ラブライブ!Ω/UC 外伝 ラブライブ!アイランドスターズ!! 作:la55
だが、その心配は現実のものとなった。奏はこの後、体調不良をおこし、入退院を繰り返していた。だが、建造は仕事に忙しくて奏や多恵の付き合いができない。多恵に関しては奏のかわりにベビーシッターを雇って、そのベビーシッターが多恵を育てていた。建造はわかっていた。奏は無理して多恵を生んだ、そのために弱い体をさらに弱くなったのだと。
そして、2008年。
「えっ、奏が倒れた!!」
建造は奏に付き添っていた看護婦からの突然の電話で奏が倒れたことを知ると、このあとの仕事をすべてキャンセルして家に戻った。
「奏、大丈夫か。ちゃんとしているか」
と、奏のところに駆け寄るも、奏は、
「だ、大丈夫ですよ。心配しないで」
と、弱弱しい声で答える。これには建造、
「あまり無理をするな。ほら、ベッドに戻るぞ」
と、奏をベッドに戻そうとする。
が、
「私はベッドには戻りません」
と、奏、頑固に拒否。そして、
「ピアノのところに連れていってください」
と、奏は家にあるピアノのところに連れてってほしいと建造にお願いすると、建造、
「わかった」
と、奏をおぶって家の中にあるピアノのところに連れていく。
そして、ピアノの前にある椅子に奏を座らせた建造はすぐに、
「奏、ピアノだぞ。なにがしたいのだ?」
と、奏に聞くと、奏、
「ちょっとピアノ、弾きたいの…」
と言うと、建造はすぐに鍵盤の蓋を開けた。
すると、奏はある曲を弾いた。
♪~
この曲を聴いて建造はすぐに気づいた。お見合いのときに弾いた曲だった。
「奏、おまえ…」
と、建造が奏に言うと、奏、
「覚えていますか。お見合いのとき、この曲を弾いてあなたは褒めてくれましたよね。私、嬉しかった。だから、私はあなたと結婚したの。そして、私はいつまでもあなたのことを愛しています。これからもずっと…」
と言うと、すぐに奏は鍵盤によりそうように倒れてしまった。
「奏、奏、かなで~」
と、建造は倒れた奏を抱きしめ、いつまでも呼び続けていた。
その後、建造は奏を病院に連れて行くも、助からず、帰らぬ人となった。
「奏、奏…」
と、奏の葬式のとき、まるで魂が抜けたみたいになっていた建造にさらなる悲劇が訪れる。
まず、2008年、リーマンショックが起こる。これにより、社会全体で企業の資金繰りが悪化してしまった。特にバブル崩壊などで社会全体での建築費が減らされたことで、工事費用が安くなってしまっていた建設業者に強烈なダメージを与えた。
そして、2009年、政権交代により、「コンクリートから人へ」を合言葉に国などが公共事業を削減した結果、建設業者の仕事も減ってしまう。
これらのことにより建設業者の倒産・廃業が相次いだ。むろん、建造の会社、土居建設もその影響をもろにかぶってしまう。建造は必死になって無駄なコストを削ったり、出来る限り工事を受注しようとするも、限界を迎えてしまい、結果、会社始まって以来のリストラを敢行。それにより土居建設はなんとかこの窮地を乗り越えた。それでも建造はリストラした社員の斡旋などに尽力した。
そして、この危機を乗り越えたあと、建造は家で多恵と遊んでいた。
「多恵、奏が残してくれた唯一の宝。俺はこの子になにをすることができるのだろうか」
と、建造は多恵を見つめてこう言った。すると、突然、
「それはいいことじゃありませんか。あなたのかつてのパートナーの夢を引き継ぐなんて素晴らしいことじゃありませんか」
と、昔、自分の夢について語ったときの奏の様子と多恵を重ね合わせてしまった。
「奏!!」
と、建造が叫ぶも、そこにいるのは多恵のみ。これには建造、
「う~ん、幻想か。俺も年かな」
と言う。
だが、すぐに建造は悟った。
「いや、これは奏が俺に残してくれた伝言だ。自分の夢のため、昔のパートナー大地の夢のために前に進めという暗示なんだ」
そして、建造は多恵を見てあることを決めた。
「もしかすると、俺もこれから先、いつ死ぬかわからない。それでも俺の夢は誰かに引き継ぐことができる。九龍島に一大リゾート地を造る。大地の夢を俺が引き継ぎ、それを奏は褒めてくれた。そんな夢を引き継ぐのは、俺と奏の子、多恵なのかもしれない。俺は決めた。もしものときのために、俺は多恵に俺のすべてをおしえてやる。いや、帝王学だ。どんなことがあっても、その帝王学をもって多恵が俺のかわりにその夢を叶える。俺は多恵をそんな子に育ててやる!!」
この後、多恵はすぐに有名私立幼稚園にはいり、帝王学を学ばせたという、建造の夢を叶えるために。ただ、それはまだ幼い多恵を見てまわりからは苦痛に見えたが、多恵にとってはまだ物心もついていなかったので、そんなことあんまり考えていないようだった。
危機があれば必ずチャンスは訪れるものである。そのチャンスが建造、そして、土居建設にも訪れようとしていた。
