ラブライブ!Ω/UC 外伝 ラブライブ!アイランドスターズ!! 作:la55
そして、10月、建造はバックスターのファン離れが確実に進行していることを知らず、バックスターを使った露骨な広告戦術をそのまま実行していく。
そんななか、建造に悪いニュースが次々と飛び込んできた。
まず、多恵率いる九龍島土地買収部隊から、ようやく約半数の世帯から買収同意書を得ることができたとの情報が届く。だが、建造はそれについて嬉しくなかった。なぜなら、
「半年でようやく半分。それだと遅すぎるんだ」
と。実は中央省庁からは
「できるだけはやく着工しろ」
とのお達しが建造のもとにきていたのだ。IR施設の認定第1号と第2号はすでに第1期工事は終了しあとはオープンを残すのみだった。それに対し、第3号の九龍島はいまだに土地買収にてこずっている。これだと国としては肝いりで始めた事業としてはメンツ丸つぶれになってしまう、そんな危惧から中央省庁は慌てて土居建設にはやく着工するようにとのお達しをだしたのだ。
そして、土居建設の内情なのだが、次のことが発生した。先日、建造に悪い知らせが届いた。
「建造様、申し訳ございません。また都市再開発の入札に失敗してしまいました」
という部下の報告に建造は頭を抱えていた。また、都市再開発といった大型工事の入札に失敗したのだ。これで土居建設の大型工事の受注(入札)失敗は10連敗を数えてしまった。
「これでは土居建設はつぶれてしまう」
建造は相当悩んでいた。大型案件(工事)の受注(入札)に失敗し続ける、これは土居建設にとって危ない状況を生んでいた。大型案件(工事)を受注できれば何十億、何百億ものお金が土居建設にはいるのだが、それがないとなると、土居建設にとってそのお金ははいってこない。そうなると、土居建設は開店休業状態となる。これだと土居建設の大赤字は確実だ。なら、小~中規模の工事を受注すればいいのではと考えるも、これもほかの企業に取られてしまっていた。
では、なぜ土居建設は受注(入札)に失敗するのか。その理由は2つあった。
1つはオリンピック特需の終了だった。2020年、東京でオリンピックが開かれた。当然、そのオリンピックにかかわる競技施設の新設、改築工事は行われるも、オリンピックが始まる前にすべてが終わる。そうなると、オリンピック関連工事をしていた建築会社はもとの仕事、つまり、道路修繕や新しいビルの建設などもとから存在する工事に復帰する。また、オリンピック関連の工事などがひと段落することで社会全体の需要もひと段落する。これまで逼迫していた需要が落ちると、自然と供給とのバランスがとれるようになっていく。ということで、土居建設はこれまでオリンピック関連の工事をしていた建築会社にかわって道路修繕や新しいビルの建設などをしてきたのだが、オリンピック関連の工事を行っていた建築会社がその工事に復帰したことにより、その工事をその建築会社に次々ととられていったのだ。むろん、2025年には大阪で万博が開かれるが、それでも土居建設はその受注にも失敗したのだった。
そして、2つ目は外国から安い賃金で働く外国人が流入してきたためだった。2018年末に成立した入管法改正などにより、限定的ではあるが、外国人が建築現場で働けるようになった。ただし、4万人までなのだが、大手建設会社はこぞって安い賃金で外国人を雇うようになった。そのため、大手建築会社は人件費を安い抑えることができるようになり、より安い工事費用で工事することが可能となった。これにより、大手建設会社はそれを武器に全国各地でほかのところより安い入札金額(=工事費用)で入札していく。そのおかげで、土居建設は全国各地でその大手建設会社の安い入札金額のまえに次々と敗北(入札(受注)失敗)を重ねていった。ちなみに、土居建設は外国人雇用については大手より遅れてしまったこともあり、いまだに外国人を多く雇用できなかった。そのため、大手建設会社と比べて高コスト体質だった。なので、土居建設は、大型案件はおろか小規模の工事までその大手建設会社に入札で次々と負けており、受注できない状況は続く、そんな状況に陥ってしまった。
