ラブライブ!Ω/UC 外伝 ラブライブ!アイランドスターズ!!    作:la55

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スピンオフ 第8.3~9.5話 3年生編 第5回

 それから数分後、

「はっ」

と、星子が目覚めた。まわりを見渡す星子。そこにはいつもの見慣れた港だった。

「よかった~」

と、九は星子を抱きしめて泣きながら言った。話に聞くと、足をつって沈んでいく星子を九が必死になって助けたとのこと。

「あ、ありがとう」

と、星子が言うと、九は照れつつ、

「どうもいたしまして」

と言い返した。

 そして、多恵は大事なことを言った。

「これって勝負じゃなかったかしら。それで、勝負はどうなったの?」

これには星子、

(みんなには私のことで迷惑をかけたからね)

と思い、いさぎよく、

「それは私たちの負け…」

と言った瞬間、

「この勝負は無効だよ」

と、九がいきなり言うと、星子の「無効…」の言葉に続けて、

「だって、こんな状態なんだもん。これで勝負が成立しているなんて言えないもん」

と言い張る。これには星子、

(九…、もしかして、私のことをかばっているのかな。勝てばこれから先、スクールアイドルやり放題なのに、それでも、自分の考えなんて無視して無効だと言い張る。それに比べて私は…。これは私の完敗かな…)

と思うとともに、

(そして、ちょっと無理していたのかもね、私。おじいさまのためと思って無理をしてきた。でも、それって本当の自分をも押し殺していたんだね。本物の自分、今の若者らしく生きたいという本当の自分、そして、九たちと一緒にスクールアイドルになりたいという本当の自分の気持ち、今からは正直になろうかな)

と思ったりもする。

 が、やっぱり星子、

(でも、おじいさまのことが~)

と、おじいさまのこともやっぱり心配する。

 これに業を煮やしたのが氷だった。

(ああ、じれったい)

と思うと、

「もう、本当のこと、話ちゃいなよ」

と、星子に諭すと、星子、うっかり、

「私はそんなこと…」

と、躊躇してしまう。これには春が氷への援護射撃が始まる。

「なら、私から言おうかな。あのことも含めてね」

あのこと、つまり、星子が隠していたファッション雑誌のことかもしれない、そう推測した星子、

(このままじゃ私が図書室でファッション雑誌などを無断で読んでいたことがバレる!!)

と思ってしまい、

「わかりました」

と、白旗をあげた。

 そんな星子だったが、ここからは吹っ切れたようになる。星子はまず春と氷を呼ぶと、

「で、氷に春、あの曲を歌いますわよ」

と言うと、春、

「ああ、あの曲ね。私が今さっき見せた「スプリングコンタクト」ね。いいわ。みんなに披露しちゃいましょう。星子に氷、私が踊るところをマネしてね。そしたらうまくいくと思うから。歌については私がセンターするから、2人はコーラスなどしてね」

と、星子と氷に指示をだす。

 一方、氷はと言うと、

「えっ、私もするの。ちょっと待って、私、するって一言も…」

と言うと、星子、

「一蓮托生よ。氷、諦めなさい。それに、氷だって九たちと、私と一緒にスクールアイドルしたいんでしょ。だって、いつも九たちの肩をもっていたよね。今回も遠泳なら九たちが有利だとふんだんだよね。結局、伏兵の土居(多恵)さんによって思い通りにはならなかったけど」

と言うと、氷、

「バレていたのね」

と正直になる。

 そして、星子は言った。

「氷も正直になりなさい。これまで私に本物の自分を見せるように言ってきた氷だけど、裏を返せば氷も本物の自分を見せていないよ」

これには氷、

「本物の自分…」

と、言って何かを思い返していた。そして、

(本物の私…、私って、星子にいまさっき、星子に本物の自分を、今の若者みたいにファッションについて語ったり、スクールアイドルとして九たちと一緒にやりたいでしょって言った。それは星子に本物の自分をだしてほしい、そして、九ちゃんたちと一緒にスクールアイドルを楽しんで欲しいと思っていたから。なぜそう思ったのかというと、星子が隠れてファッション雑誌を読んでいたことを知ったから。私は今までそう思っていた。けれど、今思うと、裏を返せば、自分も星子やみんなと一緒に楽しみたい、スクールアイドルをしたいという思いにつながるのかな。それが私の本当の思い、本当の自分かもしれないね。ああ、最後になって星子にやられたよ~)

と思うと、すぐに、

「うん、わかった。私もやってみるね。そして、歌い終わったら、正直に話そう。私たち3人とも九たちと一緒にスクールアイドルになろうって」

と、氷が言うと、春は、

「うん、わかった」

と言うと、星子も、

「わかりましたわ」

と言うと、氷、春、星子は横一列になって「スプリングコンタクト」を歌い始めた。

 

