やはり俺の青春にデジモンが居て、俺がDATS隊員なのはまちがっているのか?   作:ステルス兄貴

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32話

 

まだ夏休みが続いている中、ある日の事。

八幡はタイガと共にタクシーに乗っていた。

 

「あの‥‥白石さん‥‥」

 

「なんだ?」

 

「どうして、俺たち、車に揺られているんですか?」

 

「そりゃあ、車に乗っているからだろう」

 

「はぁ~そりゃそうですけど‥‥この車、何処に向かっているんですか?」

 

八幡がタイガにタクシーの向かっている先を訊ねる。

 

「えぇ~八幡はいつものごとく、一体これから何が起きるのか、何処に向かっているのか、分かっておりません」

 

「‥‥あの‥ですね‥‥これはですねぇ‥‥ひとえに誘拐と言っても過言じゃないですよ」

 

この日、朝、八幡がいつものようにバイト先であるDATSの千葉支部へと向かおうとしたら、玄関先にはタイガが待っていた。

そして、小町は何故か先日のサマーキャンプの時と同じように八幡の着替えなどが入ったバッグをタクシーのトランクの中に入れていた。

それを見た八幡は何か嫌な予感がしていたが、バイト先の先輩居たので、逃げる事も出来なかった。

そして八幡はタイガと共にタクシーに乗り、今の場面に戻る。

 

「訳をも分からずに車に朝から乗せられて‥‥これは世間的にね‥拉致ですよ、これは?」

 

「まぁ、夏休みの宿題も終わっているんだろう?」

 

「ええ‥‥七月にはもう終わらせておきました。この先のバイトのことを考えて‥‥それで、一体何処へ向かっているんです?」

 

「実は、DATSの総本部で研修が行われる事になった」

 

「研修‥ですか‥‥」

 

「そうだ‥‥それは未来のDATS幹部を育成するための研修でもある」

 

「‥‥」

 

「それで、ミレイさんが総本部にお前のことを推薦していたみたいなんだ」

 

「はぁっ!?」

 

タイガの言葉を聞いて思わず裏声を出しながら驚く八幡。

 

「ちょっ、ちょっと待って下さいよ!!俺、DATSの雇用形態はバイトなんですけど!?」

 

「じゃあ、八幡はこのままずっとバイトでDATSにいるつもりなのか?」

 

「そ、それは‥‥」

 

「八幡、お前はもう少し自分の立場を理解した方がいい‥‥」

 

タイガが言う通り、八幡のパートナーデジモンは一体だけで現実世界もデジタルワールドをも滅ぼす力を持っている。

正しい道へと導かなければ世界は崩壊する危険がある。

そう言う意味ではDATSは八幡を監視する絶好の環境であった。

 

「‥‥それで、今回の研修に参加しろと‥‥」

 

「ああ」

 

「それで、研修って今日一日なんですか?」

 

「いや、一週間~十日ぐらいだな」

 

「はぁ!?一週間!?十日!?」

 

「ああ‥でも、大丈夫だ。寝泊まりする場所はちゃんと寮があるし、食事も出る」

 

「えっ?ちょっと待って下さいよ。研修中は家に帰らしてくれないですか?」

 

「‥‥まぁ、そうなるな」

 

「総本部って‥‥神奈川ですよね?」

 

「ああ‥だから総本部に行くって言っているじゃないか」

 

「神奈川に行くの!?嘘でしょう!?」

 

「‥‥」

 

八幡がタイガに詰め寄るが、彼は八幡と目を合わせない。

 

「おい、運転手さん引き返してくれよ!!」

 

「いや、無理だよ。もう高速乗っちまったぞ」

 

「乗ったの? 高速に!?いやこら拉致だよ!こら拉致だよ!!これは!誘拐だよ!!! 運転手さん!!バック!Uターンだよ! あなたも人のよさそうな顔して!何運転してんだ!?」

 

八幡はタクシーの運転手に引き返してくれと言うが、当然タクシーの運転手はタクシーを引き返す事は無かった。

 

「大体一週間も神奈川で過ごせって言うんですか!?」

 

「あ、ああ‥‥」

 

「そもそも千葉を出るとは家族に言ってきて無いんだよ!!千葉出るのはマズいよ!!」

 

