やはり俺の青春にデジモンが居て、俺がDATS隊員なのはまちがっているのか? 作:ステルス兄貴
2019年度以降はみなかみ町が指定管理者制度のもと運営を継承するみたいで、千葉村と言う名前も変わるかもしれませんね。
タイガらはゲーム版では中学生でしたが、この話の世界では成人しています。
一学期もあっという間に終わりが見えた頃、総武高校では期末テストの時期になった。
その頃になっても葉山のチビモンは未だに成長期への進化の兆しを見せない。
流石に葉山自身も焦りが見え始めたのか、デジモンの授業でもチビモンに対して声を荒げる場面が多くなった。
チビモンは必死に葉山の思いに答えようとしているのだが、進化制限が掛けられている訳でもないのに何故か成長期のブイモンへの進化が出来なかった。
葉山グループのメンバーも葉山の事を思ってなのか、葉山と模擬戦をする時は成熟期へ進化させず、成長期のままで戦っていた。
しかし、その行為自体も葉山にとっては同情されているみたいで不快だった。
学校以外でも八幡が仕事でDATSの施設に来ている時、同施設内にて葉山の姿を見かける事が有り、その時、彼は手当たり次第にバトルを吹っ掛けては敗北していた。
そりゃ幼年期Ⅱのチビモンと大型の成熟期デジモンと戦わせても子ウサギが大人のライオンに挑む様なモノだ。
幼年期の時にはファームでまずはトレーニングをして成長期へと進化させるのが常道なのだが、葉山はファームでのトレーニングでは時間が惜しいと思ったのか?
それともより実践的な戦いの状況下の方が進化しやすいと思ったのか、ファームではなくコロッセオに入り浸っていた。
「‥‥」
八幡の目から見てもチビモンは疲弊し衰弱しかかっている。
それでも葉山はやめようとはせず、チビモンに模擬戦を続けさせた。
どうみても葉山のやり方はもう無茶苦茶である。
八幡から注意したい所だが、彼が注意した所で葉山が耳を傾けるとは思えない。
周りの人間も見て見ぬふりなのか、「隼人君がやることなら、間違いはない」と思い込んでいる気概がある。
葉山は神でもなければ仏でもなく、ごく普通の高校生なのに‥‥
みんなの葉山隼人を演じた事で、今の彼が出来上がったのかもしれないが、それはまるで新興宗教、葉山教の様で、彼を自然と教祖か神に近い存在にまで祀り上げてしまい、葉山自身ももう止められない所まで来てしまい、彼は葉山教の教祖、神のように振る舞は無ければけれればならなくなった。
それが今の彼には却って重りになり、その皺寄せがチビモンへといっている。
(あのままではいずれ、潰れるな)
八幡は今のままでは葉山もチビモンもいずれ、潰れると判断した。
でも、八幡の方から手を指し出す事は無かった。
葉山とはただのクラスメイトな関係で別に親しい間柄でもなければ、彼は自分の苗字を態と間違えて呼ぶような失礼な奴だ。
そんな奴に態々そこまでしてやる義理は無い。
雪ノ下は相変わらず、「模擬戦をしろ」と絡んで来るし、由比ヶ浜は、あれから雪ノ下とより親しくなったせいか、チラチラと見てくるだけでなく、「なんで、奉仕部に来ないし!!」と言って来る。
八幡が何度も「俺はもう奉仕部は辞めた」と言っても自分には都合の悪いことは聞こえないのか、諦めずに何度も絡んできた。
(俺に絡む暇があったら、引きこもりになった三浦の事を心配してやればいいのに‥‥)
日中は三浦を除く葉山グループのメンバーと行動を共にしている事が多く、そして放課後は雪ノ下と一緒に居る事が多い由比ヶ浜。
彼女の中にはもう三浦優美子という同級生は存在しない者としての認識なのだろうか?
確かに三浦が来ている頃、由比ヶ浜は彼女のパシリの様な扱いを受けていた。
それでも一応、同じグループのメンバーだったのだから、少しは心配するものではないのだろうか?
それさえもないと言う事は、由比ヶ浜と三浦はそこまで親しい友達ではなかったと言う事だ。
それか、顔では笑みを浮かべら三浦のパシリにされていたが、由比ヶ浜はその事を実はかなり恨んでいたのかもしれない。
心の中では登校拒否となった三浦に対して「ざまぁ見ろ」とでも思っているのだろうか?
