ラブライブ!Ω/UC 外伝 ラブライブ!アイランドスターズ!!    作:la55

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九龍島伝 第2話

 町長のおびえの原因、それは町役場の前にあった。

「土居建設を追放しろ~」

「リゾート開発なんてやめてしまえ~」

と、リゾート開発とそれを行う土居建設に対する反対派住民の抗議デモが町役場前で起きていた。が、その様子はこれまでより少し違っていたのだ。これまでは今さっきのような言葉が中心だったが、今日に限っていえばこんな言葉が聞こえてきた。

「買取同意書を返せ~。俺たちの心を踏みいじるな~」

なんと、リゾート開発に賛成と見られていた(土地買収に1度は同意した島の全体の半数におよぶ)住民たちの一部が反対派の抗議デモに参加していたのだ。そして、1度は同意した買取同意書を撤回するよう迫っているのだ。では、なんでそんな住民たちがそのデモに参加しているかというと…。

「建造は強引なやり方でこの町をのっとるつもりだ~。そんなこと、許すな~」

 

これ、実は昨日のバックスターの発言で、「スポンサー主(=建造)の伝言である。」と言っていたから。さらに「抵抗するものは行政代執行を行う」と発言したため、「その発言=建造が強引なやり方で町をのっとる」という構図が賛成しているとみられていた住民の頭のなかではできてしまった。とはいえ、そんなこと言われたら誰だって怒っちゃうものだ。なので、横暴な態度をとる建造に対して賛成しているとみられていた住民たちは反旗をひるがえしたのだった。

 こうして、これまで町民たちの意見はリゾート開発について賛成派半分、反対派半分とみられていたのが、昨日のバックスターの言動を「建造のあまりにも横暴な言動?」とみられてしまい、結果、町民のほとんどが反対派にまわってしまったのだ。そして、それが今の抗議デモでも見られるようになった。その規模は昨日までの2倍以上の規模に膨れ上がっていた。これにはさすがの町長も頭を抱えるしかなかった。

 

 が、ここで町長は別のことでも頭を抱えていた。

(バックスターはあのあと、(町長の孫である)星子たちの熱唱を聞いて逃げだしていった。そのとき、「この勝負の決着、この島の運命はラブライブ!決勝でつけてあげるわ」と言った。ということは、もし、ラブライブ!というもので星子たちがバックスターに負けると、この島は土居建設のものになるってことだよな。負けたら無条件で住民たちから土地を奪いとり、リゾート開発を進めてしまう。この島の運命は星子たちに任せていいのだろうか)

そんなことを町長は悩んでいたのだ。が、実は抗議デモに参加している住民の中にもそんな心配をしている人はた。その町民は言った。

「この町の運命はたった9人の女子高生(九たち)に任せていいのだろうか。そのこと自体危険なのではないのか。あの子たちに任せるべきではないのでは。なにか、私たちだけでなんとかできなのだろうか」

この考えは少しずつではあるが反対派住民の中にも広がり始めていた。

 というわけで、町長は空転する町議会と激しさを増す反対派住民の抗議デモ、2つのことで悩む。それが4時間ぐらい続いた。そして、最後、ついには議長が、

「もうこれ以上論争をしても平行線のままの状態です。少しは頭を冷やしてもう1度考え直してください。今日はここで閉会とします」

と、強制的に定例議会を閉会とした。

 だが、町長は空転し続ける町議会を見続けたためか、抗議デモが収束していないためなのか、深く、

ハー

と、大きなため息を吐いた。そして、町長は長老議員を見るも、その長老議員は、

「ホホホ、お茶がおいしいの~」

と、ただお茶を飲んでいるだけだった。

 

 というわけで、町では町議会の相変わらずの空転状態とより激しさを増す反対派住民の抗議デモが続くなか、ときはすでに11月を迎えようとしていた。が、11月になって、町では衝撃的な出来事が3つ起こってしまう。

