やはり俺の青春にデジモンが居て、俺がDATS隊員なのはまちがっているのか?   作:ステルス兄貴

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17話

 

 

「くそっ、相変わらずマコトのデジモンはつぇな‥‥何か秘訣とかあるのか?」

 

「う~ん‥‥愛情をもって接したり、あとはデジモンごとにやっぱりエサや環境、トレーニング方法とかいろいろあるからね。一概にこれが正解とは言えないかな?」

 

大志と同級生のマコトは下校しながらデジモンの話に花を咲かせている。

 

「そうだ、今日は塾が休みだし、DATSの所で色んな人とバトルしてみねぇ?」

 

大志はマコトをDATSの施設内にあるコミュニティースペースで色んな人と模擬戦をしないかと誘う。

 

「いいね、行こう」

 

マコトも大志の誘いに乗り、二人はDATSの施設へと向かう。

 

DATSでは他県、他国とのテイマーとネットを通じてチャットや模擬戦をする事が出来る。

大志とマコトはそれぞれコロッセオに向かい、通信対戦で色んなテイマーのデジモンと模擬戦を繰り広げた。

その際、マコトのハードアーマは何と完全体のメタルグレイモンへと進化する現象を見せた。

中学生ながらパートナーデジモンを完全体のメタルグレイモンに進化させた事で、周りの人は一気にざわめく。

マコト自身もまさか、今日、此処で自分のパートナーデジモンが完全体に進化するなんて予想外の事でテンションが高い。

マコトがDATS施設にて自身のパートナーデジモンを完全体に進化させた頃、今回千葉県警とDATSが共同捜査の対象となっている城崎電子工業のビルの中では、

 

「慎一郎様、次の獲物になりそうなテイマーを発見しました」

 

会社内の一室で重役に用意されていそうな部屋にこの部屋にそぐわない年齢の少年が革張りの椅子に腰かけていた。

その少年に黒服の男がある報告をする。

 

「誰だ?」

 

「総武中学に通う、阿部マコトです」

 

黒服の男はマコトの資料を椅子に座っている少年に手渡す。

 

「へぇ~中々の成績じゃないか」

 

「はい。それと今、DATSの施設へ偵察に向かわせていた部下の報告では、その者は先程パートナーデジモンを完全体のメタルグレイモンに進化させたとの報告を受けました」

 

「なるほど、メタルグレイモンか‥‥確かに良い獲物だ」

 

「ついこの前までは、総武高校の葉山隼人が良い獲物と思われたのですが‥‥」

 

黒服の男は言葉を濁す。

 

「ん?どうした?」

 

「周辺の聞き込みでその者は先日、自身のパートナーデジモンであるブイモンをマグナモンへ進化させたようです」

 

「マグナモン?それは良さそうな獲物じゃないか」

 

「ですが、その者はどうも偏った育成をしたようで、マグナモンへの進化もその一度っきりのようです」

 

「そうか、そんな奴のデジモンを糧にしたら、僕のアンゴルモンがお腹を壊しそうだ。やめておいて正解だな」

 

「その様で‥‥」

 

「では、当初の予定通り、次の獲物はその完全体に進化させたテイマーだ。準備をしておけ」

 

「ハッ!!」

 

この時、マコトはまさか自分のパートナーデジモンが狙われているとは知る由もなかった。

 

翌日、完全体に進化させたマコトは一躍クラスのスターであった。

クラスメイト達は、マコトに質問を繰り返したり、完全体に進化させたメタルグレイモンを見せてくれと言ったりしていた。

そして放課後、マコトは大志と小町と共に下校している時、

 

「総武中学三年の阿部マコト君だね?」

 

マコトは突如、声をかけられた。

 

「「「えっ?」」」

 

マコトと大志が声をした方を見ると、そこには大きなトレーラーが止まっており、トレーラーの前には自分と同世代の少年とガタイの良い黒服の男が居た。

 

「えっと‥‥」

 

「だれ?」

 

「どちら様?」

 

相手はマコトの事を知っている様だが、マコトも大志も小町も目の前の少年には面識がない。

少なくとも総武中学の生徒ではない。

マコト、大志、小町の三人が困惑していると、

 

「ああ、失礼。僕は城崎慎一郎。城崎電子工業の跡継ぎさ」

 

少年は三人に自己紹介をする。

 

「城崎電子工業ってあの‥‥」

 

「幕張にある一流企業の!?」

 

「そんな有名企業の人がどうしてマコトに‥‥?」

 

「調査によると、この地区では君のパートナーデジモンが強いと判明してね‥‥それに先日君は、パートナーデジモンを完全体に進化させたそうじゃないか。是非ともそのデジモンの腕前を見せてもらいたくてね、僕のデジモンとデスバトルをして貰いたい」