そもそもあの葉山グループでは男子の方もチェーンメールの件で分かった事だが、連中は赤の他人の寄せ集めで彼らの関係の中には友情、信頼なんてものは全く存在していない。
あるのはいかに葉山の隣のポジションとグループの№2の椅子を虎視眈々と狙っているだけの集団だ。
そして期末テスト、一学期の終業式が終わると学生にとっての楽しみの一つである夏休みが始まった。
なお、余談であるが由比ヶ浜は中間テストの時と同じく雪ノ下に勉強を見てもらい補修は免れた。
夏休み期間もDATSには仕事がある。
そんな中、DATSの掲示板に『バイト募集』の張り紙があった。
内容は、群馬県千葉村で行われる小学生のサマーキャンプのサポートと言うモノだった。
サマーキャンプ‥‥それは1999年、最初の選ばれし子供たち、八神太一らが初めてデジタルワールドへと足を踏み入れた事のあるイベントだった。
その事実と内容は高石タケルが自身の経験に基づく伝記本でより鮮明に描いている。
(キャンプか‥‥)
キャンプという言葉に何となく懐かしさを感じる八幡。
それは八幡がテイマーになりたての頃の出来事に関係していた。
八幡が掲示板のバイト募集の紙を見ていると、
「おっ?八幡。お前、このバイトに応募するの?」
ニコがやってきて八幡に声をかける。
「そうですね‥‥やってみようかな?」
「へぇ~こういう事は『めんどい』の一言で片付けそうな八幡にしては意外だな」
「ちょっとキャンプには思い入れがあるので‥‥」
「ふーん」
「ペトロフさんはどうするんですか?」
「俺?もち、応募するに決まってんじゃん!!タダでキャンプが出来るんだぜ、やらなきゃ損でしょう。タイガやアキホの奴もやるってさ」
「へぇ~」
「あっ、先輩。何を見ているんですか?」
そこへ、いろはがやってきた。
「ん?夏休み中にある小学生のサマーキャンプのバイト募集の知らせだ」
「へぇ~‥‥先輩、参加するんですか?」
「ああ」
「それじゃあ、私もやります!!」
八幡が行くと言うので、いろはも着いてくると言う。
「材木座、お前はどうする?来るか?」
八幡はいろはと一緒に来た材木座もサマーキャンプのバイトに参加するのかを訊ねる。
「けぷん‥けぷん、我はその期間中、どうしても外せない用事があるので、見送る」
材木座はサマーキャンプ期間中に何やら用事があるみたいで、不参加となった。
なお、妹の小町は一応受験生なのだが、「夏休み後半に夏期講習行くから」と言って着いてくることになった。
サポートボランティア当日の朝、家で準備していると小町の携帯に着信がきた。
「どうも。こんにちは‥‥えっ?今日ですか?すいません。小町とお兄ちゃんはこれからお兄ちゃんのバイトのお手伝いに行くので‥‥いえ、DATSじゃなくて別の所なんですよ。いえ、気にしないで下さい。それではまた‥‥」
「ん?誰だったんだ?小町」
「由比ヶ浜さんだよ」
「はぁっ!?なんで、由比ヶ浜がお前の電番を知っているんだよ!?」
「この前、買い物に行った時、ばったり出会ってその時に連絡先を交換したの」
「なるほど、それで由比ヶ浜は何だって?」
「あっ!それは聞いてなかった」
「おいおい‥‥」
とは言え、今からサポートボランティアへ行くので、由比ヶ浜の要件を聞いている暇はない。
そして待ち合わせの場所に着いたのは八幡と小町が最後だった。
今回のDATS側の参加メンバーは比企谷兄妹、タイガ ニコ アキホ いろはの六人だった。
「よし、これで全員揃ったな。じゃあ、出発だ」
タイガが運転する日産のエルグランドで目的地の群馬県、千葉村へと向かうDATS一同。
運転席にはタイガ、助手席にはニコ、その後ろの列には八幡が座り、彼の隣には小町かと思ったら、いろはが座り、小町はアキホと共に一番後ろの
千葉から群馬までは意外と時間がかかる。