「だ、大丈夫だ。家の人にはちゃんとミレイさんの方から伝えてあるから」

 

八幡はタクシーの中で騒いだが、タクシーが引き返す事もなく、研修が中止になる事もなく、タクシーは神奈川県にあるDATSの総本部へと向かって行った。

 

 

その頃、八幡が向かっているDATSの総本部では‥‥

 

「それが例の少年か?」

 

DATS総本部の司令部にて、DATSの日本の長である薩摩廉太郎がパソコンのモニターに表示されている八幡のデータを見ていた。

そんな薩摩に彼の首に巻き付いている狐の様なデジモンが声をかける。

 

 

クダモン 成長期 聖獣型デジモン ワクチン種

 

聖なる薬莢を常に巻きつけて離さない聖獣型デジモン。

左耳のイヤリングに聖なる力を日々溜めていると言われ、蓄えた力が大きいほど次の進化に影響があるという。

冷静沈着な性格をしており、戦いにおいても的確に状況判断を行って、戦いを優勢に進める。

逆に劣勢になった場合は薬莢の中に入り、身を固める防御技も持っている。

必殺技は身体を回転しつつ薬莢ごとぶつける『弾丸旋風(だんがんせんぷう)』と、ピアスから発する大きな輝きで目を眩ます『絶光衝(ぜっこうしょう)』。

 

 

「ああ‥‥千葉支部のミレイからの直々の推薦があった‥‥」

 

「ふむ」

 

クダモンも薩摩と同じく八幡のデータを見る。

 

「‥‥確かに普通の人間には見えんな‥‥目の部分など、生きている人間には見えん。やはり、世界を滅ぼせる力を持つ者は普通の人間とは違う様だな」

 

まだ会った事もない八幡に対して結構酷い事を言うクダモン。

 

「兎に角、彼の扱いには慎重にならねばならん‥‥淑乃」

 

「はい」

 

薩摩はこのDATSの総本部のテイマー、藤枝淑乃に声をかける。

 

「この後、千葉支部から研修の為、一人のテイマーがやって来る」

 

「研修‥‥ですか‥‥?」

 

「そうだ‥‥君にはここの先輩テイマーとして、彼の研修を担当してもらいたい」

 

「えっ?私がですか!?」

 

「そうだ。トーマはまだEUから戻って来ていない。経験豊富なテイマーは君だけなのだ」

 

「わ、分かりました。それで、どんな人が来るんですか?」

 

淑乃は今日、研修目的で総本部に来る人物について薩摩に訊ねる。

 

「比企谷八幡。千葉の総武高校に通う高校二年生の男子で、DATS千葉支部に所属するテイマーだ」

 

薩摩は八幡の顔写真を淑乃に見せる。

 

「っ!?‥‥あの‥隊長」

 

「なんだ?」

 

「‥‥この人、本当に生きている人なんですか?」

 

淑乃は八幡の顔写真を見て、薩摩に彼が生きている人間なのかと問う。

彼の写真‥目の部分を見て、死体写真なのかと思ったのかもしれない。

 

「生きている‥‥」

 

「でも、目の部分が凄いですよ‥‥」

 

「あまり、身体的特徴を言うな‥‥彼だって物凄く気にしているかもしれないだろう。クダモン、お前もだ」

 

薩摩としてはくれぐれも八幡の扱いに関しては慎重になる必要があるのだが、まさか彼がこの世界の命運を握っているような重要人物であると言う事を淑乃には伝えなかった。

言ったところで信じてもらえるのか微妙だったからだ。

 

「承知した」

 

「分かりました」

 

やがて、八幡とタイガを乗せたタクシーがDATSの総本部に到着する。

到着した頃には八幡は騒ぐことはせず、大人しかったが、不機嫌そうな顔をしていた。

 

「いつまで、ふくれっ面しているんだ。この後、日本のDATSのトップに会うんだから、少しは愛想よくしろよ」

 

「これが俺の普段の顔です」

 

「‥‥」

 

不安を抱きつつもタイガと八幡はDATS総本部の司令室‥‥薩摩が居る場所へと向かう。

コンコンと司令室のドアをノックすると中から、

 

「入れ」

 

という男性の声が聞こえた。

入室の許可がおりたので、二人は司令室へと入る。

 

