やはり俺の青春にデジモンが居て、俺がDATS隊員なのはまちがっているのか?   作:ステルス兄貴

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サマーキャンプ中、千葉に残った材木座が体験した話です。


31話

 

 

「もうとっくに就寝時間だぞ‥‥葉山」

 

深夜、就寝時間をとうに過ぎた時間帯。

千葉村の体育館に八幡の声が不気味に響く。

彼が手にした懐中電灯の明かりに照らされているのは今回の千葉村でのサマーキャンプにてボランティアとして参加した高校のクラスメイト、葉山隼人だった。

 

「ひ、ヒキタニ‥‥」

 

「就寝時間を過ぎたこの時間‥お前は何をしている?」

 

「き、君こそ、就寝時間を破っているじゃないか!?君こそ、こんな所で何をしている!?」

 

「俺はDATS隊員として巡回しているんだよ。まだ倒していない野生デジモンがいないかの確認の為にな‥‥それで、お前は何をしている?」

 

「そ、それは‥‥」

 

八幡に関してはDATS隊員と言うちゃんとした理由がある。

しかし、一高校生の葉山には何の理由もない。

 

「まさかと思うが、お前‥デジタマを盗もうとか思っていないよな?」

 

「‥‥」

 

「テイマー資格を得る時の講習で習った筈だ。許可なく、デジタマを盗んだり、売りさばくのは犯罪だと‥‥弁護士の家のお前がその事を知らない筈がないだろう?」

 

「くっ‥‥」

 

八幡の指摘に葉山は苦虫を嚙み潰したように顔を歪める。

 

「‥‥と言っても其処にはデジタマは無いけどな」

 

「なっ!?」

 

八幡の言葉に葉山は思わず絶句する。

騒動の後、確かに八幡はこの体育館にデジタマを保管すると言っていた。

それにもかかわらず、此処にデジタマは無いと言う。

では、今まで自分がデジタマだと思っていたモノは一体‥‥

八幡が懐中電灯の明かりを今まで葉山が弄っていたモノに当てる。

すると、それは色んな種類のボールだった。

 

「大事なデジタマをこんな所に置いておくわけがないだろう?」

 

盗難を恐れ、デジタマは全て八幡達、DATS組のバンガローに置かれていた。

八幡はデジタマを狙う輩が居るかもしれないと思い、間違った情報を流していた。

その情報に引っかかったのは葉山だった。

 

「それで、改めて聞くが、就寝時間を過ぎたこんな夜遅く‥しかも体育館でお前は何をしていた?」

 

八幡の腐った目が葉山を睨みつける。

夜の暗さも相まってかなり不気味だ。

 

「そ、それは‥‥お、俺もなかなか寝付けなくてね、リフティングの練習でもしようかとボールを借りに来たんだよ」

 

葉山自身、かなり苦しい言い訳を言い放つ。

 

「わざわざ就寝時間を破ってまで、リフティングの練習か?」

 

「あ、ああ‥‥」

 

「‥‥」

 

葉山が焦っているのは彼の顔色を見れば一目瞭然だった。

オロチモンの件を見ても彼があのオロチモンのデジタマを狙っていた事は明白であり、その事からやはりノワールが言っていた、葉山のパートナーデジモンは、彼に虐待を受けており、あのオロチモンの正体は野生デジモンではなく、葉山のパートナーデジモンが暗黒進化をした結果なのではないかと言う確信がますます強くなった。

しかし、実際に葉山はデジタマを盗んでおらず、就寝時間を破っているというだけではそこまで強くは出れない。

 

「‥‥そうか‥でも、こんな夜遅くにボールを蹴られては皆の迷惑だ。バンガローに戻って横になっていればいつの間にか寝られるだろう」

 

「あ、ああ‥そうさせてもらうよ」

 

葉山は八幡が自分の苦しい言い訳を鵜吞みにしたのだと思い、そそくさとその場から去って行くが、結局デジタマを盗み出す事には失敗している。

弁護士である父の力を使って何とかあのデジタマを手に入れなければならないと決意する葉山だった。

 

野生デジモンのイレギュラーリアライズと言うアクシデントが起こったが、サマーキャンプに参加した小学生たちにはケガもなく無事だった。

デジタマも朝一で群馬のDATS支部の隊員がやって来て引き取っていった。

ただ一つ、八幡はあのオロチモンのデジタマだけは千葉のDATS本部で調査をする為、オロチモンのデジタマだけは八幡が引き取った。

 

そして千葉へと戻る為、小学生たちは大型バスへと乗るのだが、バス乗車前に集合し、引率の教師の話をしている中、件の鶴見留美の様子をチラッと見ると、来た時とは打って変わって、引率の教師の話もそっちのけで、同級生とコソコソとお喋りをしていた。