八幡のノワールやいろはのアドラー、アキホのバードラモンならば渋滞も信号も引っかからずにもう少し、早く着いたかもしれないが、流石にデジモンで行っては大騒ぎになるので、此処は普通に車で行った。
ただ千葉から群馬までは距離があるので途中、タイガはニコとドライバーをチェンジした。
「先輩、眠い様でしたら、私が膝枕をしてあげますからね」
いろはが自分の膝をポンポンと叩いて八幡を誘うが、
「いや、別に大丈夫だ‥‥」
八幡はいろはと視線を合わせず、窓の外の風景を見ている。
「もう、先輩ったら、堅いんだから」
いろはの誘いにも乗らない八幡。
普通の男ならば、いろは程の女子高生に誘われているのだから、コロッと誘われそうであるが流石、理性の化け物と一部から言われる事だけはある。
まぁ、それぐらい堅い理性を持たなければ、メギドラモンのテイマーになる事も、X抗体の所持者になることも出来ない。
バードラモン 成熟期 巨鳥型デジモン ワクチン種
燃え盛る炎を纏った姿をした、巨鳥型デジモン。
その巨大な翼を羽ばたかせ、大空を飛びまわる。
決して好戦的な性格ではないが、襲い掛かる敵に対しては狂暴なまでに反撃を繰り出す。
必殺技は翼を羽ばたかせ流星のように羽を飛ばす『メテオウィング』。
「千葉村とーちゃーく!」
車での長距離だったにもかかわらず、小町は何故か元気でテンションが高い。
運転をしていたタイガや交代で運転を変わったニコは少しお疲れ気味。
「お疲れ様です。二人とも」
八幡は二人を労いつつ、タイガとニコにマックスコーヒーの缶を差し出す。
「お前、その甘ったるいコーヒー何処から出した?」
「まぁ、いいじゃないか。頂くよ」
「俺は、コーヒーはblack党なんだけどな‥‥」
ニコはブツブツ言いながらも八幡からマックスコーヒーを受け取り飲む。
「そう言えば、このサマーキャンプ、俺達六人だけで、小学生の面倒をみるんですか?」
八幡が今更ながらもこのサマーキャンプのサポートは自分達六人でやるのかと思い、タイガに質問する。
「いや、高校生のボランティアも来るそうだよ」
「へぇ~高校生の‥‥」
(なんだろう?何か嫌な予感がする‥‥)
その後、駐車場で高校生のボランティアを待っていると、高校生のボランティアの人達が乗っていると思われる車が駐車場にやって来た。
車から降りてきた人物達を見て俺は唖然としてしまった。
「え?ヒッキー?」
車から降りてきたのは由比ヶ浜と、
「あら、誰かと思ったら卑怯者の逃谷君じゃないの。まさかこんな所で会うなんて今日は最悪な日ね。それと後ろの人達をどんな弱味みで脅してここまで連れてきたのかしら?貴方達、この男に脅されているなら私が力を貸して上げるわ。この男を社会的に消してあげるから安心しなさい」
以前より罵倒が悪化している雪ノ下だった。
しかも自分の主観に基づいて憶測でモノを言っている。
完璧な人間どころか、もはや人として終わっている。
雪ノ下の罵倒を聞いてDATS組の全員は顔を歪めて雪ノ下を見ていた。
だが、雪ノ下はそれに気づいていない。
八幡は運転してきた平塚先生をチラッと見ると、先生は「諦めろ」と言わんばかりに首を横に振る。
「ねぇ、お兄ちゃん。雪ノ下さんってこんな人だったの?」
雪ノ下の八幡に対する罵倒を聞いて小町が小声で八幡に雪ノ下の人間性を聞いてくる。
「ああ‥アイツは自分の気に入らないモノに対しては真っ先に罵倒暴言をして来る奴だ。“自称”完璧人間‥でも、その実態は自分を偉く見せるようにしているガキだ。相手にするだけ無駄だ」
八幡は小町に雪ノ下の人間性を教える。
すると、
「小町さん、貴女も大変ね、こんなクズを兄にもって‥何かそこのクズの事で困っている事があれば何でも相談に乗るわよ」
堂々と目の前で兄をクズ呼ばわりされた事に小町は内心、イラッとしたが、八幡の言う通り、此処は冷静な対応をとる。
「いえ、大丈夫です」
しかし、小町の顔は引き攣っていた。