 まず1つ目。これは町議会関連なのだが、なんと、リコールが成立しそうになっていたのだ。リコール、それは住民たちが町に対して町長の解職、町議会の解散などを直接請求できる制度なのだが、それをするためには町に住む18歳以上の有権者全体のうち、法律で定められた割合以上分の署名を集めないといけない。で、その署名を選挙管理委員会(選管)にもっていってから町長の解職、もしくは町議会の解散を請求し、選管はその署名に間違いなどがないか調べ、間違いのない署名を数えたうえでその署名分が法律で定められた割合を超えていたらその請求は有効となる。で、その請求が有効なら、請求から60日以内に町長の解職や町議会の解散などを問う住民投票を行い、有権者の過半数以上だと町長を解職したり、町議会を解散できるのだ。で、今回の場合、町議会の解散なので、まず最初に町の有権者の1/3以上もの署名を集めないといけないのだ。

実は町議会の解散というリコール運動は5月のときからあった。町議会がリゾート開発を認める条例案を可決成立したため、リゾート開発の反対派は町議会の解散を目的としたリコール運動を始めた。が、当初は集まらなかった。リゾート開発に賛成の人たちもいるし、反対派のなかにも賛成派と揉め事を起こしたくないという住民もいたからだ。

 しかし、潮目が変わったのはあの九龍祭りの出来事、そう、バックスターの発言、のちに最終通告といわれる出来事が発生したからだった。前にも書いたように、バックスターの発言は「抵抗(反対)する者は強制代執行する(つまり、強制的に土地を取り上げる)」という、いわば住民の意見すら無視した、あまりにも一方的、あまりに強引的な発言だったので、賛成派とみられていた、いや、本当に町の未来のために賛成していた住民たちが反対派にまわってしまったのだ。そして、2週間以上たっても何もしてくれない町議会に対し、住民たちはついにしびれをきらしたのだ。そのため、11月になってすぐに町議会の解散というリコールを請求するという署名がどんどんと集まってきたのだ。その結果、法律で定める有権者の1/3を超える4/5、80%以上の住民たちの署名を集めることができたのだ。それを反対派住民は町の選管に持っていき、町議会の解散を請求した。それに驚いたのが選管だった。これまで九龍町は選挙という選挙はしていなかった。町長は江戸時代の島役人の流れを汲む天海家が代々なってきていたし、町議会も選挙しても定数10のところ、立候補者は11~12人と、それほど多くなかった。なので、選管としてはこんな大事は初めてだった。選管は驚きつつも1つ1つ署名に間違いがないか確認し、請求してから1週間後、11月下旬に町議会解散を問う住民投票をすると発表した。なのだが、その発表をしたにもかかわらず、町議会はいまだに空転していた。

 2つ目の出来事はリゾート開発の工事が進んでいたということだ。10月下旬。

「多恵様、町役場につきました」

と、多恵を乗せた車が町役場の裏門に到着した。表門はリゾート開発に反対する住民たちがいまだに抗議デモを繰り返していたからだった。

「天海町長はいますか?」

と、多恵は町長がいるか確認すると、

「お~、多恵殿ではないか。待っていたぞ」

と、町長は町長室のドアを開けると、多恵は、

「失礼いたします。って、町長、かなり痩せてしまいましたね」

と、あまりにも痩せ細った町長を見て驚いてしまう。これには町長、

「そうじゃな。町議会は空転状態、役場の前では抗議デモ、それを心配するあまり心労がたまっているのでのう」

と言うと、多恵、

「バックスターの発言については私としては陳謝します。が、会社側としてもあの発言が会社としての本心なのかもしれません。これについては私からは何もできないのが現状です。本当に申し訳ございません」

と、謝罪するも、町長、

「いやいや。あの発言と一緒に多恵殿は土居建設のすべての役職を解任され、さらに父親(建造)からは勘当されてしまう。そう考えると、多恵殿も大変では」

と、逆に多恵に気を使うも、多恵、

「本当に気を使ってくれてありがとうございます。けれど、心配しなくても大丈夫ですよ。私は元気ですから」

と、作り笑顔で対応する。が、このとき、多恵はこれまでしてきた(土地買収に動いていたこと)により町の住民たちの亀裂を招いてしまったことへの罪悪感、そして、九たちに対してこれまで冷たく接してきたことへの罪悪感に苦しんでいた。それでも、多恵はあまりの心労で痩せてしまった町長を無理させてはいけないと思い、無理して元気であることを装っていた。