こんな悪いニュースにより、土居建設、そして、土居建造は危機に陥っていた。中央省庁からの圧力、全国各地で起こった入札失敗により九龍島以外の工事から締め出された土居建設と土居建造はしかたなく、自分と大地の夢、いや、いまや野望となった土居建設独自の案件、九龍島のリゾート開発に土居建設全社のすべての力をそこに集中させざるをえなかったのである。
そして、ついに、
「こうなったら多恵を切るしかない。少し荒治療になるが、これで土地買収部隊も少しは本気になるだろう」
と、建造、ついに多恵を捨てることを決めた。たった半年で島の半分の世帯しか買収同意書を得ることができなかった、それは万死にあたいする、建造はそう思っていた。
建造はその後、多恵のすべての役職を取締役会で解職したあと、ルナたちバックスターを呼んだ。
「なんでしょうか、建造様」
と、建造の忠実な僕であるルナが言うと、建造は、
「実は行ってもらいたい」
と、ルナに言うと地図をとりだし、九龍島を指し示す。そして、いろんなことを言って、最後にはルナが、
「わかりました。それでは行ってきます」
と言った。そして、2週間後、建造の指示で九龍島の秋の大祭、九龍祭りにあわせるようにルナたちバックスターを九龍島に向かわせた。
そのなかで、建造はバックスターと一緒についていく土居建設の関係者に次のことをするように指示した。
①土地買収に反対する住民たちに最終通告をだすこと。その際、行政代執行(その人がしないといけないことをしないとき、行政が強制的にそのひとのかわりにそのことを行うこと。ただし、その費用はしないといけない人もち)も辞さないことを言ってよい。行政代執行については事前に町に確認済みである。
②多恵についてはすべての役職を解任したこと、建造自ら勘当を言い渡したといってよい。
③もし、バックスターで裏切り者が出たらその場で建造に報告。その建造は裏切り者について厳罰に処する。
①は土地買収に反対する住民に対して行政、つまり、町が強制的に土地を買収できる。これにより、土居建設は無事にリゾート開発を着工できるのである。②については前に書いたとおりだが、③についてはレン・カレン対策といってよかった。建造にとってレン、カレンはルナみたいに建造に忠実ではないと見られていた。が、裏切りによりレン、カレンを建造が見捨てれば、レン、カレンは昔みたいにまわりからいじめられる生活に逆戻りする。それは2人にとって嫌なことだ、と、建造は踏んでいた。
とはいえ、建造はバックスターの圧倒的な力をあてにしていた。バックスターさえいれば島の住民たちはだじろき、みんな建造のいいなりとなる、そして、住民全員から買収同意書を得て、無事にリゾート開発の工事に着工できる、そんな破天荒な考えを持ってしまっていた。また、強制代執行をちらつけさすことで住民たちは町の命令=建造の命令に従わないといけないという心理も生まれる、建造はそう考えていた。
(注意:行政代執行はしないといけないことをしないとき、代執行を行う行政は必ず「それをしてください」という催告書を送らないといけません。そして、ある程度の期間を設けてその期間内にそのことをしないとき、行政はその人に対し代執行を行います。なので、今回のような催告せずに代執行を行うことはできませんのでご注意ください)
が、結果的にはバックスターの惨敗だった。一度九龍島のスクールアイドルを圧倒的な力で退けたものの、その後、そのスクールアイドル、いや、「アイランドスターズ」により返り討ちにあった、とのことだった。そして、そのなかには建造が勘当した多恵の姿もあった。これには建造、多恵の裏切りと判断した。
さらに悪いことに、ルナが勝手に、
「あなたたちの勝負、島の運命はラブライブ!決勝でつけてあげる」
と、言ってしまったのだ。そのおかげで、住民全員から買収同意書を得てリゾート開発に着工できるかはラブライブ!決勝での勝負次第になってしまった。これには建造は頭を抱えてしまう。次回のラブライブ!冬季大会のバックスターの成績次第では自分の野望、九龍島のリゾート開発が中止になる可能性がでてきたのだ。また、バックスターが敗北とされる九龍島のステージについてはネットに中継されていたため、それを見ていた人たちは、