あのイレギュラーリアライズが留美のいじめ問題を解消した様だった。

留美は帰る直前、八幡の下へ行くと、

 

「ありがとう」

 

と、一言礼を言って、バスに乗り千葉へと戻って行った。

八幡たちも此処へ来たのと同じく、タイガとニコが交代で運転する車で千葉へと戻った。

 

 

 

翌日、八幡は例のオロチモンのデジタマを持っていろはと共にDATSの本部へと行くと、

 

「はちまーん!!」

 

サマーキャンプに不参加だった材木座が大声をあげてやって来た。

しかし、その姿は‥‥

 

「中二先輩、どうしたんですか?その姿‥‥」

 

「イベントで乱闘でもあったのか?」

 

材木座は体中には包帯やガーゼが貼られており、彼が何かのトラブルに巻き込まれたように見える。

 

「ま、まぁ、名誉の負傷だ‥‥それよりも聞いてくれ!!ついに我のムサシも完全体に進化出来たのだ!!」

 

ケガをしているにもかかわらず、材木座は嬉しそうに叫ぶ。

 

「どうだ?いろは嬢。我は遂に主を越えたぞ!!ハハハハハ‥‥」

 

材木座はドヤ顔で言うが、

 

「あっ、私のアドラーも完全体に進化出来るようになりましたよぉ~」

 

「な、なにっ!?」

 

「残念でしたね、中二先輩」

 

「ぐぬぬぬぬ~‥‥」

 

材木座としては折角、パートナーデジモンが完全体に進化出来、いろはと差がついたと思ったらいろはもパートナーデジモンを完全体に進化させることが出来ていた。

 

「それで、どう言った経緯でお前のパートナーデジモンは完全体に進化出来るようになったんだ?」

 

八幡は材木座に完全体に進化出来るようになった経緯を訊ねた。

少なくともサマーキャンプ前、材木座のパートナーデジモンは完全体に進化する事は出来なかった。

となると、進化出来るようになったのは八幡たちがサマーキャンプに行っている僅か数日の間となる。

 

「フフフフ‥‥では、聞かせてやろう!!我、剣豪将軍、材木座義輝の華麗なる活躍劇を!!」

 

材木座は八幡といろはに自身のパートナーデジモンが完全体に進化した経緯を話した。

 

 

八幡たちがサマーキャンプに行った初日、この日は材木座もある予定があった。

東京で行われた同人誌即売会で同人誌の他に二次創作の即売会も行われていたので、ライトノベル作家を目指している材木座にとっては参加しなければならないイベントであった。

様々な同人誌や二次創作小説を買い込んだ翌日、普段はチームを組んでいる八幡やいろははサマーキャンプに参加していたので、DATSの隊舎には当然居なかったが、だからと言って仕事がない訳ではない。

材木座は八幡といろはがサマーキャンプに行っている間は一人でDATSの仕事をしなければならない。

とは言え、DATSには他の隊員も居るので、本当に材木座一人で全ての仕事をしなければならないというわけではないが、八幡同様、材木座も人見知りする性格なので、八幡といろはが帰って来るまで単独で働くつもりだった。

そんなDATSの下にとあるCDショップからある相談事が舞い込んだ。

相談に来たのはCDショップの店員、田和玲子。

彼女が言うには、彼女が働くお店で最近、妙なイタズラが起きていた。

それについては彼女もほとほと困っていた。

万引きとかではなく、陳列しているCDの位置が変わっていたり、怪しげな自作風のCDが勝手に陳列棚に置かれていると言うモノだった。

大きな被害と言う訳ではないので、警察も取り合ってくれない。

そしてこの謎のCDは試聴する機械の中にも入っている事があり、聴いた者の中にはそのCDの曲を気に入っている者もいる。

相談を持ち込んだ玲子もなんだかんだいいながらそのCDの曲を気に入っているという。

でも、一応これは犯罪?みたいなものなので、調査をして一体誰が犯人なのかを特定して欲しと言う。

CDが並び替えられているのはこの謎のCDを目立たせるためらしい。

店内の陳列を変えてCDを置いている事から夜な夜な店に忍び込んでいるのだろうが、防犯カメラにその犯人の姿が映っていない。

防犯カメラのシステムを改ざんするぐらいなので、これはもしかしてデジモンの仕業ではないかと思い、彼女はDATSに相談を持ち込んだ。

案の定、店に勝手に並べられている自作CDの音声を解析してみると、それは人の声ではなく、デジモンの音声である事が判明した。

さらにCDのジャケットに書かれていた文字も人語の文字ではなく、デジ文字だった。

これらの状況証拠によって、この事件にはデジモンが関係している事が判明し、夜に犯人が店に忍び込んで来ると推察され、DATSから正式にCDショップの店長に閉店後の店に入れるよう手配をすると、この事件の担当に材木座が指名された。

