ラブライブ!Ω/UC 外伝 ラブライブ!アイランドスターズ!!    作:la55

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スピンオフ BSS~Back Star’s Story~bigins
BSS~Back Star’s Story~bigins 第1話


BSS~Back Star’s Story~bigins

 

 2024年4月―。

ヒューヒュー

「なんていい風。とても気持ちいい。やっぱりここはいつきても気持ちいい風がふくね」

その少女は舵引き丘と呼ばれる丘に立っていた。ここは九龍島が生まれた地といわれ、また、遠くは沖縄や奄美本島が見えることでも有名なところだった。そして、島風がふくことでも有名だった。

 丘に立つ少女、名を伊藤ルナという。17歳、4月に高校3年生になったばかりである。今は九龍高校の3年生。けれど、先月まではすでに廃校となった土居建造記念高校の2年生だった。

 そして、彼女こそ、前年度のラブライブ!夏季大会で優勝し、つい先日までスクールアイドルのトップに居続けたスクールアイドルグループ、バックスターのリーダーだった少女

である。

「ちょっと、ナレーターさん、だったは余計です。今でもバックスターのリーダーは私、ルナです」

と、ここでルナからきついツッコミがきたところで…、本題に戻ろう。

 ルナは島風にあたりながら、何を考えるように言った。

「私は先日、建造様を失うなどして、地位、名誉、お金、その他いろいろ、すべて失った。けど、それでも今を生きている。それは九たちがいるから。九たちが私を助けてくれた。だから、今、ここにいる。じゃ、今までどうやって生きてきたのか。それは建造様のお陰です」

ルナはその言葉をかみ締め、(とても長いが)自分の過去を振り返った。

 

「ことのはじめは中学3年生の卒業のときかな」

ルナはその中学3年生のときのことを思い返していた。

 伊藤ルナ、中学3年生。とある地方のローカルアイドルの研究生として活動していた。そのローカルアイドルはその地方ではほかのローカルアイドルをも圧倒するほどの知名度を誇っていた。

 そんなルナがそのローカルアイドルに研究生として入ったのは中学1年のときだった。

「私、アイドルとして輝きたい」

そう思ってルナはローカルアイドルのオーディションを受けて一発合格してしまった。そのときの審査員はルナのある点にひかれて合格させたと言った。その点とは…。

「え~と、この曲ですが、このように踊ってください」

と、ダンスを教えるコーチはローカルアイドルのメンバー全員の前で曲の振り付けを1度してみる。だが、メンバーからは、

「これ、短い時間で覚えるのって難しい」「だめだ、できん」

と、諦め顔、なのだが、その翌日…。

「これでいいですか」

と、ルナはすましてみんなにその曲の振り付けを見せる。これを見たダンスの先生、

「えっ、完璧じゃない。これ、たった1日の練習ではできないものよ。上位レベルのダンスだよ」

と、ビックリしてしまう。でも、ルナにとって朝飯前だった。特に小さいときからダンス練習を受けていたわけではない。小学校の義務教育でダンスを少しかじっただけだった。だが、ルナにとって、昨日、少し練習しただけで上級クラスのダンス(振り付け)をマスターしたのだ。

 さらに、こんなことまで。歌の先生から、

「え~、それでは歌ってみましょう」

と、新曲の歌唱練習をするメンバーたち。だが、先生からは、

「そこ、ちょっと声が小さい」

「こらっ、もっとおなかから声をだす」

と、罵声が飛びまくる。

 ところが、ルナが、

「~♪」

と歌うと、その先生から、

「なんて素晴らしいのでしょう。みんなもルナさんみたいに上手になりましょう」

と褒めるばかり。もちろん、ルナは少し練習しただけだった。特に努力しているわけではなかった。

 この例でもわかるように、ルナは天才肌だった。なので、ルナは少し練習しただけですべてをマスターできる。上層部からすればいわば金の卵なのである。その意味で、加入した当時は上層部からは「将来のセンター」と目されていた。

 そして、ルナはルナで少しの練習で、

「とても上手だね」「少しはルナを見習わないと」

と、先生たちからも褒められるごとに、

(やっぱり、私、天才だね。少ししか練習してないのに、すべてマスターできる。これは私しか与えられていない才能だよ。私こそ天才にふさわしいんだね)

