ラブライブ!Ω/UC 外伝 ラブライブ!アイランドスターズ!!    作:la55

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九龍島伝 第3話

 そして、町議会の空転と反対派住民による抗議デモで心労がたまりやせてしまった町長ラブライブ!鹿児島県予選を見ていた。

「なにがダンスなんだ。スカートをひらひらさせて男を誘惑しているだけじゃないか。kのどこがおもしろいのだか」

と、いろいろと言いつつちゃんと見ていた町長。しかし、九たちアイランドスターズのときには、

「なんじゃ、ミスばっかりしているじゃないか。これでは県予選なんて突破できないぞ」

とミスを連発するアイランドスターズの姿を見て嘆いていた。でもって、なんとか県予選3位で突破したことを知ると、

「なんとか県予選を突破したな。でも、この状態では次の吸収予選は予選敗退が確実。これでこの九龍町はすべて土居建設に渡ってしまう…」

と悩んでしまう。が、今、町長にできることはなにもなかった。町長には町議会の解散権が厳しく制限されていた。国会みたいに解散権は町長にはなく、唯一あるとしたら、町議会で町長の不信任案を可決したときだけ。そんなのリゾート開発賛成派と反対派が拮抗している今の町議会ではそんな見込みすらない。また、抗議デモにしても、それを強制的に排除すれば混乱が起きるのは必至。なので、町長にとってとれる対策はなかった。

「星子よ、なんとかしてくれ」

と、町長はアイランドスターズのメンバーである自分の孫星子にただ願うしかなかった。

 

 が、11月も下旬となり、状況は少しずつではあるが改善してきた。それは抗議デモではなく町議会のほうだった。町議会の解散を問う住民投票の前日、町議会はいつもの通り空転していた。

「地域振興としてもリゾート開発は大事なのです。だからこそ、リゾート開発の工事を進めるべきなのです」

と、リゾート開発賛成派の近場議員が言うと、今度は反対派に寝返った町谷議員からは、

「いや、いまの町の現状をみてください。いまや反対派住民による抗議デモは続いています。民意はすでにリゾート開発反対に傾いています。民意をもっと大事にしてください」

と反論する。だが、賛成派、反対派、それぞれの議員の心のなかは別にあった。

(リゾート開発を進めれば私は儲かる。だって、それにより建造殿(土居建設の社長)から多額のお礼がもらえる)

と、今なお、建造からの賄賂を期待している賛成派議員。それに対して、反対派議員は、

(明日の住民投票は絶対に圧倒的多数で解散賛成の票が集まる。それにより、リコール成立、議会は解散。そのあとは町議会議員を決める選挙が行われる。その選挙で議会でリゾート開発を反対したことを堂々と宣伝すれば、反対派の住民たちが私に投票してくれて、また議員として戻ってこられる。もっとも~と反対していることをアピールするぞ)

と考えていた。どちらも町の未来のことなんて考えておらず、自分の利益のことしか考えていなかった。

 一方、いつもの長老議員はというと、

「ふふ、お茶がうまいの~」

と、のほほんとお茶を飲むことしかしなかった。こうして、町議会は最後まで空転し続けたのだった。

 が、そんな自分たちの利益しか見ていない議員の姿は住民たちには筒抜けだった。住民投票当日、住民たちはこぞって住民投票を済ませた。その投票数、なんと有権者全体の95%以上。ほとんどの有権者が投票したことになる。そして、投票終了後、即日開票され、結果、全投票数のじつに95%以上という圧倒的多数で議会解散の賛成票が集まり、リコールは成立、町議会の解散は決まった。

 そして、選管はすぐに町議会選挙を12月中旬に行うことを発表した。もちろん、リコール成立で議員を失職した元議員たちも全員その選挙に立候補する予定であり、その選挙準備に追われていた。