そして、夜のCDショップへとやって来た材木座。

パートナーデジモンのコテモンのムサシもいるのだが、何故か玲子も一緒に来た。

理由を訊ねると、

 

「あの曲を作った人に会ってみたい」

 

と言う。

店内の隅々を探してみたが、怪しい人は居ろか、デジモンも居ない。

今日は現れないのかと思っていたら、突然店の隅でイレギュラーゲートが開いた。

 

「こ、これは!?なんですか!?」

 

「い、イレギュラーゲートだ!!」

 

「イレギュラーゲート?」

 

「そうだ。これはデジタルワールドと地球を結ぶゲートとなっているのだが、どうしてこんな所に‥‥兎も角、田和殿、此処は危険ですから店の外に避難を!!」

 

材木座は玲子に避難を促すと、ゲートからは一体のデジモンがリアライズしてきた。

そのデジモンはサングラスをかけた猿の様な姿をしていた。

 

 

エテモン 完全体 パペット型デジモン ウィルス種

突如としてデジタルワールドに出現した正体不明のデジモン。

“キング・オブ・デジモン”を自称し、その戦闘力は想像を絶する。

あの、謎のデジモン「もんざえモン」を陰で操っていると噂される。

あらゆる攻撃に耐える強化サルスーツに身を包んで、果てることのない戦いのため今日も全世界を飛び回っている。

必殺技は敵のハートを切なくさせ、戦意を消失させる『ラブ・セレナーデ』と黒い球体状のエネルギー波をぶつけてくる『ダークスピリッツ』。

 

 

「ああああれって‥‥なにっ!?私‥‥夢でも見ているの‥かな‥‥?」

 

初めて野生デジモンのリアライズを見た玲子は驚いている。

 

「あ~らやだ、こんな夜中に人間が居るだなんて‥‥何よ、ひょっとして出待ちってやつかしら?」

 

エテモンはオネエ口調で人語を喋った。

 

「アナタたち、アチキのファンなワケね?アチキの唄にしびれちゃっているワケねっ!?」

 

「「「‥‥」」」

 

材木座、ムサシ、玲子が唖然としていると、

 

「そんなアンタたちは、アチキのオンリーライブステージに招待してあ・げ・る♪さあ、ついていらっしゃい!!ウッキィィィ――――!!」

 

そう言ってエテモンはゲートの中に消えていく。

 

「お館様、どうやらあのエテモンが今回の件の下手人の様でござる」

 

「その様だな。よし、追うぞ!!」

 

「承知」

 

「田和殿は此処に居て下され」

 

材木座はパートナーデジモンのムサシと共にゲートをくぐった。

ゲートを潜ると其処は地下鉄の駅の様な所だった。

デジタルワールドは人間の世界を元に作られたデータの世界であり、こうして地下鉄の駅の様な場所があってもなんら不思議ではなかった。

 

「ムサシ、念の為、進化をしておけ」

 

「ハハっ」

 

コテモン進化――――ムシャモン

 

ムサシは日本風の鎧武者の姿をしたデジモンに進化した。

 

 

ムシャモン 成熟期 魔人型デジモン ウィルス種

その姿は今は見るも無残な落武者のような風貌と化しているが、それこそがこのデジモンが恐るべき戦闘力、生命力を持つ証とも言えるデジモンで戦闘力は成熟期デジモンの中でも上位の戦闘力を誇る。

右手に持つ妖刀「白鳥丸」には、斬った相手の生命力を奪う禁断の呪文が掘り込まれており、この剣は千人のデジモンを倒すたびに切れ味が増すと言われている。

必殺技はこの白鳥丸から繰り出される剣技 『切り捨て御免』。

 

 

材木座とムサシは駅の構内をエテモンを探しながら歩いていると、通路の上に居るエテモンを見つける。

 

「ウキャッ、こっちへいらっしゃ~い♪」

 

材木座とムサシの姿を見つけるとエテモンは更に駅の構内奥深くへと逃げ込む。

やっと追いついても、

 

「ほ~ら、アチキを捕まえてごら~ん!」

 

またもや駅の構内奥深くへと逃げる。

 

「くっ、すばしっこい猿だ!!」

 

「ほらほらぁ、こっちよ~ん♪ウッきっきぃ!」

 

「ウキャッキャア!こっちよこっち!」

 