と、思っていた。なぜなら、ルナは小さいときから天才だと認識していたから。

「は~い、ルナちゃん天才ですね~」

幼稚園のとき、絵のコンクールで最優秀賞をとるなど、ルナは小さいときから遺憾なく天才を発揮していた。そのため、まわりからは、

「ルナちゃんは天才だね。大物になるよ」

と言われ続けていた。その都度、ルナは、

「私は天才なんだ」

と、天狗になっていった。そして、中学に入ってから初めて見たローカルアイドルのライブを見て、

「私、アイドルになって輝きたい。そして、天才的アイドルとしてすぐにセンターになってやる」

というなんという野望を持つようになった。実際、オーディションには一発合格し、はれて研究生としてローカルグループの仲間入りを果たした。

 のだが、中学3年生になっても研究生のままだった。これには理由があった。

「ルナさん、とても上手ですよ。やっぱり天才ですね」

と、先生から褒められるルナ。

「いやぁ、天才ですから」

と、わざわざ天才であることを自慢げに放すルナ。その横では、m

「また、ルナを称える会が始まったよ」

と、嫌味を言うメンバー。だが、これはこのメンバーだけではなかった。そのにいるメンバー全員、

「ルナだけ褒めてどうするんだ」「ルナが図に乗るだけだよ」

と、あまりルナに対していい印象をもっていなかった。ちなみに、ルナを称える会とは、天才であるルナに対して褒めて褒めちぎる、そんな隠語的なニュアンスがはいっていた。 

 こうして、ルナに対していい印象をもっていないメンバーはルナに近づいてくるたび、

「天才的なルナさん、今日はどれくらい褒められたのかしら。もしかして、私たちが叱られることを喜びにしているのかしら」

と、ルナに対して嫌味を言う。でも、普通の人はそれを無視するのだが、ルナは違っていた。ルナはこれを言われると、すぐに、

「あれ、またも怒られたのですね。それはあなたが努力不足だからですよ。それに比べて、私は天才だから、少しの練習でも完璧に踊れるのですよ。そんな天才の私と比べてあなたは…」

と、相手を見下すように言うルナ。そう、ルナは自分が天才でゆえに、相手を見下すくせがついていた。

 これにより、ルナとそのほかのメンバー全員とは軋轢が生まれていき、それは日がたつごとに深くなっていった。ルナが2年たっても研究生のままである理由、それはほかのメンバーとのあいだに深い溝があり、アイドルグループとして必要な仲間との和を結べていないところにあった。

 そして、その軋轢はついに修復不可能なところまでになっていく。ルナがちょうど学校からローカルアイドル専用練習場に来るとき、練習するためのシューズを置いてあるロッカーにルナが行くと、そこには…。

「きゃー、なになの!!」

ルナは叫んだ。そこにあったのは臭くなった雑巾などの掃除道具、そして、

「私に靴…」

と、ルナが呆然になるほど切り刻めたルナの靴だった。これにはルナ、

「誰かやったんでしょ!!」

と、ほかのメンバーをじっと見つめると、そこに、

「あれ、ルナちゃん、今から練習。ごみだめみたいなロッカーからいかがわしい靴をだして練習するの。それってアイドルとしてやっていいのかしら。アイドルは誰からも好かれないといけないのよ。なのに、ルナちゃんは汚いままでするのですか」

と、主犯格らしきメンバーがこう言いながら登場する。すると、ルナ、

「なんだと~」

と言ってそのメンバーに食いかかるが、そこから、

「ルナ、先輩に対してその口の言い方はいいのか」

「少しは先輩の言うことを聞きなさい」

と、そのメンバーの子分らしきメンバーからそういわれるとすぐにルナを羽交い絞めする。

「やめなさい、やめなさい」

と、ルナは抵抗するも、

「少しは反省しなさい」

と、ルナを練習場から追い出してしまう。結局、ルナはその日練習を休んだが、こんなルナいびりはこれで終わりではなかった。ルナが近づくと必ずその都度ルナに嫌がらせをするメンバーたち。それに対して嫌な顔をして反抗するルナ。ときにはバケツの水をそのままルナに浴びせることまで起こった。

 そして、ついにはルナの堪忍袋の緒が切れた。

「このままじゃ埒が明かない。上層部に訴えてやる」

そう決めたルナはついに上層部に訴えた。

「私、ほかのメンバーから嫌がらせを受けています。やめさせるようにしてもらえませんか」

 だが、この訴えに対して、上層部の意見はルナの想像していたものとは逆だった。

「ルナ、それは君が悪い。たしかにルナは天才的な才能がある。だけど、一番大切なものが欠けている。それはみんなと合わせることだ。ほかのメンバーが嫌がらせをするのは、ルナがみんなに合わせることをしないためだ。自分は天才だからすぐできる、ほかのメンバーは努力していない、そういつもメンバーのことを見下している。それをまずやめなさい。そして、みんなと合わせることでそのいじめもなくなる。まずはルナ、君から変わりなさい」

 これにはルナ、

(なんでなんだよ。私が天才なのが嫌なの。なんで自分がみんなと合わせないといけないの。私は天才なんだよ。みんな私に合わせるべきなんだよ。それが近道なんだぞ)

