やはり俺の青春にデジモンが居て、俺がDATS隊員なのはまちがっているのか? 作:ステルス兄貴
サマーキャンプの最中、クラスメイトたちから孤立して居る一人の女子生徒、鶴見留美。
彼女を何とかしようとする葉山たち総武高校のボランティア組。
しかし、虐め問題に素人が首を突っ込んでも事態を悪化させる可能性があり、八幡は無駄だと思いつつも葉山たちに釘を刺し、自分はノータッチの姿勢を貫く。
そんな中で始まった肝試し‥‥
留美と同じ班のメンバーは、態と違うコースを通り、隙を見て留美だけを遭難させようとした。
だが、彼女たちの予想とは裏腹に、丁度その頃デジタルワールドのダークエリアと呼ばれる凶暴な野生デジモンが住むエリア付近で突如、イレギュラーリアライズ現象が起こり、凶暴な野生デジモンが地球へリアライズしてきた。
DATSのバイトで千葉村に来ていた八幡たちも引率の教師らと共に急ぎ対処に回った。
そんな中、コースから外れた留美たちはバケモンの群れに襲われた。
留美のパートナーデジモンは成長期のプロットモンであるがその他班のメンバーのデジモンはまだ幼年期Ⅱクラスのデジモンだった。
とても成熟期のバケモンには勝てる筈もなかった。
普段は留美の事をシカトしてハブっている班のメンバーは皆、こんな時だけ留美にバケモンの相手をさせた。
ホーリーリングとワクチン種であるプロットモンも数と世代、夜と言う環境下ではバケモン相手に苦戦は必至だった。
そして一体のバケモンが留美に襲い掛かった時、プロットモンが成熟期の天使デジモン、ダルクモンへと進化した。
プロットモンがダルクモンへ進化した事で事態は留美たちに有利となる。
しかし、バケモンたちが合体進化して完全体のファントモンへ進化した事で事態は再び留美たちに不利となる。
ガキン!!
ダルクモンの愛剣、ラ・ピュセルとファントモンの鎖鎌がぶつかり合い、金属音を奏でる。
ファントモンはその姿から顔色を窺えないが、ダルクモンの顔色から察するにきっと余裕の顔をしているのだろう。
ウィルス種のファントモンとワクチン種のダルクモン、相性ではダルクモンの方が上であり、互いに進化したてと言う状況は同じなのだが、夜と言う環境、世代の差でダルクモンは不利な状況となっている。
ダルクモンの愛剣、ラ・ピュセルとファントモンの鎖鎌が鍔迫り合いをしていると、ファントモンの鎖鎌の鎖の先端部についている鉄球がダルクモンの脇腹に直撃する。
「がぁっ‥‥」
人間ならば、肋骨を折るぐらいの衝撃と威力があっただろうが、ダルクモンはデジモン故、肋骨を折ることはなかったが、衝撃とダメージを受け、弾き飛ばされる。
「ダルクモン!!」
「ぐっ‥‥」
「とどめだ!!ソウルチョッパ!!」
ファントモンの必殺技がダルクモンへと迫る。
そこへ、
「クリムゾンネイル!!」
空から二つの赤い螺旋がダルクモンに迫るファントモンのソウルチョッパとぶつかり合い、ソウルチョッパをかき消す。
「な、なに!?」
ファントモンが驚いていると、空から黒い何かが降りてきた。
ドシンと音を立てて地面に降り立ったのは、
「大丈夫か!?」
八幡とデビドラモンに進化したノワールだった。
「八幡!!」
留美は八幡が来てくれた事に思わず八幡の名前を声に出し、彼に飛びつく。
「大丈夫か?留美、怪我は無いか?」
「う、うん、へーき」
「ちぃっ、完全体‥ファントモンか‥‥」
こっちも完全体に進化すればファントモンぐらいは簡単に片づけることは出来るが場所が悪かった。
こんな木々が沢山ある場所で完全体のギガドラモンに進化すれば倒木とファントモンとの戦闘に留美たちを巻き込む可能性がある。
留美たちを逃がしたくても逃げ道はファントモンが塞いでいるし、反対側はこの先、行き止まりになっている。
「留美‥‥」
「なに?」
「‥ダルクモンはまだ戦えるか?」
「う、うん‥多分‥‥」
「それなら、俺のノワールがヤツを引き留める。その隙に背後からヤツを斬りつけろ」
「う、うん。分かった」