「バックスターの実力はあの程度なのか。なら、私なら勝てるかもね」
「あんな素人集団に負けるなんて、バックスターも地に落ちたな」
と、思えるほどバックスターに対するラブライブ!での優位性は揺らいでいた。
「このままだと会社だけでなく俺の学校、土居建造記念高校すら存亡の危機を迎えてしまう。なんとかしないと」
と思った建造だった。建造にとってバックスターの敗北は建造のリゾート開発計画に狂いが生じ、結果、建造にとって焦りを感じることとなった。
そんななか、ある日、建造にルナがさらなる支援をお願いにきた。そのとき、建造とルナたちバックスターとの会話のなかで、カレンが、
「九龍島の敗北によって、バックスターの実力に陰りがあると見られてしまった。ラブライブ!の審査方法は会場とネットでの投票。これまでの実績や知名度で押し切るのは難しい。それなら、圧倒的な練習量で実力をあげるべき。もしくは、審査方法を変えてズルをするべきか…」
と、こそっと言ったこの一言を偶然聞いた建造、そのとき、
「審査結果を変えるズルをするか」
と、ラブライブ!の審査方法を変えて、その上でズルをすることを決めた。
まず、建造はお金を使ってラブライブ!のメインスポンサーになってラブライブ!を牛耳ることに成功した。その上、さらにお金をちらつかせてラブライブ!決勝の審査方法を会場とネットの投票から審査員方式に変えてしまった。
そして、建造は秘密裏に入手した審査員名簿を見て、
「このメンバーなら全員買収できるな」
と言って審査員全員に賄賂や便宜をはかることで審査員全員を買収してしまった。
が、これが建造にとって自分の首を絞めることになった。それは建造がラブライブ!の運営本部でラブライブ!決勝の審査員の1人を呼び、本部の一室でその審査員にほかの審査員の買収の斡旋を催促していたときに起きた。
「ほかの審査員にも根回しをしている最中です」
と、その審査員が言うと、建造はつかさず、
「決勝ではお願いしますよ。こちらは多額の金をあなた方に差し上げているのですから。だから、バックスターを勝たせてください」
と言うと、その審査員のお子さんの不正合格の斡旋まで切り出す。
が、このとき、建造は知らなかった。実はこの部屋には建造と審査員以外にもう1人いることを。その人は雪穂の大学の親友で1週間前からラブライブ!運営本部でバイトをして働いている渋谷ヒカリだった。ヒカリは偶然建造の買収現場を目撃し、その様子を自分のスマホで録画していたのだ。
「これは大変だ!!誰かに知らせないと」
と、ヒカリは慌てつつも、まずは雪穂に知らせたほうがいいと思い、すぐに雪穂に連絡するとともに、その動画データを雪穂に転送した。
「これは本当にまずいね」
と、この動画データを見た雪穂はそう思うと、A-RISEのつばさ、雪穂の姉でμ‘sのリーダーだった穂乃果、雪穂が高校のときに結成したスクールアイドル、オメガマックスのメンバーとして一緒に活動していた愛、はるか、はやて、みやこ、さらにはそのオメガマックスのライバルだったスクールアイドル、K9のメンバーだった天やカオルなど、雪穂が知るかぎりのスクールアイドル、ラブライブ!関係各所に送っていた。もちろん、決勝までは秘密にしてもらうようにもしていた。このあと、雪穂は裏取りし、審査員全員が買収されていることをA-RISEのツバサ経由で知ることになる。
が、そんな悪いことを絶対に許さないからね、と、へんに正義感を持つ人物もいた。それがμ‘sのメンバー綾瀬絵里の妹で雪穂の大親友、なおかつ、雪穂たちと同じオメガマックスのメンバーだった人、綾瀬亜里沙、その人である。雪穂は亜里沙には動画データはおろか建造の買収についても教えていなかった。だって、亜里沙に送ったり教えたりすると絶対に「悪人は許さない」とどこかにそのことをもらしてしまう可能性があったから。だが、ヒカリは雪穂だけでは心配だということで、亜里沙にもその動画データを送ってしまったのだ。海外の文化を紹介する仕事をしていた亜里沙だったが、やっぱり雪穂の思ったとおりのことをしてしまう。