と、憤慨しようとするも上層部の意見は変わらないと見えて、ルナは何もいえないまま上層部のいる部屋をあとにした。で、これはあとからわかったことだが、上層部は当初ルナが加入したときは、天才的な才能の持ち主として未来のセンターとして期待していたが、ルナが中3になるころには、単なるわがまま娘としかみていないらしく、お荷物と見られていた。これがルナが2年所属してもいまだに研究生のままであるもうひとつの理由である。 

上層部に訴えた翌日、ルナはついに中学卒業と同時にローカルアイドルも卒業することを決める。もうルナのことを同情してくれるメンバーや上層部はいない、孤立無援であると悟ったからだった。

「もうアイドルなんてやらない。もっと別のことをしてやる」

ルナはそう思うと、上層部に退職願みたいなものを書いて、それを上層部に叩きつけようと考えていた、そのとき。

「ルナさん、お手紙です」

と、ルナにある手紙が届く。ルナは差出人を見る。すると、

「土居建設?」

ルナは不思議に思った。自分と建設業界、まったく縁のゆかりもないところからなぜ手紙がきたのか。だが、とうのルナは、

「もしかして、何があるのかな?」

と、不思議と縁を感じて、その手紙に指示された日時、場所に行くことにした。

 

「お待ちしておりました、伊藤ルナさま」

3月のある日、ルナはその手紙に書かれた町の喫茶店に行くと、そこには全身黒尽くめの男が待っていた。

「で、私に何のようですか?」

と、ルナはその男に尋ねると、

「実はルナさまにある高校に入学してほしいのです」

と、はっきりとその男は答える。が、あまりにも怪しすぎる男に見えたため、ルナは、

「でも、私はずでに地元の私立高校への進学を決めています。なのに、なぜ、今となって別の高校にいかないといけなのでしょうか」

と、はっきりと答える。ルナはこのときすでに地元の私立高校への進学を決めていた。アイドルとは関係ない、自分のことをまったく知らない人たちがいく高校に。

 だが、その男はルナに対しあることを言った。

「実はルナさま、あなたのアイドルとしての才能を見込んでのお願いなのです。ぜひ、うちの高校に入学してください」

が、あまりにも怪しすぎる男に対しルナはこう思った。

(私のアイドルの才能を買っている。もしかして、私のことをスカウトにきたのかな。でも、それっておかしいよね。だって、ローカルアイドルとしてはお荷物と言われていたのよ。そんな私をスカウトなんて、もしかすると、スカウトと称してAVまがいなことをさせるんじゃないかな)

 そして、ルナはその男に対して強くこう言った。

「で、お荷物と言われた私をスカウトする人って誰なんでしょうね?」

 すると、この男はすぐに、

「あっ、これは失礼いたしました。実は私はこういうものです」

と、ルナに名刺を渡した。

「なになに、土居建設スクールアイドル課スカウトエージェント…」

その名刺を見るなり、ルナは不思議に思うと、すぐに、

「なんで中堅の建設会社の人がわざわざ私に?」

と、その男に対してルナは質問した。ルナは土居建設の名を知っていた。大手ではないが、中堅の建設会社。そんな認識だった。でも、なんでそんな会社がアイドルとしてスカウトにきたのか、それがルナにとって疑問だった。

 だが、その男は堂々と答えた。

「実は私どもの会社はスクールアイドル、そして、スクールアイドルの甲子園「ラブライブ!」を応援しております。そして、このたび、うちの会社の系列にあたる高校でスクールアイドルグループを作ることになりました。そこで、そのメンバーとしてルナさまをスカウトにきたのです」

 これを聞いたルナ、

(スクールアイドル?それって高校生が一緒になってグループを作ってアイドルみたいなことをまねるのでしょ。スクールアイドルって素人の集まりでしょ。そんなものに私がなるわけ。バカにしないでよ。私は超一流なのよ。天才なのよ。それが素人の集まりに参加ですって。本島にバカにしないでよ)

と、考えてしまい、

「あの素人みたいな集まりに参加する義理はありませんけど」

と、ルナは答えてしまう。

 それに対し、その男はスマホを取り出し、1つの動画を見せる。

「これが素人に見えますか?」

その動画をルナが見ると、一瞬で驚いた。

(えっ、これって素人なの?そんなに見えない、トップアイドル並みだよ)

ちなみにその男が見せた動画はA-RISEの「Private wars」だった。

 そして、この男は言った。

「この動画に映っているグループの名はA-RISE。もう知っていますよね。今やA-RISEは日本を代表するトップアイドルです。でも、最初はスクールアイドルとして出発しています。スクールアイドルと思って侮っていると痛い目にあいますよ。スクールアイドルのなかには日本のトップアイドルに引けを取らないぐらいの実力を持ったグループもいるのですよ」

 この言葉にルナ、

(知らなかった。まさか素人同然のスクールアイドルと見ていたけど、なかにはトップアイドル並みの実力を持つグループもいるんだね)

と驚いていた。

 で、その男はルナにお願いを言った。

「ルナさま、私たちは日本のトップアイドル以上の実力を持つスクールアイドルを作りたいと思っております。そのためにも、ルナさま、ぜひ私たちのところに来てください。ルナさまの才能、実力をもってスクールアイドルのトップ、いや、日本のトップアイドルになりましょう」

これにはルナ、

(これは!!)