「キュンキュンキュン キュキュンガキュン~♪」

と歌い始めた星子たち3人。これには九、

「なにこれ、星子ちゃんたちってこれ、隠していたの。ずるい~」

と喜んでいる。さらに、

「新しい出会いに感謝しよう~♪」

と歌っているとき、たい子から、

「なんていい響きんなの。これじゃ私たち(たい子、めい、小明)じゃ表現できない。春先輩のセンターボーカルに氷先輩、星子先輩のコーラスがマッチしている。これは凄いよ」

と褒めていた。

 

 そして、星子たち3人が歌い終わると、

「なに、これ、凄いじゃない」

と、九が言うと、氷はすぐに、

「実は、私たち3年はみんなと一緒にスクールアイドルをやりたいんだ。どう、仲間にいれてくれる?」

と言うと、九はすぐに承諾。ちなみに、ひろ子から加入する理由について聞かれると、春、

「みんなと一緒に思い出作りをしたかったから」

と、うそをついた。

 が、後輩たちの追及は続く。たい子から、

「どうして回りくどいことをしたのですか?」

と、聞かれてしまう。これには氷、

「星子の最後の抵抗、もしくは、昔の星子との決別かな」

と言った。これには星子、

(たしかに、歌う前の自分の姿はおじいさまのことに従わないといけないという昔の自分と、みんなと一緒にスクールアイドルをしたい今の自分の最後の攻防だったのかもしれない。でも、結局はみんなと一緒にスクールアイドルをやりたいという今の自分、本物の自分が勝っちゃったかもね。さようなら、昔の自分…)

と、思ったりもするも、すぐに、

(でも、これは私たち3人だけの秘密にしたいしね。ここはばれないようにと)

と思い、

「あとはスクールアイドルとして成功するのみだ~」

と、突然叫ぶ九に対し、

「私はまだ…」

と、お茶目に言う星子。これには氷、

「そんなの関係ない」

と、星子にツッコミをいれた。

 

 その後、みんなはそのまま自分たちの家に帰宅すると、誰もいなくなった学校にはなぜか雪穂の姿があった。その雪穂、ただひとりで学校にあるパソコンの前でよなよなあることをしていた。

「さてと、今日、盗撮、いやいや、撮影した3年生の踊っているところを動画サイトに投稿しよう」

と、雪穂が言うと、その動画サイトにつながらない。

「あれ、どうしたのかな?」

と、不思議がる雪穂。

 そこへ、

「それはですね。この有線LANを抜いているからですよ」

と、ぬっと春が雪穂の前にあらわれる。

「うわっ、なんでここに春がいるの?」

と、雪穂は驚きつつも言うと、春、

「それは、今日踊っているところを動画にアップされたくないからですよ。だって、星子はおじいさまには今日のこと、そして、スクールアイドルになることを黙って欲しいみたいですし、それよりも、スクール水着で踊っているところ、大きなお友達のえさにしてほしくないですしね」

というと、続けてあることを言う。

「あと、これまでアップした動画はすべて非公開にしておいてくださいね。過去、九たちが踊っているところを盗撮して動画を動画サイトにアップしていたでしょう。私にはわかりましたよ。だって投稿した人の名前、「スノースパイク」、これ、直訳すると「雪穂」ですよね。雪穂先生が投稿していたことがすぐにわかりましたよ。私、理系は得意なんですよ。とくに電子系にはね」

これには雪穂、

(理系、電子系、それ、ネットとまったく関係なくない)

と、ツッコミそうになるも、春の雰囲気からして言えず。

 そして、春はあることを言った。

「あと、私たちが踊っているところを映した動画データ、こちらで預かります。また勝手に投稿されたらまずいですからね。時期をみて、私が動画を投稿しますからね。複製なんてしないでくださいね」

 これを聞いた雪穂、心の中ではこう思った。

(もう春には逆らえないな)

と。

 というわけで、スノースパイクこと雪穂が投稿した九たちが踊っている動画は非公開、というより削除された。また、その動画データは春によって管理されるようになった。雪穂、とほほの巻であった。

 

 が、これに反応したのが、なぜか、多恵の父、建造だった。

「ほう、多恵が踊っている動画が消されたとな」

と、建造が部下に言うと、その部下はすぐに、

「でも、それがなくなったお陰で多恵お嬢様が地元の人と一緒に楽しんで踊っているといういかがわしい噂が発生しなくなります。多恵お嬢様はもっと尊厳をもって地元の人と接するべきです」