「相変わらず、憶測でしかモノを言えない人ですねぇ~夏の暑さで脳細胞がショートしてしまったんですかぁ~?それなら、雪ノ下先輩は此処にいるよりも病院に行った方がいいですよ。むしろ、先輩と一緒に居るのが不快なら、そうした方がいいですよぉ~」
そこへ、いろはが雪ノ下にジャブを入れる。
「なんですって!!」
自分から振ったのに、いろはにジャブを喰らい、熱くなる雪ノ下。
「落ち着け、一色。こんな奴を相手にするだけで時間の無駄だ」
「ゆきのんも落ち着いて、ねlつ?」
いろはを八幡が、雪ノ下を由比ヶ浜が落ち着かせる。
「そうですね。つい、反射的にあんなのを相手にしてしまいました」
いろはに関しては雪ノ下をもはや『あんなの』扱い。
「由比ヶ浜さん邪魔しないで!!この人たちにあの男がどんな卑怯ものか。分からせてやらないと!!」
一方、雪ノ下の方は由比ヶ浜から羽交い絞めをされながらも今にも八幡に食って掛かる勢いだ。
ただでさえ、体力が無いのに無駄にこの暑さの中、体力を消費している。
由比ヶ浜が雪ノ下を抑えていると、もう一台の車がやって来た。
八幡たちが乗って来た車同様、五~六人は乗れそうなくらいのミニバン型の乗用車だ。
その車から降りてきた男に八幡は驚きを隠せ無かった。
何故ならその男は八幡が雪ノ下と同じくらい会いたくない人物だったからだ。
その男は八幡と眼が合うと薄っぺらい笑みを浮かべながらこちらに近付いてきて挨拶をしてくる。
「やあ、ヒキタニ君。こんなところで会うなんて奇遇だね」
八幡に挨拶してきた人物は葉山だった。
「ねぇ、お兄ちゃん」
「なんだ?」
「この人誰?」
葉山と初対面の小町は葉山が誰なのかを聞いてくる。
「あれ?君は?」
「初めまして、妹の小町です」
「そうなのかい?僕はヒキタニ君と同じクラスの葉山隼人って言うんだ。よろしく」
葉山は小町に相変わらず薄っぺらい笑みを浮かべながら自己紹介をする。
すると、
「ねぇ、お兄ちゃん。この人、本当に総武高校の人なの?」
小町は葉山を指さしながら、葉山が本当に総武高校に通う高校生なのかと問う。
「ど、どう言う事かな?小町君?」
葉山は顔を少し引き攣らせながら小町に訊ねる。
「だって、ヒキガヤって漢字を読めずにヒキタニって読んでいるんですもの‥‥総武高校でお兄ちゃんと同じクラスなら当然、漢字で書かれたお兄ちゃんの名前を見る機会だってある筈ですよね?それに毎朝出欠確認で先生はお兄ちゃんの事をヒキガヤって呼んでいる筈ですよね?」
「そ、それは‥‥」
「もしかして、態と名前を間違って呼んでいるんですか?」
小町がいい笑みを浮かべながら葉山に詰め寄る。
蟀谷には青筋を浮かべている。
八幡からこれまで何度か自分の苗字を訂正する機会があったにもかかわらずこうして態と間違った名前を身内の前で堂々と呼んでしまった事で墓穴を掘った葉山だった。
葉山の他に一緒に来たのは三浦と海老名の女子を除く葉山グループのメンバーだった。
まぁ、三浦が居らず、由比ヶ浜が別ルートで来たので、女子である海老名がこうして態々真夏の山に来るとは考えにくい。
「先生。なんで、雪ノ下や葉山たちが来ているんですか?」
小町が葉山に詰め寄っている中、八幡は平塚先生に雪ノ下と由比ヶ浜、葉山グループのメンバーが来ているのかを訊ねる。
「雪ノ下と由比ヶ浜は奉仕部の合宿として‥‥葉山たちは内申をエサにボランティアを募集したら来たんだ」
(最悪だ‥‥)
なんで夏休みなのにコイツ等と顔を合わせなければならない。
しかも泊まりで‥‥
「さて、荷物を本館に置いて、小学生がいるところまで行こう」
平塚先生のこの言葉で葉山は小町からの追求から逃げる事が出来た。
荷物を置くために平塚先生について行き、小学生との対面に備えた。
しかし、八幡は雪ノ下や葉山たちと数日とは言え、一緒に過ごすことに不安を感じざるを得なかった。
原作では三浦、海老名、戸塚も参加していましたが、この世界では不参加となっております。