まず、1つ目は2011年に起きた東日本大震災をはじめとした自然災害の続発だった。これにより、全国各地で災害からの復旧及び復興工事が必要となり、建造は災害が発生するたびに率先して復旧及び復興工事できるように努めてきた。そのため、全国各地で土居建設は災害が起きるたびにすぐに災害の復旧及び復興工事を手がけるようになった。なおなぜ即急にその工事を手がけることが出来たのかというと、建造がどんなことがあってもすぐに現場へ向かえるよう日頃から準備していたということもあるが、奏の父、大物政治家とのパイプはいまだに健在であり、全国各地の必要となる情報がその大物政治家経由で建造のもとにいつでも届いていたこともあった。
さらに、2020年に東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定すると、日本全体の必要とされる工事量(需要)がものすごく多くなり、リーマンショックと政権交代でかなり縮小されていた建設業界(供給)では全部をまかなえきれない、つまり、需要が供給を追い越す事態となり、建設会社はどこも人手不足に陥っていた。建造はそれに対処するため、数年前にリストラした従業員たちを呼び戻したり、さらには女性の起用を増やしたり、できるかぎりの作業の効率化などして、工事にかかわる人員を出来る限り少なくしようとした。こうした対応で、建造は迫り来る需要に対応とした。だが、一企業がこんなことをしても業界全体としてはまだすべての需要に対応し切れていないのにはかわりなく、それが工事費用の増加へとつながってしまう。それでも工事は必要なので、土居建設としては売上は年を重ねるごとに増えていった。
そして、2つ目は建造とラブライブ!が邂逅したことである。それは2014年3月末、建造が秋葉原で行われる会合にでるために車で向かっていたときのことだった。
「ふ~ん、最近μ‘sというスクールなんとかがはやっているのかね」
と、後部座席に座っていた建造が運転手に言うと、その運転手は、
「建造様、スクールアイドルですよ。ここ最近若者たちのなかでブームになっているみたいです。そして、そのスクールアイドルていうのはみんな一般の女子高生ですよ。でもって、この近くにあるUTX学園にはA-RISEていうとても有名なスクールアイドルがいるんですよ。そして、今1番輝いているのがμ‘sですね。先日ニューヨークでの生中継ライブが成功したことでその人気がものすごいことになっています。たしか、A-RISEもμ’sもスクールアイドルの甲子園、ラブライブ!となるものに優勝しているみたいですね」
と言うと、建造、
「ふ~ん、そうか、ラブライブ!ね…」
と、なにも考えずに返事だけ返していた。
が、車は何分たっても動かない。
「おい、まだ動かないのか。もうすぐ会合が始まるではないか」
と、建造は運転手に向かって怒って言うも、運転手、
「それは仕方がないことですよ。だって、このあたりすべて渋滞していますもの」
と、諦めムードで言うと、建造、
「なんだって。なぜなんだ?」
と、運転手に理由を求めると、運転手は、
「だって、今日はそのスクールアイドルたちがスクフェス?スクールアイドルフェスティバルというものを秋葉原一帯で行っていますもの。ものすごい人気ですし、仕方がないですよ」
と、あっさり諦めの表情。これには建造、
「だったら歩いて会合に向かう」
と、さっさと車から降りてしまった。
「こんな忙しいときにイベントなんて聞いたことがない。それだったら会合を秋葉原以外でするべきだった」
と、建造は歩きながら怒っていた。だって、このスクフェス、μ‘sとA-RISEが中心となっていきなり決まったイベントなのだから。なので、会合の場所をすぐに変えるのは難しいのである。
そんな建造であったが、歩いている途中で、どこからか、
「ラララ~ ラララ~ ララララララララ ラララ~ラララ ララララ ララララ ラ~ララ」
と、美しい歌声が聞こえてきた。
「なんなんだ、この歌声は!!」
と、建造はその美しい歌声がする方向へと走り始めた。
そして、建造はその歌声が奏でているところにたどり着く。そのとき、あまりにもすごい光景に、
「す、すごい…」
と、建造は圧倒されてしまった。なぜなら、その場所では、
「~♪」
と、μ‘sを中心に100名以上ものスクールアイドルたちが一緒になって「SUNNY DAY SONG」を熱唱していたのだ。それだけでも圧倒されるのだ。だが、それ以上にそれが1つのグループμ’sを中心に元気よく楽しく踊っているのだ。こんなものを見せられては缶化しないのだろうか、いや、感化される!!(反語!!)。
「これがスクールアイドルなんだ。1つの曲を全員で行うなんてすごいの一言でしかない。そして、こんな大きなイベントも女子高生だけの力で行うなんて考えられない…」
と、建造はスクールアイドルたちのすごさを実感していた。このとき、建造は心の中で、
