イナズマイレブンGO-魔術師の弟子-   作:ヒラメもち

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第9話 教えてもらったもの

 

 

―――0vs2という最悪の展開

 

攻撃の要である天馬や剣城がマークされ続け、神童や俺は守備に徹するしかない状況。さらに、九坂のこともあって動きの鈍いメンバーが多い。

 

さらに九坂を孤立させ、わざと挑発し翻弄していく。

 

「こいつらっ!」

 

「九坂君……」

 

『弱い』という言葉に過剰に反応してしまう九坂。

―――力があれば俺を褒めてくれる。誰もいなくならないはずだ。

 

 

「って、あの人たち誰!?」

 

フィールドに入ってきた不良たち。

この世界大会という場で、度胸のあることをするね。

 

「九坂さん、たっぷりお礼させてもらうぜぇー。」

「弱虫のお前がこんなところで何をやってるんだよぉ-」

 

「俺が弱い?……うおおおおお!!」

バンダナが外れ、熊のようなオーラを発する。

 

 

 

彼の拳は、風で弾き返された。

明るい紫色で鷹のような形状のリーゼントの、料理人が徐に櫛で髪を整え始める。

 

「とび…たかさん……?」

 

「単刀直入に言う。自分の『弱さ』を恐れず思い切ってプレイしろ。」

 

「それは……」

―――喧嘩を教えてくれたときも言ってくれた言葉。

 

 

「りゅうちゃん!わたしのために勇気を出して、いじめっ子に立ち向かった君はよわくなんてなかった。そんなつよい君が好きだった!でも何を言えばよかったか分からなくて、あの日逃げ出してしまったことをずっと謝りたかった!―――強くなくてもいいんだよ!!」

 

「う……うわぁああああああーー!!」

―――その言葉が俺は欲しかったのか

 

天を見ながら、号泣。

 

 

 

「出てけっ!!」

睨まれて、必死に逃げ出していく彼らは警備員に取り押さえられている。

 

 

「つよくなるっていうことは、こういうことなんだな。……キャプテン迷惑かけてすみません。サッカーやりましょう!」

―――もうまちがえない。

 

「あ、ああ。」

 

「そうだ。それでいい。またみんなでラーメン食べに来いよ。」

 

「うっす。俺、もっとつよくなって恩返しします!!」

 

喧嘩で身につけたつよさは、無駄にならない。

暴力に使うな、立ち向かうために使え。

 

「やっと!!分かりました!!」

 

背を向けたまま、手をヒラヒラさせながらフィールドから出ていく。

 

 

 

「ねぇ、どういうこと?」

 

「漢の誓い、じゃないかな?」

 

「へ、へぇー。」

―――ま、一件落着でいいのかな。

 

 

 

試合再開と同時に、九坂はまたオーラを発する。しかし先ほどまでのそれとは違って、そのオーラを身体に纏っていく。ちゃんと瞳に理性が現れている。

 

化身アームドに近く、俺の『獣の本能』のコントロールに似ている。

 

「これが俺の本当のつよさだ!!オラオラメンチ!」

ボールを奪いに来たプレイヤーは蛇に睨まれたように動けなくなる。

 

 

「九坂、シュートだ!」

 

「おう! っ!おらぁ!!」

 

ゴールに向かっていくパワーシュートに天馬は走りこんでいく。

 

「超マッハウィンド!!」

叩きこんだボレーシュートで、ボールは強風を纏いゴールに突き刺さる。

 

これで1vs2

 

 

試合再開のキックオフと同時に、大砂漠砂嵐を使ってくる。

 

「必殺タクティクスで取り返す!!」

 

 

「俺が止める!!」

砂嵐を真正面から打ち消し、シュート体勢に入る。

 

 

―――俺の得意なことをサッカーに!あのときの、『蹴りのトビー』のように!!

 

地面に両足を勢いよく埋める。

「キョウボウヘッド!!」

全力全開のヘディングシュート。

 

 

「ドライ・ブロ―」

炎の拳でボールを殴るも、勢いは揺るがない。

 

 

『ゴーーール!!九坂の新必殺技だーー!!同点まで追いついた!!』

 

これで2vs2

 

「くそっ、俺たちには勝ちしか許されない!!」

 

「「「「デザートドリフト!!」」」」

MF4人による砂を巻き起こしてのドリブル技だ。

 

それを必殺タクティクスに合わせてきて、さらに勢いの強い砂の竜巻となる。

 

 

井吹は、すでに必殺技の構えか……。

 

「真名部!皆帆!同時に行くぞ!!」

 

「はい!」

「うん!」

 

「「「スピニングカット!!」」」

こちらも3人同時のブロック技で迎え撃つ。

 

 

「「「なにっ!!」」」

 

 

砂が晴れたときに、キャプテンのFWが俺たちの横を駆け抜ける。

 

「う、うちが……」

「くそっ…」

 

 

鉄角や森村もドリブルで抜かれ、シュート体勢に。

 

「もらったっ!!オイルラッシュ!!」

 

 

「うおおおお!!」

―――直接触らなければいいんだ!

 

跳躍し、両手で地面を勢いよく叩くと、岩の壁が隆起する。

「フェンスオブガイア!!」

勢いよくボールを前へ弾き返す。

 

 

ボールは天馬のところまで。

 

「はっ!!デザートストー……」

「ZスラッシュG2!!」

DF技を出す前に、速攻のドリブル技で躱す。

 

 

全員攻撃していた相手にとって、カウンター攻撃が突き刺さる。

 

「みんなー!!上がれ!!」

 

「「「「はい!」」」」

「「「おう!!」」」

 

「ビューティフルフープ改!!」

創り出したフープでさくらはDFを華麗に躱す。

 

 

「どうすれば……」

―――剣城はマークされていて、フェイもまだ向かってきているところ

 

「野咲、俺に渡せ!」

 

「うん!」

―――今の九坂君なら、繋いでくれる

 

「うおおお!キョウボウヘッド!!」

―――受け取ってください!!

 

 

「なにっ!?」

「どこ向けて打ってやがる!?」

 

相手のゴールに向けてではなく、こちらのゴールへ。

 

 

 

俺と天馬はそのシュートに向かって真正面から走りこんでいく。

 

「「イナズマ1号!!」」

雷を纏った全力ツインシュート。

 

想いを載せて撃ち返す。

 

「なんだとっ!?」

 

意表を突かれたDFやGKは必殺技を出す暇もなく、雷がゴールに突き刺さる。

 

 

 

 

『ゴール!!さらに試合終了――!!イナズマジャパン、シャムシールを破り準決勝進出を決めました!!』

 

 

「九坂、ナイス判断。」

「ああ、俺たちを信じてくれてありがとう!」

 

「キャプテン、フェイ……なんかサッカーって良いっすね。」

 

「そうだろ!いいだろ、サッカー!」

 

バンダナを撒き直した彼の表情は、優しさとつよさが溢れていた。

 

―――みんなを守っていたつもりだったけど、俺はみんなが離れていくことを恐れていたんだ。サッカーは繋がりを感じさせてくれる。俺がサッカーを好きになれるっていう飛鷹さんの話、本当だったな。俺が身に着けた喧嘩も無駄にはならないって話も。

 

 

試合を重ねるごとにチームは纏まってきている。

 

 

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