 その一方で、ハッピーさんたちにも怪しい動きが活発化していた。

「どうですか。元気にしてますか」

と、住民たちとなにげなく会話をしているハッピーさん、その際、

「どうです。リコールが成立して町議会は解散したけど、どう思っています?」

と、さりげなく聞くと、その住民からはいろんな意見を聞くことができた。その後、ハッピーさんは必ず、

「そうですか。とても貴重な意見、ありがとうございました」

と、丁寧に御礼を言った。ハッピーさん、これをほとんどの住民たちに行っていた。そして、これは特攻野郎Sチームのリーダーのゴンさんも行っていた。こうなるとなにか不気味である、そう思ってしまう今日このごろだった。

 

 こうしているうちに、ときは12月にはいろうとしていた。町議会の出直し選挙の告知日が迫ろうとしたとき、市有地に建設していたものがついに完成した。それは大きな野外ステージだった。完成した野外ステージを見た反対派住民たちはみな、

「これはきっと、本当にリゾート開発をするぞ、という土居建設の本気度をあらわしているんじゃないか。これ以上、土居建設の勝手を許すと、手加減なく俺たちの住処を奪っていくんじゃないか。それならもっと抗議して土居建設を追放しよう」

と思ってしまい、抵抗デモはさらにヒートアップ、ついには、

「12月末、リゾート開発を行う土居建設に対して鉄槌を下すべく、全島、全町あげての抗議集会を行う。各自、その準備をしてくれ」

と、反対派住民全員にリーダーから一斉メールが送られてきた。こうして、抗議デモはついに抗議集会へと発展しようとしていた。

 

 そして、迎えた町議会議員の出直し選挙の告知日、この日から選挙に立候補する人たちの選挙戦が開始される。が、立候補してきた人たちをみると、意外なことが判明した。これまでの選挙では立候補者が多くてもたったの11~12人であった。が、これまでの選挙と違い、今回の選挙は定数10に対し、立候補者18名という大混戦になっていた。そのなかにはリコールにより議員を失職した元議員たち全員はもちろんのこと、なぜか、ハッピーさんや特攻野郎Sチームのリーダー、ゴンさんを含めたチームのメンバー数名の名もあった。

 立候補届出後、

「よし、あとは議員になれるように選挙戦を戦うのみだ」

と、選挙事務所となる自分の家でハッピーさんは心に改めていた。そんなとき、

「よ~、おまえはどうよ、選挙に立候補した気分は?」

と、ゴンさんがハッピーさんの家を訪れて、ハッピーさんに質問すると、ハッピーさん、

「そりゃ、頑張っていくのみだって思っているよ。そのおまえこそどうだ、立候補した気分は?」

と逆にゴンさんに質問。そのゴンさんも、

「そうだな。俺としてはこれから先、九ちゃんたちが安心してスクールアイドルをしていけるよう、議員になって静かな練習環境を整備したいね。そういうおまえも同じ考えじゃないか」

と言うと、ハッピーさん、

「そうだな。俺たちの願いはなにも気にせずに九ちゃんたちアイランドスターズが練習できて、さらに全国で活躍できるようにしていくことだけだからよ」

と言った。

 実はハッピーさんとゴンさん、九たちアイランドスターズが鹿児島県予選を突破したあの日からこうなることを見越して町議会議員の出直し選挙に立候補する準備をしてきた。きっかけはアイランドスターズが県予選を突破したその日だった。ハッピーさんとゴンさんが県予選の生中継を見ていたときの2人の会話には続きがあった。

「ハッピーよ。おぬし、なにか考えているな」

と、ゴンさんが言うと、ハッピーさんはすぐに、

「ああ、そうとも。今、町議会のリコール請求が通ったことだしよ」

と言うと、続けて、

「で、このあと、解散を問う住民投票が行われる。今の状況からみても賛成多数で議会は解散するだろう。そのとき、あらためて議員の出直し選挙が行われる。俺はそれに立候補しようと思う」