「「失礼します」」

 

指令室にはロングコートにサングラス、首にクダモンを巻きつけた男‥‥DATS総本部隊長、薩摩廉太郎が二人を待っていた。

 

「自分はDATS千葉支部所属の白石タイガです」

 

「同じく比企谷八幡です」

 

「うむ、待っていた。早速だが、紹介しよう。今回、比企谷君の研修担当の‥‥」

 

「藤枝淑乃です」

 

淑乃はタイガと八幡に自己紹介をする。

 

(なんか、良い所のお嬢さんって感じだな‥‥雪ノ下みたいにプライドだけが無駄に高いだけだったりして‥‥でも、一応DATSに居る訳だから、テイマーとしての腕も高いだけだよな‥‥それに人格面も‥‥)

 

八幡は淑乃の第一印象から彼女はそれなりの家の出身者ではないかと思った。

一方、生の八幡を見た淑乃は‥‥

 

(うわっ、実際に本物を見ると結構強烈ね‥‥)

 

内心、ちょっと引いていた。

 

「それじゃあ、自分はこれで‥‥八幡、ガンバレ」

 

「は、はい‥‥」

 

タイガはあくまでも付き添いだったので、彼は千葉へと戻って行く。

その姿を羨ましそうに見る八幡だった。

 

八幡は世話になる寮に荷物を置いて、まず総本部を淑乃の案内の下、本部の通路を歩いていた。

互いに初対面、異性同士と言う事でぎこちなく、距離もそれなりにあった。

そんな中、本部に警報が鳴る。

 

「ん?なんだ?」

 

「淑乃」

 

「隊長、この警報は一体何ですか?」

 

「大変だ。ラプター1が脱走した」

 

「ラプター1がっ!?」

 

「ん?らぷたーわん?」

 

「比企谷君」

 

「は、はい」

 

「君も淑乃と一緒にラプター1の捕獲に向かって欲しい」

 

「えっ?あっ、はい‥‥」

 

訳も分からないまま八幡は何かの生物の捕獲を頼まれた。

 

「港湾地区閉鎖」

 

「関係各所への連絡を通達完了。周辺の海路、空路を閉鎖しました」

 

「所詮ははみ出し者‥‥処分するしかないか‥‥なぁ、薩摩よ‥‥」

 

クダモンはラプター1と呼ばれる生物の殺処分を薩摩に意見する。

 

「ラプター1の現在位置は?」

 

「港湾地区B-01地区へ逃走中です」

 

「淑乃、八幡君、急ぎ現場に向かってくれ」

 

「了解」

 

「‥‥了解」

 

淑乃と八幡はそのラプター1の捕獲へと向かった。

 

「それで、そのラプター1って何?」

 

現場に向かう途中、八幡は淑乃にその件の『ラプター1』について訊ねる。

 

「ああ、コイツよ」

 

淑乃は八幡にその『ラプター1』の写真を見せる。

 

「‥‥アグモン?」

 

写真には一体のアグモンの姿が映っていた。

しかし、そのアグモンは普通のアグモンより、一回り大きく、両手に赤いベルトのようなモノを巻きつけていた。

 

「コイツは以前、イレギュラーリアライズしてきたデジタマから孵化したデジモンなんだけど、かなり凶暴な奴で、隔離されて今度デジタルワールドへ強制送還される予定だったの」

 

「それが今回、逃げられた‥‥と‥‥」

 

「そうみたいね」

 

(おいおい、総本部なのに随分と薄い警備だな)

 

DATSの日本の総本部なのに成長期のデジモンに逃げられるなんて、総本部の警備体制に危うさを感じる。

ラプター1こと、脱走したアグモンが居るとされる港湾地区の公園は警察が既に封鎖していた。

 

「淑乃、公園に生命反応があるわ」

 

淑乃のパートナーデジモンは花の蕾の様な姿をしたデジモン‥ララモンだった。

そのララモンが公園の中に生体反応を感じた。

 

「ラプター1?」

 

「いいえ、多数の人の反応よ」

 

「ええぇー!!」

 

「全部で十五人前後」

 

「最悪なんですけど」

 

「いや、本当に最悪の事態を想定した方がいいぞ」

 

淑乃と八幡は走って人の反応がある現場へと向かう。

 