留美はデジヴァイスを使い、八幡からのコマンドをダルクモンへアップリングして指示を伝える。
八幡のノワールがファントモンに向かい、両手でファントモンの鎖鎌の柄を握り、鎖鎌を封じる。
すると、ファントモンは先程、ダルクモンにやったように鎖鎌の鎖の先端部についている鉄球でノワールの脇腹を狙う。
しかし、ノワールとて八幡と共にデジタルワールドを回り、野生デジモンと戦ってきたデジモン。
ファントモンの戦略は見抜いており、尻尾で応戦し、鎖鎌の鎖を切断する。
「ぬっ!?」
「留美、今だ!!」
「う、うん。ダルクモン!!お願い!!」
「分かった、留美」
八幡のノワールがファントモンを引きつけている間、留美のダルクモンはファントモンの背後からラ・ピュセルを構えて迫る。
「くっ‥‥」
ファントモンもそれに気づき、ダルクモンを鎌で応戦しようとするが、
「レッド・アイ」
ノワールがその四つの真紅の目でファントモンを睨みつける。
本来ならばデビドラモンのこの四つの赤い目で睨みつけられると金縛りにあうが、完全体のファントモンには短時間しか効き目がないが、例え僅かな時間しか相手を金縛りにしか出来なくてもダルクモンが近づき、技を出すまで十分な時間だった。
「バテーム・デ・アムール!!」
ダルクモンは残っているエネルギー全ては使わずとも出せる力の全てを出して背後からファントモンを攻撃した。
「ギャァァァァー!!」
ダルクモンの渾身の一撃を喰らったファントモンは絶叫した後、デジタマに戻った。
ファントモンをデジタマに戻した後、ダルクモンは光るとトラ柄の猫のような幼年期Ⅱクラスのデジモンに退化した。
ニャロモン 幼年期Ⅱ レッサー型デジモン 属性なし
猫のような特性を持つ小型デジモン。
いつも気まぐれで、その振る舞いが「猫」のようなところからニャロモンと付けられたらしい。
とても好奇心旺盛で移り気な所もあるが、寂しがりやの一面もある。
必殺技は尻尾を膨らませて、毛を針金のようにして敵を叩く『フォックステイル』。
しかし、この攻撃でひるんだ敵は、いまだかつて見られたことが無い。
「ダルクモン‥‥ごめんね、幼年期まで退化させちゃって‥‥」
留美は申し訳なさそうにニャロモンを抱きあげる。
「ううん、留美を守れたんだもん。私は満足よ」
ニャロモンはニッコリと笑みを浮かべ、自らのテイマーを守れた事に満足そうだった。
ファントモン、バケモンの脅威が完全に去った後、
「さて‥‥お前らに聞きたいんだが、どうして肝試しの本来のコースから外れたこんな場所に居るんだ?」
八幡は留美たちの班のメンバーに肝試しのコースから外れたこんな場所に居る理由を訊ねる。
すると、留美以外の班のメンバーたちは気まずそうな顔をする。
その様子からどうやらファントモンに追いかけられてコースから外れたわけでは無いと八幡は見抜いた。
もし、ファントモンに追いかけられてコースから外れたのであれば、真っ先にそう言う筈だ。
そう言わなかったと言う事は何かを含んでいると言う事だ。
「そ、それは‥‥つ、鶴見さんがこっちだって言って‥‥コースを間違えて‥‥」
「そうそう」
「そしたら、お化けの様なデジモンに襲われて‥‥」
「全部、鶴見さんのせいです」
あろうことか留美以外の班のメンバーは今回の事全ての責任を留美一人に押し付けてきた。
しかし、引率の教師ならば兎も角、ボッチで捻くれている八幡の前でそれは通じなかった。
「嘘はいけないな」
「嘘じゃありません!!」
「そうです!!」
「本当に鶴見さんが間違えたコースへ私達を連れて行ったんです!!」
「そうそう」
「それはないな‥‥だって、お前ら留美の事をシカトしてハブっていたじゃないか」
『っ!?』
八幡に留美を虐めていた事を指摘され、班のメンバーはビクッと身体を震わせる。
「シカトしてハブっている留美の言葉をお前らが従うとは思えない‥‥デビドラモンの前に嘘をつくことはできないぞ‥‥コイツの四つの目は嘘を簡単に見抜くからな」
八幡はノワールを親指で指さしながら班のメンバーに嘘は無駄だと言う。