 そして、2人は応接セットの椅子に座ると、すぐに多恵が町長に、

「町長、実はお願いがあります。今は使われていない市有地にあるものを建設したいのです。それは…」

と、あるものを建設したいというお願いをすると、町長はそれを快諾した。でも、1つここで疑問が。多恵はこのとき、リゾート開発をする土居建設のすべての役職を解任されているのだ。なので、リゾート開発の工事を始めたりとかすることを決める権限は今の多恵にはなかった。なのに、なぜ、今となって多恵はその工事を始めようとしていたのか、それはこのときはまだ謎だった。

そして、多恵が町長にお願いして承諾をもらった日の翌日、昔、町の体育館の建設予定地として整備したものの、予算不足などにより建設が中止となり、今や荒地になっていた市有地に重機が投入され、なにやら工事が始まったみたいだった。これには住民、

「おお、ついに土居建設は本当にリゾート開発を始めるつもりだ」

と思ってしまい、その考えが瞬く間に町中に広がっていった。では、なぜリゾート開発の工事だと思われたのか。それは工事現場のたて看板にはちゃんと「リゾート開発」と土居建設の名前が書かれていたからだった。と、工事が始まったという考えが町中に広がった結果、反対派住民たちはさらに危機感を強め、抵抗デモのトーンはさらにあがってしまった。

 そして、3つ目は九たちアイランドスターズの不調である。九の勝手な応募でラブライブ!に参戦した九たちアイランドスターズであったが、第1関門となる鹿児島県予選でアイランドスターズの多恵が前に書いた九たちへの罪悪感のせいでミスを連発してしまう。結局、めい、小明の機転でそのミスを2人がカバーしたことにより、なんとか予選突破ぎりぎりの3位で県予選を通過していたのだった。

 で、この予選の様子はすべてネットで中継されていた。なので、ハッピーさんや特攻野郎Sチームみんなをはじめとして町民の多くがこのネット中継を見ていた。

「多恵ちゃん、なにをやっているんだ。このままだと予選落ちしちゃうよ」

と、ハッピーさんは自分のパソコンの前でアイランドスターズが踊っている様子を見て心配するも、

「それはきっと大丈夫だ。だって、めいちゃんと小明ちゃんがそのミスをフォローしている」

と、隣にいたゴンさんがハッピーさんに言うと、

「本当だな。それならいいんだけど…」

と、ハッピーさん、少し安心するも、ちょっぴり心配していた。

 2人は鹿児島県予選の様子をハッピーさんの家で見ていた。いや、2人だけではない。特攻野郎Sチームのメンバー全員、そこにいたのだ。実はハッピーさんとゴンさん、2人で作ったアイランドスターズファンクラブ、会員が増えていた。といっても、特攻野郎Sチームのゴンさん以外のメンバーが全員加入しただけなのだが…。

 そして、結果発表で九たちアイランドスターズは3位で予選突破が決まると、ハッピーさんたちは、

「ヤッター!!」

と、みんな大声で喜んでいた。が、そのなかでゴンさんは冷静だった。

「3位か。これでは次の九州予選は苦戦が予想されるな」

と、ゴンさんがつぶやくと、ハッピーさん、

「そうか?なんとかなるんじゃないの」

と、楽観視するも、ゴンさんはいたって冷静に、

「いや、俺の考えからすると、ミスを連発→県予選をようやく3位で通過→九州予選では苦戦が予想される→もしかすると九州予選で敗退?→敗退すれば自動的にバックスターに負けることになる→(バックスターの発言により)九龍町すべての住民の土地が取り上げられて土居建設の土地となる→リゾート開発の工事が始まる、という流れが予想される。こうなると、反対派住民たちは黙っていないだろう」