と、一瞬傾くもすぐにあることを尋ねる。

「でも、トップにあがるにはいろいろ必要じゃない。コーチ、練習場などなど」

これにもその男は真摯に答える。

「それは大丈夫です。超一流のコーチ陣、超一流の練習設備、これらは保証しましょう。さらに、ルナさまにはこれから結成されるスクールアイドルグループのリーダーをお任せしたいと思っております」

この答えにルナ、

(えっ、超一流のコーチ陣に設備、凄いじゃない。それよりも、私がリーダーなんて、なんていい響き~)

と思うと、すぐに即答する。

「わかりました。行きましょう。私の力でトップアイドルに押し上げましょう」

これに男は、

「それはありがとうございます。それでは、後日、詳細な資料をお送りいたします。なお、入学料、授業料などはいりません。特別奨学生として入学していただきます。あと、寮での生活となりますので、入学式のある日までにはお荷物はまとめておいてください」

と、ルナに言った。このとき、ルナは、

(これで私の実力が発揮できる場所が見つかった。これで私は怖いものなしよ)

と、思っていた。

 

 そして、高校の入学式の日。ルナが入学する高校の名は土居建造記念高校。企業が創立した高校で、土居建造とはその企業、土居建設の社長の名らしい、ルナはそう思っていた。

 で、入学式のあと、ルナは貴賓室に呼ばれた、とある人物に会うために。

「失礼します」

ルナは扉を開いて挨拶すると、そこに待っていたのは中年ぐらいの大男だった。その大男はすぐに、

「ああ、君が伊藤ルナ君だね。噂はかねがね聞いているよ。私の名前は土居建造。これでもこの高校の理事長をしている。そして、土居建設の社長もしている」

と、大男こと、土居建造はルナに挨拶した。ルナはすぐに、

「はじめまして、伊藤ルナです」

と、土居建造に挨拶した。

 建造はすぐにあることを言いだした。

「ルナ君、君のことはいろいろと調べさせてもらった。ある地方のローカルアイドルグループに加入するも、あまりの天才的な才能のせいでほかのメンバーとの軋轢が生まれて、それによって、ほかのメンバーのあいだに深い溝ができた。それにより、ルナ君、君に対するいじめが増発し、それを上層部に言うも、「みんなと合わせない君が悪い」の一言で門前払い。結果、君は孤立無援となって中学卒業と同時にそのグループを卒業した」

これを聞いたルナ、

「よくご存知ですね。相当私のこと、調べているのですね」

と建造に言った。ルナはこのとき、

(ストーカー?なにか私のこと、よく知りすぎてない)

と、建造を疑っていた。

 が、建造はあることを言う。

「でも、それって君が悪いんじゃなくて、そのローカルアイドルのほかのメンバー、それと上層部が悪いんじゃないかな。だって、本当なら少し練習すればものになる君の才能を活かそうとするべきものを才能があまりないほかのメンバーに合わせなさいって、それっておかしくない」

これにはルナ、

「えっ」

と驚く。まさか自分が悪いんじゃなくて、相手のほうが悪いと言うなんて。建造の話は続く。

「天才には天才のための舞台があるものだよ。私は保証しよう。ルナ君、君にはその舞台を用意しよう。超一流のコーチ陣、超一流の設備、それを約束しよう。これはこの学校の理事長である、この私、土居建造の名において約束しよう。そして、君にはトップアイドルになるための支援を惜しみなくおこなおう」

 これにはルナ、

(超一流のコーチ陣や設備については前に聞いたけど、私がトップアイドルになるための支援もしてくれる。それって、私のパトロンになるってことだよね。一企業の社長が自ら支援してくださるなんて、こんなありがたいことはないよ)

と思うと、すぐに、

「わかりました。この私、伊藤ルナは一日もはやくトップアイドルになりましょう」

と答えた。このとき、ルナは、

(私の才能をかっていただくだけでなく、トップアイドルになるための支援すらしていただく。なんて、土居建造、いや、建造様~。私は一生ついていきます)

と、心の中ではそう思っていた。

 

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