「もう何度目だろ今日も昨日もその前もお祈りお祈り祈られまくりだ...」
就職難民 峰 真司は絶望の中にあった。どんな会社を何度受けても結果はお祈りメール。初めて聞いた会社ですら落ち続け、自分に自信を持てずにいた。
「俺、生きる才能ないのかなあ...」
夕日にさらされる川沿いの手すりに片足でとびのりながら歩いていると、1人の女性に呼びかけられた。
「あなた仕事探してるの?あなたにピッタリな仕事があるんだけど」
「え?」
困惑気味に振り返ると、そこには緑色の目をした今まで見たことのない美人がいた。髪も茶髪で夕日に照らされてまるで女神の様な神々しさで、着ているスーツがアンバランスのように感じられた。声も透きとおっていて毎日寝る前に聞いたら、仕事が決まらない悩みも吹き飛ばしてくれそうだ。顔も整っているし、あれが黄金比ってやつなのかなそれに
「ちょっと大丈夫?私の話聞いてる?」
そうだ!この美人なお姉さんに話かけられていたんだ。なにか気のいいことのひとつでも話さないと。
「きょ、今日はいいい天気ですねぇ」
「は?」
(テンパったー!!!なんで天気の話してんだよ、なんも関係ないだろ!ていうか顔に気を取られてなんの話しかも分からないし!)
空気に押されて後ずさると空が反転した
(そういえば俺...手すりの上だった...)
目が覚めると、辺りは暗闇だった。光は電信柱についてあるライトだけで周りに障害物もないから風に吹きさらされている。堅いベンチの感触で目が覚めると、そこに女性はいなかった。
夢かと思ったが、びしょ濡れの服を見るにどうやら川に落ちたのは夢じゃないらしい。
「寒い...」
寒さに耐えかねて立ち上がると、紙がひらひらと舞った。見てみると名刺でSDC派遣会社人事部、炉戸 愛梨と書いてある。
どうやら美人と会ったのも夢じゃないらしい。
3日後、名刺に書いてある番号に連絡する。
この3日間何百通りものシュミレーションを繰り返し、全てに対応できるレベルにまで達した。これも全ては愛梨さんと話すため!
さあ、カモォンベイビー!
プルルルル、プルルルル、ガチャ
「ああああの!め名刺頂いたこの前峰です!仕事の事でお話したいのですが!」
「ハイ、ハイ君が新シイアクターの子ネ、ワカッテルヨー。スグそっちに人ヨコスカラネー」
あれ?こんな外国人風の喋り方じゃなかったような...というか声が低くない?もしかして愛梨さんじゃなくない?
「あのー、これ愛梨さんの番号じゃあ」
「HAHAHAHA!!!名刺に書イテアルノハ事務所ノダヨー。イキナリ個人の番号貰エルワケナイデショー」
コイツ...マジでコイツ...どれだけ勇気が必要だと思ってるんだ。電話1つに3日かけたんだぞ...
ピンポーン
「はっや!さっきかけたばっかだぞ...」
そこには緑色の目をした今まで見たことのない美人がいた。髪も茶髪で夕日に照らされてまるで女神の様な神々しさで、着ているスーツがアンバランスのように感じられた。声も透きとおっていて毎日寝る前に聞いたら、仕事が決まらない悩みも吹き飛ばしてくれそうだ。顔も整っているし、あれが黄金比ってやつなのかなそれに
「こんにちは!決心してくれたのね!私達は歓迎するわ!」
何の話だ。
「は、はぃ、頑張りますぅ」
ダメだ断れない。まず目も合わせられない。美人に耐性なんてないんだ!愛梨さん来るなら言っといてくれ...
「じゃあさっそく移動するわ、はいこれ」
グォォォォォン!!!
「これ?」
愛梨さんから出された「これ」は、どう見ても地獄に向かう穴のような、ブラックホールにしか見えなかった。愛梨さん...あなたは天使じゃなくて、すでに堕天した後だったのか。
「じゃ詳しい話は入ってからね」
「ちょまっ」
愛梨さんは俺の胸ぐらを掴んで背負うようにして穴に投げ入れた。お母さん、お父さん、先立つ不幸をお許しください...
「ぐべぇ」
情けない声で胸から着地すると、地獄ではなく、忌々しいオフィスのようだった。困惑しながら見ていると、後から愛梨さんが出てきた。
「いやーゴメンね、アレ見ちゃうと逃げ出す人多くて、中々着いてきてくれないんだよね」
そりゃそうだろあんなんみたら誰だって逃げ出すわ
「あ、あの愛梨さんこれは一体...?」
「え?愛梨?あぁそれ偽名」
え?
「私の本名はアンリ・ロープ。アンリって呼んで」
一体どういうことなんだ
もういちどオフィスを見渡すと、みんな美男美女という以外におかしな点を見つけた。
(あの人耳が異様に長ぇ...あの人は羽?羽が生えてる!!)
「さ、ついてきて」
「ちょ、ちょっと待ってください!一体ここは何処ですか!?何が起きてるんですか!」
「え?話してなかったっけ。ここ異世界よ」
「はあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!????」
「あのさぁビックリするのは分かるけどオフィスで叫ぶのは辞めてくんない?」
愛梨さんもといアンリさんが顔を近づけながら怒ってくる。顔が近い近い近い近い
「今日から君もSDCの新入社員なんだから、そこんとこしっかりしないとダメだよ、うんうん。分かった?」
「はい!サー!」
敬礼しながら答える。
その瞬間スリッパで殴られた。
「サーじゃないでしょ マムよ!マム。私が男に見えたの?君」
「すいません!あ、あのーところで質問いいですか?」
遠慮がちにそう答える。別に殴られたからじゃない、上司だから、だから。殴られる事事態悪くなかった。
「何?」
語気を強めていらっしゃる...ここは丁寧に、丁寧に...
「ところで俺はここでなにをすればよろしいのでしょうか?」
「え?そんなことも話してなかったっけ?アクターよア ク タ ー」
「アクター...もしかして俳優!?むむむ無理です!僕には!無理無理無理無理、僕人前で話したりとか超苦手なんです!」
「あー大丈夫、大丈夫、アクターって言ってもスーツアクターの方だから」
「スーツ...アクター?ヒーローショーとかの?」
「そ、喋らないしいけるでしょ。しかも君には才能があるんだよ?やるべきだって」
才能?僕に?今までそんなもの無かったのに。一体何が
「君の才能はね、ズバリ変身よ!」
「変...身...」
「日本人の0.0001%が持ってる力、それが異世界で使える変身よ。信じられないだろうからこれに変身したいって強く念じてみて。きっと出来るはずよ」
渡された写真はまるで小さい頃にみた仮○ライダーみたいなキャラクターだった。小さいころよく変身ポーズ真似したな...確かこんな感じだったっけ。右腕を顎の下に置いて、左手を腰あたりに逆手で置くこうやって
「変身!!!」
すると自分の身体が光に包まれた。部屋の鏡で見た自分の姿はまるで小さいころに見た仮○ライダーそっくりだった。
「ほらね、私の見立て通りじゃない。君にはあるのよ。その成りたいと強く願えば現実になる変身の力が」
「ちなみにそのキャラクターの名前はアマルガン。全大陸で大人気の子供向けアクション番組のヒーローよ。カッコイイでしょ」
アマルガンか...気に入った
「アンリさん...俺決めました。俺、スーツアクターになります!」