「えっ?」

 

「‥‥酷い」

 

「‥‥」

 

そこには学生服を着た男子学生たちが多数倒れていた。

 

「こちら、淑乃。被害者が多数発生‥急いで救護班を要請します」

 

「八幡!!居たぞ!!」

 

ノワールが展望台でお目当てのアグモンを見つけた。

 

「あれよ!!ラプター1に間違いないわ!!」

 

そのアグモンは一人の少年と対峙していた。

 

「なんだ?テメェ‥人の喧嘩の邪魔をしやがって」

 

「グルルルル‥‥」

 

「どこのどいつか知らねぇが、俺のシマを荒らす奴は許さねぇ!!日本一の喧嘩番長、大門大 (だいもん まさる)様がなぁ!!」

 

「‥‥で、デジモンに喧嘩吹っ掛けている」

 

「自分のパートナーデジモンを連れていないのか?」

 

大門大と言う少年の言動を淑乃は顔を引き攣らせながら見て、八幡は大が何故、自分のパートナーデジモンをリアライズして、あのアグモンと対峙していないのか疑問に感じた。

 

「うるさい!!ごちゃごちゃ言いやがって!!テメェこそ、人間の分際で生意気なんだよ!!」

 

「アイツ、人語を喋れたんだ‥‥」

 

「って言うか喧嘩買っているし‥‥」

 

淑乃はあのアグモンが人語を理解出来るデジモンだとは知らなかった様だ。

パートナーデジモンは大抵人語を理解出来るデジモンが多いが、イレギュラーリアライズしてくる野良デジモンは人語を理解出来る程の知能を有しているデジモンは少ない。

野良デジモンやデジタルワールドで生息しているデジモンで人型デジモンは人語を理解出来るデジモンはいるが、あのアグモンはデジタマの時に現実世界にイレギュラーリアライズしてきた野良デジモン。

しかもちょっと特殊な形状とは言え成長期のアグモン。

それがパートナーデジモンであるかのように人語を喋っているのだから驚く部分もある。

 

「デカい面してんじゃねぇぞ!!恐竜!!」

 

「これは生まれつきだ!!」

 

「淑乃、八幡君、ただちにその民間人をラプター1から遠ざけろ」

 

「奴は危険すぎる」

 

「うむ」

 

淑乃と八幡のインカムからは薩摩とクダモンの指令が入る。

 

「君!!ソイツから離れなさい!!そんな奴、相手にしても損するだけなんだから!!」

 

淑乃が大に声をかけ、アグモンから離れるように言う。

 

「はぁ?損得勘定の問題じゃねぇ!!これは男と男の戦いなんだ!!」

 

「そうだ!!男と男だ!!」

 

アグモンの発言から、どうやらあのアグモンの性別は雄の個体の様だ。

 

「なんか、変な意味で意気投合しているぞ」

 

「はぁ!?」

 

八幡はあくまでも冷静に事の成り行きを見ているが、淑乃は呆れている。

 

「分かったら、すっこんでいろ!!」

 

「は、はい」

 

「淑乃、気迫負けしちゃダメよ」

 

「あっ、そうね」

 

「どうする?ハチマン」

 

ノワールが八幡にどうするかを訊ねる。

 

「もう少し様子を見よう」

 

八幡はもう少し大とアグモンの様子を見ることにした。

 

「えっ?ちょっと‥‥」

 

「ホントに危ない様ならば、止めに入る」

 

八幡の判断に淑乃が口を挟むが、もし、大の生命に危険が及ぶようであれば、止めに入るつもりだった。

あのアグモンからは大と同じ闘気を感じるが、殺気を感じない。

殺すのではなく、相手を組み伏せ、自分の力を相手に知らしめようとしているのだと八幡は思ったのだ。

でも、自分の読みが外れるようならば、ノワールを進化させ、あのアグモンをデジタマに戻すつもりだった。

デビドラモン‥八幡のノワールのクリムゾンネイルならば、十分に対応できる距離だったからだ。

 

「お前もいい度胸をしているじゃねぇか‥‥いくぞ!!」

 

大とアグモンはお互いの距離をつめると、拳を繰り出す。

そしてクロスする形でお互いの頬を殴りつける。

 

「殴るか?普通‥‥」

 