 

「デスバトル?」

 

「模擬戦じゃないの?」

 

「デスバトルっ!?まさかっ!?」

 

慎一郎はマコトに模擬戦と異なるデジモンのバトルを申し込んできた。

マコトと小町は聞き慣れないバトルに首を傾げるが、大志は何かを知っている様で驚いている。

 

「大志君何か知っているの?」

 

「マコト、断れ」

 

そして、マコトにこのバトルを断るように言う。

 

「大志?」

 

「塾で噂を聞いた事がある‥‥バトルで負けるとデジヴァイスごとデジモンを破壊する死のゲームがあるって‥‥」

 

「えっ?デジヴァイスごと‥‥」

 

「そんな事をしたら、デジモンが本当に死んじゃうんじゃ‥‥」

 

「ああ、どこかのお金持ちが大金をかけたりして、けしかけてくるって聞いていたけど、それがまさか、城崎電子工業の人間がやって、マコトが狙われていたなんて‥‥」

 

「そ、そんな勝負、出来る訳ないじゃないか!!」

 

マコトは当然、勝負を断る。

 

「別に断っても良いんだけどねぇ‥‥でも‥‥」

 

慎一郎は指をパチンと鳴らすと、三人の背後にもガタイの良い黒服の男達が現れる。

 

「「「っ!?」」」

 

「僕としてもレディーにはあまり、手荒な事はしたくはないんだが、君がバトルを断るならやむを得ない‥‥」

 

慎一郎は実質小町を人質にとり、マコトにデスバトルを断れないようにしてきた。

 

「くっ‥わ、分かった‥‥君と戦うよ‥‥でも、小町さんや大志には手を出すな」

 

「ああ、勿論だとも‥‥ただし、デスバトルなのだからね、敗者はデジヴァイスを失う‥‥それは絶対のルールだからね」

 

慎一郎がもう一度、指をパチンと鳴らすと、トレーラーの扉が開く。

すると、トレーラーの中には3Dバーチャル装置が設置されていた。

 

「さあ、競技場は此処さ、上がっておいで」

 

「‥‥」

 

マコトは緊張した面持ちでトレーラーへと上がる。

 

「マコト‥‥」

 

「マコト君」

 

大志と小町は心配そうに声をかける。

 

「大丈夫だよ。僕のハードアーマがそう簡単に負ける筈が無いもの」

 

「マコト君‥‥」

 

「マコト‥‥ああ、そうだな、お前は総武中学最強のテイマーだもんな!!」

 

「そうだね、頑張って!!マコト君!!」

 

「ああ」

 

この時、大志も小町もマコトのテイマーとしての腕を疑っておらず、マコトなら勝つと信じていた。

 

「さあ、始めようか?デスバトルを!!」

 

そう言って慎一郎はデジヴァイスを3Dバーチャル装置へとセットする。

 

「いくぞ、ハードアーマ」

 

マコトも同じく自分のデジヴァイスを3Dバーチャル装置へセットする。

3Dバーチャル装置にはマコトのハードアーマこと、アグモンがリアライズされる。

そして、慎一郎側には、

 

「アンゴルモン、リアライズ」

 

「グルルルル‥‥」

 

これまで見たこともないデジモンがリアライズされる。

 

「な、なに?あのデジモン‥‥」

 

「あ、あんなデジモン見た事が無い‥‥マコトの奴、大丈夫かな?」

 

慎一郎のデジモンはマコト、小町、大志の三人がこれまでの人生の中で見た事もないデジモンだった。

見た事もないデジモン相手にマコトは勝てるのかと不安になりつつも大志と小町にはただ見守ることしか出来なかった。

 

「ハードアーマ!!進化だ!!」

 

アグモン進化―――――グレイモン

 

アグモンを成熟期のグレイモンに進化させる。

しかし、慎一郎は自分のデジモンを進化させる様子が無い。

 

(チャンスだ!!)

 

相手のデジモンがどの世代なのかまだ不明であるが、進化される前に少しでもダメージを与える為、先手必勝の行動に出る。

 

「いけ、ハードアーマ!!メガフレイムだ!!」

 

「メガフレイム!!」

 

ハードアーマの口から巨大な火炎弾が吐き出される。

相手のデジモンはそれを真正面からモロに喰らう。

 

「やったか!?」

 

「フッ、甘いな、その程度の火力では僕のアンゴルモンはビクともしないさ」

 

慎一郎の言う通り、彼のデジモンは全くの無傷であった。

 

「そ、そんな‥‥」

 

「ハードアーマのメガフレイムが全然聞かないなんて‥‥」

 

