アジア予選2回戦。
ホーリーロードスタジアム。
「オーストラリア『ビッグウェイブス』か。何かを思いつめているような。……おっと試合開始か。」
「神童、邪魔だ!」
「ここでいい。」
森村がベンチで、今回は俺がDFに入っている。またもや神童はDFよりも下がっていく。井吹に何かを伝えようとしているんだろうね。
天馬が切り込んでいくが、向こうのキャプテンも強いな。
世界レベルに喰らいつこうとするメンバーが少しずつ増えているとはいえ、苦戦している。
さくらが新体操の動きでボールをカットする。
「神童、上がっていいよ」
「ああ、ゴールは頼む! 神のタクト!」
両腕をしなやかに振り、指示を出していく。
「野咲!」
さくらから神童自身にパスをもらう。
「九坂!」
指示通り走りこんだ彼に、パス。
「瞬木!天馬!」
パスが次々と繋がっていき、
「バイシクルソード!!」
剣城の闇を纏ったバイシクルシュート。
そのスピードに、相手のGKは反応できない。
『ゴール!!イナズマジャパン、先制点だ!』
―――試合再開
九坂を囲むように4人のDFがグルグル走り始める。
「「「「必殺タクティクス サックアウト!!」」」」
海を思わせる渦巻きに巻き込まれ、ボールを奪われた。
FWが波を纏いながらゴールに向かってきて、宙返り。
「フライングフィッシュ!!」
水をまといながらボールが飛んでくる。
俺は足で空を斬るように振る。
「スピニングカットV3!!」
地面がえぐれて、水色の薄い膜が吹き出しボールの威力を弱めると、井吹は簡単にキャッチする。
「ナイスキャッチ。」
「お、おう……」
俺は、俺の方法で君にサッカーを伝えるよ。
ボールを転がしてきたので、俺は前線へ繋いでいく。
4人の連携技であるサックアウトに、神のタクトという今の俺たちの連携では勝てない。
キャプテンであるFWが駆け込んでくる。
神童は全力でゴール前まで戻ってくる。
「どけ、神童!一之瀬!」
「うん、いいよ。」
「一之瀬!?……しまった!」
神童の隙をついて、シュート体勢に入る。
波が噴き出し、海を創る。
「メガロドン!」
シュートと同時に水中からサメが飛び出てボールとともにゴールへ向かっていく。
「キーパーは俺だ!!うおーーーー……くっ。」
『ゴール!!健闘むなしくシュートが入ってしまった。これで同点だーー!!』
「惜しかったね!もうちょっとで君だけの必殺技を完成するんじゃない?」
「俺の……俺だけの。」
井吹は自分の右手を見ていた。
―――試合再開
野咲さんがポジションを離れて、プレーし始める。
『おっと、真名部のミスを野咲がカバー!』
『野咲、ナイスパスカットだ!!』
『一之瀬の鋭いパスも華麗に受け取った!!』
俺は剣城に向かってパスしたつもりなんだけどな。
「そのボールもらうわ!」
「させない!」
―――いいところ魅せるんだから!
持ち前の技術で、舞うようにDFを躱していく。
これが、君の自分だけを魅せるサッカーなんだね。
『ここで前半終了だー!』
「今日、なんか調子狂うぜ。」
「そうだね。攻撃のリズムが途切れるっていうか。」
「計算外の結果ばかりです。」
「……うちも、なんか違和感があった。」
「そんなこと言われても私はチームのために結果を出したいだけよ!」
―――私は輝かないと見放されるから
『さあ、後半開始です!』
「がんばれ さくら!」「あなたの能力を世界に見せつけなさい!」
観客席から聞こえた声。
さくらに似ている大人の男性と女性だ。
「そういうことか……。」
さくらは一瞥して、FW陣のいるところまで駆け上がっていく。
「いいとこ見せなきゃ……きゃあ!」
焦っているところを、スライディングでボールを奪われる。
鉄角がボールを奪い、一度外に出すけど、
スローインで受け取ったボールをパスミス。
―――相手にとっては絶好のチャンス
「メガロドン!!」
シュートと同時に水中からサメが飛び出てボールとともにゴールへ向かっていく。
「今度こそ!……ぐっ、ぐわああ」
ゴールへ向かっていくギリギリに、俺が割り込む。
俺は足で空を斬るようにさっきよりも勢いよく振る。
「クリムゾンカット!!」
地面がえぐれて、紅い厚い膜が吹き出しボールの威力を完全に相殺し、一度フィールドの外へ出す。
膝をつき、右手を見つめ考えている井吹に声をかける。
「井吹、がんばれ!」
「っ!ああ、次は止める!」
―――もう少しで何か掴めそうだ
『さあ、ビッグウェイブスのコーナーキックだ!』
俺や神童のいない場所の、キャプテンではないFWにボールが渡ってしまう。
「メガロドーーン!!」
「井吹!!」
「ゴールは、俺が守る!!」
バスケで培った跳躍をして、右手を地面に叩きこむように衝撃波を出す。
「ワイルドダンク!!」
ボールは勢いよく地面に埋まり、止まる。
「よっしゃーーーっ!!」
彼らしい、強力な必殺技だね。
「井吹、ゴールは任せたよ。」
「おう!」
俺は屈伸を始める。
「みんな、1点取っていこう!!」
キャプテンの声がフィールドに響くと、士気が高まっていく。