(私はこれまで大地と俺の夢にむかって仕事のみにまい進してきた。しかし、それだとどうしてもまわりからは仕事人間としか見られない。まわりからは面白くないと見られているかもしれない。もうそろそろほかのことでもやっていかないとやばいかな)
と思う。実際、建造は仕事のためだけに生きてきたものだった。大地の死後、その大地の夢を引き継ぎ、仕事にのみ情熱を傾けていた。それは奏がいるときもそうだった。仕事のために建造は家にあまり帰っていなかった。それでも奏はなにひとついやな顔をしなかった。さらに、奏がいなくなり、娘の多恵1人残してもそれは変わらなかった。仕事人間建造、まわりからはそう見られていてもおかしくはなかった。
そんな建造のなかにあるものがひらめいた。
(そうだ、この機会だ、スクールアイドルというものに係わっていくのもいいかもしれない。だって、こんな大きなイベントを成功させるくらいのものすごいパワーがあるのだから。そして、スクールアイドルはこれからどんどん成長していく。どんどん世界を広げていく存在になるはずだ)
そう、建造は思い始めていた。これまでの人生を振り返ると仕事ばかり、それではいけないと思ったそのとき、スクールアイドルと出会った、なにかの運命だったのかもしれない、建造にとっては。
そんな建造、思い立ったら吉日なのか、スクフェスが行われた日の翌日、自らの足でラブライブ!の運営本部に行き、そのまんま建造自らその本部長に直談判した。
「お願いします!!ラブライブ!を支援させてください!!」
建造の直談判に本部長も、
「そ、それは、そうですか…」
といわざるしかなかった。が、本部長はすぐに心を入れ替えて建造にその理由を聞く。
「で、土居建造殿、どうしてラブライブ!を支援したいのですか?」
これには建造、すぐに、
「昨日のスクフェスでスクールアイドルたちが100名以上で一緒に踊っている姿を見ました。それは圧倒の一言しかなかった。私はそれに感化されました。私はスクールアイドルを応援したい。そのためにもスクールアイドルの甲子園というべきラブライブ!をまず応援したいと思っております」
と、素直に答えた。
それを聞いた本部長はさらに建造に聞く。
「そうはそうですね。ところで、土居建造殿、あなたはこれからスクールアイドル、そして、ラブライブ!がどうなっていくのか、どんなふうに考えていますか?」
これにも建造はすぐに素直に答えた。
「私にとってスクールアイドルは日本中、いや、世界中に広がっていくと思います。それにつれて、スクールアイドル文化はさらに成長すると思います。また、ラブライブ!もそれにあわせて成長、拡大していくことでしょう。そんなとき、私の会社、土居建設はスクールアイドルとしてラブライブ!の裾野を広げていくお手伝いをしたいと思っております」
これを聞いた本部長、
「わかりました。あなたの心意気、感激しました。私からもお願いします。これから一緒にラブライブ!、そして、スクールアイドルを盛り上げていきましょう」
と、建造と手をとりあって御礼を言った。
そして、なぜか建造は多恵にもスクールアイドルになってほしい、と思っているのか、突然、ピアノやダンスを習わせ始めた。これには多恵、
「もういつもの勉強(帝王学の勉強)でも大変なのに、それに加えてピアノやダンスの習い事をしないといけないなんて、これじゃ友達と遊べないじゃない」
と、思っていたのか嫌がっていた。
が、建造にとってはこのことについて、のちに、
「私はこのとき、スクールアイドルと私の妻、奏を重ねたのかもしれない。音楽の好きなスクールアイドルと同じくピアノが好きだった奏。多恵にもそうなってほしいと心のどこかで思っていたのかもしれない。べつに多恵にスクールアイドルになってほしいと思っていなかった。けれど、多恵には妻の奏と同じくらい音楽などに興味をもってほしかった。それが私の本心だったのかもしれない」
と、語っていた。
こうして、建造とその会社土居建設はラブライブ!のスポンサーとしてラブライブ!に出資するようになる。ラブライブ!運営本部は土居建設などのスポンサーから獲たお金でラブライブ!を拡大していく。世の中の声援を受けて、秋葉ドームでの開催を毎回行われる(1度だけ博多ドームで開催したけど)ようになっていく。ただ、参加賞が2色ボールペンなのは抜きにして。たとえ東海予選を突破しても3色ボールペンにはなりませんのであしからず。
さらに、建造はスクールアイドルのイベントには協賛として、そのイベントに出資していく。こうしていくことで、ラブライブ!、そして、スクールアイドルは成長していき、日本中、世界中へと広がっていく。その陰には建造のラブライブ!、そして、スクールアイドルへの熱意がこもっていたのかもしれない。
だが、建造のラブライブ!、そして、スクールアイドルへの熱意は思わぬ副産物をもたらした。そのイベントを通して、教育業界やそれをつかさどる中央省庁、文科省と深いパイプ、人脈を建造は築くことができた。それが、建造にとって大きなプラスになっていく。