当然、デビドラモンにはそんな力はないが、十分彼女らには効いた。
「ゆ、ユカが『肝試し時、鶴見さんを迷子にしちゃおう』って‥‥」
「そ、そうよ、ユカが言いだしっぺじゃん!!」
「アンタがあんなことを提案しなければこんな事にはならなかったんじゃん」
ユカと呼ばれる女子生徒以外の班のメンバーが今度は彼女のせいだと吊るし上げ始める。
「な、何言っているの!?アンタたちも反対しなかったんだし、同罪でしょう!?」
吊るし上げられたユカは自分を吊るし上げている他の女子生徒らも自分の提案に乗って来たのだから、同罪だと吠える。
「まぁ、この際、誰か犯人なのかは問題にはしない‥‥でも、覚えておけ、お前らは留美のおかげで命拾いをしたって事を‥‥留美はお前らの命の恩人であるって事をな」
『‥‥』
八幡がそう言うと班のメンバーは、
「つ、鶴見さん‥‥あ、ありがとう」
「今までゴメン」
「ゴメンね」
「ごめんなさい」
と、留美に謝罪した。
生命の危険を留美に助けられたのだ。
少なくともこの四人はもう留美を虐める事は出来ないだろう。
これを機に留美の虐めが解消されることを願うしかなかった。
しかし、このバケモンの騒動が留美が置かれた環境を変えるきっかけになるかもしれなかった。
その後、八幡は留美たちをデビドラモンの背中に乗せて本館に戻った。
八幡が留美たちを本館に連れて行く中、空からデジモンを探していたアキホといろはは、
「きぃやぁぁぁぁぁぁぁぁー!!」
「「っ!?」」
突然、空からデジモンの襲撃を受けた。
そのデジモンは赤いドクロと肋骨、杖の様なモノを持った悪魔の様なデジモンだった。
スカルサタモン 完全体 アンデッド型デジモン ウィルス種
強さと破壊を追い求め、ダークエリアに堕ちた堕天使型デジモンの成れの果ての姿。
しかし、より悪として洗練されており、その暗黒パワーは計り知れないものがある。
強大な暗黒パワーが凝縮されたデジコアは悪魔系デジモン特有の「ダークコア」と呼ばれている。
必殺技の「ネイルボーン」は杖の先についた宝玉から放たれる強力な光で、デジモンのデータに異常を起こし破壊してしまう恐ろしい技だ。
「スカルサタモン‥‥」
「完全体のデジモンね‥‥」
ダークエリアに住むデジモンの中でも強いのに、完全体デジモンの中でもかなり強力なデジモンだった。
「‥‥いろはちゃん、此処は私が何とかするから貴女は先に行って」
アキホは自分とバードラモンがスカルサタモンの相手をすると言う。
「で、でも‥‥」
「大丈夫、私のパートナーは完全体に進化出来るから」
アキホのパートナーデジモンは完全体のパロットモンに進化出来る。
しかもパロットモンは腕にホーリーリングを着けているので、闇のデジモンには有効な効力がある。
しかし、いろはのパートナーデジモンはまだ完全体に進化出来ない。
此処はアキホの言う通り、スカルサタモンは彼女に任せ、自分はデジモンと逃げ遅れた小学生が居ないかを探した方がよさそうだ。
「分かりました。鈴堂さん、ご武運を!!」
「ええ、いろはちゃんも気を付けてね」
スカルサタモンの相手をアキホに任せていろはは引き続き、自分の仕事をする為、その場から離れた。
しばらく飛行していると上の方から、ぶぅ~ん と、昆虫が奏でる様な羽根音が聴こえてきた。
いろはが上空を見上げると、そこには身体全体が赤い大きなクワガタが居た。
クワガーモン 成熟期 昆虫型デジモン ウィルス種
頭部に巨大な鋏を持った昆虫型デジモン。
強靭なパワーと硬い甲殻に守られており、特に鋏の部分のパワーは超強力で一度敵を挟み込むと、相手が生き絶えるまで締め上げる。
必殺技は硬質の物質を簡単に切り裂くことができる『シザーアームズ』。
「クワガーモン!?」
今回イレギュラーで地球へリアライズしたのは、ダークエリア付近のデジモンであり、クワガーモンはどちらかと言うと森林エリアに生息するデジモンだった。
たまたまダークエリア付近に居て今回のイレギュラーリアライズで地球に来たのだろうか?