と言うと、ハッピーさん、なにかに気づく。

「あっ、そういうことか。これはまずいな」

ハッピーさんが気づいたこと、それは九龍町の命運は九たちアイランドスターズにかかっていることだった。繰り返しになるが、九龍祭りで逃げていくバックスターのルナは帰り際に、

「この島の命運はラブライブ!決勝でつけてあげるわ。私たちが勝ったらこの島はいただくわ」

と言っていたのだ。バックスター、実は前回のラブライブ!で優勝するほどの実力をもっている。なので、決勝進出は確実視されている。一方、アイランドスターズは実力としては未知数、指導者がまえにラブライブ!に優勝した経験がある雪穂ではあるが、ミスを連発した鹿児島県予選だけ見てみたら九州予選を突破できる見込みすらできない。なので、バックスターは決勝に進出して、アイランドスターズは逆に九州予選で敗退すれば自動的にバックスターの勝利。これにより、九龍町は土居建設のものになっちゃうというわけだ。

 そう考えたハッピーさん、すぐにあることを言いだす。

「ゴン、これはちょっと危ないな。こうなれば、反対派住民たちはさらに過激的に抗議してくるぞ。さらに、九ちゃんたちには九州予選に必ず勝たないといけないというプレッシャーが大きくかかってしまう。それだと、町はさらに混乱し、九ちゃんたちも安心して踊れなくなっちゃう。なんとかしないとな」

これを聞いたゴンさん、

「ハッピーよ、おぬし、なにか考えているな」

と言うと、ハッピーさん、少し笑って、

「ああ、そうとも。今、町議会の解散のリコール請求が通ったてことだしな」

と言うと、ゴンさんにあることを相談した。

 

 で、ゴンさんが危惧したこと、それが本当になってしまった。

「このままじゃ俺たちの九龍町はすべて土居建設のものになっちゃう。もう彼女たち(九たち)だけに任せておけない。みなの衆、準備はいいか。攻め込むぞ!!」

と、リゾート開発の反対派のリーダーはみんなにそう叫んだ。町の多くの住民が九たちアイランドスターズが出場しているラブライブ!の鹿児島県予選をネットで見ていた。が、ミスが目立ち、目も開けられない状況に。結果的には3位で県予選を通過となるも、このままの状態で九州予選に出場しても予選落ちは確実。一方、バックスターは決勝進出が確実。そうなると、バックスターの勝利により九龍町は土居建設のものになる。それを防ぐためには自分たちがさらに抗議を強めるしかない、そうリーダーは考えた。

 その結果、反対派住民全員に鼓舞すると、すぐに町役場とは別の場所に向かう。そこは。

「土居建設でていけ~。この町にはリゾート開発はいらない!!」「いらない!!」

土居建設の現場事務所である。このまえまで町役場にて抗議していた反対派住民の一部がリーダーの指示で土居建設の現場事務所の前で抗議デモを始めたのだ。

「土居建設はでていけ~」「でていけ~」

と、現場事務所の前では朝から夜まで抗議の声が響いていた。

 が、ここで困ったのが多恵や工事関係者である。多恵と工事関係者はここに寮みたいなものを作ってここで住んでいた。が、この抗議デモが続くと、身の安全が保障できない。特に多恵は土居建設の社長、建造の娘である。それだけでも危険なのに、抗議デモが暴動化したら、まず狙われるのは多恵であることは目にみえて明らかだった。なので、多恵は事務所の前で抗議デモが続いているあいだ、

「九、少しのあいだだけどお世話になるね」

と、九の住んでいる島唯一の民宿、九龍荘にお世話、というより非難していた。それほど抗議デモは激しさを増していた。

 そして、抗議デモは別のところでも起こっていた。それはあの工事現場だった。反対派住民はその工事現場でも抗議デモを行っていた。が、工事現場で働く人たちはそんなことを気にせずに働いていた。そして、反対派住民による抗議デモが続いていくなかで、その工事は少しずつ完成へとむかっていた。その抗議デモに参加している反対派住民たちはなにを建設しているのかは知らなかった。

 

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