「ほらほらぁ、こっちよ~ん♪ウッきっきぃ!」

 

「くっ、このままでは埒があきませぬ、御屋形様、此処は二手に分かれて挟み撃ちにいたしましょう」

 

「そうだな」

 

材木座とムサシは二手に分かれ、エテモンを追いかける。

ムサシの居場所はデジヴァイスでわかり、インカムからは状況が確認できる。

そして、ムサシが正面からエテモンの注意を引きつけ、材木座がエテモンの背後から迫る。

そして‥‥

 

「捕まえたぞ!!」

 

エテモンの背後から忍び寄った材木座がエテモンにとびかかる。

 

「何よアンタ!随分乱暴じゃない!‥‥ひょっとしてアレね!?アチキの事が好きすぎて、狂信的なファンになっちゃったアレね!?その愛情がやがて憎しみに変わり‥‥アチキを独り占めする為に命まで奪おうって言うのね!そうはさせるもんですか!アチキはアンタだけのモノじゃないのよぉぉー!!」

 

エテモンは完全に何か勘違いしており、材木座を振りほどくと材木座とムサシに襲い掛かって来た。

猿と言うふざけた格好のデジモンであるが、完全体でキング・オブ・デジモンを自称するだけのことはあり、エテモンの戦闘力は高かった。

 

「切り捨て御免!!」

 

「ひょいっと、何処を狙っているのよ?ダークスピリッツ!!」

 

「ぐはっ!!」

 

「ムサシ!!」

 

「ぐっ…これぐらい何ともありませぬ‥‥ぬぉりゃぁぁぁー!!」

 

ムサシは白鳥丸を振りかざし、エテモンに斬りかかる。

八幡やいろはとこれまでチームを組んで野生デジモンと戦ってきたが、こうして単独で‥‥しかも完全体のデジモンを相手にするのは初めてであり、戦況はムサシに不利な状況へとなって行く。

そして、白鳥丸を弾き飛ばされてしまう。

 

「刀の無いアンタなんて、タダの木偶の坊ねぇ~さっさと終わらせてあげるわ~ラブ・セレナーデ~」

 

エテモンは背中からマイクを取り出し、歌を歌う。

すると、その歌声を聞いていると、自然と力が抜けてくる。

 

「くっ‥‥」

 

退化まではしなくともムサシは膝をついてしまう。

 

「これで終わりよ!!ダークスピリッツ!!」

 

まともに動けないムサシにエテモンのダークスピリッツが迫る。

 

「ムサシ!!」

 

すると材木座が両手を広げ、ムサシの前に立ちはだから。

 

「御屋形様!!」

 

「がはっ!!」

 

ムサシの代わりにエテモンのダークスピリッツを喰らった材木座は弾き飛ばされる。

 

「ふん、木偶の坊のテイマーの癖に生意気ねぇ~そんなに慌てなくてもそこの木偶の坊を始末したら、ちゃんとアンタも始末してあげるわよ」

 

エテモンが小馬鹿にしたように材木座に言い放つ。

 

「き、貴様!!」

 

ムサシが怒声をあげ、立ち上がると、材木座のデジヴァイスが光り出す。

 

ムシャモン超進化―――――アシュラモン

 

鎧武者姿のムサシは四つの手に三つの顔、炎を纏うデジモンとなる。

 

 

アシュラモン 完全体 魔人型デジモン ワクチン種

4本の腕と3つの顔を持つ伝説のデジモン。

アシュラモンには3つの顔があり、1つは怒りの顔、1つは慈悲の顔、そして最後の1つは祝福の顔となっている。

見た目の姿とは裏腹に正義を重んじ、不正を見ると徹底的にそれを攻撃して許さないという、まさに光明神の化身と言えるような性格である。

必殺技『阿修羅神拳(あしゅらしんけん)』は4本の腕から繰り出されるパンチラッシュで、敵そのものを消滅させてしまうほどの攻撃力を持っている。

 

 

「なっ!?進化ですって~!?」

 

「ムサシ‥‥」

 

完全体に進化した現象をエテモンも材木座も唖然とするが、

 

「ふ、ふん、例え完全体に進化してもキング・オブ・デジモンであるアチキに勝てる筈が無いわ~ラブ・セレナーデ~」

 

エテモンがマイクを使い、歌を歌う。

しかし、アシュラモンはそんな歌など聴こえないかの様にエテモンに拳を振り上げながら近づいてくる。

 

「なっ、なんで、アチキのラブ・セレナーデが効いてないの~!?」

 

「憤怒の化身となった今の某に貴様の温い歌なぞ、効くかぁー!!阿修羅神拳!!」

 