と決意を言うと、ゴンさん、

「なぜそうしていんだ」

と、ハッピーさんの真意をみようとする。ハッピーさん、それについてこう答えた。

「おれはなぜ九ちゃんたちアイランドスターズが県予選は突破できたものの、ミスを連発していたのかを考えてみたんだけど、それって、絶対に負けられない、負けてしまうとこの町、九龍町が土居建設にのっとられてしまう、というプレッシャーがあったからだと思うんだ。それに、絶対に負けるな、負けたら承知しないぞという町の住民すべての総意、それからくるプレッシャーが九ちゃんたちにかかっていると思うんだ」

でも、実際は多恵がこれまでしてきた行為からくる九龍町の住民たち、九たちへの罪悪感のせいでミスを連発していたのが原因なのだが、このせいで多恵と九以外のアイランドスターズのメンバーとのあいだに溝ができていた。ハッピーさんの考えと実際の原因はかけ離れているが、これから先、反対派住民が九たちに「絶対に負けちゃだめ」というプレッシャーをかけてしまうことがないとは絶対にいえない。よりむしろ、九たちが負けてしまうと、そこでゲームオーバー、島は土居建設の手に渡る、そんな九龍祭りで帰り際に言ったバックスターのルナの一言が本当に真実であれば、より激化する抗議デモのように、今以上のプレッシャーを九たちに与えてしまう。そうハッピーさんは考えていた。

 その考えにもとづき、ハッピーさんはゴンさんにこう言った。

「俺は議員の出直し選挙に立候補する。そして、九ちゃんたちアイランドスターズが安全安心に、なにも気にせずに無事に頑張れるような環境を整備したい。ゴンよ、俺を応援してくれ。俺と一緒に九ちゃんたちが無事に頑張れる環境作りをしよう」

 これに対し、ゴンさんは意外なことを言う。

「ハッピーよ、それはできん。ごめんな」

これにはハッピーさん、

「なんでだよぉ。まさか、ここでいつもの言い争いをするつもりか」

と、ゴンさんを疑うも、すぐにゴンさんはあることを言った。

「ハッピーよ。俺もでる。その出直し選挙に立候補する。そして、一緒に当選して九ちゃんたちが無事に頑張れる環境作りをしよう」

これにはハッピーさん、

「ゴン、おまえ、それでいいのか。俺と一緒に立候補するのか?」

と、もう一度聞くと、ゴンさん、

「あたぼうよ。男に二言はない」

と言うと、ハッピーさん、これに喜び、

「ゴンよ、ありがとうよ。これからは2人で頑張っていこう」

と言うと、ゴンは続けて、

「それに俺たちは2人だけじゃない。Sチームの中からも何人かは立候補させる。全員で当選して九ちゃんたちが一生懸命頑張れる環境作りを一緒にしていこう」

と言うと、Sチームのメンバーからも、

「それなら俺が立候補します」

「いや、私が立候補します。私だったらみんあから好かれていますから」

「と、立候補に意欲を見せるメンバーが挙手する。これを見たハッピーさん、

「みんな、ありがとう。目標は全員当選だ!!」

と言うと、みんな、

「オー!!」

と叫んでいた。

 こうして、選挙の告示日までのあいだはハッピーさんと特攻野郎Sチームのみんなは手分けして島に住む人たちにいろんなことを聞いてみた。そこからリゾート開発以外の問題点がわかってきた。高齢者の介護問題、水道光熱費がほかのところと比べて高い、島民の生活に欠かせない車や船の燃料となるガソリンなどの石油の価格が高騰しているなど、いろいろと出てきたのだ。では、町はなにもしてこなかったのか。実はしようとしていたのだができなかったのだ。それには2つの理由があった。まず1つ目は町議会が空転していたことだった。実は九龍祭りの翌日、副町長が議会にこれらの問題に関連した補正予算案をだそうとしていたのだが、もう少しだすところであの町谷議員がリゾート開発反対を表明したため、そのあとは町議会が空転する事態となってしまった。なので、その議会のときに町谷議員が反対表明を言わなければその補正予算案は通っているかもしれないし、それにより、町民の生活が少し楽になったのかもしれない。そして、2つ目は反対派住民による抗議デモの激化だった。抗議デモは九龍祭りでの惨事以来激化の一途をたどっていた。町役場だけでなく、土居建設の現場事務所やあの野外ステージの建設現場にもデモ隊はいた。町はそのデモに対応するため、日夜、そのデモに多くの職員の人員でもって集中して対応してきた。また、町役場も日夜の抗議デモで機能していなかった。こんなことが重なり、町の通常業務は支障を兆していた。なお、議員選挙において、告知日前の選挙活動は法律により禁止されている。なので、ハッピーさんと特攻野郎Sチームのみんなは立候補することは言わず、ただただ、町民からいろんな意見を集めていた。

