イナズマイレブンGO-魔術師の弟子-   作:ヒラメもち

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第4話 導かれる俺たち

 

アジア予選一回戦は韓国の『ファイヤードラゴン』。

『韓国の風』と呼ばれるFWのリ・チュンユンは、俊足のストライカ―で要注意とのこと。

 

俺たちは監督の前に立つ。

 

「監督。今回の指示は?」

 

「一之瀬はベンチだ。それ以外に指示は無い。……以上。お前たちの力を見せてもらおう。」

 

何人かは反論を言いたそうにしながらも監督から離れていった。神童を中心に、前半の作戦の確認をしているはずだけど、どこか様子がおかしい。天馬や剣城と比べて、士気が低い。

 

 

「彼らには条件をつけて雇っているのだ。」

 

「どういうことですか、監督?」

 

葵が監督に問いただす。

 

「野咲や井吹は海外留学の資金、鉄角は漁船の修理代、というように、金のために集まったのだ。」

 

「そんな……。」

 

「へぇー。みんな夢のために頑張ってるね。新体操やバスケのためなんだよね?」

 

彼らが一番輝ける場所なんだろうね。

 

「フェイ……」

 

葵は心配そうに俺を見てきたけど、首を傾げるしかなかった。

 

 

 

―――キックオフ

 

焦るようにゴールに向かっていく瞬木はすぐにボールを奪われる。

 

「みんな、練習したことを思い出せ!」

 

天馬の声でも士気は上がらないまま。

神童は井吹と喧嘩をしているかのようなディフェンス。

ストライカ―である剣城は、相手3人でのマーク。

 

 

「これが世界大会か。一方的だね。」

 

サッカーを初めて1週間の彼らは、サッカーについていけない。

 

 

 

「風穴ドライブ!!」

竜巻を纏うドリブルで抜き去り、剣城にパス、

 

2人だけでパスを繋ぎながら、11人と戦うけど……

 

「地走り火炎!」

DFの炎をまとった足でのカットで、ボールを奪われる。

 

 

3vs11の展開だが、点を取ることはできない。

神童の体力を削るディフェンスで点は入っていないとはいえ、時間の問題だ。

 

「変化があったな。……あの3人によって。」

 

フィールドを見たまま何も言わなかった、監督の声がした。

瞬木の参戦に触発されて、立ち止まっていたメンバーも少しずつフィールドを駆け始める。

 

 

 

陸上の俊足を活かしたドリブル

 

新体操のボールコントロールを活かしたパスカット

ボクシングのフィジカルを活かした突破

状況を分析したことでの的確な指示

 

しかし、どこかまだまだ違和感のある連携だ。

 

 

「神童どけと言っているのが分からないのか!」

 

センタリングでボールを持った『韓国の風』がシュート体勢に入る。

 

炎を纏う足で3度蹴る。

「ラピッドファイア!」

ボールも炎を纏いゴールに向かう。

 

「どけーーーっ!」

井吹の前に構える神童は声に気を取られて、

 

シュートがキーパーに向かう。

 

「いくぞ!……うわーーーーっ!!」

 

『ゴ――――ル!!先制点はファイアドラゴンだ!』

 

 

―――前半から後半へ

 

「まだまだ1点取り返していくぞ!」

 

しかし、

天馬も剣城もマークされ続けて思うように動けない。

 

さらに、

神童はゴールを離れない。

 

唯一、

サッカーに喰らいついてく瞬木は独り。

 

 

「何をやっているんだ!」

 

キャプテンの声がフィールドに響く。

 

「どうして、瞬木にボールを渡さないんだ。瞬木はどんな扱いをされても必死に戦っている。よく見るんだ!フィールドに起こっていることを!」

 

瞬木は倒れても、ボールを奪われても、何度でも立ち上がる。

 

 

天馬の声に、瞬木の姿に少しずつ

―――パスが繋がる

 

 

天馬は彼らの想いを受け取って、

金色のオーラを纏い、全力のシュート。

「ゴッドウィンド!!」

イナズマを纏った竜巻がゴールへ向かっていく。

 

 

「大爆発張り手!!」

炎を纏った手のひらでボールに張り手を当てていくが……

「グゥワアアーーーー!」

 

 

 

『試合再開だ!同点という状況で勝つのはどっちだーーーっ!!』

 

 

「どうかせ……」

 

敵のドリブルも、

「アインザッツ」

神童は旋律とともにブロックする。

 

敵のディフェンスも、

「Zスラッシュ!!」

Zを描きながら躱す。

 

 

パスを受けた剣城は、漆黒の翅を広げて羽ばたく。

「デビルバースト!!」

炎と闇を纏ったシュートがゴールに突き刺さる。

 

 

2vs1での勝利。

 

 

「やったー!」

「やったね。」

 

 

―――俺もサッカーしたいな。

 

 

 

***

 

アジア予選2回戦はオーストラリア『ビッグウェイブス』か。

 

練習に来たのは……天馬と剣城と神童、瞬木とさくらか。

 

「他のやつはなぜ時間になっても来ない…?」

 

「たぶん、入団契約のせいだと思うな。一回戦を突破するまでは練習にも必ず出なくちゃいけなかったんだけど。それ以降は参加しなくてもいいって約束なの。」

 

「そんなこと、誰が決めた!!」

 

「落ち着いて、神童。……あ、監督だ。」

 