その様子を見ていた司令部のオペレーターたちも唖然とする。

 

お互いに殴り合った大とアグモンは衝撃を吹っ飛ばされる。

 

「くっ、油断したぜ‥‥だが、次は喰らわねぇぞ、お前のパンチは完全に見切った!!」

 

起き上がったのはアグモンの方が早く、まだ尻餅をついている大へと向かう。

 

「危ない!!」

 

「くっ」

 

大は膝蹴りでアグモンの顎に一発決める。

 

「何を見切ったって!?」

 

「この!!」

 

アグモンは大の太ももに蹴りを入れる。

 

「いってぇな!!この野郎!!」

 

「この!!」

 

その後、アグモンと大はパンチの応酬で殴り合う。

 

「淑乃、止めなくていいの?」

 

ララモンが淑乃にあの殴り合いを止めなくていいのかと問う。

 

「えっ?ああ、そ、そうね‥‥」

 

淑乃は仲裁に入ろうとしたが、

 

「止めておけ」

 

そこを八幡が止める。

 

「どうして止めるのよ?」

 

「今、止めたら、あの民間人とアグモン‥両方から攻撃を受けるぞ‥‥」

 

お互いに完全に頭に血がのぼっている様で、あの状態で下手に仲裁に入るとかえってダメージを受ける。

 

「別に殺し合っている訳じゃない‥‥それなら、暫くは好きにさせておけばいいさ‥‥どっちが勝つにせよ、その時はアグモンも体力を消耗していりだろうから、捕まえやすくなるだろう?」

 

「そ、そうね‥‥」

 

八幡の言葉を聞いて淑乃も暫くは大とアグモンの様子を見ることにした。

 

そして太陽が水平線に沈みかけた頃、

 

「「ハァ‥‥ハァ‥‥ハァ‥‥」」

 

大とアグモンは大の字で倒れていた。

 

「ハハ‥やるじゃん」

 

「お前のパンチも結構効いたぜ‥‥」

 

そして、大とアグモンは互いに互いを褒めたたえている。

パートナーデジモンでないのにアグモンと大との間に友情の様なものが芽生えていた。

 

「オレ、アグモン」

 

「大門大だ」

 

「よろしくな、マサルのアニキ」

 

「アニキ?」

 

「ああ、オレの事を一人前の男と認めてくれたのは、アニキが初めてだ。だから、オレは今日から、アニキの子分になる」

 

「子分か‥‥お前みたいなへんてこな子分が居ても良いかもしれないな‥‥」

 

大とアグモンが兄弟の契りを交わした所、水を差す感じで悪いと思いつつ、八幡はDATS隊員としての職務を遂行することにした。

 

「そこまでよ」

 

「お互いに満足いくまで、喧嘩したのなら、もういいか?」

 

「さあ、大人しく私たちと一緒に来てもらいましょうか?」

 

「そう言えばさっきから居たが、アイツ等なんなんだ?」

 

大は八幡たちには完全にアウト・オブ・眼中だった様だ。

 

「オレを捕まえに来たんだ‥‥」

 

「えっ?」

 

「オレ、アイツ等に掴まったら、処分される‥‥」

 

「なにっ!?」

 

処分されると聞いて大はアグモンを背中に背負う。

 

「子分のピンチを救うのも兄貴の義務だからな」

 

「よっ、アニキ」

 

「ナッツシュート!!」

 

アグモンと大を逃がすまいとララモンは口から種を吐く。

種は大の周りに着弾し、煙を発生させる。

 

「アニキ、ここはオレに任せて」

 

「えっ?」

 

「ベビーフレイム」

 

アグモンは口から火球を淑乃と八幡に向かって吐いてくる。

 

「ベビーフレイム」

 

そこをノワールが同じく火球で応戦する。

互いのアグモンのベビーフレイムがぶつかり合い、爆発が起きる。

そして、爆煙が収まると、そこには大とアグモンの姿はなかった。

 

「しまった!!逃げられた‥‥追いかけるわよ、比企谷君‥‥あ、あれ?」

 

ついでに八幡とノワールの姿もなかった。

 

「あ、あれ?もう、何処に行ったのよぉ~!!」

 

夕日がさす公園に淑乃叫びが虚しく響いた。

 

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