「こんな悪人は許さない。だって、こんなのはいけないことでしょ。大トリ物になるよ、これ。時代劇みたいにこの紋所が目にはいらぬか、だね」
と、亜里沙が言うと、さっそく仕事でお世話になっている報道各社にその動画データを送った。その動画データを見た報道各社は一大広告スポンサーとなっていた土居建設には内緒で秘密裏に建造に関するいろんな情報を集めようとした。
だが、亜里沙が動画データを送ったのは報道各社だけではなかった。警察にも送っていたのだ。そのとき、東京地検特捜部は建造が九龍島にIR施設を誘致する際、中央省庁の高官や政治家に賄賂を送っていたという未確認情報を得ていて、その裏をとろうとしていた。しかし、それに係わる人たちは誰もそのことについて口をわらないため、建造の賄賂容疑の捜査は進展しておらず、途方に暮れていた。
そんななか、警察からある動画データが送られてきた。その動画を見た検察官は、
「これってたしか、ラブライブ!という大会の審査員を建造が買収しているところですよね。これって刑事事件としては弱すぎませんかね」
とこの動画、つまり、ヒカリが撮影した建造がラブライブ!決勝の審査員を買収する映像を見て言うが、ベテラン検察官は別の見方をしていた。
「でも、これはこれで使えるかもしれない。なぜなら、これも買収している現場を映した証拠映像だからね」
このベテランの一言で停滞していた捜査は一気に進展していった。まず、建造に賄賂を贈ったとされる中央省庁の高官に対して揺さぶりをかけた。しかし、なにも口をわらない。だが、検察官は建造が買収を行っている現場の映像があると言い、建造がラブライブ!決勝の審査員を買収している動画を見せた。すると、その動画を見た高官はついに建造から賄賂をもらい、九龍島のIR施設の誘致について便宜をはかったことを認めた。なぜ認めたのか。それは、建造から直接賄賂を受け取ったときの映像を検察側が把握しているのではないかとこの高官が心配していたからだった。
その後、検察は秘密裏に建造が関係するところすべてを調べ上げ、多くの中央省庁の高官(特に建設関係や教育関係)や政治家、建築業界、教育業界に建造は大量の賄賂を送っていたことを突き止めた。そして、検察特捜部は建造関連の一斉摘発を決めた。日時は建造の警戒が揺らぐであろうと思われる時間、ラブライブ!決勝、それもスクールアイドルすべての演目が終わるとき――。
そんななか、建造は何も知らず、ようやく自分、そして、大地の悲願だった九龍島のリゾート開発に着手できる、ようやく夢が叶うと思い、ラブライブ!決勝の日を迎えていた。裏では建造に対する摘発の準備が進められていることを知らずに。
建造はバックスターの勝利を確信していた。なぜなら、審査員を全員買収し、バックスターの勝利は確実なものにしたからだった。また、念には念をいれて演目順をちょっと細工し、バックスターを必ずトップバッターになるようにしていた。そこでほかのスクールアイドルをステージ前に移動させ、バックスターの圧倒的なステージを見せることでスクールアイドル全員の自信、やる気をすべて喪失させようとしていた。事実、それにより、スクールアイドルたちは自信、やる気を喪失し、テージにあがるもうまく踊れないグループが続出した。たった1組、九や多恵がいるアイランドスターズを残しては。
そして、最後の演目となったアイランドスターズが歌い終わったあと、結果を待つだけ、その結果も審査員全員の一致でバックスターの勝利で終わる、そう建造は思っていた。
が、突然、ステージ上のスクリーンにある映像が映ると、建造は愕然とした。その映像は建造がラブライブ!決勝の審査員を買収しているところの映像だった。
「誰だ、こんな映像を流しているのは。濡れ衣だ。はやく止めろ。こうなったら抗議してやる!!」
建造がそう言うと、ラブライブ!運営本部に直接つながるホットライン用電話機の受話器をとった瞬間、