理由は兎も角、野生のデジモンが居るのであれば、対処しなければならない。
クワガーモンは成熟期のデジモンの中でも闘争心強い凶暴なデジモン。
野放しにしておくわけにはいかない。
幸いクワガーモンはいろはが今、背中に乗っているアクィラモンと同世代のデジモン。
戦って勝てない相手ではない。
「いくよ、アドラー」
「承知」
いろはとアドラーをクワガーモンの方へと向かう。
「先手必勝!!ブラストレーザー!!」
アドラーの口から雷鳴にも似た鳴声と共にリング状の光線が吐き出される。
完全に不意を突いたはずなのにクワガーモンはアドラーのブラストレーザーをひょいと躱す。
「うそっ!?」
完全にアドラーの存在に気づいたクワガーモンは逃げるどころかアドラーに向かって来る。
「アドラー、避けて!!」
「くっ‥‥」
アドラーはクワガーモンの体当たりを紙一重で躱す。
「なに、あのクワガーモン。ちょっと速くない!?」
これまでデジタルワールド、仮想デジモン相手の3Dバーチャル装置でクワガーモンを相手にしてきたが、今、いろはとアドラーの眼前に居るクワガーモンはこれまで相手にして来たどのクワガーモンよりも速かった。
「でも、このまま放置するわけにはいきますまい」
「分かっている」
アドラーはクワガーモンの後を追いかけ、
「グライドホーン!!」
クワガーモンの背中に頭の角を突き刺す。
「ぐがぁぁー!!」
「やった!!」
クワガーモンにダメージを与えた。
これまでのクワガーモンならば、これで倒せたしかし、今回のクワガーモンは‥‥
ぶぅ~ん
倒れず、アドラーに向かって来る。
「うそっ!?なんで倒れないの!?」
「マスター、しっかり掴まっていてください」
「う、うん」
アドラーはもう一度、グライドホーンをクワガーモンにぶつけようとする。
アドラーとクワガーモンの距離がドンドンと縮まって行く中、クワガーモンに変化が現れる。
突如クワガーモンの身体全体が光り始めると、姿と大きさが変わり始めた。
身体は大きくなり、色も灰色となり、身体の形状も日本のクワガタよりも海外に居そうなクワガタの形となる。
オオクワモン 完全体 昆虫型デジモン ウィルス種
クワガーモンの進化型でより凶々しく進化している。
クワガーモンの劣っていた防御面が特に重点的に強化されている。
攻撃面では触角の索敵能力が向上し、鋏の攻撃精度が増強された。
なお、大きな特徴として生存本能だけでなく、破壊衝動も持っていることが判明した。より攻撃的な進化形態と言える。
必殺技は「シザーアームズ」の強化版で、硬度10のダイヤモンドをも挟み切る『シザーアームズΩ』。
「進化した!?」
クワガーモンが突如、完全体に進化した事に驚くいろはとアドラー。
しかし、両者の距離は縮まり、しかも進化した事でスピードも上っている。
アドラーが回避をしようとしてももう間に合わない。
オオクワモンの必殺技、シザーアームズΩが炸裂する。
アドラーは身体をずらして直撃は避けるが、それでもノーダメージと言うわけでは無く、ダメージを受け、更に無理な体制で身体をずらしたことから背中に居るいろはもバランスを崩して落ちてしまう。
「きゃぁぁぁぁー!!」
「マスター!!」
背中から落ちたいろはを助ける為、アドラーは急ぎ落下していくいろはの元に行くが、アドラーよりもオオクワモンがいろはを捕まえて飛び去って行く。
「きゃぁぁぁぁー!!アドラー!!アドラー!!助けて!!」
「ぐっ‥‥マスター‥‥マスター!!」
アドラーが声を張り上げた時、いろはのデジヴァイスが光り輝く。
アクィラモン超進化―――――ガルダモン
アドラーの姿は鳥型のデジモンから翼人型のデジモンとなる。
ガルダモン 完全体 鳥人型デジモン ワクチン種
大空を自在に舞うことのできる翼と、巨大な鉤爪を持つ鳥人型デジモン。
正義と秩序を重んじ、自然を愛する大地と風の守護神でもある。
鳥型デジモンの中でも知性と戦闘能力の高い、選ばれしデジモンのみ進化すると言われ崇拝されている。
デジタルワールドの秩序が乱れると、どこからともなく現れ、乱れの根源を正し平穏に導くと考えられている。
また、同じ志を持つ勇者レオモンとは無二の親友でもある。
必殺技は超速で真空刃を繰り出し、敵を切り刻む『シャドーウィング』。
シャドーウィングはあまりの速さのため、その正体を確認することはできず、黒い鳥の形をした影のみ認識することができる。
「マスター!!」
「アドラーが‥‥進化した‥‥」
完全体に進化したアドラーのスピードは格段に上がっており、あっという間にオオクワモンに追いつく。
「マスターを返せ!!」
アドラーはオオクワモンにパンチを入れると、かなりの威力があったみたいで、オオクワモンは身体をしならせ痛がる。
その痛さからいろはを離す。
そしてアドラーはいろはを空中でキャッチすると、
「シャドーウィング!!」
必殺技のシャドーウィングをオオクワモンに喰らわせる。
流石のオオクワモンもアドラーの必殺技の威力に耐え切れなかったのか、粒子となったと思うとデジタマに戻る。
いろはは落ちてきたオオクワモンのデジタマをキャッチした。
「さあ、行こう、アドラー」
「ええ」
完全体に進化したアドラーはいろはを手の平に乗せ、他にデジモンがいないか、逃げ遅れた小学生がいないか、再び夜の空を飛びまわった。
いろはのアドラーが完全体に進化しました。
ストックやプライベートなどの影響から次回の展示は少し間が開くかもしれません。