 

 そして、告知日、ハッピーさんと特攻野郎Sチームはハッピーさん、ゴンさんを含めた5人が町議会議員の出直し選挙に立候補した。5人全員が当選すれば、その町議会の主導権を握ることができる、そうにらんでの立候補だった。

 そして、選挙期間中、ハッピーさんたち立候補者5人は別々に選挙活動を展開していた。もちろん、あつまることもなく、ただ偶然会うと、

「お互い頑張りましょうね」

と握手するだけ。そんな選挙活動を各自でやっていた。

 が、言っていることは共通していた。

「今、高齢者は困っています。介護サービスの質が落ちた。これだと高齢者に迷惑をかけているという状態になっているのですよ」

「今、水道光熱費、ガソリン代がずっと高騰しております。また、ほかの市町村と比べて、この町の価格は高すぎます。これが続くと私たち町民は生活に困ってしまいます」

と、問題提起をした上で、それについての公約を言っていき、最後には必ず、

「私は必ず若者たちや高齢者など、町に住む人たち全員が安心して暮らせる観光作りを行います。なので、ぜひとも清き一票を私にください」

と、町民たちに訴えていった。なお、町議会議員選挙の争点となっていたリゾート開発の是非については反対を表明しつつ、あんまり詳しくは言わなかった。町民のほどんどが反対派であり、また、リゾート開発について論争すれば、前の町議会の二の舞になるとの判断からだった。一方、前議員たちを含む、ほかの立候補者たちはリゾート開発の賛成、反対を中心に町民に訴えていた。劣勢の賛成派の前議員たちはリゾート開発をすることで町は豊かになると訴え、反対派は逆に反対して、土居建設を町から追放しようと訴えた。特に町谷元議員を含む反対派の元議員たちはみな、解散前の町議会でみんなのために反対してきたことを重点的に訴えていた。が、これは前の町議会が空転状態に陥ったことを知っている町民たちにとって逆効果だったらしい。

 というふうに、ハッピーさんたち立候補者5人はほかの立候補者たちとは違った論点で選挙活動を展開していたが、それとは別に秘密裏に動いていた。それは裏論点という別のものだった。それはある日の夜、ハッピーさんが開いた集会での話だった。

「実は私はある人のために力行しました。それは九ちゃんたちです。九ちゃんたちはスクールアイドルグループ「アイランドスターズ」を結成して、今、ラブライブ!優勝に向けて頑張っています。しかし、その拠点となるこの町、九龍町は今、リゾート開発によって荒れに荒れています。さらに、九龍祭りのとき、バックスターが帰り際に言ったセリフ、「アイランドスターズが負けたら九龍町をいただく」のおかげで反対派の住民たちから九ちゃんたちに強いプレッシャーを与えています。私は今、ここで言います。九ちゃんたちには安全安心に、そして、何も気にせずにのびのびと練習、活動していってほしい、私はそう思います。そのための環境整備をやっていきたい。私それをやっていきたい。なにとぞ、みんさんの後押しで私を男にしてください。そして、九ちゃんたちが安心して活動できる場所を提供してください」

 これには集会に参加していた人たちからは、

パチパチパチ

と、大きな拍手が鳴り響いていた。これはゴンたちほか、特攻野郎Sチームから立候補しているメンバー4人も同じことをしていた。ハッピーさんやゴンさんたちの九たちアイランドスターズへの思いはこの選挙活動を通じて全島に静かに広がりをみせようとしていた。

 

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