アーティスト・バディファイター・響木奏   作:龍崎悠司

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バディファイト始めました!
アニメ見た!
キリくん可愛い!

で、書きたくなった作品です。
ファイト内容が色々と拙いとは思いますが、よろしくお願いします。


バディファイト、始めよう!

 

 

 

 バディファイト。

 

 それは、異世界からやって来たモンスターとバディを組み、ファイトする最も熱いカードゲーム。

 

 君も、バディレアのモンスターを引き当てて、バディファイトを始めよう!

 

 

 

 

「とまぁ、そんなCMがバンバン流れちゃいるけどね〜」

 

 街頭の広告テレビから映されている映像から視線を外し、白メッシュの入った黒髪の少年ーー響木(ひびき) (かなで)は肩に背負ったギターを担ぎ直して歩く。

 

「俺はやってねぇんだよなぁ、バディファイト」

 

 横目に街並みを見る。

 大人や子供に混じってそこかしこにいる()()()()()()()()()者たち。

 彼らは、異世界から実際にこちら側へやって来たバディファイトのモンスターたちだ。

 普通にファイトをバディと楽しんだり、犯罪行為に走ったり、それを取り締まる側に立ったり、やっぱりファイトを楽しんだりしている。

 とはいえそれも、バディファイトをやっていればの話。

 世界中で流行っているバディファイトをやっていない少数派の奏には無関係の話になる。

 

「まぁ、巻き込まれたことがねぇじゃねぇけどね……」

 

 ぶつかって転んだ、くらいならまだしも、勢い余ってギターを壊された。銀行強盗で人質にされた。ファイトじゃないガチ戦闘の余波でギターにヒビが入ったエトセトラエトセトラ……

 トラブル体質というほどではないと、自身では思っている奏だが、そうした色々もあってバディファイトは始めなかった。

 ちなみに、ギターはもちろん弁償させた。

 

「ま、俺はいいかな?」

 

 流行り物に触れたことがない。たまにはそんな奴がいてもいいだろう、と考え、軽い調子でいつもの駅前に行く。

 今日もこれから、リサイタルだ。

 

 

 

「よぉし、止まってくれた皆々様も、先をお急ぎのあんちゃんも、ちぃとばっか耳を傾けてみてくださいな!」

 

 ギュィイン、と鳴らすと、目の前に陣取った人たちが今か今かと目を輝かせる。

 

「さぁ、今日も一曲聴いて、元気出してくれよ!!」

 

 わっ、という歓声と共に路上ライブが始まった。

 

「〜〜〜〜〜♪」

 

 響木奏は、この辺りではちょっとした有名アーティストだ。

 高校生でありながら、その歌声は聴いた人を元気付け、活力を与えてくれる。

 1〜2週間に一度行われる路上ライブ(許可取得済み)では、固定客がいるほどだ。

 自費制作のCDは毎回それなりに売れているし、新曲ならば売れ残りはほとんど無くなる。

 

「〜〜〜♪!!」

 

 サビに入ると、場の雰囲気も盛り上がる。

 身体を目一杯動かして、楽器と声だけではなく全身で音楽を奏でる。

 その動きと曲のテンポ、そして何より奏の全開の笑顔が観客を惹きつけるのだ。

 歌うのが楽しい。

 ギターを弾くのが楽しい。

 音が、楽しい。

 今の奏は、本人が音楽そのもの。

 奏も観客も、楽しくなる音楽。

 それが、『自称・生まれながらのシンガーソングライター』を名乗る奏の歌なのである。

 

「〜〜〜〜〜♪!」

 

 そして一曲目が終わる。

 

「やー、どうもどうも!ありがとうございます!」

 

 奏の挨拶に合わせて、イェー!とサムズアップするノリの良い観客たち。

 

「さぁって、盛り上がってるところでもう一曲ーー?」

 

 次の曲を歌い出す前に、奏と観客の間を段ボールの塔が横切ってきた。

 明らかに視界を塞ぐ量と高さの段ボール。

 その結果は……

 

「おっとと、ととととっ!?」

 

 火を見るよりも明らかだった。

 中身も派手にぶちまけている。

 

「あいたたた〜……」

 

 起き上がる青年に、不快な視線が集中する。

 せっかくの路上ライブに水を差されたら誰だっていい気にはならないだろう。

 