「君のご自慢のパートナーはこの程度かい?」

 

相手は明らかにマコトを挑発している。

 

「それなら!!ハードアーマ、進化だ!!」

 

グレイモン超進化―――――メタルグレイモン

 

マコトはパートナーデジモンを進化したばかりのメタルグレイモンへと進化させる。

 

「いけ!!ギガデストロイヤーだ!」

 

「ギガデストロイヤー!!」

 

メタルグレイモンの胸にある機械部分のハッチが開き、二つの大型ミサイルが発射される。

すると、相手のデジモンは何と両手でミサイルを掴むと、鉛筆回しの要領でギガデストロイヤーをメタルグレイモンに返して来た。

 

「っ!?」

 

まさかの返し技にメタルグレイモンは対処が遅れ、自分で自分の技を喰らう羽目になる。

 

「ハードアーマ!!」

 

爆炎の中から出てきたのはボロボロになったパートナーデジモンの姿。

 

「流石は完全体のメタルグレイモン‥‥すさまじい破壊力だ」

 

慎一郎は拍手をしながら、メタルグレイモンの攻撃力の高さを讃頌する。

 

「しかし、そのボロボロの姿じゃあ、さしずめ鉄くずって所かな?」

 

「くっ‥‥」

 

自身のパートナーデジモンを鉄くず呼ばわりされて悔しそうに顔を歪めるマコト。

 

「そんなボロボロの姿をこれ以上見るのは忍びないだろう?終わらせてやるよ。アンゴルモン!!やれ!!」

 

アンゴルモンと呼ばれたデジモンは俊敏な動きでメタルグレイモンの懐まで潜ると、パンチ一発でメタルグレイモンの装甲を突き破る。

 

「ぐがぁぁぁぁぁー!!」

 

苦しそうに声を上げるマコトのパートナーデジモン。

 

「ハードアーマ!!」

 

身体に風穴を開けられ、ドサッとコロッセオに倒れるメタルグレイモン。

やがて、メタルグレイモンの身体が粒子に代わり始めると、アンゴルモンはその粒子を吸い込み、コロッセオにはアンゴルモンだけが残された。

 

「ハードアーマ!!」

 

マコトの絶叫がトレーラーの中に響く。

 

「マコトのハードアーマが‥消えた‥‥」

 

「ちょっと!!アンタ、マコト君のデジモンをどこにやったのさ!?」

 

大志は唖然としていたが、小町は慎一郎に食って掛かる。

 

「君達も見ただろう?マコト君のデジモンはこのアンゴルモンが食べたのさ」

 

「食べた?」

 

「アンゴルモンは戦った相手のデータを抽出し、それを体内に取り込むことで強くなっていくモンスターだ。これを繰り返していけば、地上最強のデジモンが出来るって訳さ」

 

慎一郎はマコトのデジモンが消えた訳を小町たちに説明する。

 

「さあ、デスバトルのフィナーレだ。君のデジヴァイスを頂こうか?」

 

そして慎一郎はマコトのデジヴァイスを寄こせと言ってきた。

 

「いやだ!!このデジヴァイスは、ハードアーマとの絆の証拠なんだ!!このデジヴァイスで僕はハードアーマ二世を育てるんだ!!」

 

「往生際が悪いぞ!!デジヴァイスなんてDATSに申請すればまた新しいモノがしきゅうされるじゃないか!!さあ、そのデジヴァイスをよこせ!!」

 

慎一郎はマコトのデジヴァイスを奪うように黒服の男に命令する。

 

「やめろ!!」

 

大志がマコトのデジヴァイスを守ろうとするが、中学生とガタイの良い成人男性に勝てるわけもなく、大志は殴られ、床に倒れる。

 

「大志君!!」

 

「大志!!」

 

多勢に無勢、しかも相手がガタイの良い成人男性相手では中学生の大志やマコトがかなう筈もなく、ましてや小町では勝てるわけもない。

デジモンをリアライズして攻撃すれば、テイマーの資格を失ってしまう。

マコトのデジヴァイスは相手に取られてしまった。

 

「君はモンスターの育成に関してはご丁寧に観察日記までつけていたそうじゃないか、その最後は僕が有終の美を飾ってあげようじゃないか‥‥」

 

慎一郎はニヤリと口元を歪め、マコトのデジヴァイスを床に落とすと、

 

「抹殺!!」

 

足でマコトのデジヴァイスを踏み砕いた。

 

マコトは声を上げて泣いた。

慎一郎の行為に小町も大志も胸糞悪い不快感と彼に対する怒りで一杯だった。

 

「お前、なんて酷い事をするんだ!!」

 

「そうよ!!マコト君はデジモンを本当の兄弟同然に育てていたのに!!」

 