 

「私が決めたのだ。……松風、今いるメンバーで練習を始めろ。メニューは任せる。以上だ。」

それだけ言い残して、監督は去っていく。

 

「さ、始めよ。キャプテン!」

 

 

 

小さな変化はあったみたいだ。

 

「キャプテン、どうすればドリブルを教えてくれないか?」

 

「それなら、いい練習法があるけど、やってみる?」

 

「キャプテン、それ私にも教えて!前の試合でサッカーちょっと面白くなったから!」

 

瞬木に続いて、準備運動をしていたさくらもキャプテンに教えを乞おうとする。

 

 

 

 

さて、俺は1人で始めるかな。

いつもよりハードな、リフティング、ドリブル、シュート練習をこなしていく。

 

 

「ハァハァ……ってあれ?」

 

いつのまにか さくら以外いなくなっていた。

 

「キャプテンたちなら、他の人たちを探しに行ったよ。やっぱりみんなそろってこそ『チーム』だよね!」

 

「そうなんだ。じゃあ、何か教えようか?」

 

「……え、いいの!? じゃあさー、私必殺技使いたいな。」

―――サッカーの練習なんて面倒くさいな

 

「うーん、さくらなら……よし!」

 

笑顔でお願いしてきた さくらにボールをパスする。

 

「あ、でも!一之瀬君、自分のことで精一杯みたいだし……別に。」

 

「俺がディフェンスするから、バッチコーイ!!」

 

「……は?」

―――なんでやる気になってるの?

 

 

「自由な発想力とか、偶然の閃きが必殺技を生むんだ。やっぱり初めての必殺技だからね、自分自身で身に着けたくないかなー?」

 

「自分で……」

 

「じゃあ、ガンガンいくよ!」

 

フレイムダンス改!!

ちょっとタンマ―!!

 

 

 

***

 

―――少しずつ俺たちは変わっていった

 

脱退試験。

彼ら8人が、誰も守らないシュートを5本のうち1本決めることで、契約は完了する。

 

 

会場は、観客のいるシーサイドスタジアム。

「それではみなさんにイナズマジャパンの精鋭による華麗なシュートをご覧に入れましょう。」

 

観客の歓声を受けて、

鉄角は勇ましくシュートを決める。

 

九坂も、皆帆も、真名部も、森村も、井吹も、瞬木も、さくらも続いていく。

 

 

「そして、最後に前回出場しなかった一之瀬ルーフェイには、このGKと戦ってもらいます。」

 

 

登場した人物に歓声が巻き起こる

 

―――立向居勇気

 

かつて、イナズマジャパンのサブGKだった人。

彼から3本決めることで、俺は強豪のアメリカのチームに入らされる。

 

 

手を抜けば、俺はイナズマジャパンに残ることができる。

 

天馬は心配そうに俺を見てくれている。

さくらも何かを言いたそうにしている。

 

それでも、サッカーに嘘はつけない……

 

 

 

「いきますよ!」

 

ボールを空へ蹴り上げた俺の背後には化石の恐竜。

「真ダイナソーブレイク!」

噛みつくように、両足でボールをシュートすると、恐竜が吠えてさらに勢いを増していく。

 

―――シュートが入る。

 

 

ボールの右側を擦り上げるように回転をかけると、ボールは浮いていって、全身を使ったボレーシュート。

「真スパイラルショット!!」

回転する光を纏ったボールがゴールに向かっていく。

 

―――シュートが入る。

 

 

「どうして、何もしないんだ……。」

 

「君が、シュートから逃げているから! 君自身の本気で来い!」

 

―――血が頭をよぎる

かつて同い年に向けた、あのシュートは危険すぎた。

 

もし、途中でカズヤさんが割って入らなかったら……。

 

 

「フェイ!『野獣の獰猛さと賢者の頭脳』を目指せ! 君ならできる!!」

 

―――俺の禁断のシュート

かつてカズヤさんに怪我をさせた必殺技。

 

「一之瀬君!私見たい!あなた自身が初めて作った必殺技を!」

 

―――俺が初めて身に着けたシュート

身体の中から湧き出る力を表に出した必殺技。

 

「フェイ!迷うな!今のお前なら使いこなせる!」

 

―――炎の不死鳥の化身

何度も這い上がってきた義兄さんの象徴。

 

 

 

 

俺は一度、両頬を叩く。

全力全開のサッカーじゃないと、楽しくないよね。

 

 

 

 

―――『獣の本能』と『魔術師の知性』の融合

 

ボールを勢いよく蹴り上げ、跳んで追いつく。

ボールをゴールに向かって蹴ると一度静止し、紅いオーラの円錐が展開される。

 

跳びこむようにボールを全力で蹴りつける。

「クリムゾンスマッシュ!!」

地面に着地すると、紅い流星がゴールへ向かう。

 

 

 

 

「そう、それでいい!」

 

千手観音を彷彿とさせる手が無数に伸びる。

「ムゲン・ザ・ハンドGx!!」

流星の核であるボールを的確に掴んでいき、キャッチ。

 

 

「全力全開のサッカーで、敗けたかーーー!!」

 

不思議と、笑顔のままだった。

 

 

 

繋がりを作ることばかり考えていた。

俺に結びついた絆を感じろ。

 

網のように広がり、縄のように固い繋がりだ。 

 

―――俺はここにいる。

 

 

 

 

 

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