「お、おいあんちゃん、大丈夫かよ?」

「いやぁ、お恥ずかしい……ってあぁ!?しまったぁ!!」

 

 それでも流石にあれだけ派手に転んだら心配になる。

 奏が声をかけると、荷物がばら撒かれてることに今気が付いたのか悲鳴をあげた。

 慌てているのか、わたわたしている青年を見て、奏が苦笑する。

 

「おい皆んな!路上ライブは一旦中断だ!このお兄さんの荷物を片付けるの手伝ってくれ!そしたらお礼に今日は、いつもよりたくさん歌ってやるぜぇ!」

 

 その言葉に、路上ライブの常連であるファンはすぐさま行動に移した。

 人海戦術の有用性を見せるが如く、あっという間に段ボールに収まった。

 

「……店長、だから台車を持ってくるまで待ってって言ったでしょう?」

 

 そこに現れたのは、青年と同じエプロンを付けた奏と同い年くらいの少女だった。

 ショートカットに切り揃えられた藍色の髪と整った顔立ちが美少女と言って憚られないのだが、そのキツめの目線と表情が、印象を少し悪くしていた。

 

「み、水瀬(みなせ)くん!?私は一刻も早く準備を進めようとだね!?」

「それで他の人に迷惑かけてたら意味ないでしょ。時間も余計にかかってるし」

「まぁ、観客の皆んなには悪いが、俺は気にしてねぇからよ」

「…………悪かったわ」

「気にしなさんな。あんちゃんも、気を付けてな?」

「う、うん……ありがとう、少年。良ければこの路上ライブが終わったらこちらのイベントへ来ないか?」

「イベント?」

「そう、バディファイトのイベントだ。初心者向けの講習会イベントだが、パックの配布もあるからね。是非来てくれたまえ」

「何様よ」

「水瀬くん!?少しは格好付けさせておくれよ」

「今さらでしょ」

「水瀬く〜ん」

「あー、バディファイトかぁ……」

 

 誘いがかかったのはありがたいが、触ったことのないバディファイトとなれば少々気が進まない。

 だがまぁ、かと言って断るのも忍びない。

 

「分かった、こっちが終わってもまだやってたら覗かせてもらうわ」

「そうか!待っているよ!」

「……悪いわね」

「いいってことよ」

 

 突然乱入した2人が離れたところで、路上ライブ再開!

 

「待たせた皆んな!引き続き、聴いていってくれ!次の曲、行くぜ!」

 

 アップテンポの曲のイントロを皮切りに、奏の路上ライブは続いていった。

 

 

 

 

 

 

「はぁ〜!もう限界、今日はここまでだ!ありがとう!楽しかったぜ!」

 

 ライブの終わりを告げると、大きな拍手が起こる。

 片付ける最中、CDを買う人や開け放しのギターケースにお金を入れていく人もいる。

 片付け終わって撤収しようか、というところで、女の子から声をかけられる。

 

「あの……」

「ん?ああ、よく聴いてくれる人だよね。今日も来てくれたのか、ありがとう」

 

 よく見たら、多くの頻度で来てくれる常連の1人だった。

 いつも後ろの方で最後まで見て、片付け中には帰ってしまう子だ。

 

「えっと、あの、その……これ」

 

 そう言って渡されたのは、バディファイトのパック。

 

「これは?」

「えと、さっきの人が落とした奴で、ライブ中に見つけたので……その……」

 

 そこまで言われれば、彼女の言いたいことは理解出来る。

 先ほど自分が行く、と言ったイベントに行って返してほしい、ということだろう。

 おそらくだが、彼女は別の用事か何かのために行けないので、イベントに向かう奏に頼んだのだ。

 

「えと、その、すみません……」

 

 申し訳ないと思っているのか、声が尻すぼみになっている。

 だが、そんな彼女に奏は笑顔で応える。

 

「サンキューな、またライブやるから見に来てくれな」

「えっ、う、うん……」

 

 いきなり手を握られて真っ赤になる女の子の様子には気付かずにギターケースを担ぐ。

 日も結構傾いてきた。急がないと間に合わないかもしれない。

 じゃな!と言って、駆け出した。

 

 

 

 

「……っと、ここだな」

 

 案内板や通行人に尋ねるなどして、それらしき看板の立った会場を見つけた。

 バディファイト始めよう体験会。

 