「東京検察特捜部である。土居建造だな」
と、検察がいきなり建造のいる部屋にはいってくると、建造
「わしを誰と思っている。土居建造だぞ!!」
と叫ぶも、検察官は、
「そんなの関係ない。土居建造、賄賂容疑により逮捕する!!」
と大声で言うと、建造、
「わしの、わしの、わしの夢、あともう少しで達成できるのに…」
と断末魔のようにさけぶ。が、検察官はそのことを気にせず、建造に手錠をかけた。このとき、この瞬間をもって、九龍島に一大リゾート地を造るという建造の夢、建造の野望は潰えたといってよかった。
その後、ラブライブ!決勝は審査員の全員辞職などにより混乱するも、それを危惧していた穂乃果たちの働きによって従来の会場とネットの投票が行われることになり、結果、九たちアイランドスターズの優勝で幕が下りた。
一方、建造が賄賂罪により逮捕されたことで土居建設は信用を失い、さらに九龍島のリゾート開発以外の工事以外に仕事がなく収入がなかったこととその状態のなかでもバックスターを通して土居建設、九龍島のリゾート開発の広告宣伝費に多くのお金を投入したことにより、土居建設の財務状況は火の車状態になってしまったことが幸いし、建造の逮捕から1週間後に土居建設は倒産した。また、建造から賄賂を受け取った中央政庁の高官や政治家は次々と逮捕された。このことはのちに土居建設事件とそう呼ばれることとなる。さらに、建造が立てた学校、土居建造記念高校も建造というスポンサーを失った結果、閉校が決まった。このとき、バックスターのルナに関するある問題が発生したことは別の話である。
そして、4月、建造は拘置所の独房にいた。髪の毛はすべて白髪になっていた。逮捕されたショックで髪の毛がすべて白髪になったみたいだった。
建造は逮捕されたことを受けてあることを考えていた。
「なんで、俺はこんなことになったのだろうか」
と。そこで建造は昔を思い返していた。バブル景気のころ、大地とともに一生懸命働くも、このとき買いあさった株や土地がバブル崩壊とともに多額の借金になった。そして、これがもとで大地は自殺し、そのときに残した多額の保険金で土居建設は立ち直った。このとき、建造は大地の夢であった大地の出身地九龍島のリゾート開発の夢を引き継ぎ、一生懸命働いた。その結果、会社は大きくなり、奏という奥さんをもらった。その奏から自分の夢、九龍島のリゾート開発の夢を褒められたことでさらに仕事に精進する。また、ラブライブ!と出会い、バックスターというスクールアイドルを育てた。
だが、ここから足を踏み間違えたのだろう。あまりに夢を追いかけたあまり、夢のためなら手段を選ばなかった。自分の夢、いや、野望のために自分の娘多恵ですら自分のコマのように扱った、そして、役に立たないと平気で切り捨てた、それだけでなく、中央省庁の高官や政治家に賄賂を送り続けていた、とても悪いことをしてきた、それがいけなかったのだろうと、これが報いなのだろうかと、これからどう生きていけばいいのだろうかと。
そんなとき、
「土居建造、土居建造」
と、看守から建造を呼ぶ声が聞こえてきた。
「土井建造、君に面会人だ!!」
この言葉にただ従う建造。面会室に入ると、
「お父さん」
と建造を呼ぶ声がする。そう、アクリル板の向こう側にいたのは自分の娘、多恵だった。
その多恵は建造が椅子に座ると同時にあることを行った。
「お父さん。私は父、建造を見捨てていないよ。だって、私にとって唯一の家族だもの。どんな悪いことをしていたとしても、私の父は父だもの。だから、忘れないで、どんなときでも私は父を見捨てないって」
これを聞いた建造、
「ありがとう、ありがとう、多恵。本当にありがとう」
と、涙を流しながら多恵に感謝の言葉を送った。そして、建造は決心した。娘多恵のためにもこれからはまっすぐに清々堂々と生きていこうと。
参考文献
東洋建設HP TOYO HISTORY 第5期 昭和60年~平成10年 バブル景気の到来と崩壊
鹿島建設 HP バブル景気、未曾有の不況、そして、21世紀へ
さくら事務所 HP 時系列で見る、マンション建設業界「人材不足」の変遷