アシュラモンに進化したムサシの四本の腕から繰り出される強烈なパンチでエテモンをボコボコになぐる。

しかし、ムサシの阿修羅神拳を喰らっても斃れなかった事から流石、キング・オブ・デジモンを自称するだけあって防御力は強力だった。

だが、全くノーダメージと言う訳ではない。

弾き飛ばされ、壁へと叩きつけられたエテモン。

 

「ぐっ‥‥な、なかなか、やるわね‥‥」

 

「‥‥止めだ」

 

「ひぃっ、ま、待って‥‥アチキのCDを棚に並べるのが迷惑だというのなら、もうやめるわ!!アチキがこっそり作ったあの通り道も二度と使わないように消しちゃうわよ‥‥」

 

「貴様の言葉‥信じられると思っているのか?」

 

「ひぃっ~」

 

ムサシがエテモンに拳をぶつけようとした時、

 

「ま、待て」

 

材木座がムサシを止める。

 

「御屋形様?」

 

「ソイツは、悪いデジモンではない様だ‥‥」

 

材木座自身、ライトノベル作家を目指しており、一方、エテモンは歌手を目指して自分の音楽を‥CDを一人でも多くの人に聴いて貰いたいという事から今回の事件を起こした。

ライトノベルと音楽‥ジャンルは異なっても同じ、創作物の作者として材木座にはエテモンの気持ちが分かる気がした。

 

「あ、アンタ‥‥」

 

「兎に角、田和殿には事情を説明せねばならない‥‥エテモン、すまぬが、共に来てもらえないだろうか?」

 

「え、ええ‥‥分かったわ」

 

材木座はムサシに肩を貸してもらい、現実世界へと戻り、玲子に事情を説明する。

 

「あっ、よかった、無事だったんですね!」

 

「あ、ああ‥‥名誉の負傷は負ったがな‥‥」

 

ゲームからアシュラモンに進化したムサシを見た玲子は当初、声を出して驚いたが、材木座も一緒に居た事で安心し、彼はアシュラモンが自分のパートナーデジモンが完全体に進化した事を説明すると同時に、今回の事件についての説明もした。

 

「そうですか‥あのイタズラは全部デジモンの仕業だったんですか‥‥」

 

「うぅぅぅぅぅ‥‥イタズラだなんて酷いわ~こんなにCDがたくさんあるんだから、アチキのCDだって売ってくれたってイイじゃない!」

 

エテモンは号泣している。

 

「どーうしてっ‥‥!?どうしてみんなアチキの音楽を理解してくれないの!?」

 

「そ、そんなこと‥ありませんよ」

 

「えっ!?」

 

「確かに貴方の音楽はかなり独創的ですけど、でもあの独創的で個性的なヒビキはきっといつか沢山の人々を魅了する音楽だと、私は思います」

 

「っ!?」

 

「新しい表現は、受け入れてもらえるまでに時間がかかるもの‥‥諦めたら其処で終わりです!!最後まで自分の音楽を信じてください!!」

 

「あ、アンタ‥‥」

 

エテモンは今度、悔し涙から嬉し涙を流している。

 

「これ以上、微妙ないたずらをしないって約束をしてくれるなら、店長に頼んで、正式にCDをお店に置いてあげます!私が、あなたのファン一号になりますよ♪」

 

「な、泣かせることを言ってくれるじゃない‥‥あ、あ、あ、ありがとう」

 

こうして、事件は和解?の様な形で終わった。

 

 

「‥‥と言う事があったのだ」

 

「へぇ~‥‥それでその後、どうなったんですか?」

 

いろはが後日談を材木座に訊ねる。

 

「その店にエテモンのCDの特設コーナーを設けた」

 

「イタズラした野生デジモンの処置としては何か甘くないか?」

 

八幡はエテモンの処置が少々甘いという。

 

「しかし、実際に隊長殿も店側も今回の一件に関してはこれで納得してくれたし、田和殿もエテモンの歌には惚れている様だった‥‥それにジャンルは違っても創作をする者同士、我にはあのエテモンを憎めなかったのだ‥‥」

 

材木座は怪我をしてもあのエテモンを憎むことは出来なかった。

それに怪我はしたが、自身のパートナーデジモンが完全体に進化する事が出来たのだから、材木座にとって結果オーライな顛末であった。

 




タイガたちと一緒に帰ったので、八幡は雪ノ下家の車が入学式の日に自分を撥ねた車とはまだ気づいていません。

そして、葉山の処遇は‥‥ホント、どうしよう?

テイマー資格を剝奪させると面白味が減るかと思い、未だに悩んでいます。
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