「もうちょっとこう、何とかならんかったんか?この名前」

 

 始めようの会か、体験会かに絞っていればまともな名前だったのに、半端に混ぜたせいで、日本語として変になってしまっている。

 

「名前考えたの、あのあんちゃんかなぁ?」

 

 どことなく、抜けてそうな印象の青年を思い出す。

 まぁ、イベント名の感想は置いておくとしても、参加しようとここに来たことに変わりはない。

 もう人を見かけないので、終わっているかもしれないがそれはそれ。

 撤収の手伝いでもすればいいだろう、と会場に入った。

 

「あれ?余ったパックの数が合わないぞ?」

「もう、しっかりしてよ……」

「まぁ、もしかしたら運命の誰かの手にでも渡って……」

「それが店の売り上げに影響するの、分かって言ってんの?」

「はい、すみません……」

 

 そこでは、高校生(こども)に大人が怒られている光景が広がっていた。

 

「全く…………あ」

 

 気まずそうに見ていたら、そんな奏に向こうも気付いたようで気まずい沈黙が流れる。

 

「あー……お邪魔だった?」

「この情けないおっさんの不甲斐なさを指摘してただけよ。変な勘違いされる方が不快だわ」

「水瀬くん!?それはあんまりじゃないかな!?」

「うるさいわよ、ダメ店長」

「がはっ!!」

 

 鋭くて太いものがグサリと店長に刺さったのが見えた気がした。

 ダメ店長、という文字が書いてある気もした。

 

「……で、わざわざ来たのね」

「ま、誘われたからな」

 

 チーン、と昇天してる店長を横目に、会話する。

 

「お人好しね、あなたくらいの歳ならもう知ってるんじゃないの?」

「いや、これが今までバディファイトには一切触れてこなくてね」

「……そうなの?」

 

 肯定すると、かなり驚かれた。

 水瀬、という女性の中では本当に珍しいことだったのだろう。

 

「それと、これのこともあってね」

 

 そう言って、ライブ終わりに渡されたパックを水瀬に渡した。

 

「これ……店長、これって」

「ーー私はダメな店長です。今年でもう店長になって4年になるのに未だにアルバイト1年未満の子にダメ出しされる、ダメな店長です。29にもなって、10歳は下の子に常識的な部分を指摘される、ダメな店長です。嫁さんだって欲しいのに、収入も安定してるのに、出会いがない、ダメな店長です」

「………………あー」

「店長として以前に人としてダメ過ぎるだけ。あと、ないのは出会いよりも魅力の方」

「傷口を抉り取って塩をこれでもかと塗り込むのはやめてください!!」

 

 奏がフォローする前に、水瀬がとどめを刺した。

 マジ泣きしながら起き上がる店長と、それを冷めた目で見下す水瀬に、奏は苦笑しか出来ない。

 

「って、これは足りなくなってたパック!」

「良かった〜、ライブの後で客の人から届けてくれって渡されたんだよ」

「ありがとう、少年!恩に着る!」

「はぁ、あったから良かったようなものの……」

「まぁまぁ!こうして戻ってきたんだし、いいじゃねぇか」

 

 また始まりそうだった説教を慌てて止める。

 と、何故か返したパックをさらに渡し返された。

 

「え?」

「これは君にあげるよ」

「でも、もうイベントも終わってるんじゃ?」

「なぁに、これがきっかけでバディファイトに興味を持ってくれればいいさ」

 

 いいよね?と店長がアルバイトの水瀬に確認する。

 ため息混じりに、好きにすれば?と返答された。

 

「さぁ、開けてごらん」

「じゃあ、遠慮なく……」

 

 中のカードを傷付けないようにビリっと包装紙を破る。

 

「えっと、なんだ?なんかキラキラしたカードが?」

「どれどれ?って、どひゃあ!?」

 

 店長が覗き込んだ途端、カードが勝手に手を離れた。

 そして光が形を成して姿を現したのは……

 

「初めまして、僕はミセリア。【審判の冷王 ミセリア】です」

 

 可愛い顔をした人型のモンスターだった。






音楽やってるからアスモダイだと思った?

残念、ミセリアです!

というわけで、読んでくださりありがとうございます。
リアルでこれから作るデッキとして、ミセリアが主人公のデッキになります。
デッキ内容はまたいずれ。
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