っているの? とポワイは反論することはなかった。その明るい表情からも、太陽のような光輝くアズルから嘘を言っていないことがわかる。未来を切り開く希望の光で照らしてくれる。

 

「確かに星の運命をかけた戦いだ。でも、サッカーが教えてくれているんだ。銀河をサッカーで繋げればなんとかなるさって言ってくれた。だから、俺はサッカーを信じる。」

 

「もー!なんとかなるさって 楽観的すぎ! でも、嫌いじゃないよ。」

 

先ほどまでの暗さはなくなり、心の底から笑顔を見せる。

そして、ポワイのアズルを見た他のメンバーも立ち直り始めた。

 

 

「おいおい、勝てる試合だったのによ。」

「あんたも最後までやりたいくせにー?」

「うん、うちも最後までがんばる。」

「キャプテンなら、そういうと思いましたよ。」

 

「うん、天馬らしいね。」

俺たちは天馬に導かれて宇宙までやってきたと言っていい。出会うことのなかった俺たちをサッカーで結びつけてくれた。今も、相手選手であるサザナーライレブンにも勇気を与えた。先導者となって彼はサッカーを全力全開で楽しむんだ。

 

決まったよ 俺の夢

 

 

「よーし、みんなー!!」

「「「「「「サッカーやろうぜ!!」」」」」」

 

キックオフ。

残りの時間を忘れるほどの接戦が繰り広げられる。

 

ザナークのディフェンスをアズルを見て躱したMFに対して、神童はアインザッツG4でボールを奪う。しかし神童のマークに入っていたMFがカバーに入ってボールを取り戻す。九坂や森村が向かっていくが、アズルを読み合うことでパスを繋いでいく。

 

瞬木が前線から疾走してきてパスカット。彼のアズルは読むことはできないが、3人で囲んでスライディング。そこへ皆帆のソウルストライクで裏をつくディフェンスが炸裂、まさかのボールを持ったのは相手GKだった。

 

「ポワイ様!!」

 

そのパスに、俺は一早く反応してディフェンスに向かう。

 

「オッケー♪ ソウルストライク!!」

熱帯魚に似た生物が憑き、俺は鮮やかにドリブル突破されてしまう。

 

「いかせない!」

さくらがカバーに入ってソウルを発動。

ドレスのようなヒレを持つ美しい魚と、可憐で勇ましいカモシカが対峙する。

 

ここでホイッスルが鳴った。

 

「ぶー、あとちょっとだったのにー」

 

「はー、ひやひやしたー。」

 

 

各々、健闘を讃え合っている。

俺は相手のベンチにいるカイザのもとへ向かう。ヒラリに付き添われている彼は疲弊しきっている。アクセルを使いすぎたのだろう。

 

「友達が心配になったから様子を見にきたんだ。」

 

彼は目を一瞬見開いて、次第に笑みを零す。さくらを傷つけたことは許せなかったけれど、本人はポワイとおしゃべりをしていて もう気にしていないみたいだし。それに、彼とはまた正面から全力全開でサッカーをやってみたい。

 

「ファラム・オービアスで待ってる。今度こそ俺が叩き伏せてやる。」

 

「ホント素直じゃないわね。それに あんたもお人好しね。」

 

「ありがとう、ヒラリもカイザを頼んだよ。」

 

「「はぁー!?誰がこんなやつ!」」

 

ベンチから勢いよく立ち上がって口喧嘩を始めた。先ほどまでの疲弊も吹き飛んだようで、もう大丈夫そうだ。とても仲の良い2人を置いておいて大切な人たちの元へ俺は向かう。

 

 

サザナーライレブンとの別れ際に、ふと考える。

俺のアズルはどう見えているんだろうって。

 

「空だよ。夕暮れだったり晴れだったり雨だったり。じゃあね みんな! 私たちの星のことは任せたよ!」

 

海の色に似た青い石を彼は天馬に手渡す。2つ目の希望のカケラは彼ら自身から託された。。

 

満開の笑顔で手を振ってくれる。

あと2つの星を経て、ファラム・オービアスだ。

 

「あ、サクラはあのこともがんばってねー!!

 

「ちょっと!?」

 

 

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