と言うと、建造、

「それは違うな。地元の人とふれあうことこそ、リゾート開発をすすめる上で大切なものである。それに、これは企業のイメージアップにもつながる。それこそ大事である」

と言うと、部下、

「それは失礼しました」

と謝る。このとき、建造は、

(多恵よ。もっと地元の人とふれあい、そして、リゾート開発の賛同者を増やすのだ。我が野望のためにもな。ハハハ)

と思っていた。が、これがのちに別の意味で建造に危機をもたらすのは別の話である。

 

 ちなみに、春が雪穂から奪った、いや、預かった動画データはこのあと行われた九龍祭りで九たち「アイランドスターズ」が華麗にデビューしたあと、春が責任をもって再び動画サイトにアップした。九たち「オータムウインド」、たい子たち「ウインターガーデン」はそのままアップしたが、やっぱり星子たち「スプリングコンタクト」はスクール水着で踊っているのでアップするのはやめた。そのかわり、星子、氷、春はジャージ姿で「スプリングコンタクト」を再び歌い踊っているところを再び撮り、その動画をアップすることにした。さらに九龍祭りでの「サマーフェスタ」も撮っていたので、その動画もアップした。

こうした動画をまとめたチャンネル、「アイランドスターズチャンネル」は春の手で運営することになる。そして、建造が差し向けた前回のラブライブ!優勝グループ「バックスター」を九たち「アイランドスターズ」が九龍祭りにて退けたことがネットで話題となり、これらの動画の再生回数が大幅に増えていった。で、このときの莫大な広告収入が春のもとに転がりこんできた。それで、春はそれを自分のために使わず、九たち「アイランドスターズ」の活動資金にした。これがこの後、ラブライブ!決勝の遠征費用にも利用されていたとは春のみにしか知らないことだった。さらに、これから続く九龍高校スクールアイドル部の資金もここから出ていることも。そう思うと、天王寺春、裏のリーダー、財政担当大臣、といってもいいかもしれない。

 

 そして、九たちと星子の対決、そして、3年生の加入があった日から数日後。

「なんなんですか、この計画性の無さは!!」

星子は怒っていた。なぜなら、これまで九たちスクールアイドル部の練習は行き当たりばったりだったのだ。九がやりたいことをまずやる。それが当たり前だった。雪穂も雪穂でこれまでスクールアイドルを指導したことがないみたいで、こちらも九のやりたいことを追認するぐらい。というわけで、ザルみたいな計画性の無さをしった星子はスクールアイドルについて調べて、いや、研究していた春の監修のもと、自ら進んで練習計画を練っていたのだ。

「当面の目標は秋の大祭、九龍祭りでの新曲披露です。それまでは少しでもさまにならないとね」

と、星子が言うと、その隣にいた氷は、

「でも、スクールアイドル部に加入したけど、大丈夫?」

と、心配そうに言うと、星子、

「それは心配ありません。あのとき、春と氷から言われた一言で踏ん切りがつきました。私は私。おじいさまのいうことには縛られず、普通の少女として、そして、スクールアイドルとして活躍していきます」

と言うとともに、

「おじいさま、一度だけの裏切りをお許しください」

と、そっとつぶやいていた。

 これを見た春は星子、そして、氷に優しく語った。

「きっと大丈夫だよ。後悔なんてしないよ。だって、私たちは全員で1つになれたのだから」

これには星子、氷、ともに力強くうなずいていた。

 そんなとき、

「星子ちゃん、この雑誌、借りていい?もっとスクールアイドルについて勉強したいんだ」

と、九がいきなりスクールアイドルを扱った雑誌を手にあらわれると、星子、

「大事に扱いなさいよ。それは大事な資料ですからね」

と、大きな声で言った。結局、星子が閉架図書のある部屋にファッション雑誌やスクールアイドルの雑誌を隠していたことは九たちにばれてしまった。そこで、星子は閉架図書の棚を整理して、別々のところに隠していた雑誌を1箇所に集めて九たちに解放した。閉架図書のある部屋はこれまで星子や氷しか入れなかったが、これからは九たちも入れるようになった。それはまるで星子の心みたいなものをあらわしているかのようだった。

 星子は思った。これから先、いろんな苦難があるかもしれない。だって、これまでは自分の心は中から鍵がかかった、心の中を閉じた状態だったと。それが解き放たれたからこそ、これまでわからないことが起こるかもしれない。けれど、それでも大丈夫だと。だって、自分には氷や春がいるのだから。そして、九たちと一緒にいれば、きっと楽しい新しい未来が開けるのだと。

 

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