「育てる?何を言っている?デジモンは強く作るモノだろう?弱肉強食、負けたら死あるのみ‥‥野生の動物と同じ、まさにモンスター(化け物)にはふさわしいじゃないか。元々生存競争は厳しいモノだろう?」

 

「なんだと!?」

 

「そんなに悔しいのであれば、君のデジモンで仇を討ってみるかい?勿論やるのであれば、当然、デスバトルのルールでやらせてもらうけどね」

 

「くっ‥‥」

 

マコトに勝てなかった自分があのデジモンに勝てる筈もなく、大志は苦虫を嚙み潰したように顔を歪める。

 

「なによ、そんなデジモン」

 

「比企谷さん?」

 

マコトと大志はまさか、小町が仇を討つために慎一郎とデスバトルをするつもりなのかと思った。

 

「そんなデジモン、あたしのお兄ちゃんのデジモンの方が強いに決まっているじゃない!!」

 

小町は八幡のデジモンの方が慎一郎のアンゴルモンよりも強いと断言をする。

 

「へぇ~君のお兄さんねぇ~」

 

慎一郎は明らかに信じておらず、小馬鹿にした目で小町を見る。

 

「いいだろう、それじゃあ、今度は君のお兄さんのデジモンと戦おうじゃないか‥そうだな‥‥三日後にウチの会社までおいでよ」

 

慎一郎は小町に三日後、八幡を連れて来いと言う。

 

「いいわよ!!精々、首を洗って待ってなさいよ!!」

 

こうして八幡本人が知らぬ間に八幡のノワールはデスバトルに参加する事になった。

 

「でも、比企谷さん。あんな約束をして大丈夫なの?」

 

マコトは小町にデスバトルをやる約束をしてしまって大丈夫なのかと問う。

しかも戦う相手は小町ではなく、小町の兄である八幡だ。

 

「いくら、比企谷先輩が奉仕部って言う相談事をやる部活をやっていてもデジモンと相談事は全くの別物だよ」

 

「へーき、へーき、お兄ちゃんなら負けないから」

 

「「‥‥」」

 

小町のこの八幡に対する自信が一体どこから来るのか分からない為に大志もマコトもやや不安な様子。

そんな二人の不安をよそに小町は携帯で八幡と連絡をとる。

 

「あっ、お兄ちゃん?ちょっと相談した事があって‥‥うん、今からサイゼに来てくれる?‥‥うん、わかった。じゃあ、待っているから」

 

携帯で八幡と連絡を取った小町。

彼女の口ぶりから八幡は来てくれるそうだ。

 

「お兄ちゃん、来てくれるって。サイゼで待合わせをしたから、行こう」

 

「う、うん‥‥」

 

「本当に大丈夫かな?」

 

八幡と面識のある大志であるが、彼は八幡のテイマーとしての腕前を全然知らない。

総武中学では恐らく最強と言えるマコトのデジモンさえ、彼のアンゴルモンには歯が立たなかった。

八幡のデジモンが彼のデジモンに勝てるのだろうか?

 

 

此処で時系列は少し時間を戻し、マコトがデスバトルをさせられている頃、八幡はDATSの捜査本部にて一乗寺達、警察官らと内偵先の城崎電子工業の決算報告書など、金についての書類をまとめ、証拠固めをしていた。

 

「この金の流れを見る限り、確かに使途不明金がありますね‥‥しかもかなりの額の‥‥」

 

「でも、デジモンに関しての情報はありませんね‥‥電子工業ならば、なにかしらデジモンとも関係がありそうな気もしたんですけど‥‥」

 

「いや、火のない所に煙は立たないからな、何かしらのことはしているんじゃないか?これだけの不正をしているんだから」

 

金についての不正は出ているのだが、デジモンに関しては不正が未だに出てこない。

でも、電子工業であり、これだけの不正をしているし、デジモンに関しても違法な事をしていると言う噂がある以上、何かしらのデジモンの不正をしていると睨んでいるDATS。

八幡が書類と睨めっこをしていると、彼の携帯が鳴る。

 

「もしもし」

 

「あっお兄ちゃん?」

 

「小町か、なんだ?」

 

「ちょっと相談した事があって」

 

「相談したい事?」

 

「うん。今からサイゼに来てくれる?」

 

「分かった。でも今は仕事中だ。五時には上がるから、それでいいか?」

 

「うん、わかった。じゃあ、待っているから」

 

八幡はこの後の仕事上がりに小町と会う約束をした後、携帯をきり、引き続き仕事を続けた。

ただ、この後小町との約束で八幡は今回の事件の関係者と関わる事になるとは思いもよらなかった。

 

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